驚いてばかり居た。否、驚かさずに居られようか。
対空機銃は分間1000発というあり得ない速度で発射され、日本が、北側が打ち上げている百を超える僕の星との連動か?
将又別の何かか? とにかくパーパルディアの砲の命中率は90パーセントを優に超えているという。
この書店で購入した別冊宝大陸。『17番目の加盟国。新たなる友邦パーパルディア皇国の力』という本には、現在皇国が有する戦力の詳細が描かれていた。
皇国海軍
パールネウス型戦艦満載排水量76,800t×4
パール型重巡洋艦14,500t×4
ミシュラ型駆逐艦2,200t×16
001式コルベット排水量1,100t×12
001式戦車揚陸艦・ドック型輸送艦満載排水量17,000全通甲板式×4
ヴェロニア級航空母艦満載排水量56,000t×4
皇国陸軍
60式主力戦車1,000両
KMF無頼・グラスゴー最初期型計1,000機
皇国航空隊
ゼロ式艦上戦闘機52型360機
ゼロ式陸上戦闘機52型240機
時速900kmを超える亜音速に達する戦闘機震電改500機
BF109改メッサーシュミット500機
P51マスタング改500機
90式輸送用VTOL500機
特殊艦
軽斑鳩級浮遊航空艦最初期型デュロ×1
軽アヴァロン級浮遊航空艦最初期型×2
25砲艦外交の前に分析するムーゲ大使
練習機としているが直ぐに戦闘攻撃機となろうM1.6という異常なまでに驚異的最高速力を叩き出すらしい怪物機・橘花弐式100機。
この橘花弐式の運用艦として満載排水量77,000tの怪物空母が1艦一月以内にパーパルディアに引き渡される。
近く軽巡洋艦も数隻引き渡されると聞いている。パーパルディアは現状戦闘艦艇60艦体制を目指しているらしいが。
引き渡されたところで練習航海の積み重ねも必要となろうから戦力化は未だだろうが、それでも近く戦列に加わるだろうと見ていい。
私は耳にする戦術単位としては初めてだが、77,000t級の空母の戦力化が終わり次第、一年以内か? 空母戦闘群と言う戦術単位を組むことになるらしい。
これは1艦の大型航空母艦を中心に8艦程の軽巡や駆逐艦で周りを固める艦隊を形成するという戦術ユニット。空母機動部隊の発展型の戦術単位だ。これもパーパルディア独自の物では無い。指導しているのは北側諸国。
北側諸国としては最低77,000t級空母を後1艦を無償で供与、出来ればもう2艦。これは有償に成るらしいが、その頃にはパーパルディアも購入可能或いは技術支援で建造可能となると見ているようだ。
常に出動できる体制にしておくという事だろうか? 単葉戦闘機の空母であるヴェロニア型と合わせれば航空母艦8艦体制が完成する。多すぎるのではないか?
「……そうか! なるほどな。あの高性能なジェット戦闘攻撃機橘花弐式は数が少ない。故に単葉機と合わせたハイローミックスで行くつもりか」
この辺りは技術士官や軍事専門家の知識が必要となるが恐らくは間違いないだろう。
音速の1.6倍もの速力を誇る機体がそんなにあってたまるか。
しかし我がムーでは最早手が付けられんな。マリンでは380㎞が限界だ。それがパーパルディアではその2倍が最早普通で、プロペラ機ではないジェットに至っては5倍近い速力。
現状でも皇都防衛隊基地の要塞化をこの目で見た。恐らくデュロやその他地方の陸軍基地や海軍基地も一気に近代化しているだろう。
都市部や住民の暮らしぶりも以前とは比べものにならない。この一年と少しの間でパーパルディアのGTPは2,800%上昇し、まだ上昇を続けているというのだからリヴァイアサンの様な進化だ。
業腹ながら認めねばならないだろう。ムーはパーパルディアよりも格下だ。それも足元にも及ばない。
ミリシアルにも並ぶだろう。軍事力だけはミリシアルを超えている。謎の国家連合北側諸国が関わっているだけでこれ程の進化と心身的変化がもたらされるとは。
私の印象ではパーパルディア人とは文明圏外の人間には高圧的で、奴隷の献上さえさせてきた悪辣な野蛮人国家であり、蛮族的国民感情を持っていたといった印象だが、それはもう古い価値観だな。
この本の見出しには、「大東洋の心強き同盟国パーパルディア皇国には大東洋の守護神として」と書いてあるが、長年政治の場に携わってきているからわかる。
パーパルディアは下っ端だ。それも大東洋に不要物が入り込めないようにするためだけの番犬。
無論同盟国待遇としてこれからも手厚い支援を与えられるだろう。その分、彼等もまた相応の役割という物を課せられるだろうが。
強力な国家連合というのはそういう物だろう。我々の発想には無い集団安全保障機構。パーパルディアはそれに加盟したのだ。
大東洋に表れた謎の国家連合北側諸国と言う国々との接触で。
「第八帝国……」
ここで思い出されるのは西からやってきた脅威、第八帝国の事だ。
北側諸国の様に融和的な存在ではない。
パカンダ王国を滅ぼし、その宗主国のレイフォルをもたった一艦の戦艦で滅亡させ、我がムー大陸へと侵入。
レイフォルの支配地域だった場所やその周辺国を続々と侵略・植民地化させていっているという。
「第八帝国の巨大戦艦か」
恐らく、これは勘だがパーパルディアの巨大戦艦パールネウス型4艦。あれらは第八帝国の巨大戦艦と同等か上回る戦闘力を秘めている。
もしも、これはもしもだが、我がムーに常駐でもしてもらえたなら大幅に脅威は減るのではなかろうか?
「だが、パーパルディアにはパーパルディアの事情もある」
この大発展の最中にあって、彼等もロウリア戦線以外で更なる戦争領域の火種など持ちたくはないだろう。
「おっと、その前に日本だ」
別冊宝大陸増刊号・大日本帝国について。
「肝心のこれを見ない事には。ありがたいことに大陸共通言語に訳されていて助かる。日本語は意味不明だからな──なになに」
現状の帝国陸海空海兵隊、宇宙軍まで入れるのならば五軍。あまりにも戦力が膨大すぎるのではないかという意見書が上がっているが、筆者は敢えて読者に問おう。南天が現れた時に軍縮していては如何するのかと。
「南天?」
日本は南天なる存在を警戒しているのか。
続く記事を読んでムーゲ大使は目を見開いた。
『分析上ラヴァーナルの如き中規模国家などインドネシア・アラウカニア=パタゴニア・アルガルヴェ連合帝国でも十分に対応可能。苦戦するのならば北側諸国同盟の安全保障条約に基づき、大日本帝国・神聖ブリタニア帝国・AEUが対処する物である』
「ば、馬鹿なっ、古の魔帝が中規模国家っ!? 大国扱いですらないだとっ!? 日本はどのような分析をしているのだ!!」
わなわなと震えるムーゲ大使。その手に持つ本には帝国空軍の戦闘機が掲載されていた。
なんだ? 何なんだこの形は?! パーパルディアの橘花弐式を遥かに洗練し全くの別物として造り変えてしまったであろう、ジェット戦闘機が掲載されている。
ステルス機、レーダーに捉えられない機体でありつつ、同じステルス機を見つけられる機でもあるという。速力は通常で。
「ま、マッハ……4……」
壁際へとよろよろと脚を縺れさせたムーゲ大使は、壁に背を預けてずるずると床に座り込んだ。
「じ、時速約5,000㎞だと……。は、はは、ははははは」
壊れたように笑うムーゲ大使は、その戦闘機と戦える人型機動兵器にも目を移した。
「ナイト、メア、フレーム……8.5世代機以上はエナジーウィング機でマッハ2の第五世代戦闘機とも戦える……改良を重ねた第9世代機、第9.5世代機は最高速力マッハ2.5、9.5世代機はマッハ3.75……帝国海軍が誇る世界最大の戦艦満載排水量168,800t60㎝三連装超電磁砲9門搭載、射程1,000㎞以上」
10万tを超える巨大空母、13万tを超える超巨大空母、5万tを超える大型強襲揚陸艦。空母が30艦、強襲揚陸艦30艦で。
護衛艦として極超音速ミサイルを搭載した軽巡・ミサイル駆逐艦8艦、攻撃潜水艦2艦と組み合わせた30個空母戦闘群の編成が可能。
強襲揚陸艦とその他の揚陸艦2艦と護衛艦8艦、潜水艦2艦と組み合わせた30個遠征打撃軍の編成が可能。
浮遊航空艦2,000艦以上。
主力水上艦艇1,500艦以上。
統合打撃戦闘機第六世代~六.五世代機18,000機
戦略爆撃機などの作戦機13,000機
作戦車両250,000両。
ナイトメアフレーム45,000騎以上。
ムーゲはそこで読むのを止めた。一気に情報が入り過ぎて脳の容量をオーバーしてしまったのだ。
なんだ? 何なんだこの空想科学小説に出てくるような莫大な戦力は?
大日本帝国が対峙していた敵国・南天とは、これだけの戦力を備えなければならない程の強大極まる相手なのか?
この戦力で迎え撃たなければならない勢力がこの世界に現れたとしたならば……。
「世界の、終わりだ」
これならばラヴァーナル帝国を、コア魔法という絶大な威力の兵器を操るラヴァーナル帝国を相手にしても勝てるかもしれない。
いや、その前に。
「冷静にっ、冷静になれ私っ、北側諸国はこの大日本帝国だけではない。国家連合だ。当然その他にも国がある。まずは情報収集に努めよう。それと本国にまた問い合わせねばならんが技官と国交樹立のための特使の派遣が必要となる」
ゴシップ紙を呼んで情報収集も何も無いが、態々公開されている情報で嘘を書くとも思えない。
と、ムーゲ大使は読み進めていく。
通称は北側諸国同盟、形骸化されている為と、対立相手と重なる為にあまり呼称としては使われない物の此処では北側諸国同盟の正式名称を扱う物とする。
北側諸国同盟=正式名称・北天条約機構
盟主国。
大日本帝国
神聖ブリタニア帝国
加盟国
AEU
シーランド王国
クウェート王国
インドシナ連邦
インドネシア共和国
ティモール国
フィリピン共和国
パプアニューギニア共和国
ナウル
アルガルヴェ連合帝国
ギアナ公国
アラウカニア=パタゴニア王国
エクアドル公国
ペルー王国
パーパルディア皇国(現段階ではオブザーバー)
異空ブリタニア帝国(現時点では未加盟)
中華連邦(加盟予定)
ジルクスタン(加盟予定)
対南天条約機構に対する北半球の集団安全保障機構(一部南半球も含む)
加盟国一国への攻撃は全加盟国への攻撃とみなし、加盟国は即時反撃の準備を整え盟主国の号令の下軍事行動へと移る体勢を整える。
盟主国は大日本帝国と神聖ブリタニア帝国で固定。
皇歴2023年度下半期の北天条約機構としての航空母艦・空母戦闘群保有数は120個群。内、大日本帝国30、神聖ブリタニア帝国56、AEU15、その他の国地域で20数個であるとされる。
浮遊航空艦艇は全体で7000艦に達する。
「自分でも何を読んでいるのか分からない。なんだこの頭のおかしな戦力は。これが事実であれば世界征服が出来てしまうぞ……。ともあれ、現時点で加盟国が17ヵ国、将来的には20か」
国家規模も書いていた。
とりあえず二国だけを読み上げて投げた。
大日本帝国総人口4億2千万人
神聖ブリタニア帝国総人口13億人
「……馬鹿げてる」
こんな国がっ、こんな国家勢力があってたまるか! 人口7千万のパーパルディアで第四列強だったんだぞ?! その6倍と18倍?! どーなってるんだ!?
AEUの構成諸王国や他の国を見ても大体の国はパーパルディアよりも人口が多く国内総生産に至っては豆粒と大山くらいの差がある。
日本のGDPが1京数千兆円となっているが通貨が違うからどれほどのモノか分からんな。ブリタニアは3京後半前後、日本の二.五~三倍ほどか。
「凄いのだろうが通貨価値が分からないからどうなのだろうか。だがこれでどんな手段を使ったか大体見えて来たぞ。パーパルディアは完全に恫喝されたのだ。これは私の推測だが北側諸国近隣のクワ・トイネ、クイラとこの巨大国家群は接触を図った。温厚な国民性である彼らと良き付き合いが出来、今度はその先ロウリアへと使節を送った。しかしロウリアはこの世界の体現国家といっていい。威圧的に追い返されたのだろう。その後、仲のいいクワ・トイネとクイラから世界の実態を知らされた北側諸国は、目には目をで、第三文明圏最強の列強国であるパーパルディアを、砲艦外交か何かで一気に屈服させたのだろう。そうすれば自然と周りも静かになると考えて」
誤算だったのはロウリア王国の覇権主義が強すぎた事だろうな。
自分達で踏み潰せばいい北側諸国だが、彼等にも抱えていた案件があった。それが故にパーパルディアにロウリアを潰させることにした。
この地域に暴れるだけの覇権主義国は不要だと判断したのだろう。それであれだけの膨大な援助と軍事力の無償提供ができるところがとてつもない国力を感じさせる。
「空恐ろしいな……、だが同時に味方とすればこれほどに心強い相手も居ない。いや、高望みはせずとも現状のパーパルディアだけでも味方にできれば第八帝国にも対抗が可能となってくる」
至急本国に掛け合い、極東の情勢変化と北側諸国との接触をレミール殿下を伝手として果たし、何か協力体制を築けることはできないか模索していこう。
(どんな傾向かを知りたいのもありまして
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ミリシアル好き
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ミリシアル嫌い
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グラ・バルカス好き
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グラ・バルカス嫌い
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ロウリアは徹底的にやっちまうべき
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ロウリアにも救いを