砲艦外交の前に   作:休日

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5砲艦外交の前に今日のびっくりどっきり~

 

 

 私はパーパルディアの国民では無い。国民では無いが行かざるを得なかった、彼の拡張された港に。

 

 何故か? 当然だ。パーパルディア皇国の皇女にして一外交官のレミールが帰国してきたのもある。

 

 だがそれだけではない。それだけで便宜上今でも列強第二位の我がムーの大使である私が出向くわけには行かない。

 

 私は自身の事は大らかな性格だと考えている方だが、あのレミールの如き性悪な女の下に自らの意思で出向こうとは思わない。

 

 レミールの悪辣さは有名で知れ渡っている。まあ前皇帝のルディアスに半ば洗脳されていたというところもあるだろう。その辺り仕方のない部分もあるだろうが。

 

 虐殺を教育などと言える神経が分からない。この辺りもルディアスの命令や、洗脳的な盲目的な愛情もあったのだろうがそれでもだ。

 

 まあ、今はそんな終わってしまって事を論っている暇はない。

 

 私の目的は別にある。その件の彼女、レミールが引き連れ返ってきた鋼鉄の艦艇群、特にあのグレードアトラスターと呼ばれる第八帝国の巨艦に酷似した軍艦について。

 

 あれはあまりにも大きすぎるからか、港に入れないようだ。小国であろうとも底の深い港なら入れるのだろうが、エストシラントの港は戦列艦用の港。

 

 浅すぎてあんな巨大艦が入れる場所が無い。この一年急ピッチで護岸工事をしているらしい、垢抜けた作業員達のおかげで、かなり大きな艦でも入れるようだが。

 

 巨大艦に接岸した小型艦と言っても充分な大きさ。エルト殿の言によればコルベット艦らしいが、灰色のそれはとてもコルベットとは思えない船体。総鉄製らしきあのような大型のコルベットなど見たことも聞いたことも無い。周りの巨大艦が巨大すぎる故に気付くのが遅れたが、あのコルベット艦も充分に大きいな。

 

 そのコルベットが巨大艦に接舷し、誰かを乗せ替えている。双眼鏡で覗くとその誰かはレミール皇女と、例のアサダいや、朝田という外交官だった。

 

 コルベット艦で港まで来るのか? まああのサイズの船ならば馬鹿みたいに戦列艦を入れていた頃よりも更に拡張されたこの港へは入れるだろう。

 

 そうこうしている間にコルベットが動き出したが、早い、とにかく早い、明らかに35ノット以上は出ている。

 

「馬鹿な……」

 

 巨大艦に、高速大型コルベット、大型巡洋艦に、大型駆逐艦、そしてマリンの二倍。あるいはそれ以上の速力が出るであろう単葉の戦闘機。全てが全て、既存の常識を覆してきている。こんなことが、こんな簡単にムー国の第二列強からの転落が起きて良いのか? 

 

 やがて巨大艦から来港したコルベットは突堤で到着すると(この突堤もこの一年で新設された)、コルベットから儀仗兵が幾人か出てきて、序で、膝下まで真っ直ぐに降ろされた美しい銀髪を抑えながら、金のサークレットを頭に戴いた二十代後半くらいの美女。レミール皇女と、そのレミールと手を繋いで朝田泰司外交官が姿を現せた。

 

 本当に美しい。元より美しかったがこの一年でその美しさに磨きが掛かっている。セレミア皇帝を十代の終わりに見せる大人へと花咲く美しさだと例えるなら、今のレミールは成熟した中で咲き誇る大輪の薔薇だろうか。とにかく棘が抜けているのが印象的だ。昨年まで面会していた時の嫌な女と言うイメージが全く無くなっていた。

 

「レミール皇女殿下、ご帰還をお待ちしておりました」

 

 こちらもぱーぱルディア皇国の女性高官──エルト殿が言うと。

 

「大義であった。この一年外務局の全体の仕切りを任せてきたが、エルト、おまえはもう充分に外務局全体の責任者として推薦できる。喜べ。一外交官に過ぎぬ私よりも立場が上になるぞ? 遠慮なく私にも命令してくれよ」

 

 本当に誰だコイツッ!? 去年までの暴虐なこの女を知っている者ならばみな口を揃える筈だ。

 

「お戯れを」

 

「冗談ではない本気だ。今、この時点でも私よりお前の方が上司なのだぞ。これまでの私の横暴も済まなかった」

 

 軽い冗談を、否これは本気を口にするレミールは、本当に同一人物なのかと疑うくらい人間的に成長し、柔らかくなっている。

 

「ムーゲ大使殿も態々のお出迎え、このレミール、誠に感謝の至り。ありがとう」

 

 あ、ありがとうッ!? ありがとうだと!? あの狂犬レミールがありがとうと言い居ったのか?! 礼を言う、とか言った上から目線では無く、ありがとうと。この耳にしても信じられない事態にだが、彼女は優しげな微笑みを讃えている。それは言うまでも無く本心からの言葉だと言うことなのだろう。

 

「レミール皇女レミール皇女」

 

「なんだ泰司。私の美貌に見とれていたか?」

 

 件の外交官の言葉に、くすくす笑う朝田外交官。

 

「お言葉がコンビニに行った時のそれになっております。ムー国の大使閣下に対して失礼です。家の近くのコンビニ店員に挨拶をするのと訳が違うのですから」

 

 ??! またも信じられないことが起きた。平民が外交官とは言えただの平民があのレミールに意見したのだ。本来ならば、以前のレミールならばこの場で無礼打ちにしていただろう。それが。

 

「良いでは無いか。別にムーゲ大使殿とは知らぬ間柄では無い。そんな事を一々論っていては北側諸国について行けぬ。イタリア王国のムッソリーニ頭領閣下など私を口説いてきたのだぞ。しかも会議場で」

 

 レミールを口説いたぁッ!? そりゃ確かに絶世の美女には違いないが……。どうも相手はレミールよりも遙かに上の立場の人間らしい。話を聞いている限りではこの国の新皇帝セレミアよりも。

 

「だから私は全力でブロックしたのですよ。レミール皇女は私の物です、たとえ相手がAEU№2のムッソリーニ頭領閣下であろうとも、貴女をお渡しするなどという事はありません!」

 

 そんな大人物からレミールを守り切ったという朝田外交官。同じ男として凄いと素直に思った。レミールなどの為に命を張ったというところがまた凄い。

 

 今のレミールなら別だが、昔のレミールが斯様な目に遭っていたのならば、私は捨て置いて身の安全を確保するだろう。

 

「泰司……」

 

 朝田外交官の胸に甘く寄りかかるレミール。いや、なんだこれは。本当に、ほんっとうにレミールなのか? いじらしさが出ていて、美しさの中にかわいらしさを感じられる。これもあの朝田という外交官が絡んでいるのだろうか。

 

 

 

 

 砲艦外交の前に今日のびっくりどっきり~

 

 

 

 

 しかし、いま、重要な情報が出た。北側諸国についての情報だ。エルト殿より北側諸国の中核国の一つと聞いたAEU。その№2はイタリア王国ムッソリーニ頭領というらしい。聞く限りレミールを口説くような人物。かなり豪快で豪胆な方なのだろう。

 

「と、ところでレミール皇女。貴国パーパルディア皇国は大東洋に存在するという、新興国家と深く結びついていると聞きますが? よろしければ経緯などお聞かせ願えれば」

 

 確信を付いてみた。今のレミールならば暴れたり声を荒らげたりはしないだろうとの判断の元でだ。かつてのレミールならば不機嫌になって私の前でさえワイングラスを割って見せたことがある。その時は「ムーとやる気ですかな」と脅しをかけて黙らせてやった物だが。

 

 今はそんな事をする必要もなさそうだ。先ほどからエルト殿と日本での経緯を話しながら。喜び合っている。

 

 話は聞いていた。この一年の努力が実り、遂に北側諸国にオブザーバーとして加盟することになったとか。それがそれほどに重要なことなのか。

 

「あ、うむ、泰司……、どこまでならば話して良い」

 

 また朝田外交官に寄りかかっている。終いには頬にキスまでして。これにはエルト殿も多少驚かれていたようだが。何か事前に伺っていたのだろうか、直ぐにも平静を取り戻していた。

 

「そうですね……。国家事情、と言いましょうか。転移事情ならば。それとムー国の、あ~」

 

「駐パーパルディア皇国大使を務めさせて頂いておりますムーゲと申します。よろしく朝田外交官殿」

 

 私が手を差し出すと、朝田外交官が握り返してくれた。とても真正直で真っすぐな好青年と言った様子だった。

 

「ところで、朝田外交官は私の事を御存じなのですか? 私は朝田外交官の事はムーでは知られておりませんが、個人的にはこちらで伺いました。‟大日本帝国の外交官”……ですね?」

 

「え、ええ、はいそうです」

 

 少し驚き息詰まる朝田外交官をぐいっと引っ張ったレミール皇女は勢いよく彼を怒鳴りつけた。ここだけは何だか狂犬と呼ばれていた頃の彼女を思い出し、含み笑いをしてしまった。

 

「泰司ッ、お前散々私に注意しろとか抜かして置いてムーゲ殿に全部バレておるではないかッ!!」

 

「そりゃ、相手も大使閣下ですから情報収集している間に私の情報にも辿り着き、追い詰められたエルト殿や他のだれかもある程度はお話してしまうでしょう。それに、別に良いんですよ。私なんかの情報が漏れたところで。いずれ漏れるのですから」

 

「私が良くないッ! ……お前に危険が及ぶとあったら私は……」

 

「大丈夫ですってレミール皇女。貴女が傍に居てくださればこの朝田泰司ッ。いつでも元気で有りッ、どんな困難にも打ち勝って、艱難辛苦にも耐えて見せましょうッ」

 

 そう意気込む朝田外交官は、レミールの腰を引き寄せ口付け。……ザー、見ている、見せられている此方は砂糖が吐き出てしまいそうな心境だ。「ん……」エルト殿も頬を赤らめて少しうつむいている。

 

「ええいッ、違う違うッあなた方のそんな甘い関係を見に態々出迎えたのではありませんッ」

 

 私が語気を荒げると、私たちの目の前で頬を擦り合わせて「泰司……」「レミール皇女……」なんて甘く熱い囁きを、これはもう誰の目にも明らか。愛し合っているのでしょうこのお二人は。大っぴらに見せ付けてくれていた二人を注意した。

 

 恐らくこの場でレミール皇女に物申せるのは私だけでしょうからな。

 

「す、すまぬ、場所柄を考えるべきであった」

 

 考えろよッ! 叫びたくなった。貴方たち二人きりの場所で、貴方たちだけで好きなだけおやりなさいツ。

 

 とにかく場を仕切り直し、私は私の質問を最優先させ聞いてみた。

 

「あの、レミール皇女、先の質問にお答え頂けないでしょうか」

 

「あ、ああ、そうであったな。ムーゲ大使殿。……話して良いのだな泰司」

 

「ある程度は」

 

 朝田外交官に了解を取るレミール。しかし一々抱き締め合ったままで……、また砂糖を吐きそうになってくるな……。

 

「うむ、ムーゲ大使殿の存じておる北側諸国と我が国は、約一年前に邂逅した。そう、丁度御存じの我が国の紛争とも呼べぬ内部対立のあったころだ」

 

 やはりな。

 

「その頃、私はこちらの泰司──失礼、朝田泰司と友誼を結んでおってな。北側の持つ機械文明の一端を大いに見せ付けられておった。今では別に対した物でも無い電子計算機、電子時計、ノートPCや無線機など、機械文明国であるムー国ですら開発不可能という答えが出た物を私は受け取っておった。その頃先帝ルディアスと私の仲は最悪を通り越して無関心の域にまで達しておってな、私のすることなどに興味はないのか。口を出さなければならない範囲であればどうとでもしていろと言わんばかりの態度であった。丁度私とルディアスの関係が冷え切っていた同刻。北側諸国が我がパーパルディア皇国と外交関係を築きたいと申し出ておったのよ」

 

 一息に話したレミールはここで一度言葉を切り、朝田外交官とまた口付けて話を再開させた。だから一々貴方たちの愛し合っているアピールを周りに晒すな! 

 

「そこで外務局、外務監査室、国防部局のほぼ全て、他の大臣達にも根回しは終わっており。北側の力の一端である機械類を見せ、私が泰司、もとい朝田に戴いたノートPCに映し出された、北側の過去の戦争と。直近の戦争の映像を見せたのだ。ふふ、皆が皆黙って居ったよ。北側に対しルディアスのやり方を突きつければ皇国は数時間で滅亡すると。私は泰司の、朝田の情報で知っていたが本当のところは、皇国を滅ぼすのに五分もかからないそうだ」

 

 ご、五分!? ぱ、パーパルディア皇国は一年前の時点でも列強第四位。それを本気でやれば滅亡させるのに五分かからないだと!? 

 

 あり得ない事実を突きつけられた私。突堤で話しているため海風が走り抜けていく。長い長い、膝下にまで届くほどに長く真っ直ぐなレミールの銀髪が風に弄ばれ、朝田外交官はそんなレミールを優しく抱き締めている。

 波止場にたたずむ恋人たちか……絵にはなるな。

 

「数は少ないですが在る物が海に待機しておりましたので。出力を抑えリミッターを掛ければエストシラントだけを消し飛ばす事も出来たのですよ。無論、市民の皆さんやレミール皇女含めた融和派の皆さんの避難を終えてからの話になりますがね。いずれにせよ北側の秘密を他国に知られないようにするためと、余計な犠牲者を生まないためにも予め他国の皆様には退避して頂くよう手続きを取らせて頂きました」

 

 朝田外交官の何事でも無いという態度にそらおそらしさを覚えた私にレミールは続けた。

 

「結果的に言えば、北側諸国の国家群の艦隊来訪と共にルディアスは逃げだし、これに呆れた軍の九割九分と対北側諸国国交開設派・融和派が国家の実権を握り、それでもあがいてこれを認めぬとしたルディアス一派が北側支援の元我が軍に駆逐され、ルディアス含む腐敗していたルディアス派の幹部を公開処刑、我が国は北側諸国と国交を開設したわけだ。ふふふッ、今思い出してしても恐ろしかったぞ? 北側諸国の中核国の一つAEUからはAEUの皇帝と共に№1の地位に居られるアドルフ・ヒトラー宰相がいらしていたのだが、ヒトラー宰相は開口一番“潰すかね”と仰られていた。パーパルディア皇国など小国なのだ。小国も小国、超弱小国にすぎないのだ」

 

 自嘲気味に告げたレミールと共に皆が歩き出す、突堤から港の広場まで。歩いている途上影が差す。空を見上げると船が、空飛ぶ戦艦が三隻。扇状に展開していたが。

 

 パーパルディア国民には大きく驚く者は居らず、手を振っている者さえいる。知っているのだ空飛ぶ戦艦を。それが敵ではない事も。

 

 そして私は渡された。

 

「ムーゲ大使殿のお知りになりたい情報はそれなのだろう? 全てが細かくデータ化して居ない故、見たければ第一外務局までご足労願いたい。こんな場所ではノートPCも開いてのんびり出来ぬ故にな」

 

 レミールより手渡された資料。そこには私の知りたい情報の一部が事細かに記載されていた。カタログスペックのみで説明文は記載なしだったが急遽作られた物だったのだろう。それでも十分に過ぎる内容だった。

 

「こ、これはッ?!」

 

 

 駆逐艦ミシュラ型

 

 基準排水量:2,200t

 

 全長:117.5m

 

 全幅:10.8m

 

 吃水:3.80m

 

 機関:ユグドラシルドライブ旧型×3、エナジフィラー×3、65,000馬力

 

 速力:36.0ノット

 

 航続距離:7,000海里

 

 乗員:250名

 

 兵装:12.7㎝連装砲×3基

 

 25㎜連装機銃×2期

 

 61㎝四連装魚雷発射機×3基

 

 爆雷18

 

 同型艦:レシーン、クション、パーズ等

 

 

 重巡洋艦パール型

 

 使用国:パーパルディア皇国

 

 排水量:14,500t

 

 全長:208.5m

 

 全幅:21.5m

 

 吃水:6.8m

 

 機関:ユグドラシルドライブ旧式×4、エナジーフィラー×4 130,000馬力

 

 速力:34ノット

 

 航続距離:11,000海里

 

 乗員:1,800名

 

 兵装:15.5連装砲×3基6門

 

 12.7㎝連装砲×6基

 

 7.6㎝連装砲×12基

 

 20㎜連装機関砲×12基

 

 同型艦:二番艦フィシャヌス、三番艦ディオス、四番艦ムーライト

 

 

 ゼロ式艦上戦闘機52型改×360機

 

 ゼロ式陸上攻撃機52型改×240機

 

 

 

 パールネウス型戦艦

 

 

 基準排水量:70180t

 

 満載排水量:76800t

 

 全長:275m

 

 全幅:39m

 

 吃水:11.2m

 

 フレイヤ炉搭載

 

 推進器:スクリュープロペラ4軸

 

 出力:180000馬力

 

 速力:32ノット

 

 航続距離:∞

 

 乗員:2800名

 

 主砲:50口径46㎝三連装超電磁砲3基9門

 

 副砲:60口径15㎝三連装砲4基12門

 

 対空砲:40口径12.5㎝連装高角砲6基

 

 20㎜バルカンファランクス4基

 

 装甲

 

 舷側:510㎜

 

 甲板:300㎜

 

 主砲防盾:750㎜

 

 二番艦クーズ、三番艦アルーク、四番艦カース

 

 

 

 001式コルベット

 

 基準排水量:1100t

 

 満載排水量:1315t

 

 全長:87.14m

 

 全幅:12.00m

 

 吃水:3.20m

 

 機関:ユグドラシルドライブ旧型

 

 可変ピッチ・プロペラ:2軸

 

 速力:36ノット

 

 航続距離:4000海里

 

 乗員:65名

 

 兵装:ファランクス20㎜CIWS1基

 

 :短SAM4基

 

 :SSM4連装発射筒4基

 

 :4連装短魚雷発射管2基

 

 :艦載機90式VTOL1機

 

 :戦術情報処理装置

 

 :3次元式レーダー1基

 

 :対空捜索用レーダー1基

 

 :対水上捜索用レーダー1基

 

 :射撃指揮用レーダー1基

 

 :電波探知装置

 

 :電波妨害装置

 

 :通信情報装置

 

 :72連装デコイ発射機3基

 

 :32連装発煙弾発射機2基

 

 :対魚雷デコイ1組

 

 

 

 

 

 

 軽斑鳩級浮遊航空艦

 

 全長:191m

 

 時速巡航:450㎞

 

 最高速度:1000㎞

 

 ブースター装着時:マッハ2~3

 

 乗員:230名

 

 充足時:340名

 

 フレイヤ炉搭載

 

 航続距離:∞

 

 兵装:単装砲(リニア砲)5問

 

 :ミサイル発射機2基搭載

 

 :スラッシュハーケン(近接用武装)

 

 :ブレイズルミナス

 

 

 

 カールレオン級浮遊航空艦

 

 全長:190m

 

 最高時速:960㎞

 

 乗員:210名

 

 充足時:315名

 

 フレイヤ炉搭載

 

 航続距離:∞

 

 兵装:単装砲×5門

 

 :ミサイル発射管:2基

 

 :ブレイズルミナス

 

 

 

 

 

 001式戦車揚陸艦・ドック型輸送揚陸艦

 

 基準排水量:10500t

 

 満載排水量:17000t

 

 全長:188m

 

 最大幅:27.8m

 

 吃水:7.0m

 

 主機:001式戦車揚陸艦・ドック型輸送揚陸艦エナジーフィラー×2基

 

 推進器:可変ピッチ・プロペラ×2軸

 

 出力:35000馬力

 

 最大速力:30ノット

 

 乗員:195名

 

 兵装:20㎜バルカンファランクス機関砲(CIWS)×2基

 

 搭載艇:エアクッション型揚陸艇(LCAC)×2隻

 

 レーダー対空捜索用×1基

 

 対水上捜索用×1基

 

 航海用×1基

 

 電子戦および対抗手段8連装デコイ発射機×4基

 

 揚陸能力陸軍部隊:520名

 

 民間人輸送:1400名

 

 収容能力陸軍部隊:520名

 

 60式戦車:35輌

 

 VTOL:3機

 

 

 

 

 60式主力戦車

 

 全長:8.31m

 

 車体長:6.40m

 

 全幅:3.0m

 

 全高:2.50m(砲塔上の重機関銃を含む高さ3.17m)

 

 重量:35.5t

 

 速度時速:50㎞

 

 行動距離:500㎞

 

 主砲:60式55口径90㎜ライフル砲

 

 副武装:7.62㎜機関銃

 

 12.8㎜重機関銃

 

 エンジン:60式エナジーフィラーエンジン

 

 乗員:4名

 

 

 

 

 

 

 震電改×500機

 

 BF109改×500機

 

 P51マスタング×500機

 

 旧式無頼・旧式グラスゴー×500機

 

 90式VTOL輸送用×500機

 

 

「その最後の震電改などは恐らく御貴殿の見られたゼロ戦よりもより早く、より強い機種だ」

 

「こ、こんなッ、こんな馬鹿なッ」

 

「私も初めて見たときはそう思ったよ。そんな馬鹿なとな。だが北側諸国ではそれでさえ“おもちゃ”だそうだ」

 

「お、も、ちゃ……」

 

 私は言葉を失った。空飛ぶ戦艦という古の魔法帝国のおとぎ話に出てくるそれでさえ、パーパルディアに供与されたそれは二線、三線級なのだという。しかも操舵しているのは日本に向かっていたパーパルディア兵で、台湾島から処女航海という形で教官付きで操舵の技術を学んでいるという。

 

「ええ、あれは全部三線級ですね。サイズは同じですが我が国本国の軽斑鳩級には輻射波動・ハドロン砲搭載艦もありますし、斑鳩級に至ってはハドロン重砲・拡散ハドロン砲を搭載しております。ブリタニアのカールレオン級もハドロン砲やハドロン重砲搭載艦が当たり前です」

 

「は、ハドロン砲とは?」

 

 聞いたことの無い大砲の名に私の口は勝手に開いていた。

 

「まあビーム砲とは概念が違うのですが、強力な熱源砲としか。私は専門家では無いのでお答え致しかねます、申し訳ありません」

 

 第一外務局。外観はちょっとしたお屋敷に着く頃には私の精神は疲弊していた。

 

 パーパルディアを五分で滅亡させられる国家連合? なんだそれは。インチキでは無いか。列強としての誇りが崩れ落ちていく。

 

 最奥の面会室を通り越し、エルト殿の執務室にまで入室するまでの記憶が抜け落ちている。

 

 覚えているのは精々朝田外交官とレミール皇女がイチャイチャとしているところだろうか。

 

 いい加減にしてくださいよ本当に。

 

「ところで泰司よ。思ったのだがサスペンションの数が足りぬとは思わぬか? 我が国では未だ道路拡張の整備が国土全体にまで行き届いておらぬ。北側諸国より自動車が入ってきておる今、馬車と自動車による交通事故のリスクもなるべく避けたいのだが」

 

 じ、自動車まであるのか今のパーパルディアには……。皇都は道路が狭い故に見掛けることは無かったが、もしかすると皇都より先に地方から……。地方に圧制を敷いたり、地方を疎かにしてきた罪滅ぼしか。

 

「デュロでは多いですものねえ交通事故」

 

「多いですものねえ。で済まされてくれては困るのだが」

 

 エルト殿の執務室に付く。扉を開け中に入る。

 

 眼前に設けられた皇族用の豪奢な椅子。これに朝田外交官はレミール皇女用の皇族の椅子だと知りつつだろう当たり前のように座り、黒を基調とした豪奢なドレスを着たレミールを、自身の膝の上に座らせる。また甘え出す二人。

 

「レ、レミール皇女、さっきもそうでしたが、ひ、ひ、人前ですよ。エルトさんもムーゲ大使もいるのですよッ!」

 

「泰司分が足らぬのだ。暫し我慢せよ。それにお前もそのつもりで私のソファを占有したのではないのか?」

 

「お、俺分って何なんだ」

 

 ああしかしこの二人、平民と皇族で何をやっているのか? エルト殿から伺っていて知っている。朝田外交官が平民であるという事実を。

 

 パーパルディア皇国には絶対的な階級制が設けられているはずだが。いいのか? 平民と皇族で好き合って。これほどまでに好き合っている二人。

 

 伺えるわけも無いが、恐らく肉体関係まで進んでいるだろう。まあ新皇帝セレミアは色々と国内を改革中だと聞く。

 

 皇族と平民の婚姻も案外出来るようにしてしまうのかもしれない。

 

「あの、ムーゲ大使閣下。こんな格好で失礼ですが続きを説明させて頂いても?」

 

 いい! どんな格好であろうと本日の趣旨はそれなのだから! レミールでも朝田外交官でも、知ってること、開示しても良い情報を開示して貰えるのならッ! 

 

「はいッ、大丈夫ですッ! 是非ともお聞かせ願いたいッ!」

 

 では、と朝田外交官が説明を始める。レミールの髪を優しく撫でていじくりまわしながら。

 

 

 ※

 

 

 北側諸国は初期頃は大日本帝国と神聖ブリタニア帝国の相互防衛同盟から始まりました。七十年ほど前です。

 

 当時も今も変わらずですが、我々の元いた世界。ああ我々実は転移国家なのです。信じて頂かなければそれでも構いませんが。

 

 え、信じる?! ムー国も転移国家?! こ、これはまた奇跡的な偶然ですね。こんなこともあるとは。とりあえず話を進めましょう。

 

 その変わらない情勢、南側・南天と後に呼称するようになる合衆国オセアニアという国が、北半球すなわち北天を狙っておりまして、これに対応する意味での、そして互いに二度と戦争を起こさない意味での同盟関係を築き上げました。

 

 不信感無く同盟が組めたのはブリタニアの過去の皇帝陛下で、英雄帝と呼ばれるクレア・リ・ブリタニア皇帝陛下がいらっしゃってですね。その方を日本が支援しブリタニアの当時の内戦を終わらせたことが大きいのですよ。

 

 ともあれ、それ以後もオセアニアの野心は続きました。時に東南アジアで、時に南ブリタニアで、世界中でテロ組織を暗躍させているテロの総元締めもそのオセアニアなのです。

 

 同じ頃、露骨なオセアニアの覇権主義に対抗して、どうにか纏まれないかという話し合いが、日本とブリタニアの間で為されます。これが切っ掛けと成り。保護国・衛星国とした地域国家を。

 

 対等なる国として認め、日ブ相互防衛同盟を中心にして国家間同盟を集団安全保障体制へと広げていったんです。まずは最恵国待遇としていたシーランド王国を組み込み、次いで我々日ブの盟友でもあるユーロ・ブリタニアという欧州貴族連盟を組み込みました。

 

 そして次々に南ブリタニア諸国、東南アジア諸国、クウェート首長国、ナウル共和国、そして欧州解放戦争を戦い抜き、見事欧州で次々に王政復古を実現させていったあらたな欧州連合AEUを改めて迎え入れ。現在の体制が仕上がったのです。

 

 世界的には北側諸国とはこららの国々を指し、北側諸国同盟は所属国の一国でも第三国より攻撃を受けた場合、所属国全てへの攻撃として受け取り。総反撃に出る集団安全保障機構です。

 

 またオセアニアも南天条約機構という北側諸国と同じような集団安全保障体制にして、集団攻勢国体制を南側諸国で作り上げました。

 

 この北側と南側ですが、共に世界を滅ぼせる力を持っており、けして全面戦争にならないようにこの約五十年を歩んできました。

 

 しかしながら、当然のように幾度もの代理戦争は世界各地で勃発いたしました。€ユニバースという南天の事実上の属国であった国は、日ブ最恵国の国シーランドを潰そうと北海戦争。シーランド戦役を引き起こし惨敗。中東では我が方の受け入れを拒否していた中東諸国が惨敗を喫し、負け。東南アジアでは我が国の造園と彼らの粘り強さに膠着状態に持っていき、南ブリタニアでは勝ちました。しかし、勝敗いかんにかかわらず多くの死傷者を出してしまったのは痛恨の極み。致し方なしとはいえ罪の気持ちにさいなまれます。

 

 

 南側諸国との最後の戦争は、600万の兵力を動かしたAEUによる第二次シベリア戦争。および南からこれ1200万の軍勢で突き上げ踏みつぶした我が日本軍による攻勢と、その後の中華連邦という国へ我が軍へ、遅れ付いてきた1600万の神聖ブリタニア帝国軍。

 

 そしてジルクスタンという国でとうとうぶつかった日ブ連合と南天軍の大規模戦闘の末に、これ以上は取り返しのつかない事態になるというところで双方が引き、戦場となった中華連邦とジルクスタンは大きく疲弊しました。

 

 因みに南天はそれ以前に中東地域の全ての国を滅ぼし、付き従わぬ者を“浄化”と称して処刑しております。彼らは人間を殺すことも自らが死ぬこともなんとも思っておりません。

 

「は、話に割って入って申し訳ないが、え、AEUは600万の軍を動かせるのですか?」

 

「ええ、AEUはその気になれば1000万までは可能でしょう。無論予備役を含めてですが。一切合切をかき集めれば更に。ブリタニアと我が国はその倍はいけます。それでさえ数では『数の南天の』の異名を持つ南天にはかないませんが」

 

「な、南天とは、どれだけ」

 

 8000万です。最大招集で8000万。傘下に収めている白い翼という巨大なテロ組織を含む、世界中のテロ組織を含めるならば1億を軽く超えます」

 

「い、いちおッッ……」

 

「まあそれは置いておきましょう。続きを申し上げると、我が北側諸国はその大アジア戦争、ユーラシア戦争とも呼ばれますが、その二つにして一つの戦役の終了後の2022後半に突如この世界の大東洋に全ての国が転移したのです。なぜか我が国やシーランドの様に、一部の国は場所が変わってしまいましたが」

 

 変わらず北側諸国会議は我が大日本帝国帝都東京で開かれておりますし、この世界で出逢った大東洋諸国、クワ・トイネ公国、クイラ王国とも良き関係を築くことが出来ました。

 

 パーパルディア皇国とも初めのすれ違い無く“上手く”接触が出来、友好関係を結ぶことが出来ました、まあ多少のいざこざはありましたけどね。

 

 現在我々北側諸国会議は十六カ国が参加しておりますが実際の国の数ではもっと多いんです。連合国家や連邦国家が多数ありますので。大きく纏めて十六カ国地域です。

 

 ここに先日パーパルディア皇国がオブザーバー参加しました。これで十七カ国ですが、我が国のスーパーコンピューターや他国の演算装置に依れば空間の位相にずれが生じているとのこと。

 

 場所は北側諸国の位置するかつて中華連邦のあった位置とジルクスタンのあった位置で、恐らく向こう三ヶ月から六ヶ月以内にもう二カ国が転移してくると我々は見ております。

 

 接触を上手く計り、接触し次第、彼らにも北側諸国同盟に入って貰えないかを打診する予定です。あと詳しくは話せませんがもう一カ国がほぼほぼ決定しており、二十カ国地域と広がる予定です。

 

 まあ、かなりの情報を出させて頂きましたが、これがパーパルディア皇国に起きた謎の一年の真相となります。

 

 

 ※

 

 

「……」

 

 何と言っても良いのか、言葉にすら出なかった。

 

 600万の兵力を動かせる国。

 

 その倍、三倍以上の兵力の動員が可能な大日本帝国・神聖ブリタニア帝国。

 

 そんな巨大同盟とにらみ合い続けてきたもう一つの巨大同盟は正規軍だけで8000万、下部組織まで含めれば億の軍を動かせる。

 

「もし、ムー国が我が国や北側諸国と国交を結ぼうという御意志がお有りなら、暫くこのエストシラントに滞在している私かレミール皇女にお声がけください。それにしても、ロウリアのような接触で無くて本当に良かったです」

 

「ロウリア、ロウリア王国のことですか?」

 

「ええ、当初此方の世界に来たばかりだった一年前に外交官を送ったところ、追い返されたのですよ。今度来たら殺すとまで言われて。ですから我々は以後危険度の高いと見られる国との交渉には、砲艦外交に切り替えたのです。さる御方々より、向こうが力を見せろというのならば見せてあげましょうか“力とやらを”と、お怒りに成り。パーパルディアは危険判定を受けたために砲艦外交となってしまい、結果先帝ルディアスの処刑に繋がったと」

 

 ロウリア、愚かな国、ルディアス、愚かな男だ。相手の力も見極められんのか。

 

「そのロウリア、どうやら近くパーパルディアに攻め込もうとしているようなのですよ。ほら竜騎士隊は解散し、戦列艦は処分しているでしょう? ロウリア側はどうもパーパルディアが財政破綻したと勝手に思い込んでいるようで、7000万人のパーパルディア国民を奴隷にするつもりなのです」

 

 朝田外交官のその言葉を聞いて。朝田外交官の膝に座っているレミールが昔のような冷たい笑い声を上げた。

 

「ふっふっふっふ。おーっほっほっほっほ。来るならば、来ると良い。我がパーパルディア皇国と国民は逃げも隠れもせぬ。ロウリア如きが分を弁えずに、愚かな国よ」

 

 まあ確かにロウリア軍は全滅だな。力量差も分からず火矢でも打って、ワイバーンの導力火炎弾でも撃って、無駄だと気付いたときには蜂の巣だ。

 

 と、パチンと朝田外交官がレミールの頭をはたいた。しかし本当に平民と皇族なのかこの二人。

 

「むう、なにをする泰司よ!」

 

「そういうの悪者みたいだから止めなさいって」

 

 本当に仲が良いようだ。皇族と平民の恋。身分差があっても案外成立する物なのだな。

 

 それにあの悪辣だったレミールをここまで丸くさせた男朝田泰司。案外大物かもしれん。

 

「朝田さん、レミール皇女、国交の件ですが、一度本国に戻ってから指示を仰ぎます。流石に私一人では決められませんからな」

 

「構いませんよ。私とレミール皇女は第三文明圏と大東洋を飛び回っておりますのでいつでもとは行きませんので、こちらを預けておきます」

 

 渡されたのは薄っぺらい板なにか良く分からない機械らしいが。

 

「すでに北側各国はこの一年で大量の人工衛星を宙にあげておる。恐らくその携帯、電波自体はムーでも拾えるはず故。衛星通信が出来るタイプだ。使い方は明日にでも教えよう」

 

「エイセイ?」

 

「簡単に言えば人工の星です」

 

「じ、人工の星など作って飛ばせるのですか?!」

 

「この一年で100基以上打ち上げましたよ。とにかくこの星は巨大ですからね」

 

 世界が丸いという事も知っているようだ、いや、知らぬはずが無いか。聞く限り恐るべき科学力をお持ちのようだしな。

 

「まあ、とりあえず今日の処はこれで解散とは行かぬか? 日本から土産を運んできた故に疲れた。泰司、我が家の私の寝所へゆくぞ」

 

「し、寝所って、ここパーパルディア皇国本国なんですよ皇都エストシラントなのですよ。私、宿取りますって」

 

「駄目だっ、泰司の宿は私の家、眠る場所は私のベッドと決まっておる。今宵もたっぷりと睦み合い眠ろうぞ」

 

「人のいる前でよく言うな……東京では周りの目を少しは気にしてくださるのに」

 

「ここはパーパルディア皇国で私は皇族、意見する者などおらぬ。それに今宵は土産の話題で騒がしかろう。泰司と愛し合う声も聞こえぬよ」

 

 

 人工の星を100基以上空に打ち上げている北側諸国。世界の何処ででも通じる通信手段。

 

 レミールが持ち帰ってきた強大に過ぎる戦力をおもちゃという国々。

 

 パーパルディア皇国皇族であるレミール皇女と恋人関係を築いている、大日本帝国の平民外交官、朝田泰司。

 

 空恐ろしくも楽しい気分。それはちょうどこの様な物を言うのかも知れないな。

 

 

(どんな傾向かを知りたいのもありまして

  • ミリシアル好き
  • ミリシアル嫌い
  • グラ・バルカス好き
  • グラ・バルカス嫌い
  • ロウリアは徹底的にやっちまうべき
  • ロウリアにも救いを
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