「コホン……将軍、作戦概要説明を頼みます」
マオスが空気を換えようと咳ばらいを挟む。
「はっ、説明いたします」
席を立ったパタジンは会議室の中央に進み出ると、一段低くなった床に置いてあるロデニウス大陸の地図は広げてあるテーブルに駒を進めた。
「今回の作戦用総兵力は100万。本作戦ではパーパルディアに差し向ける兵力は800万。残りは本土防衛用兵力となります。ただし距離と兵力数の関係でパーパルディア本土へは順次輸送となりますので初檄は22万前後の兵力といったところでしょう。初戦パーパルディア南部に出張っている都市、皇都エストシラントを強襲攻撃致します。かつて皇都には大規模な基地がありましたが、既に竜騎士団は解散しておりもぬけの殻。故に皇都を強襲制圧する方策がパーパルディア皇国を降伏へと導く近道かと。なお兵站については現地調達致します」
ロウリアの領土に置いた駒。そのうち四つをエストシラントへと移すパタジン。パーパルディア側にも同じような駒はあるが、どれも、一回り小さい。
「エストシラント制圧後、精神的支柱都市聖都パールネウス。続いて工業都市デュロを全力攻撃します。この際軍はピストン輸送となりますが本国より送り続けますのでご安心を。中心地であるエストシラント、デュロ、パールネウスを攻略してしまえば精神的支柱を失ったパーパルディアは総崩れとなるでしょう。後はかの国の属州や街を落としていくだけで終わります」
エストシラントに置いた駒で周囲を包囲すると、今度は串の高さを付けた駒と海上の船の駒を動かしながら説明を続ける。
「彼らの航空戦力は0です。竜騎士は一騎も残っていないことは確認済みです。我らのワイバーンだけで余裕を以て対応可能です。海からの艦船は6,000。この大艦隊を北方に直進させます。アルタラスやシオスも取りたいところですが、肝心の餌を前に体力の消耗を招くことは得策ではないと考えます」
一息つき続ける。
「この艦船6,000隻を以てエストシラント真正面から上陸。例の24隻の大型船の邪魔はあるでしょうが数の差で押し切ることが出来るでしょう。その後エストシラントを制圧します。風神の涙等の資源も抑えてしまえば最早パーパルディアは陥落したも同然です」
パタジンは騎士団の駒を半分に割った。
「パーパルディアの兵力は100万ですが、広い国土のため分散配置しているでしょう。ですので、エストシラントへの強襲には間に合いません。即応戦力は10万に満たないと考えられます。今回はこの一年準備した我が方の兵力を一気にぶつければ、小賢しい策を弄しようが無駄となりましょう。圧倒的物量の前には意味を成しません。この7年間の準備が実を結ぶ事でしょう」
「そうか……」
王は自身の悲願が達成されると確信し、高揚のあまり歯を見せた。
「今宵は我が人生最良の日だ!! 小賢しくも我らを見下してきた列強パーパルディア皇国をこの手にできるのだからな!! 現時刻を以て第三文明圏パーパルディア皇国への戦争を許可する!!!」
「はは──っ!!!」
ロウリア王国の御前会議は、王の戦争開始宣言の号令によって終了した。
※
ロウリア王国 王都ジン・ハーク ハーク城 地下兵舎
「フフフ……ようやく決定を下されましたか。長かったですねぇ」
細いつり目の男が、ローブを被った男に話しかける。
「はい。本当に長かったですな」
ローブを被った男の手は一部腐敗し、ただれていた。
御前会議の後、征伐軍の編成が部下達に伝達された。会議の実施前からすでに準備済みであったため、実質的には決定通知の様なもの。
今回の主戦力となる北方征伐軍の副将に抜擢されていたアデムは、揺らめく炎を見ながら不気味な笑みを浮かべる。
「亜人は殲滅するべきなのです。あのようなゴミ共に人権を認めるようなパーパルディアの如きカス国家の征伐、それも最前線の艦船に乗れるとは……光栄ですねえ……!私はね――」
アデムのつり目が僅かに見開き、怒りの形相に変わる。が、すぐに瞼を下ろす。
「いや、なんでもないです。この世は弱肉強食。力なき者達はただの肉として食されるのです。パーパルディア人には身体を以て、いや親兄弟の、女王、皇族の命を以て世の掟を。私が彼らに教えて差し上げましょう。武装解除したパーパルディアなど物の数では無いです。至福の喜びですねえ」
「我が魔獣使いの部隊は日の目を見ることの無い影。そして騎士団や貴族から見下され、罵られてきました。我が魔獣使いの一族にも活躍の場が与えられそうで、同じく至福の夜で御座いますあアデムさま」
その日の食事には各人に酒が配られ、戦前の宴が催された。喧噪は夜遅くまで続く。
砲艦外交じゃなくて戦争だろ
※
クワ・トイネ公国 日本大使館
太陽が地平線から顔を出し、東の空が明るくなると共に鳥たちが歌い始めた。心地良い風と潤いのある空気が、開け放った窓から流れ込んでくる。
外務省キャリアの田中は、気持ちの良い目覚めに大きく深呼吸した。
クワ・トイネ公国は車や工場、飛行機などはまだ整備されだしたばかり。それも骨董品を更に落とした120~130年近くも前のクラシックだ。当然数も少なくほとんど走っていない。その為、鳥のさえずり、川のせせらぎ、馬の歩く音が小さく響き、日本では考えられないほど寝起きがいい。
「……今日は忙しくなりそうだ」
奇妙な予感から漏れた呟きは、すぐに的中した。
「大使!! 大使!!」
(悪い予感だけは良く当たる物だ)
「おはようございます。一体どうしました?」
「クワ・トイネ公国の外交担当者様が、火急の用があるとのことでアポなしで突如訪ねられてこられました」
国と国とのやり取りを担当する者がアポなしで突如訪ねてくるとは、相当な緊急事態が発生したのだろうか。それとも、異星の外交はこのようなやり方が普通なのだろうか。田中は考えながらも準備を急ぐ。
早急に洗面を済ませると、外務省職員が扉を叩いてから15分後にはスーツ姿で応接室の扉を開いた。室内には、クワ・トイネの外交局員のヤゴウが焦燥の顔で待っていた。
「おまたせしました、おはようございます」
「田中殿、早朝の急な訪問、無礼をお許し下さい。お伝えすべき事態が発生しました」
立ち上がって頭を下げるヤゴウに田中は「何でしょうか?」と制しつつも、やはりアポ取りはこちらの惑星でも常識なのかと密かに安堵した。
そして、その安堵はヤゴウの緊急事態な話を聞いても揺らぐことは無かった。
「我が国の西側にロウリア王国があるのはすでに御存じかと思います。多数の方向から得た情報を精査した結果、そのロウリアが武装解除して久しいパーパルディア皇国に侵略することがほぼ確実だとの結論に至りました」
「戦争、ですか」
実に落ち着いた様子の田中に少し焦りを強くするヤゴウ。
「すでにロウリアの王都ジン・ハーク北側港には6,000隻を超える大艦隊が集められ、出航の時を待っているそうです」
「なるほど」
「お、落ち着いている場合ではありませんぞ田中殿。ロウリアの野心がパーパルディア皇国だけで終わるはずもありません。かつてのパーパルディア皇国ならば1,000隻からの砲艦を保有していたと聞きます。これの前にはたとえロウリア艦隊であっても無力だと。しかし今のパーパルディア皇国には砲艦は愚か竜騎士団もいないとか。これでは丸裸、ロウリアに攻め滅ぼされること確実、そしてその後その野心は必ずや我が国やクイラ王国に向かいます。奴らは亜人殲滅を掲げておりますからな」
はあはあ、息つく間もなく一息に言い切ったヤゴウは。
「我が国にロウリア軍が攻め入れば、約束していた食料を届けることも不可能となります。条約を反故にするのは大変心苦しいのですが……」
田中はその言葉を聞いて満面の笑みを浮かべる。
「いや、失礼。あなた方が大変正直で、約束事を守ろうと必死になって下さるそのお姿に、私は感動したのです」
「た、田中殿?」
「ああ、いや心配は要りません。ロウリア軍6,000隻の艦隊ですが。まず間違いなく一隻残らず全滅します」
「は?」
ヤゴウの目が点になる。一隻残らず全滅? パーパルディア皇国には既に砲艦は無いのに?
「一つ訂正をしましょう。パーパルディア皇国は武装解除などしておりません。むしろ以前よりも遙かに強大な軍事大国へと成長しております。戦艦4隻、重巡洋艦4隻、駆逐艦16隻、戦車揚陸艦4隻、航空母艦4隻、コルベット艦12隻、浮遊航空艦3隻、戦闘機・攻撃機計2,100機、戦車1,000両、KMF1,000騎、VTOL500機以上。以上の戦力を保有する、パーパルディア皇国は彼の国歴史上最大最強の国家となっております」
歴代最強? 説明を聞いた限りでは艦船は50隻に満たないようなのに? 1,000隻が50隻以下で最大最強とはこれ如何に?
「まあ、ヤゴウさんの様な正直で、お約束を御守りする御方には内訳を見せても構わないでしょう。兵器に造詣が深くなくとも大凡の部分や空気感は読み取れるかと思いますので」
現在のパーパルディア皇国皇軍の内訳は此方になります。
駆逐艦ミシュラ型
使用国:パーパルディア皇国
基準排水量:2,200t
全長:117.5m
全幅:10.8m
吃水:3.80m
機関:ユグドラシルドライブ旧型×3、エナジフィラー×3、65,000馬力
速力:36.0ノット
航続距離:7,000海里
乗員:250名
兵装:12.7㎝連装砲×3基
25㎜連装機銃×2期
61㎝四連装魚雷発射機×3基
爆雷18
同型艦:レシーン、クション、パーズ等
重巡洋艦パール型
使用国:パーパルディア皇国
排水量:14,500t
全長:208.5m
全幅:21.5m
吃水:6.8m
機関:ユグドラシルドライブ旧式×4、エナジーフィラー×4 130,000馬力
速力:34ノット
航続距離:11,000海里
乗員:1,800名
兵装:15.5連装砲×3基6門
12.7㎝連装砲×6基
7.6㎝連装砲×12基
20㎜連装機関砲×12基
同型艦:二番艦フィシャヌス、三番艦ディオス、四番艦ムーライト
ゼロ式艦上戦闘機52型改×360機
ゼロ式陸上攻撃機52型改×240機
パールネウス型戦艦
使用国:パーパルディア皇国
基準排水量:70180t
満載排水量:76800t
全長:275m
全幅:39m
吃水:11.2m
フレイヤ炉搭載
推進器:スクリュープロペラ4軸
出力:180000馬力
速力:32ノット
航続距離:∞
乗員:2800名
主砲:50口径46㎝三連装超電磁砲3基9門
副砲:60口径15㎝三連装砲4基12門
対空砲:40口径12.5㎝連装高角砲6基
20㎜バルカンファランクス4基
装甲
舷側:510㎜
甲板:300㎜
主砲防盾:750㎜
二番艦クーズ、三番艦アルーク、四番艦カース
001式コルベット
使用国:パーパルディア皇国
基準排水量:1100t
満載排水量:1315t
全長:87.14m
全幅:12.00m
吃水:3.20m
機関:ユグドラシルドライブ旧型
可変ピッチ・プロペラ:2軸
速力:36ノット
航続距離:4000海里
乗員:65名
兵装:ファランクス20㎜CIWS1基
:短SAM4基
:SSM4連装発射筒4基
:4連装短魚雷発射管2基
:艦載機90式VTOL1機
:戦術情報処理装置
:3次元式レーダー1基
:対空捜索用レーダー1基
:対水上捜索用レーダー1基
:射撃指揮用レーダー1基
:電波探知装置
:電波妨害装置
:通信情報装置
:72連装デコイ発射機3基
:32連装発煙弾発射機2基
:対魚雷デコイ1組
軽斑鳩級浮遊航空艦 デュロ
使用国:パーパルディア皇国
全長:191m
時速巡航:450㎞
最高速度:1000㎞
ブースター装着時:マッハ2~3
乗員:230名
充足時:340名
フレイヤ炉搭載
航続距離:∞
兵装:単装砲(リニア砲)5問
:ミサイル発射機2基搭載
:スラッシュハーケン(近接用武装)
:ブレイズルミナス
カールレオン級浮遊航空艦 一番艦パラディス、二番艦エスト
使用国:パーパルディア皇国
全長:190m
最高時速:960㎞
乗員:210名
充足時:315名
フレイヤ炉搭載
航続距離:∞
兵装:単装砲×5門
:ミサイル発射管:2基
:ブレイズルミナス
001式戦車揚陸艦・ドック型輸送揚陸艦
使用国:パーパルディア皇国
基準排水量:10500t
満載排水量:17000t
全長:188m
最大幅:27.8m
吃水:7.0m
主機:001式戦車揚陸艦・ドック型輸送揚陸艦エナジーフィラー×2基
推進器:可変ピッチ・プロペラ×2軸
出力:35000馬力
最大速力:30ノット
乗員:195名
兵装:20㎜バルカンファランクス機関砲(CIWS)×2基
搭載艇:エアクッション型揚陸艇(LCAC)×2隻
レーダー対空捜索用×1基
対水上捜索用×1基
航海用×1基
電子戦および対抗手段8連装デコイ発射機×4基
揚陸能力陸軍部隊:520名
民間人輸送:1400名
収容能力陸軍部隊:520名
60式戦車:35輌
VTOL:3機
60式主力戦車
使用国:パーパルディア皇国
全長:8.31m
車体長:6.40m
全幅:3.0m
全高:2.50m(砲塔上の重機関銃を含む高さ3.17m)
重量:35.5t
速度時速:50㎞
行動距離:500㎞
主砲:60式55口径90㎜ライフル砲
副武装:7.62㎜機関銃
12.8㎜重機関銃
エンジン:60式エナジーフィラーエンジン
乗員:4名
震電改×500機
BF109改×500機
P51マスタング×500機
旧式無頼・旧式グラスゴー×500機
90式VTOL輸送用×500機
ヴェロニア級40,000t空母
使用国:パーパルディア皇国
船体 基準排水量:40,000 t/46,000 t
満載排水量:56,000t
全長:285.05 m
水線幅 / 最大幅:32.54 m / 47.78 m
深さ:25.6 m
吃水:10,2 m
機関:倉崎重工製エナジーフィラー
出力 200,000馬力
推進器:スクリュープロペラ×4軸
速力:35 kt
兵装:5インチ単装砲×16基
ファランクスCIWS2基
40mm4連装機銃×21基
20mm単装機銃×68基
ミサイル:シースパロー8連装発射機×2基
航空運用機能:搭載機数:136 - 145機
燃料:倉崎重工製エナジーフィラー4基
カタパルト:電磁式×2基 電磁式×3基
制動索:4索
エレベーター:3基
一番艦ヴェロニア、二番艦セイレーン、三番艦アビス、四番艦ワーグナー
供与された航空機、五機種の中より一機種。一番強いと思われる。
制式名称:震電改
使用国:パーパルディア皇国
機体略号:J7W1
乗員:1名
全幅:11.914m
全長:10.76m
全高:3.65m、3.92m
主翼面積:22.50m²
翼面荷重:261.5kg/㎡
自重:3,625kg、3,465kg
正規全備重量 5,050kg
発動機:倉崎重工製ハ43-42(MK9D改)エナジーフィラー
出力:2530HP
:1790kW
最高速度:875km(計画値)/h 925㎞(計測値)
高度:9,700m時
巡航速度:625km/h
航続距離:3000㎞~4000km
(装備で変動)
実用上昇限度:13000m
上昇率:850m/min
最大離陸:5,882kg
離陸滑走距離:530m
着陸滑走距離:550m
武装:六式 30mm 固定機銃一型乙(機銃一門あたり弾丸120発携行、発射速度は毎秒7発から11発) ×4
訓練用:7.9mm 固定機銃×2 写真銃×1
爆装:60kg×4
:30kg×4
動力:ユグドラシルドライブ最初期型スメラギ重工製
プロペラ:スメラギ社の定速6翅(量産型では4翅に簡略化予定)
プロペラ直径:3.40m
主翼:低翼、単葉
動翼:前翼型式
構造:全金属製、応力外皮構造、主翼・層流翼型、前翼・開閉式スロット翼
降着装置:引き込み脚、前輪式
「なッ?!」
「全てが鋼鉄艦です。戦闘機も鉄製です。戦車揚陸艦と航空母艦は戦闘艦艇ではありませんが、まあCIWSや対空ミサイル等でワイバーンを粉微塵にしたりは出来るでしょうから、この戦争に限っては戦闘艦艇に数えても良いでしょう」
「た、たた、田中殿、この、このこの、な、76800tという巨大な戦艦も?」
「鋼鉄艦です。自艦の搭載している砲を防げる設計をしておりますので。この艦を沈めるつもりなら47㎝超電磁砲を持ってこないと駄目ですね。因みに最大射程は300㎞となっております」
「さ、さんびゃッッ!?」
驚き続けるヤゴウさん。こんなおもちゃで驚いていたら我が帝国海軍の戦艦大和型や、ブリタニアのペンドラゴン型。AEUのグロイスドイッチェラント型なんて間近で見たら気絶してしまうだろう。
「戦闘機は遅い物で600㎞超え、平均700㎞、速い物――震電改だと900㎞超えです。30㎜機関砲やロケット弾を搭載している機体も何百とありますので、ワイバーンや木造艦船なんて一撃です」
まあ、それ以前に、駆逐艦や巡洋艦、戦艦に、浮遊航空艦で全て片付きますが。
「ふ、浮遊航空艦というのは」
もう聞くのが恐ろしくなってきたヤゴウだが、資料を見せられた以上は聞かずには居られない。会議での報告もある、観戦武官の選定もあると。
「空飛ぶ軍艦。空飛ぶ戦艦ですね。資料の通りの性能が出ます。ブレイズルミナスというのは敵からの攻撃を防ぐ防御膜です。あまり強すぎる攻撃には破れてしまいますが、火矢や導力火炎弾程度では一切攻撃が通りません。リニア砲は超電磁砲を弱くした物とだけお考え下さい」
その方が分かりやすいでしょう?
聞く度に空恐ろしくなってきたヤゴウには、とりあえずのところ一つだけ分かったことがあった。ロウリア王国はもうおしまいだ。
まだ聞いても見ても居ないが、ここに記載されている兵器の諸元性能を考えるなら70,000t級の戦艦一隻で事足りる。
そして北側諸国が味方で良かった。あのパーパルディア皇国でさえも大人しくさせてしまう、平和主義国家群でよかった。
「ところで、ロウリア艦隊が動き出すのはいつ頃になりそうですか?」
「そ、そうですなあ、準備期間や積み荷の問題。補給関係、人員の選別の問題を解決してからとなるので中央歴1640年8月10日前後、約一か月後には」
「まあそんな物ですか。遅いと言えば遅い、早いと言えば早いですね。まああと一か月もあれば航空隊の訓練も終わりでしょう。後はゆっくりと吉報を待ちますか」
※
中央歴1640年8月8日
ロウリア王国が王都北側港に大艦隊を集結させている。この一報はすぐにクワ・トイネ公国政治部会の耳に入った。
まかに間違ってそのうちの1,000隻でもクワ・トイネ方面へとさし向けられたら勝ち目はない。
「現状を報告せよ」
首相カナタの命令に、冷や汗をかいた軍務卿が答える。
「はっ……一週間ほど前ロウリア北方の港には見たことも無い大艦隊が軋みよせていたとの事。作戦兵力100万にも達し、彼の列強パーパルディア皇国と同数です。しかし、パーパルディア皇国は現在武装解除をしていると思われている為、遠慮も呵責も容赦もなくロウリア軍はパーパルディア皇国へと攻め込むでしょう。すでに6,000隻の艦隊と800騎にも及ぶワイバーンが出撃準備をしており。まさしく覇王の進軍かと見まがわんばかりの光景が見られるかも知れません。実に最悪ですが」
絶句。誰もが息をのみ、その情報を頭の中で繰り返す。100万という数値は、クワ・トイネの予備役兵力も入れた総兵力の20倍。しかもワイバーンが800騎に、6,000隻以上の海上戦力もいる。
彼らは本気で列強パーパルディア皇国を取りに行っている、そしてパーパルディア皇国が終われば次は我が国だ。あまりの絶望に、会議場は静寂に包まれた。そのとき、外務卿が手を上げる。
「首相よろしいでしょうか」
「……なんだ?まだ何かあるのか?」
これ以上に我々を蹂躙する可能性を持つ何かがあろうか。カナタはすでに諦めの境地で促した。
「実は政治部会が始まる寸前に、日本大使館から連絡がありまして……」
「内容は?」
「はい、全文を読み上げます『大日本帝国政府は、億が一つ、友邦クワ・トイネ公国へとロウリア王国が進軍するのならば、多大なる犠牲が出ることこれを看過しない。あり得ぬことながらそのような事態が発生した時の為に帝国四軍、陸海空海兵隊に対し出撃準備を整えさせるよう通達している。貴国からの要望があればいつでも軍を派遣する準備は出来ているという事を、ここに伝えおく』だそうです」
「援軍を送ってくれるという事か大日本帝国が?」
「遠まわしではありますが、こちらから要望すれば援軍を送るといった意味かと。ただ億が一ありえないという彼らの言から、彼らはパーパルディア皇国の圧勝を疑っていないようです」
と、そこへ、ヤゴウ外交局員が走り込んでくる。一外交局員が政治部会に何の用かと空気が悪くなるも、カナタが沈め「どうかしたのですか」とやんわり聞き出すと。
「ど、どうしたもこうしたも、この度の戦争パーパルディア皇国の圧勝で終わりです!!」
ざわざわと政治部会員たちがヤゴウの決定染みた発言に何を言うのかと興味の眼差し、避難の眼差し、懐疑的な眼差し、と、様々な視線を向けた。
その中で、ヤゴウは田中の許可を取り、政治部会で見せてもいいとの話で彼からもらった資料を、政治部会の円卓に放り出したのだ。
皆が興味深そうに見る中、カナタは見てしまった。あり得ない。この世にあらざるものを。
パールネウス型戦艦
使用国:パーパルディア皇国
基準排水量:70180t
満載排水量:76800t
全長:275m
全幅:39m
吃水:11.2m
フレイヤ炉搭載
推進器:スクリュープロペラ4軸
出力:180000馬力
速力:32ノット
航続距離:∞
乗員:2800名
主砲:50口径46㎝三連装超電磁砲3基9門
副砲:60口径15㎝三連装砲4基12門
対空砲:40口径12.5㎝連装高角砲6基
20㎜バルカンファランクス4基
装甲
舷側:510㎜
甲板:300㎜
主砲防盾:750㎜
二番艦クーズ、三番艦アルーク、四番艦カース
「ば、馬鹿なッッ!! こんな、このようなものがッ!!」
カナタが驚愕し、軍務卿があり得ないと否定する
「は、排水量70,000tに46㎝三連装砲3基9門ッッ!? ば、馬鹿なッ、そんな馬鹿なこのような物が現実にあるはずが無いッッ」
だがヤゴウは他の資料も共に、順に見せていき、これは現実なのだと信じ込ませた。
「そ、そうか、そういう事かツ、パーパルディアには北側の手が入っておったのだな?! お、おかしいと思って居たのだ。暴虐なる先帝ルディアスを排除したからと言っていきなり800隻、話に聞けば1,000隻はあったらしい砲艦をすべて処分するなど」
「これで謎が解けましたね。これを前にしては砲艦1,000隻などゴミ同然です。パーパルディア皇国の砲艦では70,000tの戦艦には傷一つ付けられないでしょう。それが4隻もあるとは……」
「他の軍艦も全てが鋼鉄製で空飛ぶ軍艦まで3隻、全て北側諸国より供与されたとのことです」
「ま、まさか、き、北側諸国は古の魔帝ではないのか?」
一部でざわめくも。これも否定される。
「伝説を持ち出すなどおかしな話ですが、パーパルディア皇国の関係者の言によれば北側諸国は魔帝をすら超えているのではないかとの、専らの噂です」
混乱の限りに陥る政治部会をカナタが占める。
「と、とにかく、我が国への脅威はほぼ無くなったという事は喜ばしきことです。ですが観戦武官は送らねばなりませんね」
軍務卿が。
「観戦武官と申しましても戦の始まりまでにパーパルディア皇国に間に合うか。これらが本当ならば、行った途端に終わっていたという事もあり得ます」
するとヤゴウが待ってましたと返事をした。
「日本側が斑鳩級浮遊航空艦亭子(ていじ)で送ってくれるそうです。最新型の浮遊航空艦の一隻なので撃墜されることは無いと。垂直離着陸型なので大使館近くの空き地に降りるとか」
速力はマッハ2.5。
時速にして2,800㎞だそうです。
大日本帝国
某インターネット掲示板では、今回の北側諸国同盟が異星に転移した出来事について、様々な議論がなされていた。その中の一掲示板では……。
北側諸国同盟が異世界に召喚されちゃいますた第170章[無断転載禁止]
154:名無しさん
ここでは数多くの北側、大日本帝国、日ブ同盟、ブリタニアが異世界に行く物語が創作されたが、今回北側諸国大転移で、本当に北側が他国と戦う事になったな、何だか胸熱
167:カレン
転移してもうしばらく経つけど、未だに転移したことが信じられないわね。この間だって普通に舞踏会もあったし、ヒトラー宰相からグロイスドイッチェラント型の56㎝砲換装をみせられたばかりなんだけど
177:リーライナ
カレン様隠さなくなりましたわよね?
179:カレン
ヴェルガモン卿こそ。ヤマモト卿に怒られますよ?
181:リーライナ
いっくんは怒りませんわ。だってあの方もちゃんねる伍式に出入りしておりますもの
182:名無しさん
何だか二人ほど大貴族がいらっしゃいましたが続けます。すでにファンタジー世界に来ているとなると、ここの掲示板の存在意義は無くなる? それともとても重要なものになる?
184:カレン
んー、重要なものになるんじゃない? だって世の中に先駆けて大転移の議論をしてきたんだし
187:リーライナ
わたくしもシュタットフェルト卿に賛成ですわ。ここのスレにはとても大きな意義があると
190:名無しさん
カレン様、リーライナ様、拙者光栄の至りでございます。゚(゚´Д`゚)゚。
192:カレン
わッ、泣いた
195:リーライナ
泣くほどのことでは
197:マリーベル
こんばんは皆様
198:名無しさん
大物中の大物来たァァァァ
199:名無しさん
ェッ、ちょ、まッ、本物ッ?!
201:マリーベル
本物ですわ。シン兄さまというわたくしの心に決めた殿方がよくお遊びにお越しになるというので、わたくしも遊びに参りました。シュタットフェルト卿、ヴェルガモン卿よしなに
204:リーライナ
ま、ま、ま、マリーベル皇女殿下ァ?!
207:カレン
嘘でしょ?!
209:マリーベル
本物です。それでは皆様、議論の続きを再開させましょう
211:名無しさん
この何事も無く平然と入ってくるコミュ力よ。皇女殿下とは思えません、っていうかシン兄さまって誰?
214:リーライナ
あら、お知りでは御座いませんの? この間、殿下が北側諸国会議の場でぶちまけましたのよ。結婚すると
216:名無しさん
ほぎゃあああああああ! 麗しのマリーベル殿下がァァァァ!
219:名無しさん
俺のマリーベル殿下がァァァァァァ!!
223:マリーベル
>>219
あなたのではございません。この身も心もシン兄さまの物です
スレが荒れてきたので仕切り直し。
299:名無しさん
今後は架空小説ではなく、ノンフィクションとして北側諸国が活躍する小説が読めるようになるのか
300:カレン
ノンフィクションならどんなタイトルになるのかしらね
北側諸国が全部転移してるから「北側大転移」でどうかしら
301:マリーベル
↑
シュタットフェルト卿安直すぎですわ
ここは「北側諸国召喚」の方が
302:リーライナ
マリーベル殿下も安直ですわ……
303:名無しさん
高貴なる方々が揃って安直とは
しかし北側諸国召喚というなら神様はきっと間違って召喚したんだな
だって俺等の国って世界何回も滅ぼせるもんwww
369:名無しさん
しかしロウリアのパーパルディア侵攻で万一パーパルディア皇国が負けたらその目はクワ・トイネ。クイラ。に向くわけでちょっとだけ食費とエネルギー代が高くなるの嫌だなあ
371:カレン
大丈夫よ。今のパーパルディア皇国なら負けようったって負けられないもの
373:リーライナ
おもちゃ一杯差し上げましたものね
376:マリーベル
でもあのおもちゃ全部新品ですのよ? 好事家の方々が見れば涎を垂らして欲しくなるほどの
379:名無しさん
殿下殿下。置き場所が無い
383:名無しさん
転移といやあ、なんか北側各国の演算装置が中華連邦とジルクスタンの転移も割り出したんだってな
あと三ヶ月から六ヶ月以内に転移してくるとか
387:マリーベル
教化されていたら滅殺ですわ!
390:名無しさん
マリーベル殿下コワッ!
北側諸国に於いても、異星で初となる本格的戦争は一般人・貴族・皇族に、関心の高い出来事として見守られていた。
中央歴1640年8月25日 マイハーク港
大方の予想からかなり遅れて、ついにロウリア王国が6,000隻以上の大艦隊を北に向けて出向させたという情報が伝えられ、場所を変えて降り立つ事となった日本の斑鳩級浮遊航空艦亭子の到着を待っていた。
ロウリア軍出撃の報を受け、万一にとマイハーク港に基地を置く、クワ・トイネ公国海軍第2艦隊は艦船を集結させていた。
艦船の数はおよそ50隻。
「壮観な風景だな」
提督パンカーレは、ずらりと軍船が並ぶ海を眺めていた。
「提督、海軍本部から伝令が届いています」
側近であり、若き幹部ブルーアイが走り寄ってきて報告する。
「来たか。読め」
「はっ!『本日夕刻、北側諸国同盟からAEUが戦艦の艤装を変えた事による処女航海と言うことで各国を巡り、このクワ・トイネにも立ち寄らせて頂けないかとのことです』」
「せ、戦艦とは例の70,000tのと同じ艦種の艦船かっ!」
「それと億が一、パーパルディア皇国がゴミを海に流してしまったときのゴミ掃除をさせてもらいたいと、は、ははっ。ゴミ掃除……」
「か、艦数は?」
「よ、4隻です。護衛艦も着いておりません。必要ないと言うことでしょうか」
「た、たったの4隻?!」
たったの4隻でもしも1,000隻からのロウリアの艦隊が侵攻してきたとして勝てるのか?
どうしても信じられないがここは常識にとらわれているべきではないのだろう。
70,000tの戦艦4隻をポンとパーパルディア皇国にくれてやるほどの化け物なのだ。はたして何がやってくるのか。
パンカーレは残念な気分と、心躍る気分を同居させながらその時を待つ。
「日本の亭子もAEUの戦艦に合わせて来るそうです。夕刻までには到着するとのことで、夕刻までにパーパルディア皇国までロウリアの艦隊が辿り着いていることは無いとして」
「まったく、大日本帝国もAEUも物見遊山なのか? こちらは国家の危機だというのに」
「観戦武官には私が志願します。日本の説明では攻撃を防ぐ膜のような物が船全体に張られているとのこと。ワイバーンの攻撃も恐るるに足りません」
「本当にそうだと良いのだが……私は心配だ……。ふう、すまぬが……頼んだ」
「はっ!」
同日 夕刻
マイハークの港は、蜂の巣を突いた大騒ぎとなっていた。
誰もが驚嘆の声を上げ、付近に住まう住民や兵士、水夫総出で海の方向を眺める。
「なんという圧倒的な大きさじゃ!」
「信じられん、あれは本当に船か?」
「山を海に浮かべたのか?」
口々に声が上がる。
ブルーアイ自身も、自分の目を疑っていた、沖合には、ありえないほど巨大な船が並んでいる。
どれもが同じ大きさで、どう見ても資料にあったパーパルディア皇国の70,000級戦艦とは比べものにならない大きさ。
見た目の全長は優に300mを超えて尚余り、重厚な装甲に包まれた船体には夥しい砲と。巨大に過ぎる砲が前部2基6門、後部1基3門鎮座していた。
こんな巨大な船が存在するのか? そもそもこれは船なのか?
その巨大な船から何かが飛んできた。確か日本の人がVTOLと呼んでいた乗り物。それを少し大型化した物がその巨大な船から飛んできた。
それが近づくにつれ、聞いたことのあるキーンという音の大きさに、人々は驚き恐怖を煽る。
知っていても知らない船から出てくる物は怖いのだ。やがて下部へと排気され出す空気に場は埃立つ。
広場に駐機したVTOLは、風と轟音を弱めていく。胴体横の扉が開き、中から男が現れて人だかりに向かってしっかりとした足取りで歩き出し、止まった。
「クワ・トイネ公国の皆さんお騒がせして申し訳ない」
幾つもの勲章を胸に付けた男は、詫びの言葉と共に流麗に挨拶をした。
「私AEU海軍元帥ドイツ帝国、カール・デーニッツと申します。本艦グロイスドイッチェラントを含めた4艦の新装航海に立ち寄らせて頂き、誠に感謝の至りです。本艦隊がクワ・トイネに滞在中はけして邪な者の牙は届かせないとお約束致します」
まさかAEUの海軍元帥閣下だとは思いもよらず慌てていた私の傍へと彼が歩いてきた。
「で、デーニッツ元帥閣下ッ! 初めまして私はクワ・トイネ海軍パーパルディア皇国・ロウリア戦争の観戦武官ッ! ブルーアイと申しますッ!」
「ああ、聞いてるよ君の事は。あの艦に乗っている人からね。どこから情報を得ているのやら恐ろしい方だ」
上を見上げるデーニッツ元帥。すると空高くより大きな何かが高速で降りてきた。流石に海に浮かぶ4隻の戦艦ほどでは無いが、それでもかなり巨大だ。
みるみるうちに降りてきたそれに、ブルーアイは言葉を喪った。形はスマートな三角形。前方が細く後方が広い。高さは30mを超える高さはあるだろう。全長は220mか全幅60~70m全体的に青い塗装が施されたそれ。
すぐに分かった。これが自身の乗艦する斑鳩級浮遊航空艦「亭子」なのだと。亭子は海面すれすれを浮かんでいる。あり得ないだろう、こんな巨大な艦船が空を飛ぶだなんて。どうやって飛んでるんだ……?!
「亭子も降りてきたことだし、怖い人が来る前に此方を渡しておこう。残念だが文明力が違いすぎて隠すより知ってもらった方が効果があるからね。そうヴェランス皇帝陛下もヒトラー宰相閣下も仰っていたし、安心するだろうと」
渡されたのはまた資料。今日は資料ばかりが渡されるなとブルーアイがそれを見たとき、彼の目はこれ以上は無い程に見開かれた。
AEU
戦艦グロイスドイッチェラント級
一番艦:グロイスドイッチェラント
二番艦:グリードリッヒデアグローゼ。
三番艦:ウルリヒ・フォン・フッテン
四番艦:ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン
基準排水量:123,000t
常備排水量:132,000t
満載排水量:142,500t
:AEU新型フレイヤ炉搭載
全長:347.0m
全幅:52.0m
速力:34.9ノット
主砲:56.0cm三連装超電磁砲3基9門
:15cm55口径砲連装6基12門
:10.5cm65口径高角砲連装8基16門
:37mm自動機関砲16門
:20mmCIWS12基
:全長6.02m533㎜誘導魚雷発射管(水中)を艦首両舷各3門計6門装備(最大射程は205㎞)
:艦載機:VTOL6機
「こ、こ、こ、こ、」
「これでも上位二国。技術の日本、力のブリタニアの戦艦からしてみれば一番下っ端なんだよ。悲しいがね」
これで一番下?! 北側諸国にあるという三大超大国の話は知っている。日本もその一つだと。その日本がこれより上の艦船を持っている?!
いったいどうなっているんだ北側諸国という国家連合はッ!?
混乱の極みにいたブルーアイ。だが確かにこの4隻なら祖国を守れるという実感も得た。そしていざ行かんというところで。
亭子の全面の門が開いていく。中から……。外交官の田中さんと同じスーツ姿に小さな丸居眼鏡が特徴的な男性が現れた。
「あなたがブルーアイさんですね?」
何処かしら闇深さを感じる。戦えば勝てるのに戦う事その物が恐ろしい。そんな男性に。乾く喉の唾を無理矢理飲み込んで答えた。
「は、い、観戦、武官の……、ブルー、アイ、です」
「どうも初めまして。私は大日本帝国前財務省、財務担当の大臣をしていた、まあ今は一般人の辻政信という者です……パーパルディア皇国清掃会社によるロウリアとか言うゴミ処理を見に来ました。よろしく」
あ、の、ロウリアを、ゴミ……?
「デーニッツ提督、後は任せましたよ?」
「はッ」
「それと新装航海の無事をお祈りしております」
「と、申しましても、第三文明圏をぐるりと回るだけですがね」
軽く話すデーニッツ提督と辻氏。そうか、これ、この方達の中では当たり前なんだ。
「さあ、ブルーアイさん亭子に乗って下さい。ゴミ処理が終わってはつまらないでしょう?」
(どんな傾向かを知りたいのもありまして
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ミリシアル好き
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ミリシアル嫌い
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グラ・バルカス好き
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グラ・バルカス嫌い
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ロウリアは徹底的にやっちまうべき
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ロウリアにも救いを