Meltdown Mind   作:古岩 はかね

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試験でカフェイン漬けなこの頃。レポートに追われて四苦八苦。どれだけ時間をかけようとも評価は低い。くぅ~^生きるのがつらい~^^


 見直したらとても見にくかったので地の文減らします(本音は面倒だから)。


 文系に進めばよかった


OWN MOTIVES 3

 

 

 右腕に包帯が巻かれている。右腕には感覚がなく、目とただ肩に釣られた重さだけでのみ右腕の存在を再確認できた。

 目を覚ました場所は私が所属している傭兵育成組織、フェイドの医務室。カーテンで仕切られているが天井とカーテンの隙間を通して見える太陽光が時間の経過を私に教えてくれた。

 確か、自爆で腕がやられたのかと改めて事実を確認する。あれだけやられたのだから神経がやられていてもおかしくはない。最悪義手だということを覚悟した。

 

 

「おや、起きたのかい?」

 

 

 男の声がした少し後にカーテンが開く。医師のマクシミリアン先生だ。年齢は43とフェイドの中では高齢だが、あらゆる医療分野に手を伸ばしており、正規の医師ライセンスは持っていないが腕はそこらにいる医師よりかははるかに上回るらしい。らしいというのはあくまで本人談だからだ。

 短めの茶髪に長身で、顔は縦に長く垂れ目で白衣で若干隠れているが見ているこちら側からすると痩せすぎという印象を持つ。性格は……よくわからない。仕事熱心なのか私事に熱心なのか、独り言が多くたまに何を言っているのかわからなかったりセクハラ発言したりであまり話したくはない人だ。

 

 

「はい」

 

 

「ええ、咲良・ランディール君の腕を見せてもらったときは驚いたよ。もし起きてたなら腕がなくなることを覚悟しておけって言いたいぐらいにはね」

 

 

 思い出したように私の名前を言うがどうやら人の名前を覚えるのは苦手らしい。

 

 

「マクシミリアン先生、私の腕は大丈夫なんですか?」

 

 

「ああ、もちろんだとも。……その前に、私に少女趣味はないから胸を隠しなさい。狙ってるのであればもっと食べて肉をつけなさい」

 

 

 包帯だけに目が行ってたから気づかなかったが胸がはだけていた。慌てて毛布を持って胸を隠す。

 

 

「肉をつけないと治療も大変だからね。私は全ての骨みたいなガリガリに痩せた女性に毎日1万キロカロリーぐらい食べさせたいね。少なくとも私が治療する女性にはそうするよ」

 

 

「はい、でも食指が捗らなくて……」

 

 

「ちょうどいいナノマシンが手に入ってね、一緒に投与することで吸収量を何倍にも高めるナノマシンだ。君みたいなガリガリの子供でも少しの量で十分な栄養を吸収できるようになるんだ。いるかい?」

 

 

「お断りしておきます」

 

 

 ナノマシンは最近出てきた新技術だが、未だに不安定性が多く自ら進んで使用したくないものだ。

 実験中の死亡事故もたまに聞き、しかもこのマクシミリアン先生は正規の医者ではない言わばモグリの医者。そんな人物が手に入れれる物だから正規品ではないだろう。

 

 

「そうかい。そういえば君のケガが酷くてね、神経が焼き切れそうだったけどたまたま友人からもらったナノマシンを投与してみたら経過が良好でね。あと二週間で完治できそうだよ」

 

 

「え、使ったんですか?ナノマシンを」

 

 

「露骨に嫌そうな顔してるけどアレがなかったら君の右腕は今頃なかったよ。嘘だけど。まあ少なくとも今まで通り精密な操作はできなかっただろうね。感謝した方がいいよ。安静にしてれば君の腕は元通りだ」

 

 

 精密な操作ができないのは困る。そうでなければまたスターツフルトに乗れない。

 目の前の医師の笑顔はまるで私を実験対象としてみているようだ。いや、実際に実験対象として見ているのだろう。

 

 

「……元に戻るならそれでいいです。ありがとうございます。マクシミリアン先生」

 

 

「君のことは取りあえずライズベルト君とジゼル・ランディール君に知らせておくね。ライズベルト君は情勢が変わったとかで忙しそうだけどジゼル・ランディール君なら来れるでしょう」

 

 

 そう言うとマクシミリアン先生はカーテンを閉じて医務室の外へと出ていった。

 さっきまで眠っていたからかまだ眠くならず、何もすることがないため上体をベッドの壁に預けて目を閉じる。

 自分が出撃したミッションの失敗点を反省し、次に対処できるようにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー長官室

 

 

 

 

 

 

 情勢が悪化したのは間違いない。世界各地で未確認機体、通称メッサーが出現するようになってからは特にだ。

 個人傭兵が次々とやられて生き残りは国家や企業、傭兵組織に吸収されていった。三日で世界情勢は大きくバランスを崩していた。

 

 

「何れ、大きな戦争が起こるだろう。世界各地で出現するメッサーの脅威を排除し、そして国家と企業による統一戦争が始まる」

 

 

 フェイドの長、ライズベルト・マックラス。"教導官"の二つ名で知られ、数多の戦場を渡り歩いた実力者だ。世界が今の形で国家と企業、そして傭兵の戦力バランスが整う前から戦場を経験してきた。

 

 

「私も必要かしら?私としては昔みたいに戦場に立つのも悪くはないわね」

 

 

 フェイドの副長、ジゼル・ランディール。昔は名のある傭兵だったが今となってはオペレーターとして勤めている。

 

 

「咲良が自分の子供の用に可愛いいのなら、これからの情勢を考えると今までのように悠長に訓練はしていけない。傭兵ギルドに登録しないまま戦場に送り出すことになるだろう。彼女のサポートはお前がするしかないんじゃないか?」

 

 

「あの子にはもうすでに立派なサポートがいる。あの二人はきっといいパートナーになれる。そう確信したわ」

 

 

 咲良・ランディールとジゼル・ランディールに血縁関係はない。遺跡で発見された咲良を、唯一言葉が通じた四分の一同じ民族の血液が流れているジゼル・ランディールが姉のように面倒を見ていただけだ。

 傭兵にしたのはジゼルがそれ以外に生き方を知らず、副長という重職に就いているフェイドから抜けることもできなかったからである。戦争屋の子供は戦争屋にしかなれないのだ。

 

 

「そうか、お前ならこの大局をどう見る」

 

 

「傭兵育成機関フェイドは創立して短いけど、他から見たら弱小国家程度の軍備は持っていると思われるわ。しかもここの資金提供源はRailDrain社。吸収されるか共闘することになりそう」

 

 

 企業の一つ、RailDrain社はフェーデの武器全般から追加装甲まで、あらゆる面に手を伸ばしている巨大企業だ。ライズベルトが個人的に金を回してもらい、最初期のフェイドの資金は全てRailDrain社が捻出していたようなものである。

 それからも継続的な資金提供があり、フェイドから独立してRailDrain社に雇用された傭兵も少なくはない。

 

 

「まずはメッサーの対処だ。ジゼル」

 

 

「……個人傭兵はまず企業か国家に吸収される。私たちのような傭兵組織も小さければ吸収されるのは確定ね」

 

 

 メッサーは上空から攻めてくる。それは固定大型のレーダーや対空専門に特化したレーダーでなければ事前探知は難しい。そのような敵の対処は防衛設備の無い個人傭兵や小さな傭兵組織には無理だ。企業や国家はそんな彼らを安心して暮らせる屋根を与える代わりに戦力として追加するのは間違いない。

 

 

「そしてメッサーの出現から今まで発見されていないけど、メッサーの出現場所が叩かれるわ。そしてそれは軍力がまとまってからの話。奴らは特攻兵器だけどここまで量産できる科学力を考えて、拠点防衛用兵器が存在するはず。おそらくここで傭兵が世界の勢力図から消える」

 

 

 傭兵は金さえあれば動く。それは私たちも例外ではない。馬鹿な連中ならば不当に高く積み上げられた金を見せられてすぐに攻略作戦に参加するだろう。その結果、傭兵は捨て駒として使われ一部が吸収されたことも相まって傭兵全体の兵力は弱まる。

 

 

「悲観的な想像しかできないな」

 

 

「こちらからは何もアクションを取らなかった場合の話。何かする気でしょう?」

 

 

「もちろんだ」

 

 

 ライズベルトは分厚い紙の束を机の中から取り出し、ジゼルに見せる。それを手に取り一枚一枚めくると、十何名かの名前と顔写真、詳細に記された情報が記されていた。

 

 

「フェイド出身者と貴方が共闘したことのある腕利き達ね」

 

 

 しばらく名前すら見ていなかったが"悪ガキ"の名前もちゃんと含まれていた。

 

 

「そう。この施設に存在する正規登録された傭兵は15人、登録されていない非正規は8人。小さい国の立場になると雇える傭兵の数が少ない分かなり脅威だ。ここにさっきのリストの半分も加われば」

 

 

「国家連や大企業も手を出しにくくなる。そして私たちはメッサーの攻撃から自衛できる設備がある。なら―――」

 

 

 そこでジゼルの言葉を遮るかのように長官室の扉が開かれた。開けたのは、長身に白衣がよく似合うガリガリの男、マクシミリアンだ。

 

 

「取り込み中悪いけど、彼女が目を覚ましたよ。実に彼女は面白い。神経が焼き切れかけるなんてあの子の適合係数は凄まじいし何より、もう回復の兆候が見えかけている」

 

 

「それは良かった。様子を定期的に報告するように言っておいたはずなのに連絡がこないから職務怠慢かと心配していたところだ」

 

 

「……それは失礼しましたね。彼女の調子もいいみたいだしジゼル君は先に医務室へどうぞ。私はどうも報告義務があるようなのでね、残らせてもらうよ」

 

 

「わかりました。私はこれで」

 

 

 開けっ放しのドアを閉めるとジゼルは医務室へと向かった。

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