2度目の人生は可愛くて強すぎる名人になってチヤホヤされたい!   作:勘解由小路龍之介五郎左衛門十兵衛

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5手目『ルート361』

 

私は『本を売るなら』で有名な某古本屋に来ていた。

一応、ドラゴンボールやスラムダンクといった私でも名前くらいは知ってる漫画を探してみたけど見つからなかった。1998年時点で販売されていた筈の人気作品がないということは、どうやら囲碁界だけでなく漫画界も前世とは異なるみたいだ。もちろん、ヒカルの碁もない。ヒカルの碁の世界にヒカルの碁の漫画が売ってたらおかしいもんね。

 

この世界は、科学水準も街並みも前世の1998年と変わらない。学校で習う歴史も前世と同じ。

なのに、プロ棋士やテレビに映る有名人は知らない人ばかりだし、前世で流行っていた漫画や小説もない。住んでいる人だけがそっくりそのまま入れ替わったこの世界は少し不気味だ。

 

「……さて」

 

なぜ私が古本屋に来たのかと言えば、漫画を読むためだ。

 

前世の私は漫画をほとんど読んだことがない。今世では話題の少女マンガくらいは読んだことがあるが、それも数えられる程度。少年マンガは読んだことがない。

漫画の世界にいるのに、私は漫画のことをよくわかってない。これは由々しき問題だ。

 

もしかしたら、漫画を読むことで漫画特有の定石――――いわゆるお約束というやつを知ることができれば、ヒカルの碁の世界で生きていくヒントになるかもしれない。

そういうわけで、私はここ数日間、古本屋で漫画を立ち読みしていた。なるべく参考になりそうな、ヒカルの碁と(読んではないので推測になるが)似た感じの、現実世界が舞台でスポーツや恋愛をテーマにした少年マンガを中心に。

 

そうしているうちに、私はとある事実に気づく。

 

「……もしかして、漫画の世界では意外と主人公と幼馴染って結ばれない?」

 

物語の途中で幼馴染がフェードアウトしたり、中盤に急に現れたポッと出の女の子と主人公が結ばれたり……不遇な運命を辿る幼馴染ヒロインも珍しくない。

 

今まで私は漫画の主人公であるヒカルの幼馴染で、最も身近な異性で、家族ぐるみの付き合いで、たぶん漫画でいうヒロイン的ポジションで……だから当然、最終的には結ばれる筈だと思っていた。

だけど漫画の世界ではそんな明らかなヒロインが主人公と結ばれないことなんてザラにある。

 

そしてここで重要なのが、長期連載の人気作ほど特にそういう傾向にあるらしいということだ。

おそらく、ずっと同じヒロインの話だと読者に飽きられるとか、話の展開が難しいとか、そんな感じだろう。

 

ヒカルの碁は囲碁ブームを起こしたほどの人気作品。詳しくは知らないけど、おそらく長期連載だった筈だ。だったら、傾向に漏れず主人公と幼馴染が結ばれない展開だった可能性は十分ある。

もしかしたら、私とヒカルは結ばれない運命にあるのかもしれない。

 

「……前世であの時、ヒカルの碁を読んでおけば良かったなぁ。そしたらもっと具体的に対策が立てられるのに」

 

そんなことを考えながらとぼとぼ帰宅していると。

 

『ちょっとキミ……!』

「はぇ……?」

 

急に現れた金髪メガネのオジサンに腕を掴まれ、無理やり引っ張られる。

 

「きゃー、変態! 誘拐! 強姦魔! 助けて!」

 

私は叫びながら助けを求める。だけど、周りには誰もいない。なんで。普段は人通り多い道のはずなのに!

しまった、私は自分が1000年に1人の奇跡の美少女*1だということを失念していた! こんな美少女が無防備に歩いてたら汚い大人の毒牙にかかるに決まっている。ああ、私が前世から大切に守ってきた純潔*2が、こんなカタチで奪われることになるなんて! 許せない! この誘拐メガネ! クソ、来るなら来い! チ○コ噛み切ってやる!

 

「違う、誤解だ! 碁会所に来てもらうだけだ!」

「はえ? 誤解ジョ?」

 

誘拐メガネの言葉に首を傾げる。ん、そう言えばこの男のこと、見たことあるような……。

あ。

全国こども囲碁大会。あそこにいたプロ棋士の先生だ。名前は確か……

 

「緒方先生でしたっけ?」

 

タイトルこそ保持してないものの、次代の棋界を担う若手ナンバーワンと言われているトップ棋士。まぁ、若手って言ってもアラサーだけどね。囲碁界でアラサーは若手どころかオッサンの域に突入する年齢のはずなんだけど……この世界の棋士、緒方さんが若造に見えるくらいやけに強いジジイが多いんだよな……。囲碁って20代半ばあたりがピークの競技の筈だよね?

 

「君、あの1の二の急所を指摘した少年と一緒に居た子だろう」

「ああ、あのちょっと難しい詰碁ですね。その節はどーもご迷惑をおかけしました」

 

私がぺこりと頭を下げると、緒方さんは怪訝そうに言う。

 

「ちょっと難しい……? プロでも考える盤面だぞ」

「それは言い過ぎじゃないですか? せいぜいアマ四段レベルですよね?」

「まるでアマ四段が大したことないかのような言いようだな」

「アマ四段じゃ院生にもなれませんよ」

 

私が言うと、「ふむ」と緒方さんはメガネを押さえる。

 

「君の棋力は?」

「試してみます? 互先でいいならやりますよ」

「……いや、それより会わせたい人がいる」

 

緒方さんはそう言って、碁会所に私を連行する。そこは奇しくも、塔矢くん行きつけの例の碁会所だった。……正直、あんま気が乗らない。だって、塔矢くんと気まずい感じだし。塔矢くん居ませんよーに。

 

「……ひえっ」

 

しかし、碁会所にはある意味塔矢くん以上に会うのが躊躇われる人物がいた。

 

険しい顔つきをした初老の男。こども囲碁大会での一悶着の帰り道、ぶつかったおじさんだ。

あの時は誰か思い出せなかったけど、週刊碁で見て目玉が飛び出るかと思った。

 

見た目はもう定年間近のおじいさんだけど、現役で最強の囲碁棋士。

私の倒すべき相手。

塔矢行洋名人(四冠)だ。

 

思わぬ大物に私が呆気に取られていると、碁会所の客のひとりが私を見て言った。

 

「……ああ、またキミかぁ。今日アキラくんいないよ?」

「そうか。アキラに勝ったというのも君だったのか」

 

塔矢名人がこちらを見据える。

 

「君の実力が知りたい。座りたまえ」

 

……なんか傲慢で高圧的な態度。子供相手にそれってどうなのか。並の小学生なら泣いてるぞ。

私は前世で元師匠にさんざん鍛えられたから臆することはないけど、ちょっとムカつく。そっちがお願いしてるんだから、座りたまえじゃなくて座ってくださいお願いします、でしょーが。……とはいえ、こういう頑固老人に反発しても面倒なことになるだけなので素直に従う。私は素直で可愛い良い子なのだ、うん。

 

「石を3つ、置きなさい」

「は?」

 

朦朧してんのか、このジジイ。

上から目線なのは、まぁいい。名人だし。実際偉いし。タイトル序列2位だし。しかも四冠だし。私だってそれなりの敬意は払う。

でも、3子置け? なんだそれ? 

私はふつふつと湧き上がる怒りを抑えながら、できるだけ穏やかな口調で答える。

 

「私は名人相手だとしても、互先じゃないなら打ちません。不愉快です」

「おい、君! 塔矢先生に失礼じゃないか!」

 

横から緒方さん。

 

「失礼? どっちが? そっちから打ちたいって言っておいて、石を置けって命令するほうが100億万倍失礼じゃないですか? 別に私、互先でも手合い違いにならない自信、ありますけど」

「君……! 名人相手に思い上がりも――――」

「緒方くん」

 

塔矢名人は緒方さんを制止する。

 

「君の言い分にも一理ある。だが、こちらもプロとしての、名人としての矜持がある。たとえ相手がプロ棋士と比肩する実力の持ち主だろうと、なんの実績のないアマとハンデなしで打つことはできない」

「じゃあ、今日は打ちません。では、さよなら」

「君……! ちょっと待――――うぐっ!」

 

緒方さんが私を捕まえようと腕を伸ばしてきたので、ひらりと躱すと緒方さんは勢い余って転ぶ。あー、運動不足のオッサンが慣れない動きをするからそんなことになるんですよ。毎朝ランニングでもして鍛えておくこと、オススメします。

そんな緒方さんを尻目に私は碁会所の出口に向かう。扉の前で、私は振り返り塔矢名人を見据える。

 

「私と対局したければ、数年後。名人戦にてお相手します。それまで名人位を奪われないように頑張ってください」

 

そう言い残し、碁会所を去る。

 

「……はあ」

 

カチンと来たとはいえ、現名人に喧嘩を売るなんてちょっとばかりやり過ぎたかもしれない。

いや、でも名人が悪いよね?

だって私に対して石を置けなんて。それも3子も。完全にこちらを見下してないと言えない発言だ。

 

名人が傲慢になるのは仕方ない、偉いから。

でも私を軽んじるのは許せない。塔矢名人に名人としての矜持があるというなら、私にだって碁打ちのプライドがある。前世ではタイトル挑戦者にすらなれなかった私だけど、それでも必死に研鑽を積み、女流最強と言われるまでに至ったのだ。その私が軽んじられるというのは、前世で斃してきた棋士たちを軽んじられると同義でもある。

だから、タイトル保持者に上座は譲っても、置き石なんて置かない。それだけは譲れない。

 

「塔矢行洋。許すまじ……」

 

棋士ならば誰しも心の中に持っているという『絶対に許さないリスト』に塔矢行洋の名前を書き加えつつ、私は帰路についた。

 

 

***

 

 

それから数日後。学校。

 

「なあ、あかり。今日、ウチに来ないか?」

「……え?」

 

私はヒカルにそう誘われた。周りにいた女友達たちがキャーと盛り上がる。

 

「ヒ、ヒカル? どうしたの、急に。……も、もしかして、親が家にいないとか?」

「いや、母さんは普通にいるけど」

「じゃあ、なんで?」

「ああ。昨日、碁盤が届いたんだ。あかりのより良いやつだぜ」

「へー」

 

なんだ、碁盤を自慢したかっただけか。

 

そんな訳で、私は放課後ヒカルの家に行く。2階のヒカルの部屋の真ん中には、確かに立派な足つき碁盤が鎮座していた。

 

「じーちゃんに碁盤ねだったら『ワシに勝ったら本榧(ほんかや)の足付き碁盤を買ってやる!』って言ったから佐為の力借りたんだ。結局、本榧は勘弁してくれって言われて新榧ってやつの碁盤になったんだけどさ。じーちゃんビビってたぜ」

「そりゃ、ビビるよ」

 

孫の相手をしたと思ったら中身は本因坊秀策である。ヒカルのおじいさんだってそれなりの実力者のはずなのに、囲碁はじめたての孫にこてんぱんにされて、新榧とはいえ立派な足つき碁盤まで買わされて……不憫だ。

 

「ところでヒカル、この前は『囲碁やめるかも〜』とか言ってなかった?」

「だって、囲碁打ってやらねーと佐為がうるせーんだもん。まあ、もう塔矢と打つつもりもねーし、オレはオレのペースでやってみるよ」

「そっか」

 

まったく、人騒がせな。

しかし、これで私とヒカルの囲碁での絆は辛うじて繋がった。佐為さんはさしずめ恋のキューピットってところかな? 本人はそんな気さらさらなくて、ただ単純に碁が打ちたいだけだろうけど。

 

「あれから佐為に教えて貰ってさー。ルールくらいはちゃんと分かるくれーにはなったんだぜ」

「へぇ。じゃあヒカル、私と打つ? 指導碁してあげるよ。初心者なら置き石は25子でいい?」

「置き石ってハンデだろ? いらねーよ、そんなの。タガイセン?ってやつやろーぜ」

 

いや、流石に私とヒカルが互先は手合い違いにも程があるでしょ……と思ったが、先日の塔矢名人相手に置き石でキレた手前あまり強く出れない。

結局、ヒカルの希望通り互先で一局打つことになった。

 

まあ、指導碁の勉強だと思えばいいか。

できるだけ相手を正しい筋に導いて……て、ダメだこりゃ。

 

ヒカルは本当にルールを知っているだけらしい。

定石も布石も筋もなにもない。めちゃくちゃだ。シチョウも知らないらしく、放置すれば死ぬ石にも気づかない。

 

これを指導碁ってどうすれば……うん?

 

ヒカルの打つ手の中に、なにか異質な輝きを感じた。

どう考えても悪手。だけど、深掘りすれは何か見つかりそうな……。

 

「おいあかり、早く打てよ」

「え?……あ、ごめん」

 

ヒカルに急かされて、私は慌てて打つ。しまった、かなり甘い手を打ってしまった。ヒカルは何か感じ取ったのか「……ん?」と手を止める。だけど正しい応手までは思いつかなかったらしく、少し考えたのち悪手を返してきた。

 

私は少しホッとしたのち、ブンブンと首を振る。

相手が弱くて安心するなんて、碁打ちとして失格だ。

 

ヒカルはまだ棋士としての実力は全くない。

だけど、盤面を感覚的に捉える嗅覚は優れているのかもしれない。

 

忘れかけていたけど、ヒカルは『ヒカルの碁』の主人公なのだ。囲碁を題材にした漫画の主人公なのだ。

だったら、なにかしらの囲碁の才能があってもおかしくない。ていうか、ないとおかしい。ただ佐為さんの操り人形になるだけの漫画が、囲碁ブームを起こしかけるほどの人気作になるはずがない。

 

投了の判断もまだ出来ないヒカルは結局最後まで打ち、数えるまでもなく私の圧勝。

ヒカルは悔しがっていたが、佐為さんの言いなりではなく自分で囲碁を打ったことにどことなく満足げな表情を浮かべていた。

 

「オレ、中学で囲碁部に入ろーかなー。あかりも入るんだろ?」

「うん。中学の大会で全国優勝するのが、お母さんと約束したプロ試験を受けるための条件だからね」

「そっか、プロか……」

 

ヒカルはそう呟くと、真剣な目で私を見つめた。

 

「あのさ、あかり」

「な、なに? ヒカル?」

 

まさか告白?……なわけないけど、ちょっとドギマギしてしまう。

 

「あかりには佐為みたいな幽霊って見えていないのか?」

「え?」

「あかりだって、囲碁を始めたのは最近の筈だろ? それなのに塔矢より囲碁が上手いなんて、なにか……幽霊かなんかが見えてるんじゃないかって、そしたらオレだけが惨めなワケじゃないって思ってさ」

「ヒカル……」

 

やっぱり、まだそのことを気にしていたんだ。

少しの沈黙。私は決意する。

 

「幽霊は見えてないよ」

「そっか、やっぱりオレだけ……」

「でも私、前世の記憶があるの」

 

私は秘密を告白することにした。

 

「前世?」

「うん。前世の私はこことは違う、でもよく似た世界で囲碁のプロ棋士だったの。私はタイトルを取りたかったんだけど取れなくて、無念のまま死んじゃって……気づいたら、藤崎あかりに生まれ変わったの」

 

もしかしたら、今までの私とヒカルとの関係を壊しかねない告白。

だけど、佐為さんに関するヒカルの秘密を知っている私が、このことを黙っているのは不誠実な気がした。

それに……ヒカルには私の全てを知ったうえで、ありのままの私を好きになってほしい。だから……!

 

「そっか……オレ全然気づかなかったぜ」

 

ヒカルは笑う。私はほっと息を吐く。

 

「前世の記憶を思い出したのはつい最近だからね。ヒカルが佐為さんと出会う1週間くらい前かな」

「ああ。そーいや最近のあかりなんかヘンだったよな。たまにちょっとキモいってゆーか」

「キモ……!? 乙女に向かってなんてこと言うの、ヒカル! もう、ほんっとデリカシーないんだから!」

 

私が怒ると、ヒカルは天井を見つめながら呟く。

 

「しかし、前世かぁ。オレにも前世ってあるのかな?」

「たぶん、思い出せないだけで誰にでもあると思うよ。私だけ特別ってのもおかしな話だし」

「テレビとかでも前世とかの特集ってたまにあるしなぁ。ザ世界吃驚ニュースとか」

「んー、……まぁ、そうだね」

 

テレビなんて眉唾だと思うけど、自分が言っていることもテレビレベルのトンデモなので否定できない。

 

「あのさ……オレが囲碁上手くなりたいって言ったらヘンかな? もちろん、塔矢やあかりに勝ちたいとかそこまでじゃなくてさ、ただ、塔矢やあかりの打つ碁がどれだけスゲーのか、分かるようになりたいんだ」

「別に、ヘンじゃないよ。でも、やるなら私や塔矢くんに勝つくらいのつもりでやらないと。それくらい本気でやらないと、一生かかっても碁の奥深さは楽しめないよ」

「……そっか。そうだよな。うん、やってやる。せっかく、佐為やあかりなんて強えーやつが近くにいるんだもんな」

「うん。私でよければいくらでも教えてあげるから、頑張ろ」

 

そうして、紆余曲折ありながらもヒカルは囲碁の道を歩むことになった。

 

それから半年。

 

私と佐為さんの指導、そして何よりヒカル自身の才能もあいまって実力はぐんぐんと伸び、この短い期間でアマ初段レベルの棋力に。

目下の目標だった阿古田さんも倒し、その成長ぶりは囲碁教室の白川先生を驚かせた。

 

そして、季節は移り変わり。

 

葉瀬中学の入学式。

校門の前で記念写真を撮る私の隣にはヒカルが並んでいた。

 

「学ランを着てるヒカル、大人っぽくてカッコいいね」

「は? な、なに急にヘンなこと言ってるんだよ、あかり……!」

 

ヒカルは顔を真っ赤にして言う。その瞬間を、お母さんがパシャリと写真に収める。ナイスタイミング。これは秘蔵のヒカルアルバムが潤いますなー。あとで焼き増ししてもらお。

私はムフフと笑みを浮かべながらヒカルのほうを向く。

 

「ねー、ヒカルも私に言わなきゃいけないこと、あるんじゃない?」

「言わなきゃいけないことって、なんだよ」

「ほら、ヒカルのこと褒めたげたんだから、私のことも褒めてよ。制服似合う? 可愛い?」

「……まぁ、いいんじゃねーか?」

 

そっぽ向いて頬をぽりぽり掻きながら、ヒカルはぼそりと呟く。

うーん、ヒカルに可愛いって言って欲しかったけど、照れてるヒカルが可愛いのでヨシ。ついでに照れヒカルのこともお母さんが写真に撮ってくれたので尚ヨシ。

 

「あ、桜」

 

私の肩に、ひらひらと桜の花びらが舞い落ちる。

晴天の祝福を受けながら、私は二度目の中学生活をスタートさせる。

といっても、前世の中学時代は囲碁漬けの毎日でほとんど記憶にないんだけど。だからこそ、今世では思いっきり楽しみたい。もちろん、囲碁が第一なのは変わらないけど。

 

取り敢えず、目下の目標は囲碁部で全国優勝すること。それがプロ試験を受けるための条件。

私の棋力なら問題ない筈だけど、囲碁に絶対はない。中学の大会なら、元院生だっている筈。負ける可能性は僅かにある。

 

私の戦いは、まだ始まってすらいない。

*1
流石にそれは言い過ぎ

*2
というわけではなく単に相手がいなかっただけである




いろいろあって遅くなりました。推敲不十分かもしれないので、何かミスがあればすみません。
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