ハリーポッターと花曇の魔女 作:madなサイレント
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間章 それぞれの人から見たパチュリー
ハリーには不思議な親友がいた。
綺麗な紫色の髪に儚い雰囲気の顔。透明感のある肌。
本当に学校で学ぶ必要があるのだろうかと疑いたくなるほどの魔法能力。
それらを持った友人がいる。
当然パチュリーだ。
はじめ、ハリーはパチュリーが気に食わなかった。
自分は魔法界を救った英雄だと、はじめのうちはチヤホヤされていたのに、すぐに実技で頭角を現したパチュリーに周囲の興味は向かった。
自分が気に食わないマルフォイとやっていることが同じだと言われたのも原因だ。
それでも、仲直りをして、様々な冒険を共にした。
賢者の石をクィレルに渡しているのを見た時は裏切られたと思い、つい怒ってしまったが、それすらも自分を守るための行為だった。
秘密の部屋でリドルと対峙した時も、パチュリーがいなければロンも自分も殺されて、ジニーを救うことはできなかっただろう。
数日後にパチュリーが実は300歳近くだと言われ、自分らと同じくらいだった背丈が17歳だと思えるほどにまで成長していたのには驚いた。
さらにうれしいことに、あのとてもつまらなかった闇の魔術に対する防衛術の授業が、ロックハートからパチュリーになった途端、びっくりするほど面白くなった。たちまち、ハリーが一番好きな授業となったほどに。実際に闇の魔法、闇の生物と対峙するとはどういうことかをわかりやすく、そして安全に体験させてくれたり、それに対抗するための魔法をわかりやすく、理論的に説明してくれたのも大きいだろう。さらに理論がわからなければ、分かるまで何度も説明してくれたし、感覚的に覚えれるものは感覚的に習得できる方法を惜しみなく教えてくれた。来年も、闇の魔術に対する防衛術の先生を担当すると聞いて嬉しくなったのは自分だけではないだろう。
その後、誘われて夏休みの間滞在することになったパチュリーの家は以前、マルフォイが自慢しながら写真を見せていた館なんかよりもよっぽど品がよく、大きくて綺麗で、それでいて歴史を感じさせるものだった。
普段入ってはいけないと言われている部屋に、ルーピン先生と一緒に入った時、ホグワーツの図書館なんて目じゃないほどにたくさんの本が詰まった図書室が広がっていた。パチュリーが自分の家のことを”ヴワル魔法図書館”や”大図書館”と言っているのも納得でしてしまう、とてつもない大きさだ。ハーマイオニーが知ったら一生そこに住み着いてしまうのではないかと思ったほどだ。
今年も親友兼先生にしてもらえる授業や冒険がとても楽しみだった。
ロナルド・ウィーズリーにとってパチュリーはつかみどころのない人だった。
初めて話した時、マルフォイと同類だと言われ、スリザリンに行ってしまえと心の中で何度も唱えたが、結果はグリフィンドールだった。
グリフィンドール嫌いで有名なスネイプにも気に入られている様子だし、あの大っ嫌いなマルフォイとペアを組んでいたり、なんであいつがスリザリンじゃないんだろうと何度も思った。
いつしか、そんな認識はなくなったが、それでもなお、少し苦手だった。
何と言うか、隠していることが多すぎると感じたのだ。
僕は、生粋の魔法族だ。血筋を自慢する気はないが、生まれたころからずっと魔法を見てきた。
そんな僕は使えない魔法は多くても知らない魔法はほとんどなかった。
なのにパチュリーが使う魔法は知らないものばかりだ。
杖を使わずに本で魔法を使っているのを見た時は、自分の常識が崩れていくのを感じた。
それでも話せば話すほどいいやつだと思うようになった。
賢者の石を守りに行った後、事の顛末を聞いたとき、確信に変わった。
ハリーや先生すら敵に回すことを厭わないで、ハリーのことを守って見せたのだ。
自分の家に招待して、一緒に過ごしている間、宿題をこなしているとき、分からないことは丁寧に教えてくれた。
それがびっくりするくらいわかりやすく、一緒に住んでいるというコアトルが羨ましくなったほどである。
あの宿題をしているのを見たことがないジョージとフレッドが宿題を終わらせたことにも驚いた。
何より、2人の成績だ。ジョージとフレッドは成績が悪く、いつもママに怒られていたけれど、今回は何と平均以上だったのだ。
詳しく聞いてみるとパチュリーが教えていたらしい。あのわかりやすさだったらそれも納得だった。
2年生の授業が始まって、ギルデロイ・ロックハートの闇の魔術に対する防衛術の授業を受けてから、パチュリーの教え方のうまさが際立った。パチュリーが先生になればいいのにと何度も願った。
ハーマイオニーとコアトルが石になった時の憔悴具合はかわいそうになるほどだった。
それほどまでパチュリーにとって2人は大切な人だったのだろう。
ハリーとパチュリーと3人で秘密の部屋でジニーの救出をした時も、パチュリーが友達でよかったと何度も思った。
あのヴォルデモートとの魔法戦闘で自分たちをかばいながら、それでも有利にことを進めていたのだ。
とても心強かった。ハリーはバジリスクに追いかけまわされていたから知らないかもしれないが、僕はジニーを守るために部屋の隅で見ていたから知っている。パチュリーとヴォルデモートの魔法の打ち合いは終始、パチュリーが圧倒していた。
僕の友達は凄いんだぞと自慢したくなるほどだった。
ロックハートが教師を辞めさせられて代わりにパチュリーがなった時、僕ほど喜んだ人はいないと思う。
聞けば来年度も先生を続けるらしい。
ロンは初めて、授業が楽しみだと思った。
ハーマイオニーにとってパチュリーは目標とするべき魔法使いである。
呪文の正確さや、状況に応じて使う魔法を選ぶ能力。自分の魔法を作り出し、それを使いこなす能力。
それらすべてが優れていた。
ロンとハリーは嫌っていたようだが、彼女は凄い魔女だ。
トロールから守ってくれた時もそうだった。
彼女は正確に魔法を使いこなしトロールを倒してしまったのだ。
ロンとハリーとも仲良くなっているのを見て少しうれしくなった。
試験が近づいているのに、まるで自分は余裕だとばかりに、関係のない本を読んでいるのには腹が立った。
私はパチュリーが読んでいる本を図書館で見たことがなかった。出所も気になったが、何よりもその内容だ。
内容はさっぱりわからない。ものによっては文字すらわからないものもあった。
悔しかった。
試験で絶対に勝ってやると意気込んでいる自分が馬鹿みたいだと感じた。
彼女に無理やり試験の勉強をさせようとしたときも拒否された。
賢者の石の騒動が終わった後、彼女の頭の回転の速さにも驚いた。
しかし、試験で負けた悔しさのほうがはるかに勝った。
すべての科目で2倍以上の差をつけられて負けたのだ。
実技のある教科で負けるのはまだしもどうして歴史で250点以上も取れるのだろう。
それでも、絶対に勝つことはできないとわかり、嫉妬の気持ちはなくなった。
残ったのは尊敬だった。
偉大なロックハート先生をボロボロに言っていることは許せないが、彼女ほどの魔女がロックハート先生をペテン師だと言っているのには何か理由があるのだろう。
決闘クラブで見せたコアトルとの戦闘には心が躍った。
自分もいつか、あれだけ自由自在に魔法を使えるようになりたいと思った。
パチュリーの状況判断能力は自分が思っているよりもすごいのではと思った。
しばらくしてバレンタインの日。ロックハート先生のサプライズを排除した時の彼女の魔法に見とれてしまった。
ロックハート先生が貶されているのも気にならないほどすごい魔法だった。
自分が石にされ、目覚めた後、パチュリーが300歳でしかも見た目も大きく変わっていたことには驚いた。ロックハート先生がしてきた非道な行いを聞かされ、ロックハートの代わりにパチュリーが授業をすると聞いたときには心が躍った。
そして私の期待を裏切ることなく、彼女の授業は素晴らしいものだった。理論がとても分かりやすいのだ。理論ではわからない生徒には感覚で教えているのもすごいと思った。来年も先生をすると聞いたときには一層来年の授業が楽しみになった。
ミネルバ・マクゴナガルには気になっている生徒が一人いた。
その生徒は初日に自分でもできないほど高度な変身術を使って見せた。
授業でも、マッチ箱を神獣に変えて見せた。これほどの生徒を見るのは初めてだった。
彼女は偉大な魔法使いになる。そう思った。彼女に自分の知っていることをすべて教え立派な魔法使いにしてあげよう。
そんな考えが打ち消される事件が起こった。ホグワーツにトロールが侵入したのだという。
その事件で、彼女は私の知らない魔法を使って見せた。
その魔法は闇の魔術に分類されている悪霊の火に酷似していた。
アルバスに彼女はブラウンシュヴァイク家の生き残りかもしれないと言われたとき、私は彼女をさっさと学校から追い出すべきなのではないかと考えてしまった。
私はかつて一冊の本を読んだことがある。
アーレー・ブラウンシュヴァイクという人物が1000年以上前に書いたとされている本だった。
その本にはありとあらゆる魔法理論が書かれていた。
私はたちまちその本の虜になった。禁書であるにも関わらず。
始めは何故禁書なのかわからなかった。その本はどんな教科書よりもわかりやすく魔法のことが書いてあった。
しばらく読み進めていくうちになぜかわかった。わかってしまった。
その人物は死の呪いを創り上げてしまった人物だった。
それも、本の内容を読んでいる限り、まったく悪びれた様子もない。
この人のせいで苦しみながら死んでいく人が歴史上大量に出たのかと思うと許せなくなった。
彼女はそんな呪いを創り上げた一族の末裔かもしれない。
こんなことを考えるのはよくないことだと思う。
でも、そう思わずにはいられなかった。彼女は危険だと。
賢者の石を守るためにポッターに同行して彼女と少し戦った。全く相手にならなかったのだ。この私が。
反対呪文を唱えるわけでもなく、ただ盾の呪文や、結界で私の魔法をかき消されただけだった。
賢者の石の一件での彼女の行いは正しい。それは分かっている。
けれど彼女も本質はアーレー・ブラウンシュヴァイクと変わらないのではと思ってしまう。
姿現し以外の手段で学校に登校してきたときはそれを確信した。
自分らの知らない移動手段を持っている。
これは好きなところに好きなだけ移動できるということだ。本来姿くらましが使えない場所でも。
彼女を退学させるべきだ。
そう主張してしまうほどに私は彼女を危険だと感じた。
疑心暗鬼になって1年を過ごした。
秘密の部屋での騒動が終わり、彼女から彼女の生い立ちや考え方を聞いたとき、そんな疑念は晴れた。
彼女はヴォルデモートを許せない存在だと考えていた。
それだけで救われた気がした。まぁ、そのあと聞いた内容が衝撃的すぎたけれど。
そして彼女が教師となり、同僚になると聞いたとき、心強いとも感じた。
そして、たちまち彼女の授業は人気になった。
一度動物もどきになって授業を覗きに行ったとき、あの面白さであのわかりやすさならば納得だと思った。
動物もどきになっていたのにも関わらず、目が合って、にっこりと笑われたときは少し怖かったけれど。
来年、自分の教え子だったリーマスと一緒にやる授業はさぞいいものになるだろうと年甲斐もなく心を躍らせた。
ああ、早く新学期が始まってほしい。