ハリーポッターと花曇の魔女 作:madなサイレント
初めての飛行訓練をした日の夜。大広間にて。いつもの如く、ドラコとハリーは口喧嘩をしていた。
本を読んでいるからよそでやっててくれないだろうか。
「ポッター!最後の晩餐かい?マグルのところに帰る汽車にはいつ乗るんだい?」
マルフォイの挑発にハリーは冷たく返す。
「空じゃ手も足も出なかったのに、随分と饒舌じゃないか。おつむの弱い友達と、グリフィンドールの裏切り者がいるからかい?」
おつむの弱い友達とはクラッブとゴイルだろうか?
となると、グリフィンドールの裏切り者は私だろうか?解せぬ。解せぬ。大解せぬ。
するとドラコはニタニタと笑いながら返す。
「僕一人でいつだって相手をしてやろうじゃないか。ご所望であれば今夜でも構わない。魔法使い同士の決闘だ。杖だけで相手に触れてはいけない。おっと、どうかしたかい?マグル育ちの君には魔法使いの決闘なんて聞いたこともないんじゃないのかい?」
するとハリーは少し困った顔をしていたが横のロンが
「勿論知っているさ。僕が介添人をやろう。そっちは誰だい?裏切り者か?」
なんでこう、いちいち他人をあおることをするんだろうか。絶対今、関係なかっただろうに。
「クラッブだ。時間は真夜中。場所はトロフィー室にしよう。いつもあそこは鍵が開いているんでね」
そう言い残したドラコはスリザリンのテーブルへと向かっていく。
「魔法使いの決闘って何だい?君が僕の介添人ってどういうことなのさ?」
ハリーはマルフォイが去ったことを確認してからロンに聞く。
「魔法使いの決闘は、魔法を使って相手を戦闘不能にする決闘のことさ。介添人ってのはもし決闘で君が死んだら、僕が君の代わりになってその試合の続きをするという意味さ。」
それを聞くとハリーは真っ蒼になって
「そんなもんなんで受けたのさ」
とパニックになっている。ロンはそんな様子のハリーを見て慌てて付け足した。
「死ぬのは本当の魔法使い同士が本当の決闘をするときだけだよ。君とマルフォイだったらせいぜい火花をぶつけ合う程度さ。君だってマルフォイに本当にダメージを与えるような魔法は使えないだろう?それは相手も同じさ。あいつ、きっと君が知らないから断ると思ってたんだろうよ」
ロンがそういったがハリーはまだ不安そうだ。
「もし、杖を振っても魔法が使えなかったらどうしよう」
「杖なんか捨てちまえ。顔にパンチでもおみまいしてやれよ」
いや、授業で習ってるんだからもう少し頑張れよ。
するとハーマイオニーがどこからともなく現れ二人に話しかける。
彼女も二人から相当嫌われているだろうに...
「あなたたち、本当に行くつもりじゃないでしょうね?」
「また君か。ここは落ち着いてご飯も食べれないのか?」
そんなロンの軽口は無視してハーマイオニーは続ける。
「夜、寮を抜け出すのは絶対にダメ。先生に見つかったら何点減点されるかわかったもんじゃないわ。あまり自分勝手なことはしないようにね」
「余計なお世話だ」
ハリーがそう言うと席を立つ。ロンもそれに続いた。
「パチュリーからもなんか言って!このままだとグリフィンドールからまた減点されるわ」
「なんだい、スリザリン野郎。君も盗み聞きかい?いい性格しているね」
なぜか話を振られた。まぁ思ったことを率直に言うとしよう。
「野郎じゃないわ。私が先に座ってて後からあなたたちが来てドラコと話し始めたんでしょうに...とりあえず、あの誘いはどう考えても怪しいわ。決闘の真似事であれば今から外に出てしてくればいいじゃない。場所もあなたたちじゃなくてドラコが決めたわけだし。真夜中っていうのは怪しすぎる。ドラコもそんなに馬鹿じゃないと思うわよ」
「どうせ言っておいて来なかった僕等を明日のあさマルフォイと一緒になってコケにするんだろう?行こうぜハリー」
「一応、忠告はしたわよ」
私はそう言い残して、夕食を再び食べ始めた。
「なんでもっとしっかり止めなかったのよ!減点されるかもしれないのよ!」
「あれはもう何を言っても無駄だと思うけれど...私の言うことなんて聞かなそうだし。止めるんだったら頑張ってね」
そうして私は再び本を読み始めたのだった。
その日の夜。
ほとんど人がいなくなったグリフィンドールの談話室で。私は自分の魔導書に新しい魔法を加える作業をしていた。
するとハーマイオニーが下りてきて私に話しかけてきた。
「パチュリー!ちょうどよかったわ。あの二人を止めるのを手伝って」
「面倒だから私はパス。せいぜい痛い目を見てくるといいわ」
また20分くらいたったころ、男子寮から案の定、二人が下りてきた。
ハーマイオニーは信じられないとばかりに大声を上げた。
「ハリー、まさかあなたがこんなことをするたんて!」
「また君か!ベットに戻れよ」
ハーマイオニーの忠告は彼らからしたら鬱陶しいものだったらしい。ロンはハリーに「行こう」と言ってそのまま出て行ってしまった。だがハーマイオニーはあきらめなかった。
そのまま二人に忠告をしながら外へ出ていく。談話室まで声が聞こえてくる。あの様子では相当廊下に響いているのではないだろうか。なんというか、本当に呆れたものだ。
そして私が魔導書の追加、改良をすること1時間。再び3人が戻ってきた。その後ろにはなぜかネビルの姿もあった。全員が青ざめた顔をしていて、談話室に入った途端、安堵のため息をついた。
「あんな怪物を学校に閉じ込めているなんて!」
「この世に運動不足の犬がいるとしたならまさにアイツだ!」
なんて叫んでいることから察するに、あの賢者の石を守る最初の番犬のことだろう。
学生であれに立ち向かうなんてやるわね。
「お帰り。その様子だとドラコは来なかったようね。それとも逃げてきたの?」
「ッ!...パチュリー。君は一体どっちの味方なんだい?マルフォイの味方じゃないのかい?」
「そもそもなんで私がどちらかの味方をしないといけないのよ。どちらにも友達なんていないのに」
するとハーマイオニーの顔色がさらに悪くなった。
「ッ、私もう寝るわ!」
「冗談でもありゃきつぜ、パチュリー。ハーマイオニーは君以外話す相手もいなんだから」
ロンの言っている意味がよくわからなかった。
「そう。だったらあなたたちがなってあげればいいじゃない。私ももう寝るわ。おやすみ」
それからまた数週間後、ハロウィンの朝。
あの夜の決闘騒ぎ以降、認識を改めたのか、ハリーとロンの私への対応がましになった。
ハリーはマクゴナガル先生からニンバス2000という箒をもらい、本格的にシーカ―として練習をするようになった。
また、ハリーとドラコの仲はもうどうしようもなく悪くなっている。
なんにせよ、今日の夜はパーティーらしいのでかなり楽しみである。
パチュリーたちは今、妖精魔法の授業を受けている。
担当のフリットウィック先生がそろそろ浮遊魔法の練習をしようといったことにより、さらに盛り上がる。
「いいですか。ビューン、ヒョイですよ。呪文を正確に、これもまた大切ですよ。覚えてますね?」
私はハリーとペアになって練習することとなった。
ハリーが一度やってみて失敗してしまっていた。
「ハリー。杖はもっと小さく振ったほうがいいわよ、それと発音も少し違うわ。そこを意識してやってみるといいと思うわよ」
「わかった。やってみる」
するとハリーが魔法を掛けた羽は30センチほど浮かんだ。
「本当だ!浮かんだよ。ありがとう」
「どういたしまして」
そして授業が終わった後、泣いたハーマイオニーが教科書を抱えて廊下を走っていく。
「...ロン、いくら何でも男が女の子を泣かすのはどうかとよ思うわよ」
「ふん。あんな悪夢のようなやつのことなんて知ったこっちゃない」
そしてハーマイオニーはそれ以降の授業に来ることはなかった。
同室のパーバディが言うには地下のトイレで泣いているらしい。
パチュリー自身も、ロンに言われた後気付いたが、ハーマイオニーに友達ではないと言ってしまったことを気にしていて、夕食の時間になっても食べに来ないようだったら部屋にご飯を持って行って探しに行こうと思った。
その後の授業にもハーマイオニーは来なかった。
そして夕食の時間。
「やっぱりハーマイオニーは来ないわね」
そう言って、彼女に分ける分と自分で食べる分のご馳走とパンプキンパイをとりわけて鞄の中に入れて、彼女を探しに行く。
パーバディの話では地下のトイレにいるはずなので、地下にあるトイレをしらみつぶしに回っていく。
この城は広すぎるのだ。
そうしていくつめかの女子トイレから泣き声が漏れているのが聞こえ、そこにいるのだと確信する。
トイレの扉を開け、泣き声のする個室の前に立ち、ゆっくりとトイレのドアをノックする。
「ハーマイオニー?いるんでしょう?」
泣き声が収まり、鼻をすするような音が聞こえる。
「パチュリー...何の用よ?こんなところまで」
「そのまま返すわ。あなたこそこんなところで何しているのよ」
まぁ、どうしてこんなところで泣いているのかは知っている。
「何でもない!ほっといてよ」
そう言ってドンッ!という音がした。どうやら個室の扉を叩いたらしい。
「...ハーマイオニー、ごめんなさい...」
「何よ。何がよ!」
「......友達でもないなんて言って」
「...」
「私ね、8歳の頃両親が死んで、それ以降家から一歩も出ることなく、使用人としか話したことなかったのよ。だから...その...友達ってのがわからなくて...ごめんなさい」
「...」
「だから、もしよかったら私と...友達にならない?」
「っ!、うん!」
そう言ってハーマイオニーはドアを開けた。彼女が友達になってくれたことに対して心が暖かくなるのを感じる。存外、自分もさみしがり屋なのかもしれない。
「ほら、やっぱり泣いているじゃない。ロンの言葉は気にしないほうがいいわ。彼だって本当に悪夢のような奴なんて思っているわけじゃないだろうしね」
「そんなことないわ!いつも、いつも...だって...」
「あなただって、もし私が”あなたの勉強方法は間違っている。全く身につかない”なんて言ったら怒るでしょう?それとにたようなものよ。きっと」
そういいながら彼女の頭をなでる。私よりもまだ少し身長の低い彼女は私に抱き着いてまた泣き始めた。それでも、その顔は何処か嬉しそうだった。
「ねぇ、ハーマイオニー。今から寮の部屋に行かない?あなたと食べるために少しとってきたの。もう大広間のご馳走も大体食べられてしまっているでしょうし」
「わかったわ、でももう少し待って。もうちょっと落ち着きたいから」
「了解よ」
そうしてそのまま30秒ほど経った後、入り口からひどい悪臭がしてきた。
扉のほうを見ると、なんとまぁ、そこには4メートルもあるようなトロールがいたのである。
「ひぃッ!...なに、あれ...」
ハーマイオニーは後ずさりながらしりもちをついた。
ハーマイオニーを魔法で浮かせてさっさと連れて帰ろうとしたその時、いきなり廊下への扉が閉まった。
それで完全にパニックになってしまったのか、ハーマイオニーは甲高い悲鳴を上げる。
「っチ。あの小僧ども、余計なことしやがって」
その悲鳴を聞いたのか再び扉があき、ハリーとロンが入ってくる。
「ハーマイオニー!」
ロンがそう叫んで、呪文を唱える。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
ロンの魔法は成功し、トロールの握っていたこん棒が浮き、トロールの頭の上で魔法をやめて、頭に当てて気絶させた。
そして私は...
「あなたたち、本当にろくなことしないわね!どうしてこんなところにいるのよ!あのトロールは何!」
「え?パチュリーも学校にトロールが侵入してきたことを伝えるためにハーマイオニーを探しに来たんじゃないの?」
とハリーが聞いてくる
「ロンがハーマイオニーを泣かせてそのまま放置しているから尻拭いしに来たのよ」
そんなことを話していると扉のほうから足音が聞こえ、破壊された扉からマクゴナガル先生とスネイプ先生、その後にクィレル先生が入って来た。
中の様子を見てマクゴナガル先生は驚愕し、
「一体全体、貴方たちはどういうつもりなんですか?」
マクゴナガル先生の冷静だが怒気をはらんだ声で聞いてきた。
「殺されなかったのは運がよかったからです。寮にいるはずの貴方たちがどうして、しかも女子トイレなんかにいるんです?」
特にハリーとロンを見て言った。
そして私が説明する。
「先生、ハーマイオニーが呪文学の授業の後、おなかを壊してトイレに籠っていたんです。夕食の時間になっても戻ってこなかったので心配になって私は見に来ました。そのあと、ロンとハリーがトロールが学校の中に入ったことを伝えるためにハーマイオニーを探しに来たわけです」
そう言うとハリー、ロン、ハーマイオニーは驚いたように私を見た。庇われるなんて思ってもいなかったらしい。
「そうですか。ミス・グレンジャー。まだ体調がよくないようでしたら早く寮の自分の部屋に戻りなさい。」
そう言われると彼女は自室へ向かって歩いていき、トイレの外に出た。
その時、パチュリーが恐れていたことが起こる。
「問題は貴方たち3人についてで...ポッター!ウィーズリー!」
気絶していたトロールが目を覚まし、ハリーとロンに向かって殴りかかってきたのだ。二人はトロールに背を向けていたからか気付かずに、先生方も反応に遅れた。このままだと二人とも死んでしまうだろう。パチュリーがいなければ。
「火符"アグニシャイン"」
パチュリーの魔導書が彼女の意思によって開かれ、トロールの立っている場所から火の渦が発生した。それも10秒もすればトロールを消し炭にしてしまうような火力で―パチュリーがすぐに効果を切ったためそんなことにはならなかったが―。それを見て驚いていた先生たちが固まっていた。
「ふう。危ないところだったわね。警戒していてよかったわ」
「み、ミス・ノーレッジ、今の炎は...?」
「私のオリジナルの魔法ですが何か?」
「い、いえ、何でもありません。やはりあなたたちは運がよかった。野生のトロールに勝って、しかもあのような強力な魔法まで使って戦うことのできる魔法使いはそう多くありません。よって二人には5点、ミス・ノーレッジには15点をあげます。このことはダンブルドア先生に報告しておきます。さぁ、帰ってよろしい」
それを聞いて3人は寮へ向かって歩き出す。
途中2人に何度もお礼を言われて少しうんざりしたのはここだけの話だ。
部屋に戻って友達となったハーマイオニーと一緒に夕食を食べるのが少し楽しみだった。
sideダンブルドア
トロールが学校に侵入し、それをパチュリーが対処した後、校長室で報告がされていた。
「それで、ミス・ノーレッジの使った魔法が何か、分かったのかの?」
そう目の前にいるミネルバとセブルスに聞くと
「いえ、私の見たことのない魔法でした。見たところ、彼女が杖を振っているようには見えませんでした」
「吾輩も知らない魔法のようでした。ただ、闇の魔術というわけではなさそうです」
「アルバス、彼女はいったい何者なんです?授業でも世の中の魔法使いのほんの一握りしかできないようなことを平然とやってのけています。あなたも変身術の教師であったのならわかると思いますが、初回の授業で彼女はマッチの箱を神獣に変えました。こんなことは学生でできる者などいるはずがありません。それも入学したての一年生がです」
「彼女に関してはわしにもよくわからん。彼女はどうやら森の奥に住んでいるらしい。それも強力な認識阻害の掛かった。その森は300年ほど前、最強の魔法使いの一族と呼ばれたブラウンシュバイク家最後の男が失踪して以来、だれも近づいておらん。しかし、去年その森から人の魔力を感知したんじゃ。しかも若い。だから彼女が年相応の子供であるのは間違いないと思うんじゃが」
「ならよいのですが」
「まぁ、彼女はわし等の敵になるような人物じゃなかろうて。わしの勘じゃがな。彼女はしばらく様子見としておこう」
「わかりました。それでは私たちはここで」
そう言って二人が出ていくのを見送った後、肘掛椅子に深く座り直し、
「パチュリー・ノーレッジ。おぬしはいったい何者じゃ?」
と一人つぶやくのであった。