ハリーポッターと花曇の魔女 作:madなサイレント
ホグワーツの生徒たちが待ちに待った、クィディッチの試合の日がやってきた。
どうやら今日はグリフィンドール対スリザリンの日らしい。
ここで少し、クィディッチについて説明しよう。
7人で1チームであり7対7で試合を行いう。ボール(?)は3種類あり、クアッフル、ブラッジャー、スニッチがあり、それぞれ1つ、2つ、1つである。
クアッフルは、特にこれと言って特殊なものではなく、相手チームのゴールに入れると10点となる。
ブラッジャーはクアッフルよりも一回り小さく、近くにいる選手に向かって飛んで、選手を落とそうとする。
スニッチは胡麻団子程度の大きさで広い会場を蜻蛉のような動きで高速で飛び回る。スニッチをつかんだらそこで試合が終了となり、つかんだ選手が所属しているチームに150点追加となる。
ポジションは4つあり
チェイサー3人、ビーター2人、キーパー1人、シーカー1人となっている。
チェイサーはクアッフルを投げてゴールをし、点数を取るポジションである。
ビーターは飛び回るブラジャーから味方の選手を守りつつ、敵に投げ返し、妨害をするポジションである。
キーパーはその名の通り、敵のチェイサーの投げたクアッフルをゴールに入らないよう、守るポジションである。
シーカーは飛び回るスニッチを捕まえるポジションである。
以上が大まかなクィディッチのルールだ。
ちなみにハリーがなったのはシーカーである。
魔法界で最も盛んで伝統的なスポーツであり、ワールドカップには魔法省の大臣が観戦に来るほどである。
しかし、パチュリーには関係のないことである。
クィディッチの日にはすべての授業や休みになり、ほとんどの生徒や先生が学校に建てられているクィディッチのスタジアムに向かい、試合を見ることになる。
パチュリーからしてみれば、一日休みができた、ラッキー程度の認識だ。
ロンやハーマイオニーに何度も見に行こうと誘われたが、魔導書の編集と魔法書の解読に忙しいので無理やり断った。
魔導書がもうじき完成しそうだという夕方、ハーマイオニーが走って部屋に入ってくる。
「パチュリー!スネイプだったのよ!」
「?何のこと?それにスネイプ”先生”でしょう?年上に対する礼儀は大切よ」
最も、本当は私も年上なんだけれども。
「あんな奴に先生なんて言う価値はないわ。試合中にハリーの箒に呪いをかけていたのよ!」
「へぇ、スネイプ先生が呪いをねぇ、何か証拠でもあったの?」
「試合中にハリーの箒をじっと見て、瞬きもしないでぶつぶつ何か唱えていたのよ。それは、呪いをかけているときの特徴なのよ!本で読んだもの!しかもスネイプは闇の魔術に対する防衛術の教師になりたいのでしょう?だったら彼が闇の魔術に精通していてもおかしくないわ」
「...仮にそれが事実だったとして、別の誰かがハリーの箒に呪いをかけて、スネイプ先生がそれを防ぐために呪文を唱えていたとかとは考えられないの?」
「そんなことないわ。スネイプはスリザリンの先生なんだもの。きっと勝たせようとしたに違いないわ。さらに、今スネイプは足を怪我しているでしょう?あれはダンブルドア先生が入学式の時に言っていた部屋にいるケルベロスにやられたに違いないわ。きっとそこで守られているものを盗もうとしているのよ」
「それはちょっと、推測がすぎるんじゃないかしら。そもそもなんであなたたちが四階の廊下の部屋に何があるのかを知っているのよ?」
「うっ...とにかく、スネイプには気を付けてね」
そうして再び部屋を出ていく。出ていくときにニコラス・フラメルがどうのこうのとか言っていたことから察するに教師の誰かがあの三人組に部屋で何を守っているのかを漏らしてしまったようだった。
またしばらく時は流れ、クリスマス休暇が終わったころ。
彼女は非常に上機嫌だった。久しぶりに図書館に帰って、こあとゆっくりできたためである。さらに魔法の研究も進み、どんな魔法の研究者でも喉から手が出るほど欲しがるような彼女専用の魔導書が完成したのである。最も、内容は非常に高度であり、現在の魔法界で最も難しいとされている古代ルーン文字よりも難しく、いまだ解読すらできていない神代ひらがなや原初日本文字で書かれている。さらに、強力な認識誤認の魔法がかけられており、パチュリーと同等以上の魔法使いでないと文字すら判別できないとんでもない代物だ。
周囲に花でも撒き散らかしているかのように幸せな彼女を見て多くの生徒が見とれてしまったのも無理もないだろう。
そんな彼女に談話室で話しかける生徒がいた。
ハリー達だ。ハリー達はいつも無表情な彼女がにこやかに笑っているのを見て多少面食らったものの質問をすることにしたらしい。
「パチュリー、少し聞きたいことがあるんだけど、今いいかい?」
「あらハリーじゃない。私に何か用なの?」
「博識な君なら知っているかもと思って...ニコラス・フラメルって人につて君は何か知らないかい?」
「ニコラス・フラメル?錬金術の権威じゃない。詳しく話しましょうか?」
ハリー達は驚いたような顔をしていた。自分たちが散々調べて回っても大した情報が出てこなかったのに、こんな身近にその答えを知っている人がいるとは思わなかったのだろう。
...おそらく、パチュリーはニコラスよりも賢者の石について詳しいだろうがひとまず置いておこう。
「やっぱり!最初からパチュリーに頼ればよかったんだよ。お願いしてもいい?」
「なによ、その便利屋みたいな言い方。べつにいいけど...ニコラス・フラメルで有名なのは錬金術よ。錬金術とは究極的には石を金にかえ、水を命の水に変える賢者の石を作成する学問よ。ニコラス・フラメルは世界で唯一その賢者の石をダンブルドア先生と創り上げたとされる人物よ」
「命の水?それは何だい?」
「調合して飲めば不老不死となれる水よ。現にニコラス・フラメルはそれを飲んでいま665歳になってるわ」
「驚いた!やっぱり最初からパチュリーに聞くべきだったんだ!」
そう言ってパチュリーから少し離れコソコソ話始める。が...声が大きくて内容が筒抜けだった。
「あの犬はフラメルの賢者の石を守っているんだわ。きっとフラメルがダンブルドアに石を守って欲しいと頼んだのよ!だって二人は友達みたいだし!フラメルは石が狙われていることを知っていたのね!」
「金を作る石! 不老不死の薬を作る石! スネイプが欲しがるのも無理ないな。誰だって欲しいに決まってる」
そんな3人に対して
「三人とも、フラメル氏、ダンブルドア先生、スネイプ先生よ。年上には敬意を払ったほうがいいわよ」
「へ?...もしかして聞こえてた?」
「はっきりと。全部ね。内緒話は人がいないところでしたほうがいいわよ」
パチュリーの初めて見る悪戯に成功した子供のような表情を見て、三人はしまったと頭を抱えて、このことを誰にも言いふらさないようにお願いしてきた。
それから数日。
今日はグリフィンドール対ハッフルパフのクィディッチの試合があったが、当然のようにパチュリーはいかなかった。
念のため競技場に闇の魔術が使えない結界を張っておいたが特に反応がなかったことから察するに誰も特に行動を起こさなかったのだろう。
しかし、その日の夕食を食べ終わり、寮に戻ろうとしている途中。
「パチュリー!ちょっといいかい?」
「今度は何よ。試合ではだれにも妨害されてなかったじゃない」
「そうだけど。...なんで試合にきてなかったパチュリーが知っているのさ...まぁとりあえず話を聞いてくれ!」
そう言って私を空き教室に連れ込む3人。
「それで、今度は何?」
「僕らは正しかった。やっぱり賢者の石を狙っているのはスネイプだったんだ。さっき箒を返しに行く最中に、禁じられた森の近くでスネイプがクィレルを脅しているのを見た。きっとスネイプはクィレルにフラッフィーの出し抜き方を知っているかって問いただしてたんだ。その他にも、不思議なまやかしがどうとかって話をしてた。きっとクィレルが仕掛けた闇の魔術に対する魔法の解き方を聞いていたに違いない」
それを聞いてロンとハーマイオニーは顔を見合わせ、ハリーに聞く。
「クィレルはスネイプに話してしまったの?」
「いや、抵抗していた。でも、スネイプは諦めきれていない様子だ。近いうちにまた話をしようと言っていた。あの様子じゃ長く持たないと思う」
「それじゃ、三日と持たないよ。生徒のクシャミにも飛び上がって驚くぐらいだ」
そうして議論がどんどんおかしな方向に進んでいる3人を手を叩いて静かにする。
「あなた達、少し落ち着きなさい。仮にその部屋で守られているものが賢者の石だとして、それを守っているのはケルベロスとクィレル先生だけじゃないんでしょう?それに、状況がそれほど深刻なのだとしたらクィレル先生はダンブルドア先生に相談するはずよ、だから大丈夫よ」
そう言って空き教室を後にして今度こそ寮の自室に向かった。
そして、それから数日が経ったある日、パチュリーはハリーとロンと一緒にハーマイオニーから説教を受けていた。
「あなた達。もうすぐ試験なのよ。なんで勉強をしていないのよ!」
「ハーマイオニー、少し落ち着こうぜ。試験はまだ10週間あとだぜ。どうしてそんなに早く始めるのさ」
「ニコラス・フラメルにとってはほんの1秒でしょう?それに復習しないと試験に受からないわ」
「僕たち、600歳じゃないんだぜ?」
私はもうじき300歳なんだけれど...なんてロンの反論に対して心の中で返した。
「もう帰っていい?早く帰ってまだ読みかけの魔法書を読まなきゃいけないのだけれど」
「ダメよ!貴方、いつも試験に関係のない本ばかり読んでいるじゃない!それでは試験に合格できないわ」
そう言ってハーマイオニーは腕を組んでどや顔をする。
「そうは言っても早すぎるぜ。せいぜい3週間前でいいだろ。なんのためにこんなに早くにするのさ」
そうロンが返すとハーマイオニーは信じられないとばかりに目を見開き
「なんのため?何のためですって!?試験に合格しなきゃ進級できないのよ!年に一度しかない大事な試験なのに...もっと早くから始めておけばよかったわ...」
「私達は貴女の気が確かか疑っているのだけれど?」
またぶつぶつと何度目になるかわからない同じ呪文の詠唱を復習し始めたハーマイオニーに付き合いきれなくなり、彼女に無理やり開かされた教科書を閉じ持ってきていた魔法書を読み始める。
数分してそれに気づいたハーマイオニーが発狂しそうになりながら
「パチュリー!教科書の復習をしないと試験に受からないわよ!」
「その程度の魔法なら寝起きでも使えるわ。そんなものより、新しい魔法について読んでいるほうが楽しいのよ」
そう言って再び本を読みだす。
そんなパチュリーの言葉にロンとハリーがうらやましそうに
「いいなー、もう完璧なのかよ」
「まぁ、パチュリーの読んでいる本、文字通りなに書いてあるかわからないからねぇ...そんなことよりハーマイオニーをどうにかしないと」
その二人はパチュリーなんかに負けてたまるかと息巻いているハーマイオニーをどうしようかと頭を抱えていた。
そのあと、グリフィンドールの点数が150点減ったり、ハリー達が罰則を受けたりといろいろなことがあったらしいが私は平和に過ごしていた。
ハリー達が罰則を受けた数日後、パチュリー達は試験の日を迎えた。
試験といってもパチュリーは筆記試験を10分で終わらせ実技も先生がどうやって点数をつけたものかと困るほど完璧にやって見せた。
そして試験が終わった後、広いホグワーツの庭の芝生の生えている場所で寝転んで魔法書を読んでいたところ。
「パチュリー!大変なことが分かったんだ!すぐに来て!」
そう言って、私の腕をつかんで連れていく。なんでこの3人は興奮すると人の話を聞かなくなるのだろうか?
「ハグリットが怪しいやつにフラッフィーの手なずけ方を教えてしまったんだ。ドラゴンの卵をハグリットに上げたのは変装したスネイプかヴォルデモートに違いない!村のパブでハグリットのことを酔わせてしまってからは簡単だったんだろう。早くこのことをダンブルドア先生に言わないと!パチュリー!校長室がどこにあるか知らないかい?」
「知らないわよ。しかもそれ、かなり前の話じゃない。今更じゃないの?」
そういうがハリー達は全く聞く耳を持たない。
そんな時。
「そこの4人、こんなところでいったい何をしているのですか?」
マクゴナガル先生だ。両手にはたくさんの本を抱えている。
「ダンブルドア先生にお目にかかりたいんです」
「ダンブルドア先生にお目にかかる?」
何をわけのわからないことをと言いたげな目でハーマイオニーの言葉をそのまま返す。
「理由は?」
「......言えません」
ああ、こりゃダメだと思う。何かに協力してもらうのであれば、それなりの情報を渡さないと協力など得られるわけがないのだ。
「ダンブルドア先生は10分ほど前にお出かけになりました。魔法省からの緊急のふくろう便がきて、先ほどロンドンに向かわれました」
「先生がいらっしゃらない!?こんな大事な時に!?」
ハリーが慌てて叫ぶ。
「ポッター、ダンブルドア先生は偉大な魔法使いですから、大変忙しい方なのです」
マクゴナガル先生は大声を出して泣きわめいている小さな子供をあやすような声でそう言った。...私から見たらその通りなのだが。
「でも重要なことなんです!」
「魔法省の要件よりもですか?」
マクゴナガル先生は、じっとハリーを見つめる。するとハリーは意を決したように
「実は...賢者の石のことなんです」
賢者の石というのはマクゴナガル先生が予想したものとは大きく離れた答えだったらしい。先生が持っていた本を落としてしまっていた。
私は本に杖を向けて浮遊魔法を掛け、一つにまとめて浮かせ続ける。
「どうしてそれを?」
すでにもうしどろもどろになってしまっている。
「誰かが石を盗もうとしています。どうしてもダンブルドア先生にお話ししなければならないんです。」
そう話を聞くと、先生はようやく落ち着きを取り戻した。石が狙われているのは初めから知っていたからだ。そうでもないとわざわざグリーンゴッツから出してまで、教師全員で守ったりしないだろう。
「ダンブルドア先生は明日、お帰りになります。どうやって石のことを知ったのかわかりませんが安心しなさい。石の守りは盤石です。誰にも盗むことはできません」
まぁ、その石は私が持っているのだが。
「でも先生...」
「ポッター。大丈夫です。さぁ、せっかくいい天気なのですから外に行きなさい」
そして本を拾おうとするも、私が持っていることに気づいて礼を言う。
「ありがとうございます。ミス・ノーレッジ」
「本を運ぶの手伝います。ハリー、ちょっと先生を手伝ってくる」
そうしてマクゴナガル先生と一緒に図書室へと向かう。
「先生さっきの話、本当に大丈夫ですか?彼ら、多分今からでも賢者の石を守りに行きますよ?」
「守りは完璧です。下手に手を出したのなら、その侵入者はすぐにでも死ぬでしょう」
「...それだと余計に彼らが危ないのでは?」
そう言うと、マクゴナガル先生の顔がみるみる青くなっていく。
「本は図書館に持っていきます。先生は早く四階の廊下に向かってください」
私がそう言うと、先生は走ってどこかに行ってしまった。おそらく四階廊下に向かったのだろう。
私は図書室に先生が持っていた本を届けると、寮の談話室へ向かった。
談話室につくと、ハリーとロン、ハーマイオニーが口論をしていた。
「僕は今夜、ここを抜け出す。石を何とか先に手に入れる」
「気は確かか?」
「ダメよ。マクゴナガル先生にも言われたでしょう。退学になっちゃうわ!」
「だから何だっていうんだ!わからないのかい?もしスネイプが石を手に入れたらヴォルデモートが復活するんだ。減点なんてどうだっていい。今晩、僕は石を手に入れる。君たちが何と言おうと僕はいく。いいかい?僕の両親はヴォルデモートに殺されたんだ!!」
ハリーはもう暴走してしまっている。
さらに、それを聞いてロンもハーマイオニーも納得してしまった。
「三人もマントに入れるかな?いや、四人か。パチュリーも来るだろ?」
私のほうを見てロンが言った。
「私はいかないわよ。絶対に大丈夫なのだから」
今日一日はマクゴナガル先生も部屋の前に立っていることだろう。そうすると彼らがやろうとしていることは完全におせっかいだ。しかも、本物の賢者の石は私が厳重に封印して持っているわけだし。
「そうかい。ハリー、今からどうするのか考えよう」
そんなことを話しているハリー達をよそに私は部屋に戻って寝ることにした。一応、賢者の石を守っている部屋の中で待って居ようと思ったのだ。
最悪ハリー達が死にかねないから...
夜。
私と、ハリー達三人以外が寝静まった後、三人が行動を始めた。
透明マントをかぶり、完全に見えていないかチェックしていた時、
「君たち、何をしているの?」
ネビルが男子寮の扉から顔を出した。
「何でもないよ、ネビル。うん。なんでもない」
ハリーはネビルにマントが見えないように急いで隠してそう答える。
「また外に抜け出すんだろ」
「ううん、違うわよ。どこにも行かないわ。ネビル、もう寝たら?」
そうハーマイオニーが返すも、余計に怪しく思い、ネビルは聞く耳を持たない。
どうやらネビルも”グリフィンドール”らしい。
「君たちがまた見つかってしまったら、グリフィンドールはまた減点されてしまう。行かせるもんか!僕、僕は...君たちと戦う!!」
「ネビル、大切なことなんだ。僕たちはいかなくちゃいけない。君を気絶させてでも」
「やるならやってみろ!殴れよ!来いよ!」
ネビルがそう叫ぶと、ハーマイオニーが前に出て
「ネビル、本当にごめんなさい。ペトリフィカス・トタルスー石になれ」
ネビルは、金縛りにあうと、全身がぴたりと動かなくなり、そのまま前に倒れてしまう。
ハーマイオニーも容赦ない。あの呪文は動けなくするだけで、意識はあるのだ。
そうして3人は談話室を出ていく。
私はそっとネビルに近づいて杖を向ける。
「ステューピファイ―失神せよ」
ネビルが動けない恐怖のまま倒れているのはあまりにかわいそうだと思ったから。
そうして金縛りの呪文を解除して談話室のソファーに寝かせ、私は空間転移魔法で賢者の石があった部屋に向かう。
そして学校全体に探知魔法を掛ける。
どうやらあの三人はマクゴナガル先生と一緒にここを目指しているらしい。
今は『悪魔の罠』を通り抜けたところらしい。
そしてチェスの部屋で誰かが賢者の石を取るためにチェスをしている。
この反応はクィレル先生?やっぱりあの人だったのか...
そしてクィレルが来るまで何をしようかと考え、周囲を見渡してみると、前は台だったのにそれがなくなり、代わりに鏡が置かれている。
「これは...『みぞの鏡』かしら。私が覗いたらいったい何が出てくるのかしら?」
パチュリーは鏡を一目見た後、その辺に落ちていた小石を拾って変身術をかけ、椅子に変える。
それに座り魔法書を読み始める。
本を読み始めること約15分。どうやらクィレルが最初に突破してきたらしい。
彼は賢者の石を探したが、鏡しかないことを確認し、鏡の横にいたパチュリーに杖を向ける。
「パチュリー・ノーレッジ。何故お前がここにいる?」
「あら、にんにくが大好きな怖がり屋さんの先生がこんなところに何の用かしら?別に、あなたの妨害をする気はないわよ。好きに賢者の石でもなんでも持っていきなさい」
クィレル先生はパチュリーの隣にあるみぞの鏡とパチュリーを何度も見る。今この部屋にはパチュリーと椅子、そしてみぞの鏡だけだ。あるとしたらパチュリーが持っているか鏡に何かあるかの二択。
しかし、クィレルはダンブルドアが生徒にそんな大事なものを持たせるわけがないと結論付けてパチュリーに対して命令する。
「そこをどきたまえノーレッジ。その鏡に用がある」
「どうぞ、好きなだけ自分の望みを見なさいな」
パチュリーは椅子に座って再び魔法書を読み始める。
その様子にクィレルは不思議そうな顔をしたが、杖を持っていないことを確認すると、少し警戒を解いて鏡を見つめる。
「石が見える...それを我が主に渡している...石は何処だ?ノーレッジ、お前が鏡を覗いてみろ」
しばらく鏡を見た後、鏡をくまなく調べ、再びパチュリーのほうを見て命令をした。
パチュリーも自分の望みが何なのか気になっていたので本を閉じ、鏡の前に立つ。
すると...
そこには、17歳くらいまで成長したであろう自分の姿があった。周りにはこあにハリーやロン、ハーマイオニー、ラベンダー、パーバディ、ネビル、それと彼らの親族。そして...いつか新聞で見たシリウス・ブラックだろうか?彼らと一緒に笑って写真を撮っていた。しかも、私の図書館が背景だ。パチュリーはそれを見て微笑む。自分のことだから新しい魔法の知識とかになるんだろうと思っていたが、存外、いい望みだと思った。
すると鏡の中の私がにっこりと微笑み、ポケットの中から石を取り出す。すると、自分のポケットに何かが入ったような重みを感じた。
手に取って確認してみると私が作った偽物の賢者の石のようだった。
「それを私に―」
「どうぞ」
「...え?」
「だから、どうぞ」
「君はこれを守るためにここにいるのではないのかね?」
「別に私はその石がどうなろうと知ったこっちゃないわ。早くどこかに行ってしまいなさい」
そう言ってクィレルに投げ渡す。
しかし、間の悪いことに
「「なっ!」」
マクゴナガル先生とハリーが来てしまった。
しかも石を受け取ったクィレルは私に
「後は任せた。我が同胞よ」
と言って去っていった。
「ま、まさか貴方が!?パチュリーまで!スネイプだと思っていたのに...」
「ミス・ノーレッジ!これはいったいどういうつもりですか!」
そう言って二人は私に向けて杖を構える。
「はぁ...本っ当に面倒くさいわね」
私も自分の杖を取り出し、魔導書を背後に浮かせていつでも戦えるように準備する。
「エクスペリアームス―武器よ去れ」
マクゴナガル先生が呪文を唱え、ハリーが魔力の塊を投げつけてくる。
「プロテゴ・トタラム―万全の守り」
私は二人の魔法をあっさりと止める。マクゴナガル先生は私が高位の防御魔法を一瞬で展開したことに驚いたようだったがすぐに気を取り直し、再び二人で無数の魔法を飛ばしてくる。
「ディフィンド―裂けよ」
「ステューピファイ―麻痺せよ」
「プロテゴ・マキシマ―最大の防御」
マクゴナガル先生はさすが先生といったところだろうか。魔法がとても強力だ。それに比べてハリーはまだまだ無駄が多い。というか魔法ではなく魔力の塊しか飛んでこない。まだ一年生なのだから当然といえば当然なのだが。
2人からの―というよりマクゴナガル先生からの―魔法は苛烈だったがパチュリーは難なくそれを止める。今まであまり魔法界で知られているような杖をつかう魔法をあまり使ってこなかったが彼女は基本的にどんな魔法でもうまく使いこなせるのだ。そしてハリーが叫びだす。
「君もヴォルデモートの仲間だったのか!僕たちをずっとだましていたのか!」
「私、あんな奴の仲間じゃないわよ?」
「でも!君の!君の所為で!ヴォルデモートが復活する!あの石の効果を僕らに教えた君ならどうやってあの石を使うのかわからない訳じゃないだろう!」
「もちろん、賢者の石の効力は知っているわよ。だからあんな埃みたいなごみを渡したくらいで私に魔法をうたないでくれるかしら」
「気でも狂ったのか!ヴォルデモートが復活すれば僕が殺されるんだぞ!」
「はいはい。わかっているわよ。あなたも見てないでハリーとマクゴナガル先生を止めてくれないかしら?」
そう言うと扉の向こうに立っていたダンブルドア先生が部屋に入ってくる。
「ダンブルドア先生!パチュリーが!クィレルに石を!あいつは、ヴォルデモートの手下だ!」「アルバス、ミス・ノーレッジが賢者の石をクィレル先生に」
「分かっておるよハリー、ミネルバ。グレンジャーが顔を真っ青にして廊下に出てきたときはもうだめかと思ったほどじゃよ。無事で何よりじゃ。さて、パチュリー。何故彼に石を渡したのかのう?服従の呪文はかかっていなかろう?」
「鏡から石を取り出して、クィレルに渡したわ」
「脅されていたのかね?」
「いいえ、自らの意思で」
「まさか、本当にヴォルデモートに忠誠を誓っておるのか?」
「私があんな若造に忠誠を誓う?冗談がお上手ですね、先生」
「ならばなぜ、クィレルに渡したのかのう。答えによってはわしは君を処罰せねばならん」
「ハリーを守るためよ」
「それはどういうことじゃ?」
「あんな物でもハリーは意地でも守ろうとするでしょうし。でも、相手は仮にも闇の魔術に対する防衛術の教師。ハリーが殺されてしまう恐れがあった。それなら渡した方がメリットがあるわ」
「確かにハリーの命とは代えられん。しかし、何も渡さなくても壊してしまえばよかったのではないかのう」
パチュリーの理由に納得はしたものの、同時に責めてくる。
「仮に壊したら、クィレルと戦闘になっていたでしょう?しかもハリーとマクゴナガル先生が来て、余計にややこしいことになっていたと思います」
「たしかにパチュリー、君の行動は理にかなっておる。じゃがやはり、彼に渡すべきではなかった。わしの守りが弱かったのも原因じゃが、石は壊すか守りきすかするべきじゃった。さて、わしはクィレルを追うとしようかのう」
そう言ってきた道を急いで引き返していくダンブルドア先生を引き留める。
「だとしたら完璧です。先生。ハリーが今回の件で死ぬことはないし、クィレルが暗躍していたことも発覚した。さらにヴォルデモートが賢者の石で復活することはあり得ない」
そう言うと三人は目を丸くする。
「どういうことかの?」
私はさっきの戦闘で生じた石の破片を拾い上げ、変身術でもともと置いてあった賢者の石そっくりの石を創り上げた。
それを3作り、ダンブルドア先生、マクゴナガル先生、ハリーにそれぞれ投げ渡す。
「私がクィレルに渡したのはそれと同じような偽物です。本物はここに」
そう言うと空間魔法でポケットに忍ばせていた賢者の石を取り出し、ダンブルドア先生に渡す。
「それが本物の賢者の石です。確認してください」
そう言ってダンブルドア先生は私が投げ渡した偽物の賢者の石を金に変える。
すると、マクゴナガル先生とハリーは驚愕しダンブルドア先生は満面の笑みになって
「ああ、完璧じゃ。完璧だともパチュリー」
「ミス・ノーレッジ、貴方はポッターを助けるためだけにわざわざこんなことをしたとでもいうのですか」
「君は、僕を助けるためにこんな芝居をしていたのか!こんな完璧な変身術まで使って」
そうして二人ともとても申し訳なさそうな顔をしてきた。
「ええ、本当だったらさっさとクィレルを逃がして後から来るあなた達、てっきりロンとハーマイオニーとくるものだと思っていたのだけれども、に見せて明日帰ってくるだろうダンブルドア先生に説明をして解決するつもりだったのだけれど、マクゴナガル先生もいたおかげか、すぐにこの部屋まで来てしまって、問答無用で呪文を飛ばしてきたときにはどう説明しようかかなり悩んだのよ?」
「うっ、ごめん...」
「ミス・ノーレッジ、申し訳ありませんでした」
そうして今回の騒動は終わったのである。
あの夜から数日が経った。
今日は学年末のパーティーである。
大広間は去年、最も点数の高かったスリザリンのシンボルで飾られている。
ちなみにそのことはハーマイオニーに教えてもらった。
事件の翌日、二人には談話室で事の顛末を伝え、かなり驚かれた。
特にハーマイオニーには抱き着かれ、お気に入りの帽子がくしゃくしゃになるまで頭を撫でられた。いつの間に身長追い越されたのだろう...
そして前ではダンブルドア先生の演説が始まった。
「また1年が過がぎた!ご馳走にかぶりつく前に寮対抗杯の表彰をせねばなるまい。点数は次の通りじゃ。4位ハッフルパフ352点、3位グリフィンドール411点、2位レイブンクロー426点、1位スリザリン472点。」
すると、スリザリンのテーブルから窓が割れるんじゃないかと心配になるほどの喚声が起こった。
ドラコも誇らしげにゴブレットを掲げている。
「よしよし、スリザリン。よくやった。しかし、最近の出来事も勘定に入れなければなるまい」
そう言うとスリザリン生の喚声が収まる。何やら嫌な気配を感じたらしい。
「まず、ロナルド・ウィーズリー。マクゴナガル先生が舌を巻くほどのチェスの腕を披露してくれた。20点。次にネビル・ロングボトム。友に立ち向かうのは敵に立ち向かうことと同様に勇気がいる。その勇気をたたえて、10点」
グリフィンドールの机から、大きな歓声が沸き起こる。特にパーシーなんかは大はしゃぎしていた。
「最後に。一人で先生が仕掛けた罠を突破した知識、思考力、勇気。教師にも見分けがつかないほど完璧な変身術。友を助けるためならば、その友や先生と敵対することもいとわない精神力。それらをたたえてパチュリー・ノーレッジに100点」
一瞬、部屋が静かになる。
私はあわてて耳をふさいだがあまり意味はなかった。
全方位で爆発魔法が爆発したかのような歓声が発生し、先ほどとは比べ物にならない歓声と拍手が沸き起こった。
グリフィンドール生は、数十年ぶりの寮対抗杯獲得にてんやわんやの大騒ぎとなり、スリザリン以外の寮でも拍手が起こった。
「したがって、飾りつけをちょいと変更せねばならんのう。」
そう言うとスリザリンのシンボルがグリフィンドールのものに変わっていく。
数年前までの私では考えられないような環境だろう。
自分は騒がしいものは苦手だと思っていたが存外、こういうのも悪くない。
試験の結果は当然というべきか、次席のハーマイオニーの4倍近い成績で主席だった。
特に変身術に関しては100点満点で450点を取っていた。しかもすべての科目で250点を超えていたのだった。
ハーマイオニーはそれがショックだったらしく「全教科ほとんど満点だったのに...」と放心状態でつぶやいていた。
ロンとハリーは本人たちが心配していたほど点数が悪くなく、一安心していたようだった。
さて、今は帰りのホグワーツ特急のコンパートメントの中でハリー達三人と過ごしている。
「三人は、夏休み、何か予定があるの?」
と、ロンが聞いてきたので
「いえ、特に予定はないわ」
「ずっと暇だよ」
と私とハリーが答える。
それを聞いてロンが
「なら、みんなうちに泊まりにおいでよ。勿論夏休み全部ってわけにはいかないだろうけど。ハーマイオニーは?」
「うぅ~ん、両親次第ね」
とのことだ。
こんな誘い、今までの私だったら絶対に断っていたが
「そうね。それも悪くないわね」
と答えた。
「じゃあ、時間があるようならうちに来いよ。またふくろうで手紙を送るから」
そうして列車はキングス・クロスに到着した。
「そういえばパチュリー、貴方ほとんど身長伸びて無くない?」
...図書館に帰ったら真っ先に不老の魔法を解除しようと決めた。
来年も楽しそうな一年になりそうだ。