ハリーポッターと花曇の魔女 作:madなサイレント
ハリー救出作戦決行前まで
夏休みに入って早くも二週間が経過した。
今、パチュリーはご機嫌なこあの相手をしている。
しばらく学校に行ってて会えなかったのが相当に堪えているらしい。
さらにホグワーツへの入学案内が来た時には走り回って喜んでいた。
そうそう、パチュリーは自分の不老の魔法を一時的に解除した。
さすがに成長期の子供が一年たって1センチも成長していないのは怪しまれると思ったからだ。
こあの入学に必要な道具をすべてダイアゴン横丁で揃えて、新品のローブに杖を持ってそれはもう嬉しそうだった。
(ただし教科書だけは私が使っていたものがいいと言い張っていた。なんでわざわざお古なんて使いたがるんだろう...?)
そんな夏休みのある日、こあと一緒に家でゆっくりしているとき
何かが図書館周辺にパチュリーが張っている探知魔法に引っかかった。
反応からして梟だろうか?
コアと一緒に立ち上がり玄関に向う。
案の定梟だったようだ。
どうやら私宛の手紙らしい。
私は梟に向けて手を広げると、その梟はそれを待ち構えていたかのように私の懐に飛び込んできた。
かなり疲れているようでヨレヨレになってしまっている。
私はその梟を抱き上げ、撫でて、手紙を受け取り、図書館の中に入った。
封を切って中身を見てみると...
『パチュリーへ
帰りの列車の中でも話したけど、よかったら休みのうちに僕の家に遊びに来ない?
都合のいい日があったら連絡して!そっちに迎えに行くよ。返事を待っています。
ロナルド・ウィーズリーより』
「そういえばそんなことも話していたわね」
「なんの話です?」
「友達が夏休み中泊りに来ないかって」
「そうなんですか...」
どうやらこあは不満らしい。
学校から帰ってきたときも、私に抱き着いて大泣きしていたし、ホグワーツから入学案内が来た時も、私と同じ学校に行けると喜んでいた。が、やはり休みの間は一緒にいたいらしい。
「...えっと...こあも一緒にいけないか聞いてみる?」
「はい!」
そう言ったとたん、こあの顔がぷくーっと膨れ上がっていた彼女の顔がぱぁーと明るくなった。
そうして机の上の羽ペンをとり―このペンはインクに漬けなくても文字がかけ、羽でなぞると文字が消せるという優れモノだ。当然パチュリー作―返事を書こうとし、一度手を止める。
「そういえばあなたの名前どうする?」
「へ?」
「さすがに名前をこあだけにするわけにもいかないでしょう?苗字はノーレッジでいいとしてこあがあだ名になるような名前、何がいい?」
「それじゃぁ、コアトルで」
「わかったわ。ちなみになんで?」
「小悪魔なので、リトルとこあを無理やりくっつけただけです」
「あなたがそれでいいんだったらいいんだけど...まぁ分かったわ。とりあえず、私の従妹ということにしておくわね」
「へ!!?私とパチュリー様が従妹!///」
「?」
こあがよくわからないことを言っているものの再びロンへの返事を書く。
『ロナルド・ウィーズリー様へ
元気にしているかしら。私はいつでも予定は空いているわよ。
10日から始業式までなんてどうかしら。
あと、申し訳ないんだけど私の従妹も連れて行っていいかしら。
今年からホグワーツに通うのよ。
都合が合いそうだったらよろしくね。
パチュリー・ノーレッジより』
そう書き終えると彼女は飛んできた梟に手紙を持たせて飛ばした。
「そういえばこあ。あなた、私のことを学校とか友達の前とかではパチュリー様はやめなさい?一応、従妹って関係になるんだから」
「わかりました!じゃぁ、姉様?」
「それでいいわよ」
意地でも様はやめないらしい。
ロンから手紙を受け取ってしばらくたった8月10日。
私とこあは、グラスゴーの郊外でロンの迎えを待っていた。
しばらくするとフォード・アングリアが近寄ってくる。
「おーい、パチュリー!」
窓から体を乗り出してロンが手を振っている。
私も小さく手を挙げて返す。
車が私たちの前に止まり、ロンが車から降りてくる。
「久しぶりね、ロン。元気にしていたかしら。しばらくお世話になるわね」
「僕としては、パチュリーに勉強の面倒を見てもらうつもりなんだけど...彼女が従妹の?」
「は、はい!コアトル・ノーレッジって言います!」
「驚いた。君の薄紫の髪も綺麗だけど、彼女の紅い髪も相当だ。僕らと同じ赤毛だしね」
「まぁ、この子のは、赤というより深紅だけどね」
「はは、違いない」
「そういえば、ハリーとハーマイオニーは?」
「ハーマイオニーは家族とゆっくりするんだってさ。ハリーからは返事がまだ来ていない。何度も手紙を送っていはいるんだけど...」
「返事が来ていないののはおかしいわね。梟は帰ってくるんでしょう?」
そう聞くとロンはうなずいて
「エロールは帰ってくるんだけどハリーからの返事を運んでこないんだ。でも持たせた手紙もなくなっているし...」
「よくわからないわね」
その時、車から少し禿げた細身の男性が下りてくる。
「始めまして、アーサー・ウィーズリーと申します」
「パチュリー・ノーレッジです。しばらくの間お世話になります。こっちの子が従妹のコアトル・ノーレッジです。よろしくお願いします。」
「ああ。もちろんだとも。君のことはロンから聞いているよ。ゆっくりしていきなさい。コアトル君もよく来たね。うちのジニーも今年からホグワーツなんだ。仲良くしてやってくれ」
「もちろんです」
「わかりました!」
2人でそう答えてアーサーと握手をする。
「さぁ、早速だがわが家へ向かおう」
そう言って車に乗り込んでいく。
アーサーは全員が乗ったことを確認すると、エンジンをかけて車を発車させる。
「改めて自己紹介を。私はアーサー・ウィーズリー。魔法省で魔法のかかったマグルの道具を取り締まる部署の局長をしている。そこにいるロンの父親だ」
「パチュリー・ノーレッジ。グリフィンドール生です。」
「コアトル・ノーレッジです。今年からホグワーツに入る予定です」
「パチュリー君のことはロンから聞いているよ。同年代とは思えないほど優秀な魔女だとね。それにえらく可愛いだとか。コアトル君も、よろしく頼むよ」
「あなた、そんなこと言ってたの?」
「言ってないよ!全部父さんの口から出まかせだ!」
「ふーん。まぁどっちでもいいけど」
「確かに姉様は可愛いです!」
しばらく四人で雑談をしていた。そこでパチュリーが気になっていたことを一つ聞く。
「まさか車で来るなんて思っていませんでした。私、マグルの乗り物に乗るの初めてです。でも、車で来るってことはここまで近いんですか?」
そう私が後部座席から、運転席に座っているアーサーに尋ねると
「ははは、私はマグルの機械が好きでね。よくいじっているんだ。でもそんなに近いわけじゃないさ。うちはロンドンの近くのデボン州にあるんだ。本当に車で行ったら何日もかかってしまう。でも、これはただの車じゃない。”魔法使い”の車さ」
そう言って、街のはずれに出て誰も見ていないことを確認すると、車が透明になり、驚くべきことに空を飛び始めた。
「...すごいですね。これは。なかなかよく考えられている飛行魔法ですね」
「君には、この術式が分かるのかい?」
「私、こういうの得意なんです」
「だってパチュリー、期末試験の平均点が400点とかあるんだぜ?とんでもないんだ。初めて見る魔法もいくつも使えるし、頭の回転も速い。本当に同い年か疑いたくなるくらいだ」
まぁ、同い年ではないが。
「なんだって!?あのテスト、そんな点数とれるのか!それはすごい!ぜひとも君が魔法を使っているのを見てみたい。最も、君の両親の許可が必要だがね」
「魔法省に勤務している人の前で言うのもなんですが、別に許可を取らなくても使えますよ」
「ほう。それはどういう?ああ、安心してくれ。私は知ってもそのことを魔法省に言う気はないよ。今車で空を飛んでいるのも本当はアウトギリギリなんだ。ばれたら間違いなく叱られる」
「そういうことなら。まぁ、私が何かしたというより、イギリスの魔法省が想定していなかったというのが正解ですね。私の家系は母方が日本系統の陰陽術の家系で、父方がイギリスの魔法使いの一族なので私は、東洋と西洋、どちらの魔法も使うことができるんです。それで、東洋系統の魔法は未成年が使っても匂いを出さないんです。イギリスでは、イギリス生まれの魔法使いが未成年のうちに東洋の魔法を使うことなんて想定していなかったのだと思います。もしくは、東洋の結界を張ると、その中で未成年が西洋の魔法を使ってもばれないってのもあります。まぁ、かなり高度な結界が必要なんですけど。」
「なるほどね。それは面白い。ちなみに聞きたいんだけど、西洋系の魔法と東洋系の魔法の違いって何だね?東洋系の魔法を実際に使ったところを見たことが無くてね」
「まず、一番の違いは何を媒介して魔法を発動するのかって言う点です。西洋では杖を使わなければ魔法は使えませんよね?でも東洋では別に何でもいいんです。よく使われるのは本や札ですね。床とかに書いて使うこともできます」
「へぇ~、だからパチュリーは時々魔法を使うときに本を開いているのか」
「まぁそうね。でも今となってはある程度、東洋の魔法も杖で使えるのだけれどね。次に特徴が違います。西洋系の魔法は速射性が高い、一対一での戦闘のしやすさ、習得難易度がひくい、魔力の使用効率がいいなどの特徴があって、東洋系の魔法は、隠密性、広範囲に影響を及ぼす魔法の容易さ、応用がききやすい、といった特徴があります」
「なるほど。興味深い話が聞けたよ。確かに君は優秀なようだ。その年齢で魔法が使えるだけで大したものなのに、日本とイギリスの魔法を使い分け、しかも先生を唸らせるほどのできなんだろう?これはロンも心強い同級生の友達を得たな」
「だったらジニーちゃんもですよ。コアトルも私ほどではないにせよ、成人と相手しても遜色ないくらいにどちらの魔法も使えますから」
「ほう、そりゃ楽しみだ。さぞ優秀なご両親なんだろうね」
「父さん!その話は...」
どうやらロンはハーマイオニーから事情を聴いているらしい。
「私の両親はもう、どちらとも他界しています。今はこあと二人で暮らしているんです」
「それは...すまないことを言ってしまったね。すまなかった」
「いえ、悪気があったわけではないでしょうし、あまり気にしていませんよ。こあとの二人暮らしも楽しいですし」
それで少し気まずい空気が流れる。
さすがにこの空気はまずいと思ってロンに話を振る。
「それにしても、ハリーから全く返事がないというのは気になるわね」
「...うん。もしかしたらハリーのおじさんがハリーへの手紙を全部捨てちゃっているのかも。だって、喧嘩したわけでもないのに手紙だけ受け取って返事を書かないなんてことある?」
確かにロンの言うとおりである。
夏休みの間に親友からの手紙を返さなくなるほどロンがハリーから嫌われたという可能性よりかはよっぽどあり得る。
ロンがハリーに対してとんでもない悪戯をしたわけでもないだろうし。
「さっきも話したんだけど、手紙は受け取っているんだ。エロールに持たせた手紙はなくなっているんだ」
「だったらおじさんに手紙を没収されているかペンを使わせてくれないとかでしょうね。ところでエロールってうちに手紙を届けた梟?」
実際のところはハリーに直接聞いてみないとわからないだろう。
「まぁ、もう少し待ってみたらどうだ?エロールのことだ。途中で落としたのかもしれん」
「確かにうちに来た梟さん、もうふらふらしててかなり危なっかしかったのです」
「でもうちのエロールはともかく、ハリーのヘドウィグは賢い梟だよ?」
「だったら今度パーシーのふくろうで送ってみたらどうだい?」
「そうしてみる」
「ああ、そうしてみてくれ。ただでさえ、最近エロールはあっちこっちずっと飛び回っているじゃないか。本当にくたばっちまう」
「「「は、ははははは...」」」
三人で声をそろえて苦笑する。
冗談にしてはあまりに現実味がありすぎる。
パチュリーが今度うちに飛んできたときにはゆっくり休ませてあげようと決意した時だった。
日がだいぶ傾いたころ。アーサーの運転する車が『隠れ穴』―ロンの実家だ―に到着した。
そこには絵本の中にしかないような不思議な形の家が建っていた。
「ロンの家...すごいわね」
もともとは2階建てくらいだったんだろう。そのあと子供が増えていったにつれ増築していったのだろうか?なかなかにいびつな形をした建物だった。
「そうかい?こんなもんだろう?」
私とこあはアーサーとロンに案内されて家の玄関に入る。
「「お邪魔します」」
私たちがそう言うとロンに続いて家の中に入っていく。
私とコアが転移魔法で今まではいていた靴と部屋靴を入れ替えたのを見て二人が驚いていたものの気にせず中に入ると
「あらいらっしゃい。もうすぐ夕食ができるわ。ようこそわが家へ。ゆっくりしていってね」
家のダイニングには人当たりのいい笑顔の魔女が私たちを出迎える。
「お邪魔します。私がパチュリー・ノーレッジでこっちの深紅の髪の子がコアトル・ノーレッジです。しばらくお世話になります。」
「よろしくお願いします」
「私はモリー・ウィーズリー。ロンの母親よ。あなたに会えてうれしいわ」
「ロン、パチュリーとコアトルの荷物をジニーの部屋に運んで。あなた達二人はここで待っててね」
「あ、荷物は私が持っておくので大丈夫なのです」
こあがそう言い、私の荷物を受け取って、こあの荷物は自分で魔法を使ってしまった。
「あなた達、そんな魔法を使えるの!?あと、未成年が魔法を使っちゃだめよ」
「私たちは大丈夫です。魔法省には知らせが行かないので安心してください」
日本の魔法が魔法省に感知されないのももちろんだが、彼女らはそもそも300歳近くと150歳近くである。成人するまで使ってはいけないなんて条件はとっくに満たしている。
「そう。ならいいわ。ロン、みんなを呼んできてくれる?もうご飯よ」
「わかった」
私とこあはモリーさんに案内されてダイニングに置かれている大きなテーブルにつく。
大家族で使うものであるためなのか、かなりの大きさだ。
台所周りはかなりたくさんの荷物が置かれているが不思議なことに整頓されているようにも見える。
シンクではたわしが勝手にフライパンを洗っていたりして、まさに”魔法使いの家”といった感じだ。
モリ―さんが玄関の外に出た時、時計からカチッという音がした。
気になってみていると、時計にはありえない数の針がついており、それぞれに家族の名前が書かれている。その人物が今いる場所を指しているらしい。
なるほどかなり合理的だ。
時計の下には暖炉があり、真夏にもかかわらず、火がついている。
煙突飛行するためだろうか。
私が家の中を見回していたら、上の階から私たちと同い年くらい―当然外観の話―の少女が下りてきた。
車の中での話から察するに彼女がジニーだろうか。
ジニーはダイニングテーブルに私たちが座っていることを確認したら、ぴたりと階段の途中で止まってしまう。
しかし、後ろから降りてくるほかの兄弟に押されて彼女はこあの隣に座ることになってしまう。
「えっと...その...」
ジニーが恥ずかしそうにうつむいてしまったのを見て、私はこあをつつく。
「あなたがジニーね!私はコアトル。コアトル・ノーレッジ。私も今年からホグワーツなのよ。よろしくね」
ジニーはこあの顔を見て少し恥ずかしそうにしながら
「よ、よろしくノーレッジさん」
そこで私もジニーに話しかける。
「あら、私もノーレッジなのよ。彼女のことはコアトルとかコアって呼んであげて。私はパチュリー。よろしく、ジニー」
「は、はい!パチュリーさん。コアトルちゃんもよろしくね」
「よろしくです」
本当にこのかわいい子はロン達の妹なのだろうか?
同じ血が流れているにしてはいい子過ぎやしないだろうか。
「「パチュリー、絶対今失礼なこと考えていただろ」」
「そんなことないわよ、ジョージ、フレッド、久しぶりね」
「久しぶりだな。試験の時は助かったぜ」
「ようこそ我がへんてこな家へ、休み中の課題も頼むな!」
「君たちは年下の女の子に課題の質問をするなんて恥ずかしくないのか...」
とパーシーは呆れたように双子を見る。
どうやらかなり仲のいい家族のようだ。
まぁ、仲がいいのは寮の中でも同じだから予想通りといえば予想通りだが。
私がロンの兄弟たちと他愛もない話をしていると、アーサーとモリ―さんもダイニングに来た。
モリ―さんが棚からパンを取り出し、トマトソースのおいしそうなスープを温めなおし、肉を焼き始める。
「さて、今いる家族はこれで全員かな」
「パチュリー、さっきから気になっていたんだがそっちの子は?」
とパーシーが聞いてくる。
「この子は私の従妹の...」
「コアトル・ノーレッジです」
「そう。今年からホグワーツに通うから、この子も連れてきていいかロンに聞いてみたらいいって言われたから一緒に来たの」
「へぇ、ジニーと同い年か。僕はパーシー。グリフィンドールの監督生だ」
「僕はジョージ、こいつはフレッド。見ての通り双子だぜ、よろしくな」
「はい!よろしくお願いします!...それにしても二人は姉様に勉強を教わってたんですか?」
「ブッ...失礼」
アーサーが飲みかけのウィスキーを吹き出しかける。
親の前でとんでもない暴露をされた双子は苦笑い。
「だってよぉ、まじめで堅苦しい家族のパーシーに聞くよりかわいい女の子に聞いたほうが得じゃんか...」
「それに、教えるのめちゃくちゃうまいんだぜ、パチュリー」
「はぁ...なるほど。本当に君は優秀なんだね」
そうしてそのあともロンの兄弟と私たちは話続け、その様子を見てアーサーとモリ―さんがにっこりと笑っていた。
「そうかそうか、仲がいいようで何よりだ。なんにせよ、ゆっくりしていってくれ」
そしてモリ―さんがご飯を魔法で配膳して
「遠慮しなくていいのよ。ほら、いっぱい食べて。食べ盛りなんだから」
そして焼き終わった肉を机の真ん中に置かれた皿に山盛りにのせ、見ているだけでよだれが出てきそうなソースをかける。
ロンの兄弟たちは我先にとフォークでソーセージをつつき始める。
私とこあも負けじととりわけ、愉快な夏休みが始まった。
私たちがロンの家にきて数日が経ったある夜。
私は台所で夕食の片づけを手伝っていた。
ダイニングではこあに課題を教えてもらいながら微妙な顔をしているロンと、課題が早く片付くと喜んでいるフレッドとジョージ、呆れた目で見ながら自身の課題を進めているパーシー、こあに対して尊敬の目を向けつつ兄弟に対しては冷めた目で見つめているジニー。それと一人分の夕食となかなかカオスな状態だ。
一人分の食事はアーサーの分である。
どうやら魔法省の仕事が長引いているらしい。
「いつもありがとうね」
「いえ、泊めていただいているんですからこれくらいはさせてください」
「自分の家だと思ってくつろいでくれていいのよ?」
「大丈夫です。家にいると家事はすべてこあに任せてしまうのである程度は練習も必要なんです」
「なるほどね。じゃあ、次はそのフライパンを洗ってもらえる?」
「わかりました」
そして私がフライパンを洗い終わり、夕食の片づけが終わって、こあと一緒に兄弟の勉強を見てしばらくたったころ。
暖炉の炎の色が緑色になり、アーサーが帰ってくる。
「今日はひどい一日だった。ただいまモリ―」
「おかえりなさい」
「二人とも、愚息たちの勉強を見てくれているのかい?ありがとう。それにしても今日は疲れた」
アーサーは一人分残っていた夕食の前に座り、ご飯を食べ始める。
「随分と遅かったようですけど、今日は何かあったんです?」
モリ―がアーサーの隣に座りながらアーサーに尋ねる。
アーサーは私とロンを見て少し言うか迷っているようだったが言うことに決めたらしい。
「仕事自体はいつも通り終わったんだ。...それで少々不味い事件があってね。魔法省に残っていた手の空いている魔法使いは手伝うことになったんだ」
「ただでさえ仕事が多いのになぜわざわざ手伝ったりしたんです?何かわけがあるんでしょうね?」
ちょっと怒ったようにモリ―さんがいう。
「まぁ、ただの面倒なだけの事件だったら私だって手伝ったりしないさ。...その、うちと全くの無関係かと言われればそうとも言えなくてな」
そう言って再び私とロンを気まずそうに見る。どうやら私たち関連のことらしい。
「...ハリーに何かあったようね」
私がそう言うとアーサーは苦虫を嚙み潰したような表情をした。
「パチュリー、やはり君には隠せなかったか...その通りだ。どうやらハリーが浮遊魔法を不正利用したらしい」
「浮遊魔法を?それはまたいったいどうして?」
「何かの間違いじゃないかと私も思ったんだが、まぎれもない事実だ。ハリーの住んでいるところのそばで魔法が使える魔法使いはハリー一人だけなんだ」
「でもなぜ浮遊魔法を?何かあったのは間違いないとして、なんでわざわざ浮遊魔法を?」
アーサーやモリ―さんこあにロンや兄弟たちもそれに同意したようにうなずく。
「ああ。魔法省の人間もそれを不思議がっていた。だからこそ、今回は退学処分ではなく、厳重注意だで済んだんだが...本来なら未成年の魔法の不正利用はもっと罪が重いんだ。それこそホグワーツを退学にしなければならないほどにね。」
とっさに浮遊魔法を使うなんてどんな状況だろうか?私やこあやウィーズリー夫妻のように魔法を使い慣れている人なら何か割れやすいものを落とした時に、浮遊魔法をとっさに使って割れないようにすることは可能だが、たかが新二年生、しかもハリーのようにそこまで優秀でない生徒ならまだ無詠唱で魔法は使えないはずだ。呪文を唱える前に物が割れてしまう。重すぎるものを上の階に運ぼうとした?いや、ハリーも未成年がマグルの世界で魔法を使ってはいけないことくらい百も承知であろう。
「まあなんにしても、今回ハリーはお咎めなしだ。安心していいよ」
まぁ、魔法省的にはおとがめなしなんだろうが、本当になんの問題もないのだろうか。
ハリーの身に何か起こっているのかもしれない。
「本当に何もなければいいのだけれどね」
「それはいったいどういう?」
ロンが私に訊ねてくる。
「とっさに浮遊魔法を使うことなんて普段生活してあなたはある?誰かへの悪戯ならもっと適した魔法があるだろうし、ハリーだって魔法を使ってはいけないことくらい、知っているはずよ。重い荷物を持ち上げるためになんて使わない。だったら何のために浮遊魔法を使うのかしら?」
「あれじゃないか?おばさんが大切にしている花瓶を落としそうになったとか?」
「あなたとハリーの成績は同じくらいよね。あなたは花瓶が机の上から落ちそうになっているのを見てローブから杖を取り出し、呪文を唱えるのを花瓶が落ちきるまでにできる自信はあるのかしら。無詠唱魔法でないと、それもかなり使い慣れてる魔法使いのものでないと無理でしょう?だったらその場合、花瓶を割った後に修復魔法を使ったほうが現実的だと思わない?」
「た、確かに」
「まぁ、ハリーの身に何もなければいいんだけどね。私はもう寝ることにするわ。アーサー、モリ―さんおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい、パチュリー。ジニーがまだ起きているようだったら注意してやって」
「わかりました」
私は階段をあがってジニーの部屋に入る。
すでに明かりは消されていてジニーはすやすや眠っているようだ。
今回の件でハリーが生きていることはわかった。しかもおじさんの家にまだいるらしい。
だったらロンに返事をしないのはなぜだろうか。
明日の朝にでもロンと話し合ったほうがいいかもしれない。
パチュリーはそんなことを考えながら深い眠りに落ちていった。
さて、そんなことがあってから二日が経った。
あの話を聞いて以降、ロンの様子がおかしい。ずっとそわそわしているように見える。
「やっぱりハリーの様子がおかしい。あれから手紙を送ったのにまた返事が来ない。それもパーシーの梟に持たせてだ!」
「ええそうね。どう考えても普通じゃないわ」
「なぁ、やっぱり助けに行こうぜ」
「もうそれ何回目よ。この一時間で3回は聞いたわ」
「学校の外で使ってはいけないとされているそれも、使う必要のない魔法を使って魔法省から怒られているわけだろう?」
「まぁ、私もハリーのことは心配よ。それでどうするのよ。使えもしない杖を持って歩いて様子見にでも行くの?」
「それは...そうだ!パチュリーが行けばいい。パチュリーなら魔法省に知られずに魔法を使えるんだろう?」
「それはそうだけど、どうやって行くのよ。姿くらましなんて使ったら一瞬でばれるわよ」
「それは...」
「方法ならあるぞ」
私は咄嗟に後ろを振り返る。そこにはにやけ顔のフレッドとジョージの姿があった。
「...どうせろくでもないことでしょう?」
「方法って、どんな?」
フレッドは窓の外を指差す。そこには数日前、私がここに来るときに乗せてもらったフォード・アングリアが停まっていた。
「そうだよ!あの車なら行けるじゃないか!」
「しっ!お袋やパーシーに聞かれたらどうする。なんにせよ準備しとけよ。2時出発だ」
どうやら私も行くことになったらしい。
とりあえず、ハーマイオニーには知らせたほうがいいだろう。
「ロン、エロールを借りるわよ」
そう言ってささっと書いた手紙をエロールに持たせる。
「これをハーマイオニーに。よろしくね」
私は窓を開けてエロールを外へ出す。
エロールはそのまま一度ポトリと落ち、やがてゆっくりと立ち上がって、再び空を飛んだ。
「あの梟、本当に大丈夫なのかしら」
ハーマイオニーへの報告は万が一のために送ったものなので別に時間がかかっても構わないが。
そして深夜2時。
「さて、準備はいいか?」
ジニーにパーシー、モリ―さん、アーサーが寝たのを確認して私、ロン、こあ、ジョージ、フレッドはこっそりと外に出て車に乗り込む。
私は車に消音魔法を掛けるとフレッドがエンジンをかけ、アクセルを踏み、ボタンを押して空を飛んだ。
ハリー救出作戦の始まりだ。
来月頭まで、家の大掃除やらおせち作りやらをして駅伝をゆっくり見るのでしばらく更新できません。よろしくお願いします。
ところで、物語の進行をもっとゆっくりしようと思います。
改めて、賢者の石編を読んでみたところ内容がぺらっぺらだと感じたので。
こんなノリで書き始めた作品を読んでくださりありがとうございます。