ハリーポッターと花曇の魔女   作:madなサイレント

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遅くなってすみません


ハリー救出作戦

隠れ穴を出て5分もしたらフレッドが口を開いた。

防音魔法がかかっていたとは言え、やはり成功するかひやひやしていたようだ。

 

「この車ならロンドンまで30分もかからない。これでママが起きる前にハリーを家に連れ込んでハリーの話を聞く。もし、都合がいいならパチュリーたちと一緒に隠れ穴で夏休み明けまで過ごす。これでいいな?」

 

「ハリーの叔父さんの家に着いたらどうするの?」

 

「パチュリーなら証拠もなくハリーの家に侵入して連れ出すくらいできるだろ?」

 

「まぁ、そうだろうと思ったけど」

 

「家に入るめどが立ったところで、ハリーの家は何処だ?ロン」

 

「ちょっと待って...プリベット通り四番地って手紙には書いてある」

 

「で、どこだよ」

 

「ちょっと待ちなさい...ここから北東方向にこのままの速度で25分弱程度ね」

 

「えっと...一応どうなっているのか聞いてもいい?パチュリー」

 

「探知魔法を使ったのよ」

 

そのパチュリーの一言で、ウィーズリー兄弟はまぁ、パチュリーだしと思い、顔を見合わせて苦笑する。

そしてもしパチュリーがいなければと考えると少し怖かった。

 

 

 

 

そのまま車を運転すること20分ちょっと。

一行はプリベット通りに到着。パチュリーが通りに人除けの結界を張った。ちなみにこれはここにロンがいることを知っている人以外、知覚することができないというとんでもない代物だ。これまでの魔法ではマグル除けの魔法を張ることも、自分がいることを知られないようにするための結界を張ることもできるが、前者は魔法力を持つものならば影響を受けず、後者は腕のいい魔法使いなら違和感を覚え、正体を見破ることができる。しかし、パチュリーの結界は要となるものを知覚していない人であればいかなる人も全くの違和感を持たないのである。

 

パチュリーが結界を張ったことを兄弟に知らせ、車を四番地にある、ハリーの叔父さんの家の前に止めて、家の目の前に移動。

そして鍵を魔法で開け、静かに鍵を開ける。

家に入ると同時に、ハリー以外の家の住人に眠りの魔法を掛けて、ばれる心配をなくす。

 

探知魔法によると、ハリーは二階の部屋にいるらしい。

私は囁き声で三人にそう伝える。

 

二階に上がった私たちは、特に苦労することもなくハリーの部屋を見つけることができた。というよりかは、ハリーの部屋がどこか探すまでもない。

別に探知魔法を使っていなくてもわかったであろう。

二階にある扉の一つだけに、明らかに外付けされたであろう鍵が取り付けられていたからだ。

 

「うわぁ...あんなにあからさまに軟禁されているとは」

 

ここまでくれば明らかに虐待だ。

これは魔法族にかかわらずに、マグルの世界でも相当な問題だろう。

 

「ハリー、ハリー!僕だよ!」

 

ロンがドアを叩きながら部屋の中に呼びかける。

 

「ロン?どうしてここに?」

 

すぐに返事が返ってくる。ハリーはこんな時間にも関わらず起きていたようだった。

 

「なんで手紙を返さないのさ?山のように送ったのに」

 

「手紙なんて届いてないよ。それに、見ての通りさ」

 

「ちょっとどいて。アロホモーラ―開け」

 

扉の鍵を魔法で開ける。

 

「パチュリー!君も来てくれたのか」

 

「ええ、あなたのことが心配だったの。この家にいる人は貴方以外みんな寝かしつけているけど5時を過ぎると魔法が切れるから、それまでにホグワーツに行く準備をして。そのままロンの家に行くわよ。私も今お世話になっているの」

 

「わかった。荷物は階段下の納戸の中にある。どうやってここに来たの?」

 

「そういう話はあとだ。移動中にいくらでも話してやる。ロンとパチュリーはハリーの手伝いを。俺らで、玄関に出された荷物を車に詰め込む」

 

「わかったわ」

 

そうして、納戸の鍵を再び魔法で開けて私たちは部屋中に散らばっているハリーの荷物を片っ端から鞄の中に突っ込む。

荷物を詰め終わり、ハリーに鳥籠を抱えさせるともう一度部屋を見回して忘れ物がないかを確認した。

 

「よし。こんな家ともおさらばだ。行こうハリー」

 

「うん。連中も僕がいなくなって清々するに違いない」

 

ハリーは笑顔でそう言った。

私たちが玄関から外に出ると、双子の兄弟も丁度荷物を詰め込み終わったところのようだ。

 

「ちょっと待って。証拠を消すわ」

 

家の外で魔導書を開いて家全体に証拠となる指紋などをすべて消して、空けてしまった鍵をすべて閉じる。

 

「これで良し。すぐに隠れ穴に向かうわよ」

 

「よしきた!」

 

そして全員で車に乗り込んで車を発進させる。

車はみるみるうちに空高くに上がり、すぐにロンドン全体を見渡せるまで上昇した。

 

「よし、ここまでくれば一安心だ。それでハリー、一体何があったんだ?」

 

ジョージが助手席からハリーのいる席を覗き込み、尋ねる。

 

ハリーが言うには夏休みが始まってしばらくはそれなりに普通の生活を送れていたそうである。ただし、もともとの叔父さんの家での生活と比べて出会って、ホグワーツと比べてではないことは知ってもらいたい。

そこでハリーの誕生日に事件が起こったそうである。どうやらおじさんのトリヒキサキ?とかいう人が来たらしい。その日は家の二階から下りないように言われていた。

その時になぜか君らが送った手紙を持ったドビーを名乗る屋敷僕が来て、ハリーを学校に行かせないようにしているらしい。

そこで、下の階に行って浮遊魔法を使い、ケーキを浮かせトリヒキサキさんとやらにそのケーキをぶっかけたらしい。

そのまま屋敷僕は姿くらましを使い、逃げ出してしまい、浮遊魔法を使ったのはハリーだということになり、魔法省から厳重注意を言い渡す手紙が届く。

それを見たおじさんがこれ幸いとばかりにハリーを軟禁。

 

これが事の次第だそうだ。

 

「なんというか、散々な夏休みね」

 

「ああ、うちのママもそこまではしないな。せいぜい黒焦げの鍋を顔が映り込むぐらいピカピカに磨かせるとかその程度だぜ?」

 

「そこから先は君たちも知っての通りさ。惨めな思いでベッドで寝ていたら、救世主様御一行のご登場だ。助けにくるのがあと数日遅かったら多分部屋の中で餓死してたと思う」

 

「あまり笑えない冗談ね」

 

その後一時間ほど雲の上を飛び、明け方に私たちは隠れ穴に戻ってきた。

フレッドは車を慎重に車庫の前に着地させると、すぐさまエンジンを切って車のトランクを開ける。

そこでロンが口を開け、

 

「いいか? 静かに二階に上がるんだ。それでお袋が朝ですよと呼びにくるのをベッドの中で待つ。そしたらロン、お前は飛び跳ねながら下に降りてこう言うんだ。『ママ! 夜の間に誰が来たと思う?』ってな。そうすりゃお袋はハリーを見て大喜びで、俺たちが車を飛ばしたなんて誰も知らずにすむ。ハリーは無事。僕らも怒られない。みんなハッピーさ」

 

そんなことを話していると、隠れ穴の家の扉が開いた。

 

「「「「「あ、」」」」」

 

なんとびっくり、そこには仁王立ちをしているモリ―さんが立っているではないか。

他のみんなもモリーに気がついたらしく、皆玄関口を見て固まっていた。

それを見てパチュリーらは顔を強張らせ、全員で円陣を組んでひそひそ話始める。

 

「どうするよ?」

 

「こりゃだめだと思うぜ兄弟」

 

「とりあえず、ハリーから行きましょう。次に私。私達二人は客人だからそんなに怒られないと思うわ。私ら二人が通れたならロン達ももともとよりは怒られずに済むんじゃないかしら」

 

「OK、それでいこう」

 

そして覚悟を決めた五人の決死隊―正確に言えばパチュリー以外の4人―はゆっくりと隠れ穴のほうを向き、まずハリーが通る。

 

「あら、内緒話はもういいの?」

 

「おはようございます、おばさん」

 

「はーい、ハリー。よく来たわね。ゆっくりしていってね」

 

「わかりました、これからお世話になります」

 

 

ハリーは無事通過した。

次に私がモリ―さんの前にたつ。

 

「モリ―さん、おはようございます」

 

「あら、おはようパチュリー。疲れたのなら寝てていいのよ」

 

「大丈夫です、朝食用のスープを作ってますね」

 

私もハリーと同じようにモリ―さんの横を通って玄関を通る。

おとがめなし。

 

「セーフ。あとはあの兄弟だけど...」

 

私は台所まで進んで後ろを向く。

すると...

 

「っ!あんたたちは...」

 

思わず防音魔法を張ってしまうほどの怒鳴り声が聞こえてきた。

凄い剣幕で叱られて3人とも身を縮こまらせている。

あの様子では説教が終わるにはまだ相当に時間がかかりそうだった。

私は隣にいるハリーと顔を見合わせ、苦笑しながら

 

「とりあえず、朝食のスープかなにか作りましょう?」

 

「あ、うん。そうしよう。僕は卵とベーコンでも焼いてるよ」

 

と、とりあえずモリ―さんの代わりに朝食の支度をハリーと始める。

私は壁に掛けられている鍋をかまどの上に置くと、水を張って火に掛ける。

この時、外の音を音量を絞って取り込んで説教の内容を聞くことを忘れない。

取り敢えず簡単にシチューでいいだろう。

 

私たちはモリ―さんの怒声と3人の悲鳴をBGMにハリーと朝食の準備を始めた。

 

シチューからはいい匂いが、隣からは香ばしいベーコンのにおいがし始めたころ、ようやく三人が解放された。

 

ロンは不満げな表情で私達を見てくるが、私が肩を竦めると諦めたように椅子に座る。

 

「お前たちときたら一体何を考えているやら...」

 

私が配膳を進めていると、四人の後ろからまだブツブツと文句を言っているモリーさんが顔を出す。

 

「あら、二人とも準備ありがとう。ハリー、夏休み明けまでゆっくりしていってね」

 

そして双子からも抗議の声が上がる。

 

「お袋!ひどいじゃないか、パチュリーはスルーしてたじゃないか!」

 

「どうせお前たちが無理矢理連れて行ったんでしょう!夜中にベッドを抜け出すだけならまだしも、車に乗って飛んでいくなんて...心配で心配で気が狂いそうだったわ!!もしコアトルちゃんがいなかったら、魔法省に連絡するところだったんですから!お父様が帰ってきたら覚悟なさい!」

 

そして私とハリーのほうを見て

 

「別に貴方たちのことは責めていませんからね」

 

と、にっこり笑って言う。パチュリーとハリーがロンの家族のカースト一位にモリ―さんを認定した瞬間だった。

 

 

ベーコンエッグにシチュー、パンをそれぞれ食べたところでロンがあくびをした。フレッドとジョージも眠そうだ。

まぁ、昨日夜通しでハリーの救出をしたのだ。眠たくないわけがなかった。

 

「なんにしても疲れたぜ」

 

とフレッド。

 

「僕もうそろそろ―」

「腹も膨れたことだし、そろそろベッドに―」

 

「行きませんよ」

 

モリ―さんがロンとフレッドの言葉を遮る。

 

「夜中起きてたのは自分が悪いんです。庭小人の駆除をしてちょうだい。また手に負えないぐらい増えてるの」

 

「「「そんな!」」」

 

兄弟の悲痛な叫びが聞こえる。

 

そして兄弟の反対に座っている、ハリーとこあとパチュリーを見ると

 

「あなたたちは上に行ってお休みなさいな。疲れているでしょう?」

 

私は何かしゃべろうとしているハリーを止めて

 

「ありがとうございます。そうさせてもらいます。ハリー、上に行くわよ」

 

「え、でも―」

 

「上に、行くわよ」

 

「わ、わかった」

 

そう言ってハリーの同意を得て上に上がり、ジニーの部屋で寝ているであろうこあを叩き起こす。

 

「ちょっとこあ?あなたはいったい何をしていたのかしら?」

 

こあからしてみれば気持ちよく寝ていたところを起こされて、見てみれば、青筋を浮かべながら問いただしてくるパチュリーがいてさぞやぎょっとしたことだろう。

 

 

「え、えっとぉ~?パチュリー様?」

 

「あら、覚えていないのね。わたしたちの幻影を作らずに気持ちよさそうに寝ていたから聞いたのだけれど。あとここではパチュリー様じゃなくて姉様にするんじゃなかったの?」

 

「あっ!ご、ごめんなさい...」

 

「ロンの兄弟に謝ることね」

 

「は、はい...」

 

「それで?あなたは私にはどうするのかしら」

 

「えっと...」

 

「どうするのかしら?」

 

「今度、私のお小遣いから最上級の素材を買って最高の食事を作らせていただきます...」

 

「よろしい」

 

(うわぁ...)

パチュリーも絶対に怒らせちゃいけない人リストにハリーが加えた瞬間だった。

 

 

 

この後こあの紹介をしたのだが、ハリーはほとんど内容が頭に入ってこなかったのか、何度も聞き返してきた。

 

 

 

こあの説教を終わらせて下に降りたころ

暖炉で緑色の光が光る。アーサーが返ってきたようだった。

アーサーは台所の椅子に座り込み、ぐったりと目を瞑っていた。

私たちと同じように、どうやら夜通し仕事をしていたようである。

 

「まったく、酷い夜だったよ」

 

私がアーサーに魔法でお茶を入れると、アーサーは一口飲みほっと一息つく。

大きなため息を一つついたあと、

 

「一晩だけで九件も抜き打ち調査だ。フレッチャーのやつなんか私が後ろを向いた隙に呪いをかけようとしてくるし...」

 

「何か面白いものでもあったんですか?」

 

「いや、私が押収したのは縮む鍵が数個と、嚙みつくヤカンだけだ。まったくもってどうしようもない物を作るも―」

 

「ええ、貴方の車とかもそうですね」

 

急に台所の奥からモリーが顔を出す。

アーサーはモリーが機嫌が悪いことを察して慌てて姿勢を正した。

 

「モリ―、え?、その...車とは?」

 

「ええアーサー、貴方が自分の奥さんには仕組みを調べるために分解するとか何とか言って、実は呪文を掛けて飛べるようにして、透明にできるようにもしたあの車のことです」

 

アーサーは何故モリーの機嫌が悪いのかわからず目をパチクリとさせている。

 

「モリー、あれ自体は何もやましいことはない...えっと、その...たとえ空飛ぶ車を持っていたとしても、実際に飛ばしさえしなければ...」

 

「アーサー、ええ、それはもうもちろんご存じですとも。なにせ自分の夫が作った法律ですもの。自分の趣味のためにしっかり抜け道を作っていることもしっかりご存じですとも!申し上げますが、今朝がたハリーが到着しました。あなたが今さっき飛ばすつもりがないといった車でね!」

 

あぁ、だからアーサーは私を迎えに来た時、隠れ穴につく前に車を下したのか。

 

「ハリー?どのハリーだね?」

 

アーサーは机の周りに群がる私たちをぐるりと見まわし、ハリーの姿を見て目を見開いて後ろにのけぞった。

 

「なんと!ハリー・ポッター君か?いやはやよく来てくれた。息子がいつも君とパチュリーの話を...」

 

「あなたの息子たちが昨晩ハリーの家まで車を飛ばして、また戻ってきたんです!」

 

モリーの怒声が台所に響き渡る。

だが、アーサーはまだ付き合いの短い私でもわかるほど、わかりやすく目を輝かせた。

 

「や、やったのか?上手くいったか?私以外にも成功したのか?つ、つまりだ、あ、いや...」

 

アーサーはモリ―さんの突き刺さるナイフのような視線に気づいて、話を変える。

 

「それは~お前たち、いかん。そりゃ、絶対にいかん...」

 

これはもうダメそうだ。

モリ―さんの後ろにとがった氷柱が見えるのはパチュリーだけじゃないだろう。

私はこの場を逃亡することに決めた。

かなり眠気にも襲われていたことだし丁度いい。

私はあくびをしながらジニーの部屋に入って寝るのだった。

 

 

 

ハリー救出作戦決行から一週間ほどたったころだろうか。

私がトーストにバターとマーマイトを塗っていると窓際にフクロウが降り立った。

足にはそこそこの厚さのある手紙の束を持っている。

私は窓を開けて梟を抱いて撫でて、手紙を受け取る。

 

「モリ―さん、お手紙です」

 

「誰宛のかしら?」

 

「多分ホグワーツからだと思います」

 

そう言いながら私はモリ―さんに手紙の束を渡す。

モリ―さんは朝食の支度をする手を一度止め、手紙をまとめている紐を解いた。

 

「ああ、やっぱりホグワーツからよ。パチュリーとコアトル、それにハリーの分もあるわ。はい、あなた達二人の分、こっちはハリーね」

 

モリ―は、それぞれに便箋を配っていく。

そして中身を見た一同はほぼ同時に顔を顰めた。

新しい教科書のほとんどがギルデロイ・ロックハートとかいう人のものだったからだ。

しかもタイトルからして、教科書ではなく小説のようだ。それも、幼稚園児に聞かせても喜ばれなさそうな。

 

 

例えば、バンパイアとバッチリ船旅とか自分の好みの話と、バンパイアとの船旅はバッチリだったとかいう話がすべてで、教科書になりうる要素が一つもない。一応、魔法を使って戦闘をしているが、どうも利用方法が胡散臭い。

しかも、このギルデロイ・ロックハートが闇の魔術に対する防衛術の教師になるらしい。

実際に受けてみないとわからないが、おそらく自分が教えたほうがよっぽどましな授業になるだろう。

 

「ロックハートのほんのオンパレードだ!これはもう、今年もだめだ」

 

とフレッド。

まったくもってその通りだ。

 

ロン曰く、ハーマイオニーが水曜日に新しい教科書を買いにダイアゴン横丁に行くらしい。

 

「ちょうどいいわ。私たちも出かけて、あなたたちの分をそろえましょう」

 

モリ―さんの鶴の一声でロン兄弟と、ハリー、私、こあもその日に行くことになった。

 

 

 

ハリーが煙突飛行に失敗してノクターン横丁に行くなんて事件が発生したが、無事、ハグリッドとハーマイオニーの家族と一緒にグリンゴッツで落ち合えた。

ところがそこでひと悶着起きる。

ハリーとウィーズリー一家が金庫のカギを小鬼に渡して、次に私の番となった時、それは起こった。

 

「はいこの鍵でよろしくね」

 

「わかりました。83番金庫のブラウンシュヴァイクさんのところですね」

 

そう小鬼が言ったとたん、ウィーズリー一家はもれなく全員びっくりしていた。

 

ここで、パチュリーの父方のブラウンシュバイク家について軽く説明しよう。

ブラウンシュヴァイク家は聖28一族なんていうチャチなものではなくてホグワーツの創設者の生きていた時代よりも前から存在していたとされる、古い純血の一族だ。

簡単に言えば、マルフォイ家とはくらべものにもならない、さらに言えば、スリザリンの血筋だとか言っている、ヴォルデモートと比べても、確かな血統だ。

しかし、ブラウンシュヴァイク家の人間は、多少は血統を気にするものの、純血主義というわけではなく、ただただ、自身の魔法力の鍛錬や、魔法の研究に専念する一族であった。誘いを断っていなければ第十一代目の当主がホグワーツの創始者のひとりとなっていたかもしれないというほどである。ゆえに、魔法族の中で最も魔法のことを熟知している一族でり、あまり、目立つことは好まない。だから、科の一族は1000年ほど前から、ある名前を公的な活動以外では名乗るようになった。”ノーレッジ”と。自分らは、魔法族の中で最も知識があるぞと。そういう誇りある名前をもった。

しかし、ブラウンシュヴァイク家は300年ほど前に血筋が途絶えたとされている。まぁ、ただパチュリーが森から出なかっただけではあるが。

 

このことからもわかるように、パチュリーの本名は”パチュリー・アリワラ・ブラウンシュヴァイク”である。―因みに母方の姓の在原も日本の天皇家から分かれた血筋の高貴な陰陽術の一族である。

 

 

 

だから、パチュリーがブラウンシュヴァイク家の金庫の鍵を持っていて、その金庫を開けると聞いた途端、生粋の魔法族であるウィーズリー一家と魔法界にきてから本という本を読んだハーマイオニーは驚いたのである。本当にあのブラウンシュヴァイクなのかと。

 

「ぱ、パチュリー?なぜ君がブラウンシュヴァイク家の鍵を持っているんだい?」

 

と、狼狽したロンが聞いてくる。ハリーは何が起こっているのかサッパリわかっていないようだが。

 

「なぜって、そんなの私が、現在ブラウンシュヴァイク家の当主だからに決まってるじゃない」

 

「でも君の姓はノーレッジじゃないか?」

 

「あら、ノーレッジはブラウンシュヴァイク家の人間が、親しい人以外に名乗る姓よ。ホグワーツからはノーレッジ様あてに入学案内が来たわけだし、今更名乗るわけにはいかないもの」

 

「じゃあ、君は本当に―」

 

と希少生物を見つけたようにつぶやくロンと、アーサー。

 

「ええ、私の本名はパチュリー・アリワラ・ブラウンシュヴァイクよ」

 

固まってしまうウィーズリー一家。訳が分かっていないハリー。怪訝そうな顔をしているハーマイオニー。

 

「でも、そんなのはおかしいわ!ブラウンシュヴァイク家はとっくの昔に滅んでいるもの」

 

と、堂々と宣言するハーマイオニー。本人の前で失礼もいいところだ。

 

「あら、現当主の前でそれを言うのかしら。私がグリンゴッツの鍵を持っている。それだけで十分な気がするのだけれど」

 

 

「まぁ、取り合えず金庫に向かわないか?」

 

そうしてマグルのお金を換金するというグレンジャー家の人たちといったん分かれて、一行は小鬼の運転する小さなトロッコに乗って、地下トンネルのミニ線路の上を猛スピードで走る旅を楽しんだ。そこで初めにパチュリーの―ブラウンシュヴァイク家の―金庫の前で止まって、一同は再び驚愕することになる。

 

金庫というより、部屋に近い広さの場所に大量の金貨と、貴重なものが、高く積み上げられていたのである。

分かりやすく言えばポッター家の軽く数十倍近くの量だ。

 

「初めて、グリンゴッヅに来たけど、ここまであるとは思わなかったわね」

 

「ええ!てっきり大図書館にあるものが全部だと思ってました」

 

「まぁ、今回の目的は家にたくさんあった金貨を置いてくることだったんだけど...まぁ、いいか」

 

そうして、すでに積んであったのと同じくらいの量の金貨が積まれた。

パチュリーの手元にはガリオン金貨が丁度1000枚だけ―それでもびっくりするくらい大金だが―となった。

そして用は済んだとばかりに後ろを向き、固まっている一同に声をかける。

 

「どうしたの?早く次に行きましょう」

 

 

その後、一同はそれぞれ必要なお金を取り出し、グリンゴッツを後にした。ウィーズリー家の金庫の中にガリオン金貨が一枚しか入っていなかったのはここだけの秘密だ。

 

 

 

そして一時間後、フローリッシュ・アンド・ブロッツ書店でハーマイオニー達グレンジャー家の人たちと合流し、中に入ろうとすると、驚いたことにただの書店には来ないような人数の人が来ていたのである。その理由は横断幕にでかでかとかけられていた。

それを見て興奮しているハーマイオニーとモリ―さん、何が何だかわかっていないハリーと、グレンジャー夫妻を除いて全員がため息をつく。

 

その後、ハリーがロックハートに連れ去られ、ふたりでツーショットを取らされるなんて言う事件が発生した。

やっとそれから解放され、最悪の気分に陥っていたハリーをさらに追撃することが起こる。

 

「いい気持ちだろうねぇ、ポッター?」

 

ドラコが入ってきたのである。父親を添えて。

 

「これはこれはこれは、アーサー・ウィーズリー」

 

「ルシウス」

 

「魔法省は忙しいらしいですな。あれだけ何回も抜き打ち調査を...残業代は当然...いや、どうもそうではないらしい」

 

ジニーの持っていた教科書を取り上げ、ぼろぼろに使い古されたものを見て嘲りの視線を向ける。

そしてハーマイオニーの両親を一瞥した後、

 

「ウィーズリー、こんな連中と付き合っているようでは、君の家族はもう落ちるところまで落ちたということだろうか」

 

そう言ってジニーの教科書をジニーの大なべに放り込んだ。

 

ハグリッドが止めなければ殴り合いの大げんかになっていたところだろう。

 

そんな中、パチュリーといえば...

 

「久しぶりね、ドラコ。夏休みはどうかしら」

 

「もちろん最高だったさ...君はまだマグルと仲が良かったのかい?やめたほうがいい。君も確かな血筋なんだから。ブラウンシュヴァイク家の恥さらしになってしまう」

 

「あら、どこで私の家のことを知ったのかしら」

 

「ノーリッジという家については知らなかったからね。でも君の魔力は明らかに普通じゃない。だから高名な純血家何だろうと思ってね。父上に聞いてみたのさ。そしたら父上がノーレッジ家、いやブラウンシュヴァイク家について教えてくれたのさ。もちろん、おとぎ話のような内容で驚いたが、どうやら本当だったらしい」

 

「そう言うことならお生憎様。ブラウンシュヴァイク家は知識、技術を最も尊重する。それも正しく使うことを。今でも純血の一族であるのはただ、高い能力を持った人は純血に多かっただけよ。あっちの喧嘩も片付いたようだし私はもう行くわ。またホグワーツの魔法薬学の授業で会いましょう」

 

「ああ、またな」

 

そうして一行は濡れ鍋に戻り、ハーマイオニー達と別れ、煙突飛行で『隠れ穴』に帰ったのである。

 

それから、ホグワーツが始まる九月一日まで、パチュリーとこあ、ハリー達はロンの家族と一緒に課題を片づけたり―主にパチュリーとこあが―クィディッチをしたりして楽しく過ごした。




やっと、ここまで書けた...

トリヒキサキがカタカナなのは一応パチュリーは生粋の魔法族だからです。

なんか高貴な家の出にしないとマルフォイと完全に敵対関係になっちゃうからそれらしくしてみました。

在原(アリワラ)に関していえば実際に天皇の血を引いた一族であることは間違いありませんが、別に陰陽術の家系ではないです。
テキトー言っててすみません。

次回はロックハートの初回の授業までのつもりでいます。
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