ハリーポッターと花曇の魔女   作:madなサイレント

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お待たせしました。
本格的に秘密の部屋の事件が今回から発生します。

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ありがとうございます。


最初の犠牲者とほとんど骨なしハリー

さて、あのロックハートの茶番劇からしばらくして10月になった。

あれからパチュリーはロックハートの授業をまともに受けていない。

授業に行ってから、パチュリーは幻影魔法を掛けることすらなく、堂々と授業中に魔法書を読んだり、新しい魔法を考えたり、自身の魔導書を編集したりしていた。また、ロックハートの前で彼が教科書として指定した小説を火符を使って灰にしたり、授業で彼に指名されても何も答えなかったりそれはもう、すごい嫌いようだ。当然のことながら、ロックハートはそれが気に食わず、グリフィンドールから大量の点数を引いているが、優秀すぎるパチュリーである。それ以上の点数をほかの授業で稼いでいるため、誰もパチュリーには文句を言わない。そんな二人の関係は、同学年以外でも有名であり、先生たちも苦笑しながら見ていた。しかし、誰も止めることはない。

そんな平和な(?)日々が続いていた。

 

 

 

 

そして31日。

その日は全ホグワーツ生が大好きなハロウィンである。

その日のパーティーに出てくるご飯はすべてがおいしいのだ。

かぼちゃパイに、かぼちゃスープ、かぼちゃジュースとかぼちゃ尽くしなのにこれが不思議と全く飽きないのである。

天井付近にはいつも浮かんでいるろうそくの代わりにジャックオランタンが何百何千とあり、それはまた幻想的だ。

 

パチュリーはそんなご飯をこあと一緒に堪能していた。

 

「ぱ...姉様、ここの料理っておいしいですね!私も料理には自信がありましたが、ここの料理を知ってしまったら自信を無くしてしまいます...」

 

「私はこあの料理も大好きよ。ここの料理はおいしいけど、私の好みではないのよね。あなたは私のために150年も料理を作ってくれているじゃない。だから私は貴方の料理のほうが好みだし好きよ」

 

「私も料理を作りたいんですが、どこに厨房があるのかわからないんですよねぇ」

 

「確かにこれだけの料理がどこで作られているかわからないわね。今度探してみましょう」

 

「それにしても、私はもうかなりおなか一杯ですぅ~」

 

「そう。じゃぁ談話室に戻りましょう」

 

そうして2人はほかの生徒たちよりも早く談話室に戻ることにした。

一緒に学校にかようようになり、同じ寮になったとはいえ、学年が違うため、2人きりでゆっくりする時間は意外と少ないのである。

2人でゆっくり歩きながら寮に戻ろうとしていた時...

 

「姉様、何か嫌な気配が動いています」

 

いつになく真剣な表情でこあが告げた。

彼女はそもそも悪魔であり、人間よりもはるかに高位の生き物である。

杖なしで魔法を使うなんて当たり前。人間が呼吸をするように悪魔は魔法を使う。

本来、複数人で数日かけて行うような儀式魔法でさえ、悪魔にかかれば簡単なことだ。

小悪魔と言っているようにほかの悪魔と比べるとはるかに劣っているとされていた彼女でも、ホグワーツの教師らと一対一なら戦える程度の強さは備わっているのである。

悪魔はいい魔法薬の素材になると昔はされていて乱獲され、もうすでに絶滅してしまっているが、弱いため一族の恥とされ、追放され行く当てもなくさまよっていたところをこあはパチュリーに拾われて彼女に仕えるようになったのだ。

そして悪魔が強いとされる要因の一つにある、第六感とも言えるほどの危機察知能力である。

そんなこあの発言を聞いて、談笑をやめ、こちらも真剣に考え始めるパチュリー。

 

「場所は?」

 

「細かいことはわかんないけど、多分三階だと思います」

 

「それじゃあ、三階に行きましょう」

 

それにしてもホグワーツに危険があるとは何事だろうか?去年の賢者の石騒動でもう十分だと思うのだが。

そんなことを考えながら急いで三階に向かう2人。

そして、そこにいたのは...

あのトラブルメーカーの3人組が呆然と立ち尽くしていたのである。

 

私は3人が見つめている壁に視線を向ける。

そこには真っ赤な血のようなものでこう書かれていた。

 

 

”秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気をつけよ”

 

 

壁の文字は、付近の松明の炎に照らされて不気味に鈍く光っている。

いったい秘密の部屋とは何だろうか。

 

「そこにぶら下がっているのは何だ?」

 

ロンがそう言い文字の下を指す。

驚いたことに猫がつるされていた。

しかも...

 

「ミセス・ノリスだ!どうしてこんなことに...」

 

「...早くここを離れよう」

 

ロンが声を潜めて言う。

 

「助けてあげるべきじゃないかな...」

 

ハリーが声を潜めて言う。

 

「僕の言うとおりにして。ここにいるところを見られないほうがい」

 

ロンがそういう。

 

「私もそう思うけど...もう手遅れのようね」

 

「パチュリー!コアトル!いつの間に...それより手遅れって?」

 

遠くから足音やら、楽し気な会話やら聞こえてくる。

どうやら、ハロウィンのパーティーは終わったらしい。

5人の立っている廊下の両側からたくさんの生徒が現れた。

前のほうにいた生徒が、立ち止まっている5人をいぶかしみ、ハリー達3人が見ていた壁に視線を移し、止まって顔を青くする。

ほぼすべての生徒が立ち止まったところでうれしそうな声が聞こえてくる。

 

「継承者の敵よ、気をつけよ。次はお前たちの番だぞ!”穢れた血”め!」

 

ドラコだった。

あのバカはいったい何を考えているのだろうか。

パチュリーは別に純血主義ではないが、思想自体は個人の自由だと考えている。

それを強要してくることがなければ、別にドラコが何を考えていようがどうでもよかった。

ホグワーツができた当初ならいざ知らず、今、学校にマグル出身者や混血がいったいどれほどいると思っているのだろうか。

おそらく、完璧な純血の一族はスリザリンの生徒でもごく一部だろう。

それこそ、グリフィンドールの純血の生徒の数と大差ないほどに。

彼は今、いったい何人の生徒を敵に回したのかわかっているのだろうか。

パチュリーに冷たい目を向けられていることなんて心にも思っていないドラコは、冷たい目に生気を漲らせ、いつもは血の気がない頬に赤みがさし、ぶら下がったままびくともしないミセス・ノリスをみてニヤリと笑った。

 

「なんだなんだ?何事だ!」

 

正直、この状況で最も来てほしくなかった人が来てしまった。

フィルチだ。

フィルチは肩で人込みを押し分け、ぶら下がったまま動かなくなったミセス・ノリスを見たとたん、恐怖で顔を手で覆い、たじたじと後ろへ後ずさる。

 

「私の猫だ!ミセス・ノリスになにが起こったんだ!」

 

フィルチが叫び、ハリー達5人―主にハリー―を見て叫んだ。

 

「お前だな!」

 

「お前だ!お前が私の猫を殺したんだ!あの子を殺したのはお前だ!俺がお前を殺してやる...」

 

そう言いながらゆっくりとハリーに近づくフィルチ。

ハリーはゆっくりと後ずさる。

 

「アーガス!」

 

そこで複数の先生を連れたダンブルドアが止めに入る。

ダンブルドアは、5人の横を通り抜け、壁の文字を一読して顔を顰め、固まったミセス・ノリスを壁から外して、振り返る。

 

「アーガス、一緒に来なさい。ミスター・ポッター、ミスター・ウィーズリー、ミス・グレンジャー、ミス・ノーリッジ。ああ、2人ともじゃよ。君たちもおいで」

 

すると、ロックハートがでしゃばる。

 

「校長先生。私の部屋が一番近いです。すぐ上です。どうぞご自由に」

 

「ありがとうギルデロイ」

 

しかし、ここで意外な人物が難色を示す。

パチュリーだ。

 

「ダンブルドア先生。私もロックハートの部屋に行かなければならないのかしら」

 

「ミス・ノーレッジ。そうしてくれるとありがたいのじゃが。なにか問題でも?」

 

「別の部屋にしてくれないかしら。そこのピクシーすら捕まえられない英雄様の部屋に入るのは恐れ多いもの」

 

パチュリーがそう宣言すると、ロックハートは笑顔を浮かべることすら忘れ、パチュリーを睨みつけ、ダンブルドアは困ったような顔を、周りの先生はパチュリーの図太さに驚きあきれ、生徒たちは感心したように彼女を見る。

 

「何とか、我慢してくれんかの。ギルデロイの部屋が最も近いんじゃ。それに、ロックハート先生じゃろう?君らしくないと思うのじゃが?」

 

「お言葉ですが先生。先生とは私に新しい知識や技術を与えてくれる人のことです。ああ、当然役に立つ。そこにいる自分の個人情報と、捏造したか、盗んだか知らない英雄譚を語ることしか能のない人間のことを指す言葉ではありません」

 

「そこを何とか譲れないかのう...事態は急を要するんじゃ」

 

「わかりました。今回だけですよ。授業ですら近づきたくないのに...」

 

パチュリーが渋々ながらも了承したことで一行はロックハートの部屋へ向かう。

途中までパチュリーのことをにらんでいたロックハートだが、思い出したかのように笑いだし、先導する。

パチュリーは、不機嫌そうなオーラを出し、膨大な魔力を体から放ち続け、近くにいたハリーやロン、こあにマクゴナガル先生は冷や汗を流しながら少しずつ距離を取って歩いた。

ダンブルドアは、その様子を見て不思議に思う。

パチュリーの放っている魔力が尽きる様子がないのだ。本来なら数秒で倒れるほどの魔力を体から放ち続けている。

 

事実、彼女の魔力はダンブルドアやこあを含め、ホグワーツにいる全員の魔力の量をまとめても彼女の魔力量には及ばない。

 

ダンブルドアにとって、さらに彼女の謎が深まったことでさらに頭を抱えていたところ、ロックハートの部屋についた。

 

「もう着いたのね。そろそろ帰ってもいいかしら?」

 

それを聞いた一同は事件のことなんて忘れてこう思ったことだろう。

 

(どれだけ嫌っているんだ!)

 

と。

 

本当に帰りそうになったパチュリーを何とか引き留め。

やっと明かりの消えたロックハートの部屋に入る。

すると、何やら壁面があたふたと動いた。写真の中のロックハートが、頭にカーラーを巻いたまま何人も物陰に隠れたのだ。

本物のロックハートはろうそくに明かりをともす。その少し後に、たくさんの写真の中のロックハートが多少は身なりを整えてキザったい笑みを浮かべて立っていた。10人に一人くらいの割合でカーラーを取り忘れていたが。

それを見たパチュリーは笑顔のまま、固まる。

全員がパチュリーのほうを向いたところで、ゆっくりと左手を顔の左斜め下あたりにあげ魔法書を現し、右手を前に出す。

その右手には真っ黒な黒炎が小さく灯っていた。

 

「ダンブルドア先生。この部屋を消し炭にしてしまってもいいでしょうか?」

 

「ダメじゃ。」

 

「...チッ」

 

普段の彼女からは考えられないほどの怒りをにじませながら渋々黒炎を握りつぶす。

 

その後やっと、事件の話し合いが行われた。

 

 

 

 

「...そう、非常によく似た事件がウグトゥグでありました。次々と襲われる事件でしたね。私の自伝に一部始終書いてありますが、私が街の住人にいろいろな魔除けを授けましてね...その事件によく似ています!...ああ私がその場にいればよかったのに、猫を剝製にする魔法に対するピッタリの反対呪文を知っていたのに...私がこの事件を解決...」

 

と自慢げに知ったかぶりをしているロックハートの声をBGMに話し合う。

 

「アーガス、猫は死んでおらんよ」

 

「死んでない?それじゃあ、どうしてこんなに、固くなって、冷たくなって?」

 

状況を理解していないフィルチに落ち着くように言いダンブルドアは続ける。

 

「石にされただけじゃ」

 

ダンブルドアがそう告げるとロックハートが

 

「やっぱり!私もそう思いました!」

 

とかほざきだす。パチュリーはイライラが溜まったためかロックハートに防音魔法をかける。

するとロックハートは何やら自慢げに話しているようだが何を話しているのかサッパリ聞こえなくなった。

ロックハートの自慢話にうんざりしていたのか、落ち込み切っていたフィルチと感動していたハーマイオニーを除いて表情が明るくなった。

 

「ただし、どうしてそうなったのか、わしには答えられん...」

 

「あいつに聞いてくれ!」

 

フィルチがハリーを指さす。

それに対してダンブルドアやマクゴナガル先生は二年生にはとてもそんなことはできないと反論するがフィルチは全く聞く耳を持たない。

そこで再びパチュリーが口を開く。

 

「フィルチさん。ハリー達は何もしていませんよ」

 

「それじゃあ、どうしてミセス・ノリスは石になったんだ!」

 

フィルチは叫ぶ。

 

「それは確かなことは言えないけど...少なくとも魔法でされたわけではないわ。ダンブルドア先生が解呪の魔法をかけて解呪できない魔法なんてたかが学生にできると思う?つまりこれは魔法以外の要因よ」

 

ここでハリーがパチュリーならできそうだと思ったのも無理はないだろう。

 

「私の猫が石にされたんだ!罰を与えなきゃ収まらん!」

 

「もう一つ。ミセス・ノリスを治してあげられるわ」

 

そう言うと、スプラウト先生とスネイプ先生、ダンブルドア以外はきょとんとした顔をする。

 

「確か、マンドレイクを使った薬で治療できたはずよ。この前の授業でマンドレイクを扱ったわ。今年度末には薬が作れるようになると思うわよ」

 

そう言うとフィルチはスプラウト先生のほうを見て

 

「本当ですか!」

 

と希望を見出したかのように見る。

ええ、というスプラウト先生の声でひとまずハリーへの怒りは収まったらしい。

しばらくして、ダンブルドアが帰ってよろしいと言うと、5人はロックハートの部屋を出た。

 

そして談話室に戻る前に空いている教室に入る。

パチュリーが、防音魔法と認識妨害の魔法をかけて5人は話始める。

 

「あの声のこと、僕、みんなに話したほうがよかったと思う?」

 

「いや、誰にも聞こえない声が聞こえるのは魔法界でも狂気の始まりだとされている」

 

そうロンがきっぱりという。すると

 

「ちょっと待ってください」

 

とこあが話を遮る。

パチュリー以外の3人は滅多に意見を言ってこないこあが話を遮ったことに軽く驚いたものの話を促す。

 

「ハリーさん、貴方も異変を感じたのですか?」

 

「ということは君も声を聴いたのかい?」

 

と、自分以外にも同じように聞こえている人がいることが嬉しかったのか、ハリーは少し弾んだ声で聞き返す。

 

「いえ、声を聴いたわけではありませんが...3階の廊下で何か嫌なものが蠢いているように感じて、私と姉様は3階の廊下に向かったんです」

 

少し望んでいた答えと違ったものの、ハリーは自分の言い分が認められたことに、そして同じように危機を感じた人がいたことに安堵した。

ハリーの話をきいて半信半疑だったロンとハーマイオニーもひとまずこのことを信じるようになった。

 

「それに気になることがまだあるわ。”秘密の部屋は開かれたり”って。”秘密の部屋”っていったい何よ」

 

「誰かがそんなことを言っていた気がする...ビルだったかもしれない...ホグワーツの秘密のことだ!」

 

と、ロンが話す。

 

「私、図書館で調べてみるわ。秘密の部屋のこと」

 

そうハーマイオニーがまとめると、全員、ひとまず談話室に戻ることにした。

 

 

 

 

 

それから数日間は石にされたミセス・ノリスの話でホグワーツは持ちきりだった。それでハーマイオニーが本の虫になったり、ジニーがミセス・ノリスのことを憐れんで真っ青になったりしたが、パチュリーには関係のない話だ。

まぁ、ハーマイオニーが珍しく授業を遮って魔法史の授業中にゴーストのビンズ先生に秘密の部屋について聞いていた。

そこである程度分かったことがある。

曰く、ホグワーツは創始者たる4人の偉大な魔女や魔法使いによって創設された。

ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、そしてサラザール・スリザリン。

彼ら彼女らはマグルの詮索から逃れられるようなこの場所にホグワーツ城を作り、そこを魔法学校とし、その創設者の名にちなんだ四つの寮を作った。当時、魔法はマグルから恐れられ、魔女や魔法使いは多大なる迫害を受けていた。

創設者たちは非常に仲が良く、魔法力に秀でたものたちを見つけてはこの城に誘い、魔法を教えていた。

しかし、ここで意見の相違が発生。スリザリンは魔法族のみを教育するべきだと主張し、他の3人は魔法が使えるならばマグル生まれも受け入れるべきだと主張した。スリザリンの主張も間違いではない。万が一でもマグルに知られれば再び迫害されることとなるからだ。

しばらくしてこの問題をめぐってスリザリンとグリフィンドールが激しく言い争って、スリザリンは学校を去る。

ここまでは正しい記録らしい。

続けてピンズ先生はあくまで伝説だと強調したうえで話始める。

スリザリンは城を去る前に他の3人には全く知られていない、隠された部屋を造ったという。

その伝説によると、この学校にスリザリンの真の継承者が現れるまでこの部屋を封印し、何人たりとも開けられないようにしたらしい。

そしてその継承者が秘密の部屋の封印を解いたとき、その中から恐怖を解き放ち、それを用いてこの学校から魔法を学ぶにふさわしくないものを学校から追放するというものらしい。

 

 

 

 

 

 

ミセス・ノリスが石にされてからしばらくたったある日の11時。

パチュリーはハーマイオニーとロンに連れられてクィディッチの競技場にいた。

 

「...私、クィディッチに興味がないんだけれど...なんでわざわざ連れ出すのよ...」

 

「そんな!パチュリー、ハリーの晴れ舞台だぞ!しかも花形のシーカーだ!それにパチュリーがいたらもしハリーに何かあっても安心じゃないか」

 

ミセス・ノリスが石にされてからしばらくたったとはいえ、ロンはまだ心配らしい。

 

そんなロンの心配をよそに、試合は始まった。

試合が始まってすぐに、全員が異変に気付く。

本来であればすべての選手に無差別に襲い掛かるブラッジャーがハリーだけを狙ってずっと追い回しているのだ。

 

「ハリーのやつ、何してるんだ?」

 

「ハリーが何かしているというより、ハリーを追いかけてるブラッジャーがおかしいわね」

 

「スリザリンが細工したに決まってるわ!パチュリー!何とかして!」

 

「はぁ、分かってるわよ...あら?...これはおかしいわ」

 

「どうしたのさ?」

 

「今、誰かから魔法の干渉を受けているのだけれど...私の知らない魔法体系なのよ」

 

「パチュリーの知らない魔法だって!マーリンの髭!」

 

ロンは叫ぶ。

 

「どうにかならないのかしら」

 

「魔法自体を無効化することはできるわよ。でも、干渉はできない。私が止めると、もともとブラッジャーにかかってた魔法もなくしてしまう。つまり、ブラッジャーはただの鉄の玉になって落ちる。試合が無効になってしまうわよ?」

 

「そんな!どうすればいいんだ!」

 

「ハリーを信じて見守るしかないわね」

 

そうして、3人はハラハラしながらハリーを見守る。

途中、雨が降ってきてパチュリー以外がずぶ濡れになった。何故パチュリーが濡れないのかロンとハーマイオニーは不思議に思ったが試合は続いている。そして、ハリーがスニッチを掴んだことで試合はグリフィンドールの勝利で終了となった。

しかし、試合が終わった後でもブラッジャーはハリーを狙って飛んでくる。不幸にも腕に当たって骨が折れてしまったようだった。

それを見てロックハートが意気揚々と近づいてくる。

ハリーは

 

「やめてくれ。よりによって」

 

とうめく。

 

「自分の言っていることが分かっていないようだ」

 

とロックハートが言う。

その会話をパチュリーは遠耳の魔法を使って聞いていた。もちろん、ロン達2人にも聞かせている。

その会話からハリーの意識は正常で問題はないとパチュリーは思った。

 

「ハリー、心配するな。私が君の腕を治してやろう」

 

「やめて!僕、腕をこのままにしておきたい、構わないで...」

 

「この私が数えきれないほど使ったことのある、簡単な、魔法だからね」

 

それを聞いて、パチュリーとロンは顔を見合わせ、青ざめる。

そしてパチュリーは高さが何十メートルもあるような位置にある観客席から競技場へ飛び降り、急いでハリーのもとへ向かう。

 

「僕、医務室に行かせてもらえませんか?」

 

しかし、当然というか何と言うか、ロックハートは聞く耳を持たない。

 

「みんな下がって」

 

ロックハートはそう言う。

パチュリーは周りから怪しまれない程度の速さで全速力で向かう。しかし、競技場の中央にいるハリー達のもとへは遠い。

当然だ。時速100kmは出ている箒でする競技なのだ。競技場もそれ相応に広い。

 

「やめて、ダメ...」

 

ハリーは弱弱しい声を上げたが構わずロックハートは杖を振り回し、ハリーの腕に当たる。

そして...

 

ハリーの腕から痛みは消え去った。腕の骨とともに...

 

「あっ!」

 

ロックハートの声だ。

 

「そう。まあね。時にはこんなことも起こりますね。要するに骨はもう折れていない」

 

そこまで行ったところで、鬼の形相のパチュリーがやっと到着する。

まぁ、300m近い距離を数秒で走ったので賞賛に値する速さではあるが。

 

「『要するに骨は折れていない』?なんで骨折を治すのに骨抜きの魔法を使うのよ!あなたはそれでも教師なの!?」

 

「これはだね。その~、ミス・ノーレッジ。まずは折れた骨を消して、また生やせばいいと考えてだね」

 

「ふざけないで!骨折を治すだけなら私でも出来たのに!かんじんの治す骨がなくなったんじゃ、魔法じゃどうにもならないじゃない!」

 

「まぁ、ハリー。医務室まで気を付けて歩いていきなさい。ミス・ノーレッジ、付き添って行ってくれないかね?マダム・ポンフリーが君を...あー...その...少し...キチンとしてくれるでしょう」

 

そう言って、足早に去ってしまう。

 

「『キチンとしてくれるでしょう』ですって!?ふざけてるのかしら!あのゴミ野郎は!」

 

普段基本的に無表情であるパチュリーの激怒に周囲は驚く。口調も恐ろしいほどに攻撃的で、周囲は動けずにいる。

しかしハリーは、滅多に感情をあらわにしない彼女が自分のために怒ってくれていることを少しうれしく感じていた。

そんなパチュリーと遅れてやってきたロンに腕を貸してもらいながら医務室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

医務室ではマダム・ポンフリーはお冠だった。

 

「まっすぐに私のところに来るべきでした!」

 

そう言いながら骨の消え去ったぶよぶよのゴム手袋みたいなかつて腕だったものを持ち上げた。

 

「ロックハートが腕を治してやるとかほざいて、嫌がるハリーに無理やり魔法をかけたからハリーは悪くないわ」

 

それを聞くと怒っていたマダム・ポンフリーもハリーに同情の視線を送る。

 

「骨折ならあっという間に治せますが...」

 

おお、ロックハートと同じことを言っているのに何だろう。この安心感は。

 

「骨を元通りに生やすとなると...」

 

「先生、できますよねぇ?」

 

とハリーはすがるように聞く。

 

「ええ、できますとも。でも痛いですよ。今夜はここに泊まらないと...」

 

痛いと聞いてハリーは顔を顰めるも、治ると聞いてとりあえずは安心したようだ。

 

パチュリーはそんなハリーを憐れみ、同時にロックハートを心底軽蔑した。




最近、アズガバンの囚人編を少し書き始めたのですが、パチュリーの守護霊が決まらない...
何かいい意見があれば教えてください...


追記

翠月さんの意見よりフクロウにしました
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