―――皆さんは、「銃」という物を、どう考えているだろうか。
映画やアニメ、小説なんかの影響で格好良い物と感じる人もいるだろうし、
逆に殺害や暴力、脅迫の為の怖い、野蛮な道具だと感じる人もいるかもしれない。
私は間違いなく前者で、幼い頃から銃が使われる映画、小説、その他アメリカンな作品に多数触れ、見事に銃への憧れを拗らせた小学生が出来上がった。
普通、小学生の頃の憧れなんて物はすぐに消え、忘れ去り、また別の趣味を見つけるのが普通だが……
生憎銃への情熱は一向に消えず、ただただ銃を撃ってみたい、銃声を生で聞いてみたい、反動を手に、
なんて妄想ばかりで勉強も手につかず、親には怒られてばかりだった。
親は、創作物やゲーム、その他の娯楽には割と寛容だったし、金銭的にも甘い方だったのだが……
同時に成績や習い事では割と上の方を要求してくる、まあバランスのいい(?)両親であった。
私が中学生のある日、見兼ねた父親がこう言った
「中間テストと期末テスト。その両方で9割以上を全教科で取れば年末海外に行って、銃を撃たせてやる」と。
もー、燃えたね。その日から参考書を兄姉から借りて猛勉強。来る日も来る日も机と向かい合い、
学校の勉強ができる奴、教師、etcに分からない所を聞いて回り………とまあ色々やった結果、
見事全教科ほぼ満点を達成した。人間やればできるもんだな。
そうして見事フィリピンに行き、射撃場にてハンドガンを撃ったのだが……
まあ、頭おかしくなるくらい幸せだったね。一発撃っただけで分かったよ。
『ああ、俺この感覚忘れられねえな』、って。
それから数日はもう……天国でした。サブマシンガンに重機関銃、リボルバーに、ああもう思い出すだけで体がうずく。
だが、幸せな時というのは続かない物で、まあ普通に日本に帰る事になった訳だ。
日本に帰ってから数日の間は我慢できたよ。撃ったぞ、っていう満足感と、達成感で。
けど無理だった。あの硝煙の匂い。体の奥の骨まで染み込むような強烈な反動。鼓膜が震える爆音。
俺が住んでるのは日本だ。2112年の今になっても銃を撃てるのは自衛隊と警官と一部の人間だけで、
銃が撃ちたいから海外に行くという選択肢も、かかる金額を考えたら高校生という立場上現実的じゃない。
だが、あの感覚を、匂いが視界が耳が忘れてくれない。
悩み、苦しみ、日々フラストレーションで呻く私を見兼ねた両親が渡してきたのが、VRヘッドセット。
『今時、仮想現実なんてものは現実とそう大差ねえらしい』
『日本で撃てねえって夜な夜な叫ぶくらいなら、
その手があったか、と。
実際の銃が一番だ。だが、仮想現実の中で、金額やら時間制限を気にせず好きなだけぶっ放すというのも、悪い選択肢ではないかもしれない。少なくとも手慰みにはなるだろう。
んで、色んなゲームを渡り歩いて理想の銃を見つけようとしたのだが……リアリティが無い奴が多くてな。
色々考えた結果、
『物理演算がリアルなゲームで自作しよう!』となった。
銃の構造やら構成する物質やらはあまり知らないが……何とかなるだろ!
今回目を付けたのは、『The Beginning and End of a Legend』……まあ直訳すると伝説の始まりと終わり、となる。
何でも、海外でベータテストが行われていたゲームが日本向けにリリースされたやつ、らしい。
葉っぱ一枚の揺れ動きから化学反応まで、全てが完璧に演算されるやべえゲームとの事。
これだ!と思ったね。化学反応までってところが最高。
少々お高かったが、ギリお年玉で買えた。
頭にヘッドセットを装着し、スイッチオン。
意識が混濁してきて、視界が白くなれば―――
ゲームスタートだ。