愛を込めて、宇宙より。 作:せうゆ
原初、世界は星に満ちていた。
そのうちの幾つかが寿命を終えて爆発して、細かな粒となってすべての源となった。
遠く星雲を隔てた星と星の屑と砂が隅の銀河でランデブーをして、奇跡が生まれた。
きっとあなたもそんな所から来たのだ。
◆
夜空にひとつの星が光ってる。
兄弟星は何万年も前に光を消してしまって、たったひとり宇宙を彷徨っている。
何年も、何十年も、何万年も。
ただ空で点滅を繰り返していた。
そして漂ううちに、強い光をみつけた。
それは小さくて、短くて、強い火のようにきらめくもの。
自分本位で、人を助けて、様々な感情が渦巻くそのいのち。
誰かがそれを『人間』と言った。
ひとりぼっちの星はそれから目が離せなくなった。
ずっとずっと、そのかがやきを見ていたいと思った。
遥か遠くの宇宙より、見守り続けていた。
やがてその星に翳りがでてしまう。
人間の住まう星の根元が腐り始めていたのだ。
それは病のようで、放置すればいずれこの星も消えてしまう。
ひとりぼっちの星はそれがどうしても惜しく思えた。
だから、その星は彗星になった。
途中で何度も何度も身体を塵やガスに変えながらも遠いその星を目指した。病の星を治すため。
孤独を癒してくれた、人間が生かすために。
◆
その日、人間たちの住まう星ではいっとう大きな流れ星が観測された。
星は砂漠に流れつくと、青い髪の少女に姿を変えた。
目指すはこの星で1番高い山。その火口。そこに飛び込んで、星の病を治すのだ。
「よーし! がんばるのよ!」
むん、と少女は満点の星空の中、拳を空へと突き出した。
「おお? 何やってんだお前ぇ」
声を聞きつけたからだろうか。砂山の下から男が姿を現す。砂漠の民らしく口元を覆い、頭に防砂の布を巻き、腰に大きく湾曲した剣を垂らしていた。
「あら! こんばんは! いい夜ね!」
「あぁ、いい夜だな、嬢ちゃん。おい、野郎ども。やっちまえ。“商品”の追加だ」
返事になおざりに返した男は手で砂山の下に指示を出す。するとどこに隠れていたのか、十数人ほどの同じ格好をした男たちが飛び出してきた。
「あら? あらららら?」
その姿に気を取られていたせいか、後ろから近づくもう1人の存在に少女は気が付かなかった。そうして紐で腕を手際よく縛られてヒョイと抱え込まれてしまった。
「お頭、どうしやすか」
「竜車ン中に放り込んどけ」
「了解」
ざり、ざりと砂を踏みながら男たちは少女を抱えて砂山の向こうに姿を消した。
星の子は大地に降り立ってわずか1時間足らずでキャプチャーされてしまったのだった。
「あなたのお名前は? どこに行くのかしら! 揺れがひどいわ!」
「うるせぇなぁ」