大魔族『赤血のリュグナー』 作:禪院魔虚羅
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リュグナーは、穿血を中断したことにより自由落下している最中の血を、魔法によって千枚通しのような形にして落下させる。
それを迎え撃つためにフリーレンは急降下をしつつ、自身の真上に獄炎を放って血を蒸発させる。
(やっぱり魔力を纏ってるからか普通の血よりも蒸発しにくい)
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両手に血の短剣を握り、魔力と血流を操ることにより二重の身体強化を施した腕でフリーレンの防御魔法を切り裂く。
血刃がフリーレンの体に触れる紙一重の位置までフリーレンは後退しつつ魔法を放った。
「…その血、本当にやりにくいね」
現状、リュグナーの魔法を食らったのは数十年前のヒンメルとアイゼンのみ。その二人も一撃で大量の血を浴びたため、どれだけの血が体内に入ると行動不能になるのかということは結局分からずじまいだった。
その事もあり、フリーレンはリュグナーの攻撃に対して避けるか完全に防ぐかの二択を迫られ、思考の面でも魔力の面でも普段より攻撃に割けるリソースが少なくなっいた。
「…使ってる側としては結構便利なのだがな。どうだ、お前も使ってみないか?」
「冗談でしょ。人間がそんな量の血液を出したらすぐに死ぬ」
「それもそうか」
放たれた雷を、広げた血を固めて作った盾で防ぎ、お返しとばかりに血をチャクラムのように固めた物を飛ばし、続け様に血を槍のようにして飛ばす。
それをフリーレンは防御魔法で防ぎつつ、四方八方からリュグナーに向けて襲いかかるような軌道で魔族を殺す魔法を放つ。
(…やっぱり圧縮した血を使わないなら問題なく防げる……あの時は
フリーレンがそんな事を考えた隙を付き、両手に握った血刃と雨のように降り注いで地面に突き刺さったままの血がリュグナーの手の平に集まる。
─────良くも悪くも何度か見た一撃。
─────当然、ヒンメルを戦闘不能に追いやった
─────しかし、それ以上に『アイゼンの腕を一撃で吹き飛ばした』という衝撃は大きかった。
(来る)
故に、脳内で警戒する優先度をつけ、リュグナーが指の先を向ける場所とは別方向に回避しようとした。
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それがリュグナーの狙いと気付いたのは、既に一連の攻防の中で夜闇に紛れてフリーレンの傍に浮かせた二つの血球が爆ぜた直後だった。
「
「今のは本当に危なかった…」
フワリと、飛行魔法を解除して地面に着地するフリーレン。
血飛沫が迫る中、彼女が選択したのは、首切り役人の一人であるドラートの糸を防いだ時に見せた、集中させた魔力による防御の応用…言ってしまえば、そう遠くない未来で戦うことになる無名の大魔族が使用した、圧倒的な魔力量と別次元とまで評された魔力コントロールによって作られた魔力の盾と同種のもの。
ただし、その無名の大魔族とフリーレンの間には魔力操作の精度には大きな差がある。
──────つまり
「これが魔族の血が体内に入った時の拒絶反応…あとでちゃんと調べなきゃ…」
リュグナーの超新星を完全に防げた訳では無く、フリーレンはその場に倒れ込んだ。
(し、死ぬかと思ったー!)
……離れた場所で魔力を隠してコソコソ移動しているリュグナーに気付くことなく。
それもこれも全部ゾルトラークと防御魔法の汎用性が悪いんだ…