転生した。
そう気づいたのはいつだったか。少なくともかなり早い段階で自覚したのは覚えている。
しかも、元いた世界とは違うみたいだ。
だってテレビのコマーシャルには、明らかに元いた世界じゃああり得ないものだったから。
『幻夢コーポレーション』
テレビに映っていたロゴと名前で確信したね。
あぁ…エグゼイドの世界か…って。
いやまぁね?
なんか可笑しいな~とは思ってましたよ?
生まれた時代を考えてもさ…知ってるゲームがあまりないし、人気なゲームが全く馴染みのない会社だったしさ
…てか、よくよく考えれば幻夢コーポレーション製のゲームじゃね?
今思い返しても、何処となくマイティらしきキャラが…
マイティアクションXが本編時点で5年以上かかったとあるけど、元々マリオみたいな人気の原作だったからだったりするんだろうか?
まぁ良いや。
別にそんなことが分かったからってどうこうするつもりもないし。これから本編が始まっても、変な行動も避ければいいし、仮面ライダークロニクルも出歩かなければ、もっと言えば仮面ライダークロニクル自体買わなければ大きな影響は出ないはずだし…。
それに、本編を通じてCRのドクターが優秀なのは分かりきってる話だし、基本恐れることはない!!…はず。
…とまぁこんな考えでいた僕ですけれどもそうもいってられない事態が発生した。
というのも…
「どうも、初めまして。この度、隣に越してきた宝生清長と申します」
そう言いつつ、僕の両親に挨拶する人物。
その人当たりの良さそうな表情は、仕事付き合いで覚えたのだろうか。両親とも既に打ち解けている。
間違いない。小説だったし、具体的なビジュアルも無かったけれど
小説で語られていた老け顔アプリで年をとらせたらああなりそうとあった顔つき…実際に試したことはないけど、確かに…面影はある。
彼が、…宝生永夢の父親。
そして、
「ほら、永夢…自己紹介は?」
そう後ろに隠れていた子供に促す。
呼ばれた子供は、まだ…小さい。
恐らく幼稚園にも行ってない年齢だろう。表情からも若干の怯えが見て取れた。
「は、はじめまして…ほうじょうえむです」
その子の口からは全てが平仮名に聞こえるような幼い声。
それでも、しっかり僕たちに挨拶をしようとしているのが分かる力強い声だった。
……そう、つまり問題というのは、宝生永夢の幼なじみになってしまったからなのである…
…………
2023年 永夢side
その日、CRでの業務を終えて一息ついていた僕は、同じタイミングで揃っていた貴利矢さんと飛彩さんとの少しばかりの雑談に応じていた。
「へぇ~?永夢って幼なじみいたんだ?」
そう戯けてみせる貴利矢さん。話の流れとはいえ、言わない方が良かっただろうか…。思わずそう考えてしまう。
「そう言うな…監察医。大体かつては天才ゲーマーとして活躍していた小児科医のことだ。むしろ体調面をカバーしてくれる身近な存在がいてもおかしい話じゃない。」
そう返す飛彩さん。いや、身近な存在って…。
「飛彩さん。別に僕は彼女とはそんな関係じゃ…」
ここで食いついたのが間違いだった。
「へぇ…?彼女…」
あ……しまった。
「へぇ~?そうなんだ~まさか永夢にそんな子がいたとはねぇ~!こりゃ恋のレースも名人の独走状態かな~?」
あぁ…こうなるならあまり言いたくは無かったのに。
迂闊に反応してしまった自分を責める。
「いや、違いますよ!?決して僕と彼女は恋人なんかじゃなくて、」
あ、ヤバい。今の行動はゲームの選択肢だと一番ヤバい奴だ。
「ん~?俺はただ交流云々の話してただけなんだけどな~?へぇ~?」
ホラ、こうなった…。
「ねね、どんな子なの?あの名人の心を仕留めたかわい子ちゃんてのはさ」
「おい、監察医」
さすがに飛彩さんも止めようとはしてくれたけど、
もう仕方ないや。
「そうですね…一言で言えば…笑顔の素敵な女の子…でしょうか」
ありきたりですけどね。と付け加えるのも忘れずに。
でも、確かにあの子の笑顔は素敵だった。
今にして思えば、僕がドクターを目指した理由のひとつでもあるかもしれない。
もちろん一番の理由は恭太郎先生だけど、いつでもあの子を守れるようにって無意識にそう思っていたのかも。
「かぁ~言うねぇ…さっすが名人。」
貴利矢さんは何かを噛み締めるかのようにその言葉を吐き出した。
「その子は今どうしているんだ?今までの反応を見てもそう関係が浅いわけでもないだろう…」
今度は飛彩さんからだった。一瞬、僕は呆気にとられたけど少し考えて納得した。小姫さんの事もあって案外こういう話題が気になるのかもしれない。
でも、あまり二人が求めるような話題は出せないだろう…
「もう居ませんよ。だって…」
だって彼女は………
消滅したんですから。
好評だったら続きます。
(既に大まかなプロットはある模様)
ちなみに結末はハッピーエンドです。