2年後もしくは106年前 作:requesting anonymity
1892年9月1日、夜。ホグワーツ城1階大広間で年度初めの式典を終えた新1年生たちは先輩たちに先導されて、先程組分けの儀式によって決まったばかりの己が所属する寮の談話室へとそれぞれ向かっていた。
「すごいすごい!階段が動いてた!」
マグル生まれなのであろう女の子があちこち見回しながら目を輝かせてそう言うと、辺りの壁に飾られている絵の中の御婦人方や騎士たちが一様に口元を抑えて笑う。
「道に迷った時は、絵に訊けば教えてくれるわ」
ハッフルパフ生を先導している7年生のポピー・スウィーティングが振り返ってそう言うと、1年生の女の子はますますその目を好奇心で煌めかせた。
「イタズラ好きなやつも居るから、発言を全て鵜呑みにするべきじゃないけどね」
ポピーの隣を歩くサチャリッサ・タグウッドはそう付け足した途端に、ホグワーツで最もイタズラ好きなやつが行く手を塞いでいるのを見て取った。
「これはこれは方々お揃いで。お目にかかれて光栄ですね?」
厭らしい笑みを浮かべてわざとらしく慇懃な口調でそう言ったポルターガイストを見て列を成しているほとんどのハッフルパフ生は露骨に顔をしかめ、1年生は興味を引かれて列の先頭を覗こうとし始めたが、7年生ともなれば慣れたものだった。
「ピーブズ、そこ退いてくれないかしら?」
ポピー・スウィーティングは落ち着き払って言葉を投げかける。
「やなこった。面白いおもちゃを貰ったんでね。校長先生様か管理人殿のどっちかがここを通るまでは動かないね」
「『貰った』?誰に?」
ピーブズの言葉選びが引っ掛かったらしいサチャリッサが訊く。
「お前さんのお友達さ、べっぴんさん」
その返答で全てを察したポピーとサチャリッサが「じゃあ私達は通っても構わないのよね?」と確認してから自分達の後ろで詰まっているハッフルパフ生たちに合図する。
そして再び廊下を進み始めたその時。
「ピーブズ!校長先生帰ってきたよ!!」
その声にも姿にも全く覚えが無いにも関わらず、ハッフルパフの7年生達には自分達の後ろから廊下を走ってきたその生徒が誰なのか、一瞬で理解できた。
「お!待ってたぜ兄弟!!」
ピーブズはそう言いながら驚くほどの速度で廊下を飛んで行き、見えなくなる。恐らくは校長室に向かったらしい事と、壁や天井をすり抜けないのはその「おもちゃ」とやらを持っているからなのだろうとポピーには想像できた。
「アナタ、ピーブズに何渡したのよ?」
「僕の新作、改良版カボチャ頭薬!頭だけじゃなくて胴体もカボチャになるんだ。つまりね2つ連なったでっかいカボチャに手足が生えた感じの見た目になるの。しかも飲まなくても、頭からかぶるだけで効果が出るんだあ!」
得意げにそう言ったレイブンクローの制服姿の青年はケラケラと快活に笑いながら、ちょっと挨拶してくるね!と言うと自分に杖を向けて制服をグリフィンドールのそれに変え、また廊下を駆けていった。
「カボチャになっちゃう薬があるの?」
いつの間にか隣に来ていた妹の疑問にハッフルパフ生の列の中程にいる4年生の女子はニッコリ笑って答える。
「飲むと頭がカボチャになっちゃう薬があるのよ。1年生で習う薬だから、アナタもそのうち魔法薬学の授業で作ることになるわよ」
妹の表情を見下ろしてそう言いながら微笑む4年生の女子とその周囲のハッフルパフ生たち、特に列の最後尾に居る1年生たちに、先頭の7年生から声がかかった。
「さ、ついたわよ!談話室への入り方を説明するから1年生は前にいらっしゃい!」
ポピー・スウィーティングがそう言うと瞬く間に隊列は崩れ、1年生たちがわらわらと寄って来るが、すぐにその表情は戸惑いへと変わる。扉らしきものがどこにも見当たらなかったからだ。
「ここが入り口?………どこが??」
羊のような癖っ毛の男の子が首を傾げている。
「もちろん数えたわけじゃないけどホグワーツって、普通の扉よりも、いろんな方法で隠されてる扉のほうが多いんじゃないかな」
丸眼鏡の7年生アーサー・プラムリーがそう言った事で、1年生たちはハッフルパフの談話室への入り口もまた隠されていると察して周囲をキョロキョロ見回し始めた。
「向こうの壁の、食べ物いっぱいのあの大きな絵!あれがそうだと思う!」
4年生の姉と手を繋いだ女の子がそう言った事で7年生たちは一斉に興味深そうな表情をしながらその女の子を見つめ、口々に驚きと感心を表明した。
「第一印象だけでその人の事を全部決めつけちゃうのはよくない事だってわかってたつもりでいたけど、いま改めて身に沁みたよ」
強いカールのかかった髪をヘアバンドで纏め上げた女子生徒が言う。
「僕5年生の時にギャレスから教えてもらうまで全然気づかなかったのに………」
アーサー・プラムリーも周囲の7年生と同じように目を丸くしていた。
先程まで行われていた組分けの儀式で組分け帽子を「帽子さん」と呼び、その「帽子さん」が喋る事に目を輝かせていたこの女の子が両親共に非魔法族、つまりは所謂「マグル生まれ」であることはあの場に居た全員が当然察しており、だからこそ「絵が出入り口」という発想に即たどり着いた思考力に7年生たちは驚いたのだ。
「正解じゃないけど、アナタ。意外と鋭いのねえ」
そう言ったサチャリッサを、女の子はキョトンとした表情で見つめ返している。
「アレはキッチンへの入り口。あの絵の梨をくすぐると通れるようになるけど、屋敷しもべ妖精たちの仕事を中断させる事になっちゃうからあんまり入っちゃダメよ」
サチャリッサのその言葉で、1年生たちは一斉にその向こうの壁の大きな絵に視線を移した。
「さ!ハッフルパフの談話室の入り口はこっち!」
大小いくつもの樽が並んだ壁の前で手を叩いて大きな音を響かせ1年生たちの注目を集め直したポピー・スウィーティングはそのまま談話室への入り方の説明を始める。
「この樽。を決まったリズムで叩くの。手本見せるから、見ててね」
同じ頃、レイブンクローの1年生たちも先輩方の後ろに列を成して、レイブンクローの談話室の入り口前まで来ていた。そして、先頭で列を率いる7年生のアミット・タッカーに、すぐ後ろの1年生たちの中から声がかかる。
「ねえタッカー。あの階段急すぎない?」
「僕も初めてここに来た時そう思ったよ。『マジかよ』ってね。けどすぐ慣れた」
1年生の男子生徒は、そう返されてすぐに得心がいったらしい。
「ああそうか、そりゃそうだ。これから毎日、数限りなく登り降りするんだ。否も応もないか」
「そういう事。さあ、我らがレイブンクローの談話室への入り方を説明しよう。って言いたいところだけど、説明するよりやってみせたほうが早いかな」
アミット・タッカーはそう言って大きく一歩前に出ると、1年生たちにも扉に接近するよう促した。1年生たちがその指示に従う様子を後ろから、他の7年生を始めとするレイブンクロー生たちが見守っている。そして、鷲の頭を象ったドアノッカーが喋り始める。
「真なる予言は常に真なる予言か?」
1年生たちの大半は、そもそも質問の意味を理解できていない様子だったが、それでもこれがレイブンクロー寮談話室入り口扉の「セキュリティ」だとは察していた。
つまりこのドアノッカーが出す問題に正しく答えられなければ通れないのだと。
「いいえ。それを信じる者が存在する場合のみ予言は予言たりうる」
アミット・タッカーは即答する。
「たとえ本物の『予見者』、例えばシルビア・ペンブロークやオナイ先生などの方々が『見た』本物の予言でも、それを知り、信じて行動する者が誰一人居なければ意味を成さない。真なる予言が真なる予言たりうるのは誰かが信じた場合のみで、どころか誰もその予言の存在を知らないなら、外れすらせずただ消えていくだけだ」
「よく考察しましたね」
開いた扉を通ってレイブンクローの談話室へと1年生たちを先導するアミットと、その後ろをついていくレイブンクロー生たちの中にあって、得意科目ではアミットを凌ぎそれ以外の科目でも競るほどに優秀な7年生のヘクター・フォーリーは、1年生たちがいくらか不安げな顔をしている事に気づいた。
「そんなに心配なら、過去問やるかい?我らがレイブンクローの談話室には歴代寮監と先輩方が集積した本が大量に保管されてる。その中には在学中の7年間自分がレイブンクロー談話室入り口のドアノッカーに出された問題を残らず記録したとある先輩の日記もある。ご丁寧にその先輩ご自身がなんと回答したかは別冊だ」
ヘクター・フォーリーは1年生たちの表情が少し明るくなるのを見て取り、彼らは確かにレイブンクロー寮にふさわしいのだと感じて、自分の中でこの勉強熱心な1年生たちを歓迎する気持ちがより大きく湧き上がるのに気づいて笑顔になった。
「消灯まではまだ時間があるし、いいんじゃないかな。でもその前に1年生たちを寝室に案内しなきゃいけないよヘクター。女子はコンスタンスとアストリアお願い」
アミットのその言葉を受けて2人の7年生の女子が「こっちよ、ついてきて」と声をかけ、1年生の女の子たちをレイブンクロー寮女子寝室へと引き連れていく。
その頃、スリザリンの7年生たちも1年生たちに談話室を案内していた。
「ここの内装を手掛けた奴は、地下室特有の冷たい印象を消すために随分苦心したらしいな。父上と母上が薄暗い事ばかり強調なさるからどんな場所かと思っていたが」
艷やかな黒髪の男の子の、壁に掛かった絵の中の頭が3つある蛇と睨み合いながら発したその感想に、7年生のセバスチャン・サロウが反応する。
「悪くないだろう、クラウチくん?」
「ああ。……………ところでコイツは何だ?実在する魔法生物なのか?」
男の子がそう訊いた途端、額縁の中の3つ首蛇の頭が2対1に別れて喧嘩を始め、向かって右の頭が他2つの頭に集中攻撃されてあえなく噛みちぎられ、力なく転がった。
「そうだよ。そいつはルーンスプールと言って、見ての通り頭が3つある蛇。ブルキナファソ原産で、3つの頭はそれぞれ性格が違うらしい。向かって右から批評家、夢想家、野心家だそうだ。3年生から受講できる魔法生物学でそのうち習うよ」
セバスチャン・サロウは去年の魔法生物学で習った知識をちゃんと身につけていた。
「そして、今見た通り批評家の頭が他2つの頭を怒らせる事がよくあるせいで短命な例が多いんだと。頭は3つでも命は1つだからな。あと卵は口から産む」
「詳しいんだな」
「7年生だからね」
友人が飼育しているよ良ければ見るかい、などと軽々に口を滑らせないだけの自制心を獲得していたセバスチャンの向こうから、オミニス・ゴーントが1年生たちに注意事項を改めて通達した。
「いいかい、みんな。ここに来るための合言葉は2週間に1度変更されて、そこの黒板に掲示される。そしてくれぐれも、他の寮の生徒に合言葉を教えたり、ここに連れてきたりしない事。これは規則だ。破れば減点。そしてもっと酷ければ罰則がある」
杖の先を赤く光らせながらそう釘を刺したオミニスは、1年生たちが自分ではなくその背後に注目している事に気づいて、湖の中が見える大きなガラス壁を背にして立つべきではなかったかと逡巡したが、1年生たちが注意を惹かれているのは湖自体が原因ではなかった。
何らかが分厚いガラスの壁を叩く音と振動を感じ取ったオミニスは大イカの機嫌が良いのかマーピープルが喧嘩でもしているのかと考えつつ振り向く。
「…………何してんの、アンタ」
イメルダ・レイエスがそう呟くのが聞こえたオミニスは、ガラスの向こうの湖中に居るのが大イカでもマーピープルでもなく自分の友人だという事を察した。
「グリフィンドール生ってのはあそこまでバカなのか??」
ガラスの向こうの水中から満面の笑みで手を振っている青年の制服の赤色を見ながら1年生の1人が思わず言う。
「グリフィンドール寮の奴らがどうかは置いといて、アイツは間違いなくバカだよ」
イメルダ・レイエスがそう言い、7年生たちが一斉に頷く。
「それも君が思ってるよりずっとな。クラウチくん」
セバスチャンがどうやら陸に上がったらしい友人が居なくなったガラスの向こう、緑色に見える湖の中を眺めながらそう言った途端、オミニス・ゴーントの直ぐ側の空中がシュポン!と軽い音を立てた。
「うおー!成功した!!いい子だーーー!!きみはーーー!!」
いきなり現れた全身びしょ濡れの女生徒は、マグルの間ではドードー鳥として知られていた魔法生物ディリコールを抱き上げながら大喜びしている。
「まさかお前、ディリコールに頼って『付き添い姿くらまし』したのか?」
女生徒に杖を向けて乾かし始めたセバスチャンは驚きと呆れが声色に現れていた。
「『ばらけ』るの、怖くないのかい?怖くないんだろうね……………」
オミニスもその女生徒の突拍子もない試みに呆れ果てた様子で笑っている。
「いっぱい練習したけど1回も『ばらけ』なかったよ。むしろこの子に、僕が行きたい場所に行ってもらうのがめちゃくちゃ難しかった」
気軽にそう返した女生徒に、イメルダが横から質問を投げる。
「で、アンタなんで湖の中に居たの?」
「マーピープルたちとイカくんに挨拶してた」
1年生たちの内の何人かは、目の前に急に現れたこのスリザリンの制服を着た女生徒が先程の「ガラスの向こうの水中に居たグリフィンドールの男子生徒」だということにそこでようやく気づいたが、それでもまだ何がどうなっているのやらわからず、皆あんぐりと口を開けたまま立ち尽くしていた。一方の上級生たち、特に7年生は驚く様子すら無い。
「あー1年生のみんな。紹介しよう。僕らと同じ7年生で、お察しの通りさっき大広間で校長先生に成りすましてた奴で、ホグワーツで1番バカで、毎年ホグワーツの7年生から男女1人ずつ選ばれる『首席』の片方がコイツ。いいかい?みんなくれぐれもコイツの振る舞いを真似しない事」
セバスチャンが1年生たちに念を押すように言う。
「そう。僕首席なんだよ!さ、今度はハッフルパフの談話室に行ってみよう!」
自分が着ている制服を杖の一振りでハッフルパフのものに変えてそう言った女生徒にカシューナッツを1つ与えられたディリコールは、女生徒ごと「姿くらまし」した。
「他の寮の生徒をここに入れるのは規則違反じゃなかったのか?というかそもそもアイツはどの寮に所属してるんだ?」
至極真っ当な異議申し立てをした1年生の男の子に返事をしたのは、件の「アイツ」を経由して去年からセバスチャンやイメルダ等と仲良くなった白に近い金髪で細身の7年生、純血家系のマルフォイだった。
「もちろん規則違反だとも。だがな、規則を破らん生徒など居るか?……というのは冗談として、我らは運が良いんだよ。教授たちは『規則だから』というだけの理由で生徒を締め付けたりしない。我らがスリザリンの寮監ローネンもな」
マルフォイはそう言ってニヤリと笑う。ホグワーツの生徒たち、特にこのマルフォイを始めとする古い純血主義家系出身のスリザリン生たちと、スリザリン寮に対して敵意にも近い対抗意識を持っている一部のグリフィンドール生が去年この「緩和」を受け入れる、どころか教職員に要求するに至ったのは一昨年ホグワーツに編入してきた1人の生徒、たった今一瞬で注目を集めて去っていった7年生の振る舞いが大いに影響していた。
「やたら物を散らかしたり、暴力的に争ったりその他規則違反を重ねたりしないなら目を瞑ってくださる。つまり集まって課題や自主学習などに精を出す分には他の寮の生徒が談話室に居てもいい。あと緊急の用がある時とかな。ただし寝室は厳禁だ。そしてこれは去年からの『暗黙の了解』で、規則が改定されたわけじゃない。目に余る行いをすれば『他寮の談話室に侵入している』という規則違反も当然咎められる」
1年生の男の子は、その説明で納得したらしかった。
「つまりスリザリンらしく『上手くやれ』って事か」
「そ。仲良く勉強してる分には別にいいでしょってね。あーそれと、レイブンクローの談話室は元から他の寮の生徒も入って構わない事になってる。あそこはエッセイとかレポートとかの課題をやるには最高の環境だよ。場所と入り方はまあ、レイブンクロー寮に友人を作って訊くといい」
オミニスがそう言い、セバスチャンが1年生たちを寝室に案内するべくイメルダに声をかけた頃。グリフィンドールの談話室はちょっとした騒ぎになっていた。
「あれぇー?ハッフルパフの談話室に行きたかったのになー?なんでだいネリダ?」
そう言いながらディリコールを撫でている女生徒の眼前では、両手が鳥の翼に変わってしまった女の子が羽ばたいたり、雄の孔雀そのものの立派な尾羽根を広げた男の子がそれを閉じる事ができずに困り果てたりしている中、1人の7年生の男子生徒が他の7年生たちに床に座らされ説教されていた。
「この人は、いつもこうなんですか?」
グリフィンドールの1年生の中でただ1人だけ本能で危機を回避したダンブルドアが、強いウェーブのかかった髪と丸眼鏡が印象的な女子生徒に訊く。
「そうよ。こんなんだけど魔法薬学に関しちゃ誰より優秀だし教えるのも上手だから、躓く事があれば頼るといいわ」
「そうは……………見えませんが…………」
2人が見つめる先で床に座らされている燃えるような赤毛のギャレス・ウィーズリーは友人たちに説教されながらも「なぜ思い通りの結果にならなかったのか」で頭がいっぱいのようだった。
「全身が完璧に孔雀になるはずだったんだけどなぁ?なんでだろ……ショウガかドラゴンの棘の粉末のどっちかの量が違ったかな…………?」
「反省を促しても無駄だって事はもう知ってるけどさ、せめて飲ませる前にどんな薬か説明して同意を得るって事ができないかな?」
リアンダー・プルウェットが苦言を呈する。
「僕の新作の薬だよ?そりゃあもう皆に驚きの体験を提供できるさ!」
その瞳を情熱で輝かせているギャレスの、数多い友人の1人でもある7年生の女子生徒ナツァイ・オナイが口を開く。
「ギャレス」
「はい」
「ひっぱたくよ」
「迷惑かけてすいませんでした」
これもまたグリフィンドール談話室のいつもの光景だった。
「ところでドラゴンの棘の粉末なんてどこから入手したんです?」
そう訊いたダンブルドア少年の隣では、下半身が孔雀のそれに変わったエルファイアス・ドージが興味深げに自分の鉤爪と羽毛を眺めている。
「アナタでしょう。あげたの」
眉間にしわを寄せたナツァイはディリコールにブラッシングをしているその女生徒を見据えた。
「そうともさ。夏休み中に若い中国火の玉種が2頭、酷い怪我させられてるの見つけてね。元気になったら魔法生物規制管理課に引き渡そうと思ってたんだけど、引き渡す時に向こうの役人さんたちが僕から引き離そうとするとめちゃくちゃ暴れてどうにもならないもんだから、特例で飼育許可貰ったの。棘研いであげると喜ぶんだよ」
それを訊いた7年生たちは「ああそれで粉末が出るのか」と納得していたが、1年生のダンブルドア少年は驚きを隠せない様子だった。
「は?え?待ってください、そちらの先輩は、ドラゴンを飼ってらっしゃる???」
「そう。たぶん姉妹だと思うんだよねあの子たち………よかったら今、見るかい?」
ダンブルドア少年は己の耳を疑っていた。
「いまから見に行ける範囲に連れてきてるんですか?????正気ですか???」
「連れてきてるって言うか、僕の服のポケットの中の旅行かばんの中だから、持ち歩いてるっていうのが正しい表現かな。ポケットとかばんに『検知不可能拡大呪文』かけてあるんだ。他にもいろいろ居るよ」
着ているハッフルパフの制服のポケットに杖を突っ込んで「呼び寄せ」た旅行かばんを開こうとする女生徒をダンブルドア少年が必死で制止する中、ギャレス・ウィーズリーは床に座らされたまま1年生のダンブルドア少年に語りかける。
「ソイツは僕ら7年生の中で、呪文学も魔法生物学も闇の魔術に対する防衛術も変身術もぶっちぎりで1番だよ。………実技に限ればだけど。それに魔法薬学と薬草学でも学年トップクラスに優秀だよ。………『実技に限れば』だけど」
優秀さよりも「実技に限れば」という点を強調したギャレス・ウィーズリーの口調によって、ダンブルドア少年はその7年生の女生徒がどんな人物なのかをだいたい把握したつもりでいたが、その7年生が予想よりももっとずっと破天荒で天真爛漫かつ自由奔放、それでいて本当に実技に限れば「ぶっちぎり1番」だということをダンブルドア少年を始めとした1年生たちが本当の意味で思い知るのは、この数日後の事だった。
「1891年に規則がちょっと緩くなって他寮の談話室にも入って良くなった」も勿論私の妄想です。いやあ、レガ主はそれを望むだろうなと。
レガ主の見た目なんてプレイヤー毎に違うよね→古代魔法の影響で見た目コロコロ変わるんだよ!でそれが不定期かつ制御不能なんだよね(妄想)!
レガ主の所属寮とレガ主の本名とかそれこそプレイヤー毎に違うよね→なので明言しません。徹底的にぼやかすので思い思いに脳内で当てはめてお楽しみください。
Q.ヘクター・フォーリーって誰だよ?
A.ホグレガ本編にもちゃんと居るレイブンクロー生。そんで「ファンタビ」1作目冒頭時点における英国魔法大臣でもある。(グリンデルバルドに上手いこと対応できず数年で辞任)