2年後もしくは106年前 作:requesting anonymity
昨日ホグワーツ城に初めて足を踏み入れたばかりの1年生たちは、朝一番から早速授業が始まっていた。上手くできないながらも目を輝かせるマグル生まれの生徒たちや早くも才能の片鱗を見せる者がいるなか、その1年生は教室中の注目を集めていた。
どころか城中をざわつかせていた。
「何、今の。すごい音だったけど、だれ?どこから?」
「へキャット先生の『防衛術』の教室からかな?めちゃくちゃ揺れたね」
今しがたの轟音に気づいてすらいない可能性があるホグワーツ唯一のゴーストの教師カスパード・ビンズ先生の「魔法史」の教室で、7年生たちが小声で話をしている。
「まーたアイツなんかやらかしたのか?」
「僕ここに居るんだけどなー」
いつも騒ぎばかり起こす、と周囲に認識されている事をしっかり自覚しているらしい女生徒がまだ眠そうな顔で唸る。
「じゃあギャレスか?」
「僕だってここに居るんだけど」
そうかじゃあ今のすごい音も振動も気の所為って事になるな、というリアンダー・プルウェットの発言で教室のみんながかなり大きな声で笑ったが、ビンズ先生は例によってそれも聞こえていないらしく淡々と一本調子の授業を続けている。
「さすがにこう、なんだ。ゴーストであるという事の影響であってほしいね」
それを見ながらナツァイ・オナイが呆れたように言った。
「いやー、どうだろうな。ねえ、ビンズ先生がどうして亡くなったのか知ってる?」
いつも騒ぎばかり起こす女生徒がニヤリと笑って口を開き、周囲の同級生たちは知らないと口を揃える。
「生きてたころから、ビンズ先生の授業はこんな感じだったんだって。で、ある日の終わりに自分のオフィスに戻って来て、暖炉の前のお気に入りの椅子に座り込んだ。で、そのまま亡くなって、次の日も変わらず授業をしに教室に現れた。今日みたいに黒板をすりぬけてね。ポドモア卿が言ってた」
女生徒が「血みどろ男爵と灰色のレディも『本当の話だ』って保証してくれたよ」と付け足すと、教室中の全員がその話を「事実」と判断したらしく、呆れて物も言えない様子だった。
「えぇ………ビンズらしいといえばらしいけど…………」
癖っ毛に丸眼鏡の女子生徒クレシダ・ブルームも目を丸くしている。
「首無し狩りクラブの他のみんなもこの話聞きながら今のみんなと同じ顔してたよ」
女生徒が周囲の友人たちを見回してそう言った時、教室に闇の魔術に対する防衛術教授のダイナ・へキャット先生が入ってきた。
「ビンズ先生、生徒をひとりお借りしたいのですが少々よろしいですか?」
ビンズ先生は国際魔法使い連盟の創立に関する一本調子の解説を中断し、教室入り口扉を背にして立っているへキャット先生に向き直り「ええ構いませんよ」とだけ言うとまた一本調子ノンストップの授業を再開した。
「僕じゃないですへキャット先生ゆるしてくださいごめんなさいなんにもしてません校長室に盗みに入ったついでに棚をいっぱいのカップケーキでみっちみちにしたりなんてしてませんしましたごめんなさい机の上にもいっぱい置きましたごめんなさい」
へキャット先生がまっすぐ自分の方に歩いてくるのを見て勝手に慌てて勝手に何やら白状し始めた女生徒を見て、周囲の友人たちはまたしても呆れ、笑う。
「グリフィンドールの1年生をひとり、見てあげてほしいんだけどね」
「はぇ?」
てっきり怒られると思い込んでどのイタズラがバレたのかと大慌てだった女生徒は、一気に沈静化して素っ頓狂な声を出した。
「じゃ、ちょっと借りてくよ」
へキャット先生は教室の他の生徒たちにそう言うと、女生徒を教室の外に連れ出す。そこには、顔面蒼白になったひとりのグリフィンドールの制服を着た小さな男の子が丸っこい手をギュッと握りしめて立ち尽くしていた。
「で、校長室に何してきたって?」
「なんにもしてません……………」
そのままの足取りで闇の魔術に対する防衛術の教室へと向かいながらへキャット先生に問いただされた女生徒は、逃げるように思いっきり目を逸らした。
「正直に言えば減点は50点だけで済むよ」
「『双子呪文』と『肥らせ呪文』をかけたカップケーキをいっぱいいっぱい置いてきました………校長室の戸棚の中で増えちゃって増えちゃって、急いで閉めました」
「100点の減点だね。それと罰則」
いつも通りのそんな会話をしているへキャット先生と女生徒に、2人の後ろを歩いている男の子が意を決して話しかける。
「僕、退学でしょうか」
その問いにへキャット先生はニッコリと微笑んで優しく返答する。
「あんな程度の事で毎回いちいち退学にしてたらホグワーツから生徒は1人もいなくなるよ、ミスター・ダンブルドア。故意にやって死人を出したとかならともかくね」
女生徒は歩きながら頭だけ横に向けてその男の子の顔を見つめていたが、喧嘩している2体の甲冑の前を通り過ぎたあたりでニッコリ笑って話しかけた。
「さっきのものすごい音。もしかしなくてもさ、きみなんだね?」
「そうです…………………」
「へキャット先生、1年生の『防衛術』は何してたんです?」
その質問に対するへキャット先生の返答は、その7年生の女生徒を驚愕させた。
「『基礎呪文』さ」
「は??えぇ?!!この子基礎呪文でさっきのもんのすごい音出したの??!!」
女生徒はものすごい速度で男の子を抱え上げる。
「すごいねえほんとにすごいよ!!体重かるっ!名前何て言うんだっけきみ!!」
「アルバスパーシバルウルフリックブライアンダンブルドアです下ろしてくださいませんか先輩おろしてへキャット先生たすけてください」
一息で言い切ったダンブルドア少年を高々と両手で掲げた女生徒をへキャット先生はクスクスと笑いながら見守っている。結局その女生徒がダンブルドア少年を下ろしたのは、闇の魔術に対する防衛術の教室の前まで来てからの事だった。
「あーらら、こりゃスッゴイねえ。僕とかセバスチャンが『コンフリンゴ』とかやったってこんなにはならないよ」
その教室内の荒れ様を見渡して女生徒は言う。へキャット先生が戻ってくるまで1年生たちが大人しく待機していた闇の魔術に対する防衛術の教室は、ありとあらゆる物が破壊され、壁に掲示されていた全てが床に散乱し、天井から吊り下げられていたヘプリディアン・ブラック種のドラゴンの全身揃った骨格標本は派手に落下したらしく、バラバラの状態で教室の隅に寄せられている。
「みんな大丈夫かい?怖くなかった?」
へキャット先生が居たのだから誰も怪我などしていないだろうと信じ切っているその女生徒が、未だ動揺が収まらないらしい1年生たちに訊ねる。
「へキャット先生、すごくはやかったのよ!」
「ダンブルドアが杖振ったら、赤い雷みたいのが杖から吹き出たんだ。めちゃくちゃ眩しかった。へキャット先生のお手本はもっと小さい光だったのに」
口々に証言する1年生たちはダンブルドア少年を責める様子も囃し立てる様子もなく、ただ純粋に驚いているだけのようだった。
「へキャット先生、彼が『基礎呪文』に失敗したってだけだったら、僕のこと呼び出したりしませんよね?この子は何をしたんです?」
「お前さんが言う通り、ダンブルドアは『基礎呪文』を上手くやったよ。この教室の誰よりね。ただ、ダンブルドアが初めての魔法の修練をするにはこの教室じゃせますぎたって事さ。…………こんなとてつもない魔法力を備えた生徒は見たことないよ」
へキャット先生は女生徒の目を見る。
「私はお前さんに罰則を与えると言ったね。そしてダンブルドアも、罰してもらわなきゃ気が済まないって顔してるね。2人で森に行って、ちょっと『掃除』してきな」
そう言ったへキャット先生が、今度はダンブルドア少年の目を見つめた。
「いいかい、アルバス・ダンブルドア。お前さんはすごい魔法使いになるよ。この7年生にだって負けない、もしかしたらこのおバカなんか目じゃないくらいのにね。だから、いいかい?お前さんはその持って生まれたものすごい魔法力の適切な扱い方を学ぶんだ。幸い森には、なーんにも気にしなくていい練習台がたくさんいる」
女生徒はダンブルドア少年の手を引き、スキップなどしながら教室を後にする。一方ダンブルドア少年は未だ浮かない表情のまま、その首席バッジを胸元に光らせた7年生の女生徒に置いて行かれないよう必死で足を動かすのだった。
「さ、ミスター・ダンブルドアの事はあの子に任せておけば大丈夫。みんな、練習を再開するんだ。教室の片付けは私がやるから気にしなくていいよ」
へキャット先生がそう言って杖を取り出し、散々な状態の教室内を「直し」始めると教室内の1年生たちは皆、次々浮き上がって元の位置に戻っていく破片やらドラゴンの骨やらを興味深げに眺め続けた。
「ヘキャット先生が仰っていた『掃除』って言うのはつまり…………」
そう言いながら杖を構えたダンブルドア少年の丸い頬を、汗が伝う。ホグワーツ城に隣接する広く深い森の中で、「罰則」や「練習台」などの単語がダンブルドア少年の脳裏をぐるぐると巡っていた。―密猟者。
「そ。こういう奴らの事だよ」
顔の下半分を布で覆い隠している背の高い男性の喉を正確な狙いで放った呪詛によって『爆破』しながらそう言った7年生の女生徒は、ダンブルドア少年とは対象的に、どころか相対する密猟者たちと比べても1人だけ明らかに、緊張感が無かった。
「ハービヴィカス」
何らか呪詛を放とうとしていたゴブリンに女生徒が鋭く杖を向けてそう唱えると、ゴブリンの掌から真っ赤なバラが咲いた。それがどうやら取れないらしく、ゴブリンは躍起になって手を振り回した後もう片方の手で魔法を行使して現状の打破を試みる。
「ステューピファイ!」
女生徒とダンブルドア少年を挟んだその向かいに居る密猟者が放った失神呪文はダンブルドア少年の頭上を通過し、するりと身を躱した女生徒の傍を通って、今や両手がバラの花束と化しているゴブリンに命中した。
「あらら。狙いが外れているよ?」
そう言いながら女生徒は基礎呪文の小さな赤い光を杖先から絶え間なく連射し、最後に大きく杖を振り下ろして落雷を見舞い、数人を一気にノックアウトした。
杖を構えた20人近い敵に囲まれている上に1年生の男の子という足手まといを庇いながらも尚、その7年生は得意科目の宿題を片付けている時と同じ気軽な表情で杖を振り、身を躱し、周りにある幾つものテントや集積された荷物を視線の端で確認しつつ、隣に立つダンブルドア少年を完璧に守りながら密猟者たちを翻弄していく。
「ほら、きみもやるんだダンブルドアくん!」
何をするように促されているのか察したダンブルドア少年は、女生徒に気を取られている密猟者たちの内の1人に狙いを定める。
(うまく……いきますように!!)
そして、その場の全員の視界が灼けるように眩い赤一色に染まった。
周囲の木々から驚いた鳥たちが一斉に飛び立ち、辺りのテントにある軽い小物は尽く地面に散乱し、檻の中の魔法生物たちは驚いて騒ぎ始める。その大破壊に巻き込まれなかった密猟者たちは、呆然としたまま立ち尽くしている。
「ディセンド!……、あーあー、クレーターできてるや…………」
隙だらけになった密猟者たちをまとめて地面に叩きつけ、さらに無言で緑の閃光を放って一網打尽にした女生徒は、ダンブルドア少年の「基礎呪文」の常識外れの威力を改めて目の当たりして、その圧倒的な破壊の跡を眺めながら思わず声を上げた。
「んー、確かに『基礎呪文』を唱えるのに失敗してるってわけじゃないんだよね」
戦意喪失したらしい残りの密猟者たちを『失神』させて拘束し、一際大きい檻の前に移動させながら女生徒はダンブルドア少年に話しかけるが、当のダンブルドア少年はそれどころではなかった。
「先輩!今の緑の光、『アバダ・ケダブラ』ですよね?!!アズカバンで終身刑ですよ?!!何考えてるんですか!!」
他にも色々言いたいことがダンブルドア少年の脳内を渦巻いていたが、真っ先に口から出てきたのがそれだった。
「へー?チガウヨ違う。だって『アバダ・ケダブラ』って1発で狙えるの1人だけで、対象からまた別の対象に枝分かれしたりしないものだろう?」
一際大きい檻を開けてその中の傷ついたアクロマンチュラに密猟者たちを給餌しつつさらりとそう言って笑った7年生の女生徒に、11歳のダンブルドア少年はあっさりと言い包められた。
「まあ、そう言われればそうか…………って何してるんですか先輩」
7年生の女生徒は檻の中へと侵入し、与えられた密猟者たちを食べ始めたアクロマンチュラの足やら腹やら触り始めた。
「ん?だってこいつ怪我してるし。僕クモあんまり好きじゃないけど、こんな酷い怪我したお年寄りをほっとけないよ。……この水薬ちょっと沁みるけど我慢してね」
傷口に何か液体が触れると同時に刺すような痛みを一瞬感じたアクロマンチュラは身を捩るが、それはすぐに収まっていく。
「君らってさ」と女生徒はアクロマンチュラに話しかける。
「蜘蛛ってだいたい獲物の体内に消化液を注入して、中身をドロドロにして吸うじゃん?僕てっきり君らアクロマンチュラもそうやって食べるんだと思ってたんだけど」
意識を失った密猟者たちが巨大蜘蛛に貪り食われていくその様はダンブルドア少年にとっては直視し難い凄惨な光景だったが、7年生の女生徒にとってはそれほどの物でもないらしく、手早く治療を終えても離れようとせずに興味深げに顎の動きなどを観察していた。
「そうするさ。本来はな。しかし歳でなあ。消化液の出が悪い。もうすこし身体が軽ければお前もそこの丸い子供も食ってやるんだが。あの子は本当に美味そうだな」
年老いているらしいアクロマンチュラはどこか悔しそうにそう言いながら、また1人密猟者を食べ尽くした。
「な、なんですか」
食事を続けるアクロマンチュラと、その隣にしゃがみ込んでいる女生徒に見つめられている事に気づいたダンブルドア少年は戸惑った様子で声を上げた。
「きみのことさ。美味しそうだよねーって話してたの」
「勘弁してくださいよ………」
「ねえダンブルドアくん。もっかいやってみてよ『基礎呪文』」
女生徒はそう言って立ち上がり、距離を空けてダンブルドア少年の正面に立つ。
「きみ、基礎呪文1発撃っただけなのに結構疲れてるだろう。肩に力入りすぎ」
「そう言われても、精一杯やってるんです」
「もっと気軽に。ほら、撃ってみ?」
女生徒は杖を持った手を下ろしたまま微笑む。その言わんとしているところが察せないダンブルドア少年ではなかったが、「気楽にやる」と「先輩を狙う」はダンブルドア少年にとって両立しない条件だった。
「むー、きみちょっと頭でっかちだなあ………ここはホグワーツだよー?きみ程度が何やらかしたって僕がどうとでも収拾するさ。ほら、どうぞ?」
そして数秒の後、意を決したダンブルドア少年は再び「基礎呪文」を放つ。
「ばやー!!!」
「先輩!!」
強烈な赤い光に打ち据えられ妙な悲鳴と共に木々の向こうへ吹っ飛んでいった女生徒を追って、ダンブルドア少年は顔面蒼白になって駆け出す。
「ひゃー、すっごいなあダンブルドアくん!」
ぶっ倒れたまま笑っている女生徒の元に、ダンブルドア少年が駆け寄ってくる。
「あ。やあ。大丈夫大丈夫。僕の事よりさ!できたじゃないかダンブルドアくん!さっきの密猟者は地面の染みになったのに僕はこの通り!」
目の前で心配そうな表情をしている男の子に立ち上がって己の元気さをアピールする女生徒だったが、ダンブルドア少年の視線は女生徒には注がれていなかった。
「先輩、…………うしろ……」
怯え気味の声色でそう言ったダンブルドア少年の見つめる先へ、女生徒は振り向く。
「あ、やあ。ドラン」
ドランと呼ばれたそのケンタウルスは厳しい表情で女生徒を見ていた。
「さっきの騒音は、やはりお前か」
「ご、ごめんなさい………」
「お前たちは森をどれだけ騒がせれば気が済む?せめて、自分が散らかしたところは自分で元通りにしていくのだろうな?」
女生徒はケンタウルスのドランに弁解しつつ先程の密猟者たちの野営地へと歩いて戻った。しかしその「弁明」でさらっと全ての物音と破壊行為を自分の手によるものだとしてダンブルドア少年を庇った事に、他ならぬダンブルドア少年は気づいていた。
「お前でなければ、エレクの元へ連行していくところだ」
「へキャット先生でも?」
「あの魔女はこんな真似はしない。元通りにしないなら群れの皆を呼んでくるぞ」
「はいすいませんすぐやります」
女生徒とケンタウルスのそんなやりとりにダンブルドア少年は思わず横槍を入れた。
「あの、『元通り』ってなんですか?密猟者の荷物は片付ければいいですけど、焼けちゃった草木とかはすぐには………」
「戻せるから戻せと言っている。他のヒト共が相手ならこんな要求はしない」
ドランのその返答が合図かのように女生徒は杖を構える。
「えー、とりあえず邪魔」
密猟者の野営地の設備と荷物、そして密猟者の亡骸が、檻とその中の魔法生物以外すべていっぺんに「消失」する。
「地面の穴埋めてー、下草生やしてー、あのへん苔むしてたよな。で、あの木の陰にいくつかキノコがあってー…………」
女生徒がブツブツ呟きながらゆらゆらと杖を振ると、見るも無惨な爆心地はみるみる内に緑を取り戻していき、10秒も経たずに周囲の景色となんら変わらない元の鬱蒼とした森に戻った。
「どう?ドラン!植生あってる?」
「まあ、いいだろう。動物たちはどうするつもりだ?」
「連れて帰って怪我の手当てする」
「エゴだな」
「そうだよ。自己満足さ」
そんな会話をしながら次々と魔法生物たちを「旅行カバン」に吸い込んでいく7年生の女生徒を、ダンブルドア少年は呆気にとられて眺め続けた。
「ドラン。森を騒がせてごめんなさい。さ、帰ろうかダンブルドアくん」
その場に最後に残った幾つもの空っぽの檻を杖の一振りで群生するキノコに変えた女生徒の後を追って、ダンブルドア少年は恐る恐るケンタウルスに頭を下げてからその場を後にする。
「……それとさっきのケンタウルスは、知り合いですか」
根堀り葉掘り質問が止まらないダンブルドア少年に、女生徒は楽しそうに対応する。
「そだよ。一昨年ちょっと色々あってね」
「さっきの、僕が荒らしちゃった景色を元に戻したのは何の魔法ですか」
「んー?んー、それは城に戻ってから教えてあげる。今日の授業が全部終わったらそうだね、どこにしよ………レイブンクローの談話室においで」
「どこですかそれ」
「ああそうだね。そうだよね」
話しながら歩いている内に2人は森を抜け、ホグワーツ城が目の前に現れた。
1年生たちを引き連れたへキャット先生が、向こうで2人を待ち受けている。
「ねえ」
「なんです?先輩」
女生徒はダンブルドア少年に、少し声を小さくして問いかける。
「ファーストネームで呼んでもいいかい?」
「へ?ええ。構いませんが」
「やった!じゃあ、これからよろしくね。『アルバス』」
これが今世紀で最も偉大な魔法使いアルバス・ダンブルドアと、それと比べれば圧倒的に知名度の低い『前世紀で』最も偉大な魔法使いとの、最初の出会いだった。
※カスパード・ビンズ先生がゴーストになった経緯は私の妄想ではなく公式設定