2年後もしくは106年前   作:requesting anonymity

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76.わたしとラックレスきょう

 その日、7歳のアラベラ・フィッグは、はじめてパパとママよりも早く目を醒ました。ベッドから起き上がるのだってパパとママより早かったし、アラベラが助走をつけてパパとママの上に思いっきりダイブしてもまだ、パパとママは眠そうだった。

 一方、普段ならパパとママに起こしてもらう寝ぼすけのアラベラは、ぜんぜん眠くなかった。

 

「パパ、ママ! ねえ起きて! おーきーて!」

「ウッ、グうぇ――わかったわかった起きる起きるよアラベラ……」

 

 7歳のアラベラがパパのお腹の上でビタンビタンと激しく跳ねて力づくで起床を促していたこの時、「いつもより1時間早く起きようね」と昨日の晩に約束した予定時刻まで、まだ1時間あった。

 この日のためにパパとママが買ってくれた晴れた日の空の雲みたいに真っ白なドレスをさっそく着て、ラックレスきょうとおにーちゃんおねーちゃんたちに喜んでもらうべく家の中を全部飾り付けて、お気に入りの猫のぬいぐるみにも蝶ネクタイなど結んであげて自分の準備をバッチリ終わらせたアラベラは、パパとママがティーセットを選ぼうと2人して悩んでいる間も、何か忘れてることは無いか、何かまだ飾り付けられるものは無いかと考えながら、ソワソワと歩き回っていた。

 

「そんなにずっと歩いてたらみなさんがいらっしゃる前に疲れちゃうよアラベラ」

「――ミリアム!」

 

 飾り付ける余地がまだ残っているものに思い至ったアラベラは、ちょうど足元に居たニーズルのミリアムをがっしりと両腕で捕まえて抱え上げ、そのままブラシを取りに行って、床に座り込んで「ミリアムもキレイにしましょうね」と言いながらニーズルのミリアムにブラッシングを始めた。

 

 この日のちょうど一週間前、ある事件に巻き込まれて拐かされ密室に幽閉されていたところを丸一日ぶりに救出された際に、助けてくれた「ラックレスきょう」と、ラックレスきょうのお友達のおにーちゃんおねーちゃんたちと「今度またお茶でも」と約束した、その「今度」が今日なのだ。

「ミリアムもリボンとかつける? なんにもなしの方がいーい?」

 あの日どれだけ衰弱していたかなど推測すら難しいほどにすっかり回復したニーズルのミリアムは、7歳なのでまだあんまり上手とは言えないアラベラのブラッシングを、それでも気持ちよさそうに寛いだ様子でカーペットの上に転がったままアラベラの気が済むまで全身で受け止め続けた。

 

「――これにしましょう。それでちょっと変身術で見栄を張りましょう。もっともスリザリンの裕福な家の子も来るんだから、見栄なんか張っても見抜かれてしまいそうだけれど……」

 

 ようやくティーセットを選び終えたらしいママとは対照的に、パパは結局おとといも昨日も悩んでいた茶葉を数多いコレクションの中からひとつだけ選ぶという難事業の達成を断念し、複数種類淹れて香りや味の違いを楽しんでもらう方針に決定したようだった。

 その夫婦とて、決して富裕層とは言えない自分たちが想像する「高価なティーセット」と、スリザリンの古くからある家の子たちのような実際に裕福な人びとが手にとって使用している「本物」との間には誤魔化しきれない差異があるだろうとは予想できていたが、それでもママはこれと決めたティーセットに杖を向けて、ホグワーツの生徒だった頃に見た「フィグ先生のティーセット」を、デミガイズのように朧気になってしまっている記憶を頼りに再現しようと呪文を唱えている。

 

「毛だらけじゃないかアラベラ」

 

 茶葉の入った容器をいくつも浮遊させて運んできたパパは床に座り込んでいる娘を見るなりそう言って杖を一振りし、7歳のアラベラ・フィッグが着ているドレスは再びキレイになった。

「見てパパ私ねミリアムをキレイにしてあげたのよ」

「おや、ほんとうだ。良かったねえミリアム」

 パパが自分の隣にしゃがんでニーズルのミリアムを撫でるのを見たアラベラは、満足げにニンマリしてからグワッと勢い良く立ち上がる。

 

「そろそろ来る気がするわ!」

 

 ああ待ちきれなくなっちゃったか、とすぐに察したパパとママも、7歳の娘を追いかけるようにして玄関まで移動した。

 まだ予定の時間までは近所にお出かけできるくらいの猶予があるので当然お招きした皆さんは未だ到着する気配すら無く、7歳のアラベラ・フィッグはワクワクそわそわしながら待ち続ける。

「…………おねーちゃんたち、今日だって忘れちゃったのかしら……、ううん、そんなこと無いはずよぅ。だって、だってラックレスきょうはちゃんとわたしを助けに来てくれたもの…………」

 そうして待ちくたびれたアラベラが俄にしょんぼりしだした頃、ようやく予定の時刻が来た。

 

 そろそろいらっしゃる時間だと確認したパパとママは、アラベラに「家の外に出よう」と促す。

 

「今やっと『来てね』って約束した時間になったんだよアラベラ。正確にはあと10分あるけど」

「わっ、わたし心配してないわ! だってラックレスきょうは来てくれるもの!」

 一人ぼっちになってしまった寂しさに負けそうになっていたあの日の自分を助けに来てくれた「ラックレスきょう」に、アラベラは全幅の信頼を置いている。

 何度も何度もママに読んでもらって何度も何度も自分で読んだ「吟遊詩人ビードルの物語」の内の一遍「幸運の泉」に登場するマグルの騎士「ラックレス卿」は、7歳のアラベラ・フィッグの憧れのヒーローだった。そのヒーローが、自分が今までで一番の危機に陥っていた時に、絵本の挿絵のそのままの姿で、あの日、本当に助けに来てくれたのだ。

 

 その物語の中のヒーロー「ラックレス卿」への憧れは、あの日ラックレス卿そっくりの甲冑姿で助けに来てくれたホグワーツの7年生の生徒への信頼と憧憬になってアラベラの中に灯っている。

 

「――ほらアラベラ。空を見てみて。あそこ、わかる?」

 

 本日お招きした皆さんがどういう移動手段でいらっしゃるのかを予め伝えられていたパパとママはアラベラに遠くの空を指さして、そこに見える小さな点のような何かを示した。

「んー……? なにかしらアレ…………ミートパイかしら……? アップルパイかしら……」

「お腹がすいちゃったのねアラベラ」

 何に見えるかではなく何が飛んできてたら嬉しいかと考えているらしい7歳の娘を見下ろして、ママはクスクスと笑っている。

 その空の彼方の影は近づいてくるにつれてどんどん大きくなり、先日行われた手紙でのやりとりで「ウチの子に馬車を牽いてもらうよ」とだけ伝えられていたパパとママは何がその馬車を牽いているのかを識別して、あんぐりと口を大きく開けたまま硬直してしまった。

 対照的に、7歳のアラベラ・フィッグは空を飛んで近づいてくるそれが何なのかに気づいた途端、ぴょんぴょん飛び跳ねて両手を振り上げ大喜びし始める。

 

「ラックレスきょう! ラックレスきょう!」

 

 真っ赤な鱗に全身を覆われた勇壮な中国火の玉種のドラゴン2頭に牽かれた空飛ぶ馬車は、アラベラとパパとママとニーズルのミリアムのフィッグ一家が見ている前で玄関先の芝生に着陸した。

 ドラゴンは大きな身体で道路を完全に封鎖してしまっているし尻尾で向かいのお宅を破壊しそうだが、それをどうにかできる手段はアラベラのパパもママも持ち合わせていない。

 

 もしかしてマグルのご近所さんに迷惑をかけてマグルの治安維持組織に通報されて魔法省からお叱りなど受けてしまうのではなかろうかと、夫婦は焦り始めていた。

 

 本来なら御者が座っているべき席に座ってドラゴン2頭の手綱を握っている真っ白な毛並みに大きな丸い目をした猿のような生き物がじんわりと染み込むようにして姿を消したことにも気づいていないらしいアラベラは、馬車の中からその人物が降りて来るのが待ちきれない様子で、今にも駆け出して行きそうなくらいに喜びを全身から発散している。

 

 そして馬車から真っ先に降りてきたのは、アラベラのパパとママがホグワーツ時代によく見たような清廉さを感じさせる銀色の甲冑に身を包んだ人物。

 その甲冑姿の誰かはガシャガシャと音を立てながら7歳のアラベラ・フィッグの前まで歩いて来て、恭しい動きでアラベラに跪いた。

 

「本日はお招きいただき大変光栄です、レディ・アラベラ・フィッグ」

 

 アラベラの目の前で跪いた人物がそう言った途端にそれまで身につけていた甲冑は溶けるようにして消え、その中からスマートなシルエットをした濃紺の燕尾服に身を包んだ青年が現れた。

 しかし7歳のアラベラはその青年の声に聞き覚えが無かったし姿も顔も見覚えが無かったので、「たぶんそうだろう」とは思いつつも一応、このおにーちゃんが本当にあの日のおねーちゃんなんだったらこう答えるだろう、と推測できる「合言葉」を咄嗟に考えて投げかけてみた。

 

「ねえ、あなたもしかしてラックレスきょう? そうでしょ!」

「僕ラックレス卿じゃないんだけどなー?」

 

 思った通りあの時のおねーちゃんだと確信できたので、7歳のアラベラは大喜びを再開する。

 

「やっぱりラックレスきょうだ! 来てくれてありがとう!! わたし色々じゅんびしたのよ!」

「僕ラックレス卿じゃないんだけどなー? でも、こんにちはアラベラ。今日はよろしくね」

 

 娘のこんな笑顔が見られただけでも皆さんをお茶会にご招待した甲斐があったと、馬車を牽いてきたドラゴンの1頭が今お向かいのお宅の屋根をあらかた崩してしまったことでこのあと魔法省にどれだけ怒られても本望だと、アラベラのパパはそんなふうに思っていた。

「そのドレスいいね。よく似合ってる。――こんにちはミリアム。きみ、ブラッシングしてもらったばっかりだったりするかい? 毛並みがツヤツヤでキレイだねえ」

 しゃがんで目線を合わせてアラベラと会話している青年の後ろでは、マルフォイやガーリック先生を始めとする他の招待客たちが続々と馬車から降りてきて、フィッグ夫妻に挨拶をしている。

 

「お招きいただきありがとうございます、ミスター&ミセス・フィッグ」

「皆さんようこそいらっしゃいました。……あの、ところでそのドラゴンは……」

 

 礼儀正しく挨拶を返しながらも、フィッグ夫妻はそっちの方が気になっていた。

「いま向こうのお宅を完全に破壊し終えたのがセバスチャンで、その隣でこっちに火を吐こうとしているのがアンです。2頭は双子の姉妹で、2頭ともあちらの我らが友人どのが飼育しています」

 フィッグ夫妻がマルフォイの説明に如何な反応を示すよりも早く、そのドラゴンは火を吹いた。

 

 中国火の玉種に特有の、勢い良く噴射するのではなく大きな炎の塊をぶつけるような、どちらかと言えば「爆発」という表現が適切な気もする大きな火炎がフィッグ一家のお宅とその玄関先に居た全員を飲み込んだが、誰も悲鳴など上げなかった。

 

「アラベラは炎凍結呪文初めてかい?」

 

 炎の出どころであるドラゴンに背を向けたまま、その青年は7歳のアラベラに微笑んでいる。青年に視界を遮られているアラベラは何が起きているのかを知りたくて青年の陰から出ようとするが、眩しかったのですぐに顔を引っ込めた。

 そして炎が顔を撫でても熱くなかったので、アラベラは自分が魔法で守られていると気付いた。

「わたし、わたしこれ知ってる! わたしがママがお料理するとこ見てた時にねママがね、わたしがヤケドしそうになってね、その時ママがしてくれたまほう!」

 アラベラが大喜びして飛び跳ねる度、ボリュームたっぷりのスカートの裾もフワフワと膨らむ。

 

「ラックレスきょうがこのまほうしてくれたのね!」

「んーん。僕じゃないよ。――ありがとねえベルちゃん」

 

 普段出席するホグワーツの各種式典にも稀に出席する魔法省などの式典にもいつも授業をしている時と同じ若草色のローブで赴いているので考えてみれば正装なんて一着たりとも所有していないという致命的な準備不足にこの日の朝ベッドで目を醒ましてから気づいて困り果ててシローナ・ライアンに助けを求めた、という優雅さに欠ける経緯を全く感じさせないホグワーツの若き薬草学教授ミラベル・ガーリックは満月草が開花したかのように柔らかく微笑んで杖を仕舞った。

 

「ベルちゃんもそのドレス似合ってるよぉ。なんて言うんだっけそのスカート。……バッスル?」

「そうよ。マグルの御婦人がパーティとかお茶会に行くってなったらコレなの」

 着慣れない服に着られているミラベル・ガーリックは落ち着かないとでも言いたそうな表情でスカートの裾をちょっと摘んでみたりなどしていて、その態度からは不安すら見え隠れしている。

「…………動きづらくない?」

 ミラベル・ガーリックの腰の辺りから大きく後方に膨らんだ特徴的なシルエットのスカートは、この時代の婦人服の常として、動きづらいも何も、そもそも激しく動くことを想定していない。

 

「クリノリンよりはだいぶマシよ」

 

 ペチコートと呼ばれる薄手のスカートを内側に何枚も重ねて履くという旧来の方法ではスカートをふんわりさせればさせるほどに重すぎて着用者の負担が許容しきれない程にまで悪化してしまうという欠点を克服した1850年頃の画期的発明「クリノリン」は、ルイ16世がギロチン台の露と消えるまでフランスの宮廷で女性の着用が義務付けられていた「パニエ」と同様に、籠のような骨組みをスカートの内側に仕込むという方法でスカートを膨らませる、大掛かりな「下着」である。

 

「そんな不安そうな顔しなくてもちゃんと可愛くてエッチだよベルちゃん」

「……アナタ、他にもっと適切な褒め言葉があるって思わないかしら?」

 

 そんな骨組みは当然重いのだが、それでもペチコートを何枚も重ねて履くよりはマシなのだ。

 

「ねえベルちゃんペチコートってそんな重いの? そんなにいっぱい重ねるもんなの?」

「どっちかって言うと、スカートをふんわりさせたいっていう女の子たちの欲求が留まるところを知らなさ過ぎたのね。中で子犬を飼えるくらいのボリュームがあるのに全然満足しないんだもの」

 

 ドラゴン2頭が3軒目を破壊し始めたことなど一切気にせず、ホグワーツから来た一同はアラベラのドレスに注目する。それと同時に7歳のアラベラは、お茶会に来てくれたおにーちゃんおねーちゃんたちの服に目を奪われている。

「お招きいただき光栄です、レディ。アタシはピューシン・レストレンジ。そんでこっちの一番背が高いのがヒュペリオン・マルフォイで、隣がカンタンケラス・ノット。その隣の青いドレスがコンスタンス・ダグワースで、深緑のドレスがアン・サロウ。…………覚えられるかい?」

 レストレンジと名乗ってくれた黒に近い紫色のドレスを着た綺麗なおねーちゃんを、7歳のアラベラ・フィッグは真っ直ぐに見つめている。

 

「わたしもおねーちゃんみたいにキレイなオトナのお姉さんになれる?」

「今この場に居るなかで一番の別嬪さんはアンタだよ、アラベラ・フィッグ」

 

 7歳のアラベラちゃんにウインクしてから隣を見たレストレンジは、驚きのあまり口をあんぐりと開けたまま硬直しているノットと目が合った。

「お前そんな気の利いた返しができたのかレストレンジ…………さては満腹かお前……?」

 カンタンケラス・ノットは、どうやら本気で驚いている様子だった。

「なんだぁコンニャロ宣戦布告かいノットそれは」

「アーンー、セバスチャンー! ありがとねー! 戻っていいよぉー!」

 2頭のドラゴンは口から噴出した炎ごと飼い主の青年によってカバンの中へと吸い込まれて姿を消し、後には先程までご近所さんたちのお宅だった瓦礫の山だけが残されている。

 

「アナタ」

「なんだいベルちゃん。お腹すいたのかい?」

「ドラゴンが壊したお宅を今すぐ直しなさい」

「はい」

 

 ミラベル・ガーリックに睨まれながら杖を振った青年はものの十数秒で何軒もの建物を全て元通りに修復してしまい、「よろしい」とお赦しをもらってから、アラベラの目の前まで戻ってきた。

「――待たせてごめんねアラベラ。さ、僕らを案内してくれるかい?」

「うん! わたしねおうちの中もね――あ、これは見てからのお楽しみだったわ! ないしょ!」

 ずっと大喜びし続けているアラベラを先頭に、一同はフィッグ一家のお宅の中へと入っていく。

「ほらソロモンおじさんとルックウッドくんとアラベラちゃんのパパさんとママさんも! いつまでも世間話してないでさ!」

 

 こんなに大勢を一度に我が家へお招きするのは初めてだと、中でも特に舌が肥えているだろうスリザリンの古い家系の皆さんに自分たちが選んだものが喜んでもらえるだろうかと少し不安に思っているのは茶葉を選んだアラベラのパパだけではなく、ダイアゴン横丁にある自分の店で販売している自作の菓子をいくつも持参したミスター・ルックウッドも同じだった。

 

「きみだって『一族みんなスリザリン所属の古い家系』じゃあないのかいルックウッドくん?」

「家はそうですけど僕はレイブンクローなんでノーカウントです」

 

 こっちの表情を一瞥しただけで心の中を見透かしたらしい青年に、数日前にやっと改めてお店の営業を再開できたばかりのミスター・ルックウッドはどこか不貞腐れたような口調でそう返した。

 そしてリビングまでやってきた青年の目の前で、ふんわりしたドレスを着た7歳のアラベラちゃんは得意げな笑顔を浮かべてクルリと振り返り、予めママに教わったとおりにスカートの裾を少しだけ持ち上げて襞折りを広げることでその美しさを見せながら、丁寧にお客さんたちに挨拶する。

 

「みなさん、今日は来てくれてありがとうございます。わたしがおうちの中を飾り付けしました。パパが紅茶を用意して、ママがティーカップとかを用意しました。それでこの服はパパとママが買ってくれました。今日は、今から、えっとね、お茶会をします。よろしくおねがいします!」

 

 主賓たる青年もマルフォイもノットもレストレンジもコンスタンスもアンもソロモンおじさんもミスター・ルックウッドもガーリック先生も、皆と同じ表情を自分も浮かべていることは解っていたので、笑っている理由など誰も誰にも訊かなかったし、笑顔が抑えられない原因も同じだと、挨拶を終えてちょっと恥ずかしそうにしているアラベラちゃんを見ながら皆がそう思っていた。

 

「さあ、皆さん席にどうぞ。――アラベラ、皆さんを席にご案内して」

 今日はアラベラにできるだけいろんな仕事を任せてあげようと予め相談していたパパとママは、この日のために何度も練習した通りに娘が皆さんを席に案内できるのかを、チャドリー・キャノンズの試合を観戦している時くらいハラハラしながら見守っている。

 

「ラックレスきょうはここね。わたしの正面の席なのよ」

「きみの正面の席なのかい? それは嬉しいね。ここに座ればいいんだね? ありがとう」

 

 ホグワーツからいらっしゃった7年生の生徒の皆さんがアラベラにとっても優しくしてくれるのは、フィッグ夫妻にとって嬉しい驚きだった。特にスリザリンの面々は少しでもこちらが粗相をしたらジットリとした厭味を飛ばしてきたり、そうでなくても露骨に不快そうな表情を浮かべるくらいはするのではなかろうかと、アラベラのパパとママは自分たちがホグワーツの生徒だった頃の「スリザリンの奴ら」を思い浮かべながらそんなふうに危惧していたのだ。

 

「ここが僕の席なんだな。案内してくれてありがとうお嬢さん」

 

 しかし夫妻の経験に基づく予想とは裏腹に、マルフォイもノットもレストレンジも温和だった。

 そしてパパとママが見守る中で皆さんをそれぞれの席に、3つのテーブルに案内し終えたアラベラは、最後にパパとママを席に案内してから、自分も「ラックレスきょう」の正面の席に座る。

 

 フィッグ夫妻が2人で魔法をかけておいたティーセットがゆったりとした動きで独りでに複数種類の紅茶を淹れて空中に並んで待機し、ミスター・ルックウッドは杖を一振りして持参したお菓子の数々を配膳し、7歳のアラベラが何日も前から楽しみにしていたお茶会がついに開始された。

 

「わあー! わああー……!」

 

 皆が予想した通りに、皆がそう望んだ通りに、7歳のアラベラ・フィッグはその場の誰よりも目を輝かせて、椅子に座ると床に届かない小さな両足を嬉しそうにパタパタと揺らしている。

 それは本来はしたないとされる振る舞いだったが、咎める者など誰もいなかったし、不快に思う者も今この場にはただのひとりもいなかった。

「わたしはね、えっとね、えっとね……いつもの紅茶にレモンを入れてほしい!」

「僕はこの中なら、ん? カッシテリデスって茶葉作ってるのか? なら僕はカッシテリデスだな。あとマルメロのジャム」

 自分のすぐ隣のテーブルで嬉しそうにリクエストしたアラベラちゃんの声を聞きながら、手元の羊皮紙に記された綴り間違いがたっぷりのメニュー表をマルフォイは苦も無く解読した。

 

 7歳のアラベラちゃんに「ラックレスきょう」と呼ばれているホグワーツの7年生の生徒がアラベラちゃんと2人でお茶している小さめのテーブルと、その後ろに2つ並んだ大きめのテーブルでそれぞれ、アラベラちゃんが頑張って書いたのだろう拙い字のメニュー表を見ながら、ミスター・ルックウッドを始めとするその他のお客様方がフィッグ夫妻と会話を始めている。

「あの、あのドラゴンたちに馬車を牽かせてホグワーツからここまで飛んでくるのはその、国際魔法使い機密保持法と特定魔法生物の取引及び繁殖及び飼育を禁止する法律に違反しているのでは」

 

「本来はそうだけど、あの子は特例で飼育許可を得ているし、今日はどういうわけだか魔法生物規制管理部と神秘部が全面協力してくれてるから何も心配は要らないわ。まあ、神秘部がわざわざ今このウィステリア通りをまるごと保護魔法で覆い尽くしてまで何をしているのかは謎だけれど」

 クッキーに手を伸ばしながらそう言ったガーリック先生と同じテーブルの正面の席で、ガーリック先生のその回答でむしろ疑問と不安が増したらしいミセス・フィッグが目を白黒させている。

 

「ラブグッドくんにお手紙だしたら協力してくれたんだよね」

 

 正面のアラベラちゃんが紅茶を飲む様を嬉しそうに眺めている青年がそう発言したのをきっかけに、今回なぜか神秘部が協力してくれた理由をホグワーツから来た面々はようやく悟った。

「そういえば、ラブグッドのやつは神秘部に就職したんだったな……」

 ダージリンティーを一口飲んでからそう呟いたノットは、口いっぱいにタルトを詰め込んだまま両手にそれぞれクッキーを持って隣のテーブルのケーキを見つめているレストレンジのあまりにも間の抜けた顔が目に入って、思わず吹き出すように笑ってしまった。

 

「ふふ、フフッフフ…………フフッ、ヴ! ……ぅグん゙ム!!」

 

 レストレンジに紅茶を噴き付けるわけにはいかんと咄嗟に我慢したノットは、大いにむせた。

 

「――ッホげほ!! ……失礼した。なんでもない大丈夫だ」

「ほーふぃはんあいオッオ」

「お前…………」

 

 タルトを飲み込もうと頑張りながら心配するような声をかけてきたレストレンジを睨んだノットは、しかし他でもないレストレンジの顔をまじまじと見つめて、今度は堪えきれずに笑い始めた。

「『食べ終わってから喋れ』といつも言ってるだろ。まったく……誰がオッオだ誰が」

「んぐう、ん。ぷは! バルビン姉さんと同じこと言わないでおくれよノットぉ」

 やっとタルトを嚥下したレストレンジは、右手に持っていたクッキーを食べ始めた。

「言われたくなければ省みろ。…………ところでどうだマルフォイその『カッシテリデス』は」

「爽やかだ。今まで飲んだどの紅茶とも違う後味がある。言うなれば、クィディッチの試合でグリフィンドールの奴らを負かした後の満足感に似た味わいだな」

 どうやらお気に召したらしいと、アラベラのママは自分と同じテーブルで紅茶とお菓子を楽しんでいるスリザリン生3人とひとりのレイブンクローの生徒を見ながら、やっと安心して笑った。

 

「酸うっぱ!!! なあにこれ! ねえ゙、なあにこれルックウッドさん!」

「『運試しクッキー』ですからね。そりゃあハズレもありますよ。ちなみに貴女が食べたそれはマートラップの触手を大量に、ひたすらに煮詰めた果ての汁を生地に練り込んだクッキーでした。つまり、もし貴女に耳毛があるならそれは既に紫色になっています」

 

 コンスタンス・ダグワースが大慌てで杖を振って手鏡を創り出し、顔の前に浮遊させたそれを操り自分の耳を確認して「に゙ゃあ゙!!」と妙な悲鳴を上げる姿に、同じテーブルでお茶しているノットとマルフォイとレストレンジとミセス・フィッグはくれぐれも笑わないように気をつけながらも注目せずには居られないらしく、大いに興味を惹かれてしまっている。

 

「ほらほら見てみてアラベラ。コンスタンスが紫色の耳毛がドッサリになってるよ」

「ほんとだぁ! おもしろーい!」

「――ちょっとぉ!!」

 

 自分の耳に杖を向けて、ちょうど1人分のパスタくらい生い茂っていた紫色の毛を速やかに除去したコンスタンスは、羞恥で真っ赤に染まった顔をアラベラちゃんと同じテーブルに座っている同級生の友人に向けて大きな声で抗議した。

「カワイイよコンスタンスぅー」

 悪びれもせず笑いながら斜め後ろのテーブルのコンスタンスにそう返した青年に、正面の席から7歳のアラベラが声をかけた。

「ね、ね! わたしこれ食べてみたいの。食べてもいい?」

「もちろん。どれでも好きなの好きなだけ食べていいんだよアラベラ」

「ほんとう? ありがとラックレスきょう! これなぁに?」

 

 訊きながら答えも待たずに細い棒が刺さった薄紫色の球体を手にとって一口かじってみたアラベラは、次の瞬間にパッとその表情をほころばせた。

 

「おいしい! これなぁに? すっぱくてあまい! おいしい!」

 

 アラベラが誰にとも無く投げかけた質問に、そのお菓子の生産者であるミスター・ルックウッドがまた別の産地の紅茶をおかわりしながら答える。

「酸っぱめのプラムに砂糖と果汁の液をかけて冷やして固めたものです。ウチの家に代々伝わるレシピで、元々はチャールズ・ルックウッドっていう人が作ったらしいんですけど…………本人の名前と『このレシピの考案者』ってこと以外は何もわからなくて。ビクトールおじさんみたいな悪党じゃない、って僕は勝手に思ってるんですけどね」

 ルックウッド家と同じかそれ以上に古い家系の出身で、縦横に家系図を辿れば皆どこかで繋がっているが故にお互いの事情や著名な先祖にも詳しいはずのヒュペリオン・マルフォイも、カンタンケラス・ノットもピューシン・レストレンジも、誰もその名前に聞き覚えがなかった。

 

 ただ、彼ら3人だけでなくアン・サロウもコンスタンス・ダグワースも、心当たりはあった。

 

 しかし、その「心当たり」は本人が自分から言い出すまで聞かなかったことにしよう、と他の同級生たちと約束して自分たちに箝口令をしいているために、誰も口にはしない。

「ルックウッド先生はホグワーツの校長がフィッツジェラルド先生だった頃にぃ……ええっとねえ、グリンゴッツができたばっかりの頃だから……15世紀だっけ? そのぐらいの頃にホグワーツで変身術の先生してたひとだよ。チャールズ・ルックウッド先生。ホグワーツに肖像画があるよ」

 

「そうだったんですか。…………でも、あなた、どうしてそれを……?」

 

 お菓子屋さんのルックウッドくんにそう訊かれて反射的に目を逸らしてしまったのを誤魔化そうとした結果、その青年は正面のアラベラちゃんを見つめた。

「なあにラックレスきょう。ラックレスきょうはどれ食べる?」

「僕はこの黄色いの食べるよ。これもたぶんきみのと同じシュガープラムだろう。だよね?」

 青年にそう訊かれたルックウッドくんは、瞬時にお菓子屋さんの店主としての爽やかで慇懃な笑顔と口調になって、お客様からいただいたご質問に丁寧に答える。

「そちらの我が看板商品『シュガープラム』は、色ごとに使用しているプラムの品種が違いまして、それに合わせて表面をコーティングする糖衣や飴のレシピも変えていますので、お好みの味わいを探す試みなども楽しんでいただけると自負しております」

 

 全く感情が読み取れない、貼り付けたような笑顔を保ったまま真っ直ぐにこちらを見つめてくるルックウッドくんの視線を受け止めきれなくなって、青年はまた目を逸らした。

 

「ごめん。ごめんよルックウッドくん今のは僕さすがに不誠実な対応だったよごめんね。でも、僕ルックウッド先生と『内緒』って約束したの。だからどこまできみに話していいのか訊いとくね」

 青年のその言葉でとりあえず納得したらしいルックウッドくんは、貼り付けたような無感情の笑顔から数秒かけてリラックスした自然体の笑顔に戻って、「そうですか。解りました」と言ってから、今度はアラベラちゃんに声をかけた。

 

「おいしいですか?」

「うん! わたしこれすき!」

 

 ああ僕はこのためにお菓子を作っているんだと、ルックウッドくんは再認識した。

 

「あら。こんにちはミリアム。あなたずいぶん毛並みが綺麗ね?」

 自分が座っている椅子の足元にやってきたニーズルのミリアムが膝の上まで登ってきてくれないかと期待しながら話しかけているコンスタンス・ダグワースは、尻尾をゆらゆらさせながらミリアムがレストレンジの方に歩いていってしまったのを、名残惜しそうに見つめている。

 

「あ。そうだアラベラ。僕ねミリアムにプレゼント持ってきたんだ」

 コンスタンスの顔を横目で眺めていて思い出した青年は、着ている燕尾服の胸ポケットに手を突っ込んで、例によって「検知不可能拡大呪文」で容量を拡張されたその収納の中に貯蓄している大量の私物の中から、1本の大きなガラス瓶を「呼び寄せ」た。

「ミリアムにプレゼントくれるの? ありがとうラックレスきょう!」

「ほらコレ。今朝絞ったばっかりの新鮮なナツァイのミルクだよ」

 

 そう言った青年の斜め後ろのテーブルで紅茶を吹き出しそうになったマルフォイとノットは2人共どうにか堪えきったが、結果として「ヴグ!!」という妙な啼き声とともに頬を膨らませることになり、2人並んだその顔が同じテーブルにいるコンスタンスとレストレンジの笑いを誘った。

 

「ねえアンタその『ナツァイ』ってどのナツァイだい? ガゼルかい?」

 普段ギャレスが巻き起こした騒ぎとそれを収拾しようと頑張っているグリフィンドールの奴らを眺めている時と同じ顔で笑いながら、レストレンジが青年に訊く。

「違う違う。ナッちゃんじゃないよ。去年の秋頃に保護したスフィンクスのナツァイ。僕が世話してるニーズルたちはみんな喜んで飲んでくれるし、ギャレスとサッちゃんに調べてもらったら病気に強くなるって言ってたから。ミリアムにも良かったらって思って。受け取ってくれるかい?」

 

 おっきな瓶に入った真っ白の液体と、その瓶に書かれた「SPHINX」の文字を、ちょうど今食べ終えたシュガープラムが刺さっていた棒を持ったままのアラベラは目を輝かせて見つめていたが、すぐにその瓶を両手でガッシリと受け取って「ありがとうラックレスきょう!」とお礼を言うと、そのまま勢い良く席を立った。

 

「ミリアムミリアム! ラックレスきょうがミリアムにプレゼントくれたのよ!」

 

 娘が何をしたいのかを察したミセス・フィッグは杖を一振りして、ミリアム用の深皿をアラベラの傍まで飛んで行かせる。

 ストン、とカーペットの上に着地した「ミリアムの」と拙い字で書かれた白い深皿にラックレスきょうがくれた瓶からミルクを注いであげようとして、アラベラはその瞬間に動きを止める。

 この瓶は重いからわたしたぶん中身をこぼしちゃうわ、と気付いたのだ。

 

「ラックレスきょう、ラックレスきょう」

「そうだねえ。使いやすくしようか」

 

 燕尾服の青年が杖を取り出して気軽に動かすと、アラベラが持っていた瓶に持ち手と注ぎ口が現れ、さらに4本の足と2本の手が生えた。

 その瓶が4本の足で「身体」を支えて自力でミルクを注ぐ様子をカーペットにしゃがみ込んで嬉しそうな笑顔を浮かべて見つめているアラベラの隣に、ニーズルのミリアムもやってきた。

 

「美味しい? ミリアム。わたしもちょっと飲んでみようかな……」

 深皿のミルクにそっと手を伸ばして指にちょっとつけて舐めてみたアラベラは、途端にムクリと立ち上がって燕尾服の青年に駆け寄り、そのまま勢い良く抱きついた。

 

「ラックレスきょう、ラックレスきょう!」

「なんだいアラベラ」

「ありがとう! ラックレスきょう、だいすき!」

「どういたしまして。……そうだアラベラ、今度は僕がお茶会に招待するよ。もちろんパパとママとミリアムも一緒に、また近い内に。――きみに紹介したい子が居るんだ」

 

 燕尾服の青年によるその提案は、アラベラをますます大喜びさせた。

 

 そのまま一同は様々な紅茶とお菓子と会話を楽しんで、時間の許す限りゆったりと寛いだ。

 

「そう言やルックウッドくん。運試しクッキーの、あの『とびっきりのショー』はどうしたの?」

「どうぞ。食べてみてください」

 ルックウッドくんが杖を振って浮遊魔法で操ってよこしたチョコチップクッキーを、燕尾服の青年は一切ためらう様子も無く口に入れる。

 

 そしてすぐに青年は「バチン!」と大きな音を立てたものの、その姿は一瞬大きく歪んだだけで、消えたりなどはしなかった。

 

「おお……? おー。けっこうビックリしたよルックウッドくん。何これ何が起きたんだい?」

 

「混乱しますよね。そのクッキーの中のチョコチップがひとつ『移動キー』になってるのはそのままなんです。ただ移動先があの男の企みとは違うんです。『その場に』移動するんです。だから袋の中からこのクッキーを引き当てて食べた人は、客観的にはどこにも移動せず、ただポートキー特有の、あのヘソの裏を引っ張られて思いっきり振り回されるような感覚だけを一瞬味わう」

 

 ちょっとビックリするでしょう? と言ったルックウッドくんは、得意げに笑っていた。

 

「ちゃんと楽しいクッキーにしたんだねえ。さすがルックウッドくん」と賞賛した燕尾服の青年の視界の端で、ノットが運試しクッキーをひとつ食べた途端にマルフォイの両耳から咲いた立派なダリアの花にレストレンジが手を伸ばしているのを、同じテーブルにいるアラベラのママがタフィーをいただきながら見つめている。

「やめろ、お前いま引き抜こうとしただろレストレンジ」

「だーいじょうぶだって左耳のは記念に残しとくからさ」

「すまんマルフォイ。……だが今のこれはどういう魔法だ? クッキーを食べた僕自身の耳から花が咲くのなら呪文の想像もできるが…………」

 

 アラベラのママは、スリザリン生3人の賑やかなやり取りを眺めながら飲むと、紅茶の味わいがさらに華やかに感じられるような気がしていた。

 一方、また席に戻った7歳のアラベラ・フィッグはまだテーブルに残っているいくつものお菓子越しに、正面に座っている燕尾服の青年をじっと見ている。

 

「……次はどれ食べるんだい、アラベラ?」

「迷ってるところなの……ラックレスきょうはどれにするの?」

 

 自分用の深皿のミルクを飲みきったミリアムが、満足そうな声で鳴いた。

 

 




 
【ヒュペリオン・マルフォイ】
 この「2年後もしくは106年前」に2話から登場している、私の妄想の中にのみ存在するレガ主の同級生でスリザリン所属のマルフォイくん。ドラコの曽曽祖父。

【カッシテリデス】※ハリポタの用語ではありません※
 かつてヨーロッパの地図と船乗りたちの噂話の中にのみ存在していた架空の諸島。とても豊富な錫の鉱脈があるという話だったが、実在しないと周知されるにつれて地図や噂から消えていった。
 ブリテン島の南らへんだとか、いやいやブリテン島自体のことだとか、過去の時点では実在したが地殻変動なり火山活動なり海水の侵食なりで消えたのではとか、色々な推察がなされている。
 私の空想では、英国魔法省が「位置発見不可能」の魔法をかけてマグルの目から隠している。
 こういう「実在しないのに一時期地図に載ってた島」は、世界中にわりといっぱいある。

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