▼イブの夜、閂市の静寂を桃色に染めたピンクルビーの脅威に立ち向かったエスカ・ルビーと魔女たち。▼激闘の果てに辛くも打倒するが、翌朝の街に訪れた変化。▼サンタルビーとピンクルビーは市民の夢を叶え、そしてルビーは羞恥に悶え抜く。▼みんなに希望を届けるサンタとして聖夜を護り抜いたルビーに、魔女たちが贈る深夜のサプライズプレゼントとは?

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※2023年12月開催イベント「聖なる夜の桃色時間」の内容が含まれております。未プレイの方はネタバレにお気をつけ下さい。


超昂大戦SS 聖夜に贈る人形劇! ピンクサンタの夢見る未来

「はいっ、アカリさん。ご依頼のトキサダさん人形、お待たせしました。」

「小鍼ちゃん…昨日の今日で凄いなあ…!」

12月25日、ダイビート基地の夜は更けゆく。

 

昨夜、即ちクリスマスイブ…とりわけ午後9時からの6時間。

ルビーたち超昂戦士は閂市の聖夜をピンクに染め抜く最大の危機と、エスカ・ルビーの清純派イメージ最大の危機に立ち向かった。

市民の欲望を接現力に変えた最強の敵・ピンクルビーは…その出自である正義と勇気の超昂戦士エスカ・ルビーが絶対言わない隠語を連発シャウト、開けっぴろげの性的欲望を剥き出しにして、トキサダたちを翻弄する。

だが、サンタフォームに身を包むルビーは自らの羞恥心を振り切り、その痴態をもありのままに受け入れ、ついに自らの半身を打ち破る。

そして翌日夜のクリスマスパーティは図らずも戦勝祝いとなり、誰もが頬を紅く染めながら束の間の平和を謳歌したのである。

 

激闘の昂奮と、戦勝ムードに酔う超昂戦士たちの熱気も、やがてホワイトクリスマスの粉雪にその火照りを冷まされ、基地は静寂に包まれる。

そんな中、アカリの部屋に納品に訪れたのは、イブの午後から一昼夜もの間ルビーと共闘した、人形師にして魔女・縫針小鍼だった。

 

くすっ。

「ちょっと思うところがあって…頑張っちゃいました。

それよりアカリさんこそ、昨夜からずっと休んでいませんよね? お疲れなのに、こちらが申し訳ないくらいです。」

「い…いえいえいえっ! 楽しみにしていたから、すっごおーく嬉しいよっ! ありがとう!

 …それに…。」

「?」

「徹夜は仕方ないよ。だって…アレをぜんぶ回収しないと…いつ復活するかわからないから…

 休んでなんか、いられなかったし…。」

「……あ~…。」

 

激闘の末に打ち破ったピンクルビーは、小鍼が作り上げたエスカ・ルビーの人形を依り代にした、市民の妄想や願望の集大成。

木っ端微塵に千切れ、街に四散したその人形は、切れ端にも接現力が残り、いつまた誰かの欲望を吸い上げて甦るとも知れない、厄介な残渣と化していた。

聖夜のピンクタイムが明け、草木も眠る丑三つ時からお昼前まで、ルビーも小鍼も、共闘したニルやお嬢様チームの3人も…ダイビート総出で閂市に散逸したルビー人形のかけら探しに東奔西走した。

そして、つなぎ合わせたルビー人形を蛇神神社でお焚き上げし、ピンクルビーと市民のリビドーを供養したのであった。

 

「人形の大部分は回収・供養できましたから、残りの散り散りの部分では、復活できるほどの力は集められないですよ。ご心配なく。」

「うん…でも、あのっ、そのっ…。」

「?」

「ま…街の人たちの思いが…私に、そのっ、あのっ、…え…

…エスカ・ルビーはえっちな女の子であってほしいって…。

そんな気持ちが強ければ、たとえルビー人形の切れ端が小さくても、またピンクルビーが復活しちゃわないかな、って…ごにょごにょ。」

 

「…あの、それは心配ないです。」

「えっ…どうして?」

「…ルビーさん、『自分の中にも、そんなえっちな思いはちゃんとある』ってカミングアウトしたでしょう?」

「あっ…?!」

 

 はっ。

「ま…まさかっ…!」

「アレ、エリートコマンダーたちがネット生配信してましたから。

《清純なエスカ・ルビーの秘めた一面! 心はむっつりエロエロ・ピンクルビーだった!》

昨夜は街の男ども、《夢が叶ったあーーっ!》って感涙にむせび泣いたみたいですよ?」

「う…嘘おおおおおっ!? な…なんでそんなこと、わかるのーーーっ!?」

「今朝からまた街に出た双葉さんと三ツ葉さんが…」

 

……

 

 かた…ん。

「あ…あれっ? (何だか…心が軽い…!)」

 

「うわっ…この人もだ…!」

「老いも若きも、今日は男の人みんなコレ…?!」

 

幻ノ川双葉と三ツ葉は、祖母に託された天秤型祝福器アストラを手に、激闘明けの今朝もまた、市井の人々の悲嘆や妬み…負の感情を是正するため奔走していた。

朝なのにくたびれ果て、魂の抜けきった人々が溢れる街の一角。

そこに降り立ち不幸に寄り添うべく巡る2人が、異変に気づく。

 

昨年までの聖夜の翌朝は、アストラで吸い上げた負の感情は絶望に満ちたものばかりだった。

(今年も…俺の聖夜は、一人だった…)

(仕事に明け暮れ…誰にも愛されず…)

(ちくしょう…ぼっちは嫌だよお…!)

 

それが今年は。

(はあ…ルビーのエロ願望…すごかった…!)

(きっと…ぼっちの俺への…性なる夜のプレゼントだ…)

(来年まで頑張ったら…もっとすごいの拝めるかなあ…?)

 

アストラで回収した感情は…負の感情をピンクから昇華させ、朝日のごとく黄色に輝いていた。

「み…みんな…賢者モードだ…」

「あははっ…双葉、耳まで真っ赤だよ…?」

 

……

 

「…というわけで、昨夜のルビーさんは街中の大きなよい子たちの夢を叶えた、ピンクのサンタさんなのです。」

「い…イヤああああーーーーっっ!!!」

小鍼のひと言が、羞恥に悶えて壊れかけのアカリのハートに、とどめの寸鉄を穿つ。

 

「も…もうーーーっ! 小鍼ちゃんのバカあああっ!!」

「はははっ、超特急仕上げのトキサダさん人形に免じて、何とぞご容赦を。」

「…ううっ…。」

 

ふらっ…。

「あっ…。」

空騒ぎに、張り詰めていた神経が緩んだのか。アカリがよろけ、完徹明けの疲労の色を浮かべる。

「長居が過ぎましたね、すみません。

それでは私はおいとまします。どうかよい夢を。」

「あ…おやすみ、小鍼ちゃん…。」

 

……

 

シャワーもそこそこに、ベッドに横たわった瞬間、眠りに落ちるアカリ。

その寝室のそばに、人影が2つ、ドッペルゲンガーが1つ。

 

 …かたんっ。

 

聖夜を戦い抜いた戦士の心をその皿に載せ、アストラの天秤が軽快に傾く。

釣り合うための分銅は、戦士が願ってやまない、見果てぬ大きな夢。

その願いの結晶は、人形師をハーネスとして、彼女の枕元に横たわる宝物へ繋がれる。

 

……

 

「アカリ…」

「あ…あれっ、長官…?」

夢の中なのか、夢から覚めた現実なのか。

トキサダとアカリは純白の光に包まれ、向き合っていた。

 

「今日は…普段着なんですね。」

「…そうか、アカリは知らないのか。」

「?」

「俺は…もうあの服を着ることは無いんだ。」

「えっ…?」

「俺はもう、ダイビート長官じゃない。

 そして上弦衆頭領でもなくなり、魔王でもなくなった。」

 

…?

「えっ…?」

 

「平和を取り戻し、ダイビートは発展的解消を決めた。

いつかアルダークの復活が万が一あったなら、いつでも再結集できるよう準備は続ける。でも超昂戦士は正体不明のまま、みんないち市民に戻った。マッハ・ハザクラ・ノノノ・アケビ・フェリニ・ハイネ…みんな普通の生活に溶け込んでいるよ。」

「あっ…!」

 

「上弦衆も、ノロイの脅威をカンザエルの陰謀ごと全て打ち破った。そしてハルナさんが無事に後継者を産み、すくすく育っている。今はハルナさんが摂政となっているから、頭領代行はお役御免となったわけさ。」

「そんな…!」

「…ああ、別に悪いことじゃないぞ。今の俺は楽隠居の元頭領、里を訪れれば、みんな良くしてくれる。

七閃も、イノリやライカやムツカも、みんな相変わらずだ。久世のみんなも芸能活動で頑張っている。」

「そ…そうなんですか…。」

アカリの心を、歓喜と喪失感とが駆け巡る。

 

「神騎たちも天界に戻った。俺の中の魔王が復活の兆しを見せたら、天界神騎がすぐ征伐に来るだろうが、常時駐在するほどの脅威ではなくなった、ということさ。

…もっとも、神州アマツの配信やらミカフィールの朝の通学見守りやら、マリエルのアイドル活動やら…何だかんだで天界神騎とは今も毎日会うけどな。」

「え…遠距離通勤ですね…」

 

はっ。

「そ…そうだ、魔女のみんなは…?」

「ダイビートが解散したからな。元ジークフリート派も戦う相手がいないから、開店休業中だ。

NAUの各部門も、魔女に当面の危機がない以上、ただの多国籍企業として営業中。吊られた男としてのお勤めも宙ぶらりんさ。」

 

ふう…。

「そんなわけで、今の俺は長官でも頭領でも魔王でもない。

何も名前の前に付かない、ただの戦部トキサダさ。」

 

……。

 

「おめでとうございます。」

少し長い沈黙に続き、アカリは精一杯の笑顔を向ける。

 

「やっと…やっと長官は…。

この時代に…私たちの時代に来た、願いを叶えたんですね。」

「アカリ…?」

「長官の夢を叶えることは…私の夢でもあったから。嬉しいです…!」

 

嬉しいはずなのに、どこか心に風が吹き、そして雫がひと筋、瞳から伝い落ちる。

「おかしいですね…嬉しいはずなのに、何でだろう…?」

「…あまりにも多くのことが、変わりすぎたからな。」

 

平和を取り戻し、存在意義を失ったダイビートは、喜びの中解散した。

トキサダは長官でなくなり、そしてアカリも…エスカ・ルビーでなくなった。

 

「…アカリ。」

ぎゅっ…!

「たとえこの平和がずっと…50年、100年続いても…。

君がいつも俺に差し伸べてくれた、強くて優しい手を…俺は忘れない。

もう何の力もない俺だが…できる全てで、君に返したい。」

「長官…!」

 

トキサダの抱擁に、アカリも両腕をその背中に回し、優しく抱きしめ返す。

「私は…長官に見てほしい世界が、いっぱいあります。

長官が護ってくれた、私たちにくれた、平和な…普通の世界を…!」

「アカリ…?」

「ずっと…ずっと一緒です…!」

 

トキサダのささやかな夢を、2人だけの秘密として共有したその日から…。

その夢を叶えることが、アカリの戦う理由になった。アカリの夢になった。

 

トキサダの知らない普通を、いっぱい見せたい。

誰にも脅かされない、誰にも何も奪われない。

そんな世界の当たり前が、こんなにもキラキラ輝くことを。

時間をかけて、その目で、その足で、体ぜんぶで。

 

だから…普通になったトキサダのそばに、ずっといたい。

 

ちゅ…っ…

「んんっ…んくっ…はっ、はふっ…!」

どちらからともなく、唇を重ねる。

 

「Dチャージじゃないから…前ほど気持ちよく、ないかもしれないぞ。」

「えっ…?」

……。

 

くすっ。

「私は…きっとその分、それ以上にドキドキできます。」

すっ…くいっ。

「えっ…?」

トキサダの両ほほに手を回し、軽くつかんで頭を引き寄せる。

 

「だって、今もこんなに…胸の鼓動が止まらないんですから…!」

右耳を左胸に当て、これでもかと高鳴る思いを鼓膜に送るアカリ。

「ああ…聞こえるよ。凄いな…。」

「トキサダさん…!」

 

普通に戻った青年と、普通に戻った少女が重ねる鼓動。

その共振は固有の波長を互いに響かせ…平和の空に衝き上げる。

 

「トキサダ…さんっ…!」

「アカリ…アカリっ…!!」

……

 

「…素敵な夢、見られているみたいですね、アカリさん…。」

「これ…アカリさんの心に踏み込んでいるけど…いいのかなあ…?」

「やだなあ、双葉。あたしら普段からアストラで、さんざん人の心なんかのぞき見してるじゃん!」

「アカリさんの心をいちど外に出して、もう一度アカリさんに戻しているだけです。自問自答のカウンセリング、ピアサポートのようなものですから。

頑張ったアカリさんに、私たち魔女からのプレゼントです…!」

 

聖夜、みんなの願いを護った少女サンタ。

魔女と幻魔の壁を一つ壊してくれた、そんな超昂戦士をねぎらいたい。

そう考えた小鍼が、双葉と三ツ葉の協力を得て見せた、一夜限りの甘く激しい夢。

枕元のトキサダ人形を依り代に、その夢はアカリの心に実像を結び、超昂戦士として常に張り詰めた鋼の心を、今宵だけは優しく、パンケーキにたっぷりの蜂蜜を注ぐように蕩かしていく。

 

……

 

「あっ、おはよう、エリーちゃん。」

がばっ。

「あっ…お、おはよう、アカリ…!」

翌朝、基地の食堂でアカリと目を合わせたエリーは、顔を赤らめ、動揺を隠そうともしない。

 

「? …エリーちゃん、どうしたの? 具合とか悪いの?」

「へっ? …あ、ううん、ちょっとね…大丈夫よ。年末業務で寝不足で、ぼーっとしてただけ…ふふっ。」

「…そう?」

 

(さっきは…レイカさんに、翔さんもどこかよそよそしかったような…?)

 

……

 

ずぐっ。じゅぶっ。くちゅっ。

【トキサダ…さんっ…! い…いつもより…いいっ…ですっ…!】

《ああ…俺も…アカリを、直接、感じてるんだ…!》

【ちょ…長官じゃ、なくてっ…トキサダ、さんっ、がっ…!】

《エスカっ、ルビーじゃ、ないっ…園崎っ、アカリが…くうっ…!》

「トキサダさんがっ…直接私のっ、中にいいっ…!」

「アカリが…俺をっ、そのままっ、飲み込んでる…!!」

どくっ。じゅぶっ、…びくっ…!!

 

(な…何でっ、わたしっ、こんな夢…!?)

(アカリちゃん…私より年下なのに…ごくっ…!)

(陸上の才能だけじゃない…ルビーはえっちの才能も、こんなに…!!)

 

小鍼に制作依頼したトキサダ人形を枕元に置いた、エリー・ステアール・ヘプタスロンにも、アカリの強い願いがオーバーフローし…リークして共有されていた。

 

(ピ…ピンクルビーの痴態を、一昼夜…)

(まざまざと見せつけられたから、私まで煩悩まみれに…?!)

(も…もうーーーっ! エリートコマンダーの奴ううっ!!

この私にっ、親友のNTRプレイまで企てるなんてっ! 次にあったら絶対ブッ飛ばすううっ!!) 

 

幸せな勘違いで、小鍼の致命的ミスは見逃されたのが、せめてもの幸いであった。

もちろん3人は、こんな夢を見たことを誰にも話せるはずも無い。話したら自分の劣情カミングアウトになるため、アカリのあられもない乱れっぷりは、本人と仕掛け人の3人、もらい事故の3人、そして…

(3人がおかしいから、つい心を覗いちゃった…。私も、カノちゃんとこんな風に…)

心の壁を超えられる聡里にも漏れたものの、漏洩は都合7人にとどまった。

 

それぞれの誰にも言えない秘密となった、アカリの見果てぬ夢。

いつか叶うその日まで、ピンクのサンタの夢は続く。

 

 

 

 

 




作者の環藍河です。1ヶ月のご無沙汰でした。
年末イベント「聖なる夜の桃色時間」、ルビー推しの筆者としては俺得イベント、業務多忙の折に最強カンフル剤になりました。
清純な(ウブな)エスカ・ルビーと対照のドスケベゆるガバモンスター、ピンク・ルビー…神から生まれたピッコ◯大魔王のごとき、濃縮エロエロ500%でした…!

おかげで普段は全年齢縛りの弊社超昂大戦SS、R-15のギリギリ狙いとなりました…まだR-18まで突き抜ける勇気はナシです(ヘタレ)。

隠語を叫びながらチームお嬢様をボコスカなぎ倒していくバトルスタイルあたりで、腹筋全部持っていかれました。蒼乃むすびさんの演技も振り幅MAXで…プロすげえ(小並感)
このあと、『だが奴は生きていた!』からの実装…お待ちしてます。絶対引きます!

ちなみに、環はつぼみでサンタルビーお迎えでしたが、払って悔い無し。純愛は特にルビーの様々な成長を感じる逸品シナリオです。オススメ。

年内投稿はラストかもしれませんが、大きめスケール(当社比)を温め中です。新年もよろしくお願いいたします。

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