よければどうぞドゾー(*゚-゚)っ
仁慈相殺―①
同日、一人の男が京都府の山中にある寺院内を無邪気に散策し、寺内に点在する可愛らしい地蔵達の写真をSNSに上げたりなどし、観光を楽しんでいるようであった。
彼の風貌は日々鍛えているのであろうか、スペインのとあるブランドメーカーの服を見事に着こなしているため、見た感じ20代後半の青年に見える。いや、20代後半の割には、まるで精神年齢が小学生かのような感じで無邪気な笑顔を浮かべていることもあり、若しかしたら10代後半なのかもしれない。ただ一つ確かなことは、筋肉質な肉体に不釣り合いな程、彼はあまりにも子供っぽすぎるということだ。
「はわわわ! お地蔵様が可愛すぎるよね! 苔もいい感じだし、
「それからもないのだが? 全く、儂自ら足を運ばせないでくれないか?
「いやいや、その名は10年前に捨てましたからね? 今の俺は新鋭気鋭のイケメン系インフルエンサー(仮)、
「はぁ……」と貞観は大きなため息を吐いた後に、山中を轟かせるかのような勢いで鳴海に拳骨を食らわせた。その音はまるで鐘の音かのような感じであり、寺内を散策していた観光客からすれば、時間を誤って若い修行僧が鐘を鳴らしたのか? という感じで気にも留めず、再び寺内の散策を楽しむ。が、それは鳴海達から離れた場所にいる観光客の話であり、鳴海達の近くにいた観光客は慌ててその場から立ち去って行った。
「ぴぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 短気なおじいちゃんはね、若い子に嫌われると思いますよ?
「……お前は決して若くないが? 宗海、年に一度の定例会議の時間ぐらいしっかり守れ! 大事な会議だというのに、全く」
「だーかーら! いい加減さ? 一身上の理由により
「ほぉ? それは上杉謙信に対して大変失礼ではないか? 10年前と言えば、確かお前は30――」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! もう! 駄目だぞ♡ どんな場所に俺のファンがいるか分からないんだし、実年齢をバラしちゃ駄目だぞ♡ 分かりました! 大人しく定例会議に参加します! それでいいっすよね! ジジイ!」
再び二度目の鐘の音らしき音が寺内を響き渡る。
鳴海達の頭上に無数の烏達が旋回し、まるで腹を抱えながら笑うかのような鳴き声を鳴海達に発していた。
※
一年に一度の定例会議――それは貞観と親しき霊能者達ならびに、その霊能者から絶大な信頼を得ている後継者などが会合し、心霊関係に対しての最新情報などを共有する会議のことである。通称、
で、そんな会議に俺も参加しているわけだが、滅霊会議など参加したくもないというのが本音だ。何故かって? 考え方の相違からだ。
例えばだ、若気の至りで心霊スポットに迷い込んだ若者達に対して悪霊が彼らを襲ったとしよう。そんな彼らを救うのは二の次であり、悪霊を滅すのが最優先であるというのが、俺以外の参加者達の考え方なのだ。故に俺以外の参加者達は、若者達が何人死のうと構わない――それは彼らが勝手に足を運んだ結果だからと割り切っている。
俺も以前はその考えだった、10年前まではな。
勝手に呪物を触ったの? 勝手に禁足地に訪れたの? だったら災厄に襲われても仕方ないよね? みたいな感じの人間だったのだ。
ある事件をきっかけに180度考え方を改めたのと同時に、心霊関係に関わるのを辞めたというのに、はぁ……。下座でちょこんと座る俺に対してさ、皆さんちと怖い眼で見ないでくれませんかね?
「……貞観、宗海を呼ぶ程のことと言えば――」
「うむ。幾人もの霊能者達が、なり代わっているという件が次々と報告されている。その情報共有もそうだが、何より不可解な心霊事案が最近になって増え続けているのでな? 故に、
「ッハ! 笑わせやがる! あたしが
「見くびってなどおらん。それに儂がジジイならば、お前はババアではないか? そう思うよな、宗海?」
いやいやいやいや!? そんなん五十歩百歩な話をするな!
「あ、相変わらずお美しい女性だなーって思います! イエーイ! ジジイはジジイでしょ」
「……後で覚えていろ、全く。話を戻すと、皆の者は不服かもしれんが、宗海の特異体質は知っているよな? 知らぬ者がもしいるなら挙手を――ふむ。これはすまなかった、つい全員知っている者とばかり話を進めて――」
「だからジジイだって言ってんだよ、あたしは。大体だ、あたしと最後に会ってから10年近く経つというのに、
最初の質問に関しては、答えることは出来ない。何故ならば、それは俺が預かり知れない内に勝手に強くなってしまったのだからな。
次の質問に関しては答える必要などない。何故ならば、俺は滅霊会議の参加者としての権利を剥奪されているのだからな。それに子供が野良猫を拾ってきた感覚で増え続けたんだし、それを説明するのも面倒だ。
「筋トレっすよ、筋トレ! ふふふ……、俺のサイドチェスト見ます? 美しいですよ?」
「小僧! あんまりアタシに舐めた口でほざくんじゃねぇぞ! はぁ……、全く。もういい、ソイツを怒らせてこの会場が血の海にされるのはご免だ。嬉しそうにアタシに刀を向けるサイコパスを大人しくさせておくれ、宗海」
一見すれば、純白な
(――あんまり血の気を多くしないでくれ、面倒はご免だ。ったく、後で美味しい酒を飲ませてやるから! な!?)
(ほぉ、良かろう?
(はぁ……、5分だけだぞ?)
※
全く、クソババアもそうだが、クソジジイもそうだ。
好き勝手に言いたいことを言うのは構わない、建設的な会話になるのならば構わないさ?
だけどさ? 僕は僕であり、ソイツ呼ばわりされる云われはないだろ? もっと年長者を敬って欲しいのだが?
「――あまり弱い者イジメをしないでくれないかい? 僕と話したいんだろ? で、用件は? 僕の主と僕はね、こんなクソみたいな会議に参加する暇がないぐらい、観光で忙しいんだ。おい、そこのガキ! 酒だ、とっとと酒を持ってこい! でなければ――」
天井に吊るされたシャンデリアを瞬時に叩き落すと同時に、シャンデリアだった存在ごとこの世から消し去ってみせた。これぐらいやれば素直に言うことは聞くとは思うが、果たして――。
「ひ、ひ、ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? た、た、た、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
おいおいおいおい? いやいや、待て待て?
お前らが僕の主に対して敵意を剥き出しにしてきたんだろ?
え? たったこれだけで最近のガキ共はその場で失禁するレベルってことなのか? はぁ……。
「……最近のガキはさ、どうしてこうも根性がないんだ? 失禁しながら逃げ出してしまうとは情けない。戦場であれば真っ先に僕が殺してるレベルだね! あのさ、無能な味方の方が遥かにヤバイって理解できてますか? フハハハハハ!」
「――相変わらずというべきか。いや、
「ん? まーねー? 相変わらずのツルピカ具合で僕は好きだよ、貞観?
「うむ。
奴……?
あー、あのロリコン巨乳好きの話?
まー、殺し合いしてもいいんだけどさ? 今のままだと、確実に僕の主は死ぬよねぇ~?
うん! 無理無理! 今のままで挑むなんて、10万の軍に対して単騎で挑むレベルで無理!
「悪いね? 僕の主の安全を最優先させてもらうよ。僕だけならば問題ないんだけどね? だってそれは僕だけの問題になるし? そうだねぇ~、少しでもあのロリコンが弱まってくれれば、殺せるんじゃないかな? あ、弥子? さっき僕の主に質問してたじゃん? 何人隠してるかって?」
「フン! 素直に答えてくれるかい? 可憐な乙女の質問だし、当然答えてくれるんだよね?」
可憐ねぇ? それは30年前ぐらいの話ならば分かるけどねぇ?
「フハハハハハ! 豪胆な女は好きだよ? 本当は答える義理はないけど、答えてあげよう。僕の後ろにいる武蔵坊弁慶、カッコイイだろ? 溢れんばかりの筋肉だし、何より筋肉馬鹿だ。まー、僕と縁が深い者が僕に従ってくれているって言えばいいかい?
「その言い方……。まさかお前! ただの浮遊霊ですらも喰らったわけだね!? 10年間で一体どれだけ喰らい続けたというんだい!? この外道が!」
「だったら何だって言うんだい? 善も悪も関係ないよ、僕からすればね。さてと、これ以上喋るとさ? お互い殺し合いになっちゃうわけじゃん? なので僕と僕の主はこれで失礼するよ。とりあえずお互いさ、現代風に言うなれば、今まで通りラブアンドビースの精神でいこうじゃない? そうすればさ、殺し合いしなくていいわけだし? じゃ、僕達はこれで失礼するよ。近くの温泉でゆっくりしてさ、自然を満喫したいんだよね♪ ばいばーい!」
あらあら、今すぐにでも滅してやるという雰囲気でピリピリしちゃって!
でもそれは出来ないよね? それが出来るならさ、とっくに僕を滅してるわけなんだし?
つまりだ、コイツら全員へなちょこの仲良しクラブってことだね! フハハハハハ!
相も変わらずな奴らで安心したよ――10年前に抜けて正解だったね、僕の主。
【専門用語等説明】
◎登場人物(オリキャラ含む)◎
新海鳴海(しんかいなるみ)……本編の主人公。見た目は20代後半ではあるが、年齢はアラフォー。還俗する前は宗海という名の僧侶であり、貞観の弟子であった。特異体質を有している。
源義経……平家絶対滅ぼすマンであり、鳴海絶対守るマン。見た目は美少年だが、享年31のアラサー。多分ブラコン。
武蔵坊弁慶……義経絶対守るマン。義経曰く、筋肉馬鹿。パワーイズジャスティスな人。1家に1台のタンク役。
寶月夜宵……皆が大好きな小学生。結婚したい。なんなら卒業生にして欲しい。花魁ちゃんを嫁にしたいので、今すぐ代引きで送ってくれ。
幻燈河螢多朗……皆が大好きな童貞君。結婚したい。最新話ではチート能力覚醒。さてはおめぇ、強すぎねぇか?カッコイイ、結婚しよ。二人の妹は僕のだぞッッッ!
寶月詠子……おっぱい+ヤンデレ+ストーカー気質=最強を立証したおっぱい。おっぱいが本体。本編で一番ヤバイおっぱい。神様ですらドン引きしそうなおっぱい。
神代愛依……どけ! 僕が愛ちゃんのお兄ちゃんだぞッッ!となれるぐらい愛おしい。結婚しよ。結婚したい。そりゃあ神様も早くお嫁さんにしたいと思うよね。うん。
神様……ロリコン巨乳大好き変態糞野郎。大人のお姉さんの魅力を理解していない時点で滅べ。今すぐ滅べ。日本人男子全員の敵。腸大好きおじさん。
貞観……ハゲ。筋肉。おじいちゃん。スタンド能力はきっと近距離パワー型。保険関係は不要な人。毎朝プロテイン飲んそう。
闍彌弥子……若い頃は絶対美女だったババア。有能な人材は即座にスカウトする敏腕プロデューサー。趣味はなり代わりと戦争ごっこ。なり代わりの皆さん、超絶逃げて!
◎用語解説◎
還俗……仏門に入ったものが、世俗に戻る行為のこと。本編中にも簡単に表記しましたが、大体あんな感じらしいです。詳しくは知りません。でも上杉謙信のエピソードだと確かあんな感じだったはず。戦うの嫌でござる→戻ってきてクレメンス!→マジすか……で戻ったと記憶してます。
なり代わり……生者の肉体を死者の魂が奪い去る行為。故に、悪霊達は心霊スポットにやってきた霊能力者達の肉体を奪うことで、その肉体保有者の記憶も全て奪ってしまっている。マジヤバたにえん。
滅霊会議……一年に一度行われる定例会議みたいなアレ。オリジナル要素ではありますが、ぶっちゃけ忘れてもいいです。
以上( ゚д゚)クワッ