ダークギャザリング~闇なる者達よ、死に候え~   作:四五茶

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あと1話で胎動修羅の話は終わりです。
ギャグ回要素もありますので、お気軽にお読みくださいませ。


胎動修羅―④

 頼光(よりみつ)鳴海(なるみ)のことを恋慕(れんぼ)の感情に近い感情を抱くようになっていた。

 次から次へと無尽蔵に出される肉料理の数々を喰らう鳴海のその様は、果たしてかつて仏に仕えていた身であるのか? と疑いたくなるような酷い様であり。

 そんな様であろうとも、以前として阿弥陀如来の加護は健在であり――いや、寧ろ加護が強まったというべきか? 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()いや、狗よりも劣る下品な喰らい方をし、最早ただの涙は枯れ果て、どす黒い血の涙を流しながら鳴海は出される料理の数々を喰らい続けているのだ。

 

(面白い! あまりにも面白い! ()()()()()()()()()()()()()()() いやはや、ここまで私を愉しませるか、子よ! あぁ! なんとも醜い喰いっぷり! まだ喰らうか! まだまだ喰らうか! いいぞ、もっとだ! もっと喰らえ! 新鮮な肉を堪能せよ、子よ!)

 

 初めはただの道楽に過ぎなかった。

 故に頼光は、自分を愉しませた鳴海を歓迎し、適当に会話した後に現世に丁重に還してやろうと考えていた。

 とは言えだ、あれ程までに自分を苦しませた鳴海に対して、ほんの少しだけを嫌がらせをし、どんな反応をするか見たかった。

 その反応さえ知ることが出来れば、義経が語った大言を成す人物を知るきっかけとなり、それが源氏ジョークであったのだ。

 

 結果、頼光は生前の自分を重ねるに等しい感覚を鳴海に強く感じ、見事に鳴海は頼光の御目(おめ)に適うことになった。

 それは何故か――それは鳴海が抱いた神仏すら滅してやるという憤怒の感情からだ。

 かつて自分が名を馳せたのも、その感情があったからに他ならず、その感情こそがまさに力の原動力そのものであり、その感情こそが頼光にとって懐かしき生前の自分が抱いていた感情。

 そしてその感情の大きさが頼光を唸らせる程であり、結果、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「さぁさぁ! 源氏万歳と叫びながら堪能しまくれ! はい、御一緒に!」

「源氏万歳! 源氏万歳! ()()()()()()()()()()()()()()() 源氏最高です! 源氏最高ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

「うむうむ! 実に素晴らしい! ()()()()()()()()()()()()()調()()()()()()()()()()() そう、源氏は素晴らしいのだ! 源氏こそ最強であり、源氏こそ至高! つまり! 私こそが源氏であり、私はあまりにも美しく、そして! 化け物を殺させれば当代随一であーる! ……おっと、すまんな。飲み物が欲しかったか? よし、ちょっと待っていろ! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「だ、だ、だ、大丈夫です! 頼光様! お、お酒欲しいなぁ~! よ、頼光様が注いでくれるお酒が飲みたい年頃だなぁ~! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() あ、あは、あはは……」

 

(あぁ! なんと愛い奴め! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() っふ、私よ、落ち着け……。慌てるな、嫌われてしまっては元も子もないではないか? だがしかし、何故私は絶世の美女として生を受けなかったのだろうか? っは! わ、私こそが源氏だからか! っふ! 流石は私、生粋の源氏であるな! やはり天は私を源氏(ベスト)・オブ・ザ・源氏にしたかった、そういうことか……)

 

 頼光がアホなことを考えながらも。

 「……そろそろ頃合いか」と頼光はボソっと呟き、自分の愛刀である童子切安綱(どうじきりやすつな)をそっと鳴海の前に静かに置く。

 

「子よ。抜けるか試してみろ? 騙されたと思って抜いてみるがいい。ついでに源氏ポーズも伝授してやろう。源氏ポーズは基礎中の基礎だからな! さぁ! 源氏万歳と叫びながら真似してみろ!」

 

 そう促された鳴海はゆっくりと童子切安綱を手に持ち、「源氏万歳!」と叫びながら、頼光の見様見真似で鞘から刀を抜く動作をしてみた結果。

 なんと刀は先程までとは違い、すんなりと抜け、寧ろ鳴海は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「子よ、分かるか? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()故に子よ、私はお前にだけは力を貸そう。だが源氏の恥晒しは、私の力を取り込んだと勘違いし、哀れに惨たらしく戦いの中で魂ごと消滅させてやる。それがせめてもの慈悲であり、それこそが私の怒りの溜飲を下げる唯一の救済である。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ま、待ってください! 確かに義経は、頼光様に対して無礼を働きました! で、ですが義経は――」

「黙れ、子よ! 私はお前を愛し――ゴホン! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() つまりだ、このままでは遅かれ早かれ、お前を護るはずだった守護霊の手によって死んでいた。であればだ、神としてその厄災は祓わねばならん。ならばどうすべきか、答えは簡単。()()()()()()()()()()()()()()()()()つまり、子よ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() 皆の者、子に拍手を! 喝采を! 大喝采を! ふははははは!」

 

 激しく動揺する鳴海を放ったらかしにし、ゲリラ豪雨かの如く拍手と喝采が頼光の領域内を轟かせていく。

 そして頼光は鳴海にある言葉を発した後、鳴海を強制的に現世へと還し、寂しく鳴海を見送った。

 ただ一つ確かなこと――それは鳴海が頼光に愛される存在に至ったということだ。

 つまるところ、それは神代愛(かみよあい)の神の花嫁と同等の意味を持つことを意味し、愛の神と鳴海の神が互いに争う未来がすぐそばまで来ていた。

 

 

 

 

 鳴海が搬送されたS病院にて。

 医師や看護師達はある病人の名を決して口に出すなと貞観(じょうかん)から命じられ、また1フロアを鳴海のためだけに使用させるよう弥子(なみこ)がS病院の医院長に手配し、鳴海を国賓待遇かのように丁重に扱っていた。

 が、戒厳令が発せられたとしても、それを守らない者は存在し、結果試しに鳴海の名前を口に出してしまった数名のS病院スタッフは、正気を失い、鳴海がいるであろう方角に向かって糞尿を撒き散らしながらその場で土下座し、赦しを乞う異常事態が発生。

 結果、正気を失ったスタッフ全員は原因不明のまま死亡し、また病院内にいた十数名の患者はスタッフ全員が死亡する前に死亡が確認された。

 

『全く! ジジイ! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 S病院とは、H県にある霊感が人並みより強い者達が自然と集まる病院であり、スタッフ一同全員霊能力者である。

 故に簡単な霊障等であれば、その場で診断し、除霊などの措置を取り、病院では難しいと判断した場合、有能な霊能力者に連絡する役割を担っている場所だ。

 だからこそ鳴海の緊急搬送先は最初からS病院であり、すぐにS病院のスタッフが貞観に連絡し、対応をどうすべきか判断を仰いでいたのだ。

 

 結果、なり代わりからしたら突如現れた無間地獄の世界と化し。

 頼光の分霊達によって丁寧に丁寧に一人ずつ攫い、なり代わり達は鳴海の糞になるためだけの食材と化し。

 一つの食材が見つかれば、それ即ちまだまだ食材は豊富ではないのか? と分霊達は考え。

 

 結果、S病院を中心にまずはその地域のなり代わりと悪霊を。

 そしてメディアを通して目撃したなり代わりと悪霊、または(よこしま)な魂を宿す者を攫い、食材へと加工し、鳴海に喰わせる。

 全国隅々まで、いや、若しかしたら動画サイトを経由して世界中まで。

 頼光が満足するまで徹底的に食材を確保し、鳴海を満足させる料理に仕上げたのだ。

 まさにその行為は、夫を愛する妻が無尽蔵に用意したフルコース料理かの如く。

 ひたすら鳴海はそれを喰らい続け、現在に至るというわけだ。

 

「……言葉を慎め、弥子。だが、これは想定以上になり代わり共がS病院に仕掛けていたと見るべきか。ふむ、奴らめ。一体どれ程の者達となり代わっているというのだ?」

『ッハ! これだからなり代わり共は全員始末しなきゃいけないんだよ! ゴキブリなのさ、奴らは! だがこれでこちらとしては、S病院を綺麗サッパリできたんだ。それに宗海を襲うなり代わりが仮にいたとしたら、ソイツらはただの自殺志望者でしかないだろうさ。(よしつね)め、自分の主よりも、自分の愉悦を優先にしやがったね! だが面白い! ジジイ、この機を逃す手はないよ! 全面戦争だよ、なり代わり共と!』

 

 通話途中で乱雑な感じで切られ、それほどまでに弥子は興奮し、そして貞観もまた沸々と自分が猛っているのを感じていた。

 が、それと同時にかつての弟子であった鳴海に対して酷く哀れみを感じ、また自分が鳴海を死地に追いやってしまったことに対して自分を酷く恥じた。

 かつて10年前に感じた後悔を貞観は抱き、そしてまた静かに鳴海の回復を祈る儀を執り行おうとしていた。




【専門用語等説明】

◎専門用語◎

源氏万歳……源氏を愛せ、さすれば源氏に至るという素晴らしい考え。とりあえず最後に源氏万歳言っておけばなんとかなる。ドリフ〇ーズで覚えた素晴らしきワード。

神なる黄金水……特殊性癖な方は大好きなアレ。尚、嘘か真か知らないけど、テイスティングすれば糖尿病かどうか分かるらしい。ヤベェな、おい。

搾りたての源氏蜜柑ジュース……泡立ちが大変よろしく、「おやおや?お楽しみでしたか?」と確認できるアレ。つまりそういうこと。

S病院……そう言えば前文でおし〇この話してたよなーから思いついた病院名。つまりイニシャルS。「お」はつかない。

【現在の現象に関しての考察】

①頼光が語ったように鳴海に源氏の力を与えるための儀式であった。
→ではどうすれば源氏の力を使いこなせるか?
→「うん!そうだね、プロティンだね!」理論により、悪霊達を鳴海の糞にするためだけに全国若しくは世界中から取り寄せ
→結果、鳴海は頼光の愛刀である童子切安綱を抜くことに成功
→「これこそが源氏の力だ」と語ったように、鳴海は源氏の力を手にした
→つまり厄災を祓う神と契約を果たすことに鳴海は成功するに至る。

※尚、義経は神代愛ちゃんの神との戦闘後に絶対滅ぼすと頼光はブチ切れ中
→多分、義経に嫉妬してるからなんじゃね?知らんけど
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