ポケットモンスター -紫電のゼオン・ベル-   作:やぶゆー

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新シリーズのアニポケ見ました
さすがにリコロイのキャラまで入れ始めたら収集つかなくなりそうなので
本編のSVのキャラのみ一部登場させようと思っています。

あとニックネーム持ちのポケモンにルビふる時に
ルビ側をニックネームにした方が見やすいのか未だにわからなくて迷走中です


40話:予選終了

―おはこんハロチャオー! ナンジャモでーす!

 本日の「ドンナモンジャTV」は、ななななんと、スペシャルゲストにあのタクト氏を迎えてますぞぉー!

 メン限(有料会員メンバー限定)の収録済み動画を、複数回に分けてるよ!

 編集と字幕はモデレータのジバコ氏がやってくれました! いつもありがとー。

 【報酬アップ検討お願いしますジバ】

 

―生放送じゃないからスパチャ……じゃなくて、コメントが見れないのが少し寂しいなー!

 【いきなり本音漏れて草】

 

―それでは刮目せよ皆の者!

 タクト氏、本日はボクのチャンネル出演、どうもありがとうございます!

  

◇よろしくお願いします。

 

―タクト氏はこれまで、メディアの取材やオファーを全て断り続けてきたのに、どうして今回はボクの出演依頼を快諾してくれたのですかな?

 もしかしてもしかすると、ボクに個人的な興味があったりしてー?

 

◇配信者としてのナンジャモさんへの興味は全く無いですね。

 

―なんでやねん!

 【チリちゃんの真似してるつもりジバ?】

 もっと素直になった方がいいですぞ、タクト氏のムッツリ!

 【ちょっと効いてて草】

 

◇この前の世界選抜大会でご一緒した時、僕にオファーを持ちかけましたよね。

 僕にすりよってくるのは、冷やかしだったり自身の利己的な目的を包み隠す、お為ごかしばかり言う人でした。

 でもナンジャモさんは自分の利益を正直に語ってくれた上で、僕のメリットも提示してくれた。

 あと、バトル中の視点の持ち方も独特だなと思いました。

 自身とは別に観客の視点を同時に持ちながら、リアルタイムで周囲の反応を伺ってますよね。

 こういう人の取材を受けるのは面白そうだな、と思っていて今回依頼をお受けしました。

 

―ええー、ボクのことそこまで見てくれてるなんて嬉しいなー! やっぱりタクト氏は話がわかるお人だと思ってたよー。

 【ツンデレおったジバ】

 

◇普通の人は僕の強さの理由とか、僕が自分がネットで噂されてる件とかを聞きたいだけでしょうけど、ナンジャモさんはおそらく違うでしょう。

 

―うん~自分が掲示板とかSNSで色々言われてる側だし、誹謗中傷で病んだ友達何人も見てきたから、ああいう陰口の告げ口みたいなのボク、苦手ー。

 知り合いがそういうことやってきたら疎遠になるかも。っと暗い話は今日は無しですぞー!

 タクト氏ってむちゃくちゃ強いけど、他のポケモンマスターを目指してるトレーナーとはなんかちょっと活動の仕方とか、違いますよね。

 特別な目標や目的があれば、お聞かせ願いたいな!

  

◇言語化が難しいが……この世界が"劇"だとするなら、ナンジャモさんやその他の人は、登場人物であり一人一人が主人公でもある。

 しかし僕はどこまでいっても"舞台装置"でしかないということです。

 【タクトさんは詩人ジバね】

  

―……? タクト氏には自身の意志とは別に役割がある、と?

 そのために戦っているのですか?

 

◇役割はありますけど、それを演じているのは紛れもなく自分の意志ですよ。

 僕の様な存在を遣わすこの世界は、安寧の地を目指しているのか、助けを求めているのか……。

 そして"舞台装置"は僕だけではない。あのデュフォー君もあるいは似たような存在なのかもしれません。

 

―ああーデュフォー氏はここ最近の活躍で、ネットですごい話題になってますね!

 フォロワー、チャンネル登録者数,記録保持者のこのボクより瞬間最大風速は上と来ていますな!

 【サラッと承認欲求抑えきれず、数字アピールしてて草】

 そういえば、世界選抜大会でのタクト氏とデュフォー氏の勝負は客席で見てたけど、惚れ惚れするような名勝負だったなー!

 

◇ありがとうございます。彼と戦えたのは僕にとっても収穫でした。

 

―あの勝負の解説を後でネモ氏にしてもらったのですが、中盤はともかくラストの説明がふわふわしてましてなー。

 結局、当事者から見て最後の決め手は何だったのですか?

 【あとでネモさんにチクるジバ】

 

◇……身も蓋も無いことを言うと、「ダークライの攻撃が強かった」というだけなんですよ。

 たとえ三分割した上で、更に手加減した"あくのはどう"ですらあのエルフーンの身代わりを破壊することができた。

 勝因は、単純にして明確な実力と火力を活かせたか。それだけです――

 

 後に一時代を築く女性Vtuberと、最強クラスのトレーナーへ成り上がる青年の会談から、時は数日前に遡る。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「これも写し身なのか!?」

 

 その現象をタクトはすぐには咀嚼できなかった。

 デュフォーとエルフーン(エルフ)が最後の攻防に選んだのは、やはり"みがわり"であった。

 前方に2体、それらに守られるように、後方にさらにもう1体。

 少しでも本体の損傷を減らす意図と思わしき布陣に対し、ダークライは前方の2体に2割ずつ力を割いた、弱めの"あくのはどう"を放ち切り崩す。

 波動を浴びた2体はあっさりと後方へ吹き飛ばされ、奥に控えていた最後の1体へ、残り6割の力を込めた本命が打ち込まれる。

 "ぼうふう"によるガードも間に合わないまま、攻撃をまともに受けたエルフーン(エルフ)は今度こそ戦闘不能となり倒れる――

 はずだったのだが、その身体は跡形もなく消滅した。

 

「ムッ!?」

 

 状況が飲み込めず身を硬直させるダークライ、息を呑み静まり返る観客達。

 タクトだけが驚愕しながらも、3体目の写し身をエルフーン(エルフ)が生み出した可能性に思い至る。

 だが冷静に考えれば、そんなことなどまずあり得ない。

 幾度も危機を迎えながら力を出し惜しみする余裕など、エルフーン(エルフ)にあるはずがない。

 それは温存ではなく、ただの無謀な行いと言うものだ。

 タクトがそれに気付くまで、1,2秒の思考が生んだタイムラグ――デュフォーが待ちわびた唯一の勝機だった。

 

「今だ! "ムーンフォース"!」

 

「フーン!」

 

 視界の左手前、先に波動を受けた2体の片割れが吹き飛んだ位置。

 ダウンした身体に鞭打ちながら起き上がったエルフーン(エルフ)から、美しく輝く一筋の光球が走り、ダークライの右側面へと食い込んで行く。

 その様を見届けるタクトの脳裏に、走馬灯の様にこの戦いがダイジェストで流れていった。

 

(前に出た2体の内1体が本物で、奥にいたのが身代わり!?

 こちらが身代わりに対する攻撃の比重を下げた隙を突いただけの、古典的な罠じゃないか!

 いや、違うか。これもデュフォー君がこの戦いであらゆる軽微な罠を張り続けたこと。

 そしてこれ以前にも、徹底して幾重にも力を温存、封印しつづけた伏線があったからこそだよな)

 

 存在しない3体目の身代わりという幻想を見てしまったこと。

 "あくのはどう"が強すぎるあまり、身代わりに割く分の威力を下げすぎて、それを見事に利用されてしまったこと。

 全てはデュフォーの情報戦略とエルフーン(エルフ)の奮闘あってこそ。

 ならばこの後に迎える結果は、至極妥当というものだ。

 

「それまで! 試合制限時間の15分が経過したため、この勝負はAIによる判定へ移行します!」

 

 審判の合図を受けながらも、タクトはダークライの損傷具合を確認せずに、観念したかのようにかぶりを振る。

 とっさに右肩で急所こそガードしたものの、タイプ一致の上級技を効果バツグンでまともに受けて、無事で済むわけがない。

 一方のエルフーン(エルフ)は、効果いまひとつの攻撃を2割まで加減されている。

 互いの膨大なレベル差を考慮しても、ダークライのダメージを上回ることはないだろう。

 

「ッッ……判定が出ました! ダークライ負傷度28%! エルフーンの負傷度22%!

 ダークライのみが25%の閾値(しきいち)を超えたためこの勝負、エルフーンの勝利とします!」

 

 沈黙、そしてそれをかき消す観客達の歓声が会場を覆い尽くす。

 両チームの控え選手とコーチ陣は、まだその信じがたい結果を受け入れる状態に無い。

 だが、それでも互いの健闘を称え惜しみない拍手を送り続けた。

 

「決勝進出おめでとう。また機会があったら話そう」

 

「有り難く」

 

 もしもデュフォーがドンカラス(オカシラ)を使っていたら――

 もしもこれが3対3のバトルだったなら――

 たらればの話を今ここで持ち出せば、それは現実で戦い尽くしたダークライとエルフーン(エルフ)への侮辱だ。

 対戦した当事者はそれ以上言葉を交わさずに会釈して、健闘したパートナーをボールへ戻す。

 予選リーグの通算成績はカントー代表、2勝1引き分け。シンオウ代表、2勝1敗。

 決勝進出が確定したカントー代表のメンバーは、歓喜の中でしばし互いを称え合った。

 まるでもう優勝が決まったかのような浮かれぶりだが、今だけはそれを誰も窘めず、微笑ましい様子で受け入れるのだった。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「おいデュフォー! なんだあの選出は!」

 

「なんだあの選出は、と聞かれたら答えてあげるが世の情けだよな」

 

 自身に何の相談もなく、タクトのダークライ相手にエルフーン(エルフ)を起用した暴挙を詰めるゼオン。

 それに対して飄々と受け応えるデュフォー。

 選手用に用意された宿泊所に戻ってからというものの、ゼオンとデュフォーの痴話喧嘩のようで、漫才のようなやり取りは一向に収まらない。

 静観を貫いていたカスミがため息混じり静止に入る。

 

「もういいじゃない、ゼオン。エルフーンは大怪我もしてないし、心配することもなく帰ってこれたんだから」

 

「心配することがないだと? エルフーン(エルフ)はもうこの大会では戦えないぞ」

 

 呆れた様子でカスミを見上げるゼオン。その言葉に皆がハッとデュフォーへ視線を向ける。

 

「今は発熱と呼吸の乱れが収まらずに、ボールの中で治療を受けている。先程の試合中の過度な緊張による、ストレス性の症状だ」

 

 エルフーン(エルフ)はほぼダークライの攻撃を受けていない。

 直撃せずとも、当たるかもしれないというプレッシャーだけで精神はジリジリと削られていたのだ。

 試合中,直後は興奮とアドレナリンの分泌で、恐怖が紛れて発症しなかったのだろう。

 ダークライの恐ろしさを今一度痛感するほとんどのメンバーに対し、奥の座敷で茶をすするキクコの感想は真反対であった。

 

「むしろこの程度で済んで、相手はお優しいこったよ。ダークライは手抜きこそしなかったものの、攻撃に敵意や害意を含めなかった。

 タクト(あの坊や)がその気なら、最後の一撃で再起不能になっていたかもね。

 ただ、そういったアクシデントも踏まえてのバトルだから、あまり浮足立つのも考えものだよ」

 

 おそらくはキクコ自身も何体もの愛すべきポケモンと出会い、時にはつらい失い方をしたのだろう。

 そうやって上り詰めたであろう四天王筆頭の地位。そこから放たれる、達観するような重みが込められた言葉はゼオンに落ち着きを取り戻させる。

 

「オレも言い過ぎた。大会が始まってから、オレの想定を裏切る事態や行動が目についたことで、少し気が立っていたかもしれん。

 エルフーン(エルフ)を使ったのは、ドンカラス(オカシラ)を決勝に温存するために止むなく行った戦略だろう」

 

 ゼオンは一息ついて、苛立ちを抱いた大本の原因を横目に一瞥する。

 

「ははは、あのダークライに勝っちゃうなんて凄すぎだよデュフォー! なあ、ピカチュウ?」

 

「ピ、ピカ……」

 

 心配するようなピカチュウを気にも留めず、無邪気な態度で勝利を祝うサトシ。

 シンジとの試合と先程の観戦中に見せた読みの鋭さ、他者へ思考を読み取らせまいとするような無表情は全く見せなくなった。

 

(サトシ……お前、今は()()()なんだ?)

 

 あの別人のような激変ぶりはなんだったのか。

 落ち着いたらデュフォーへサトシの容態と経過を相談して対処しよう、と心に決めたその時――

 

「失礼します! カントー代表の宿舎ですよね」

 

 褐色の肌にポニーテール,夏の制服姿の少女が一礼して部屋へとやってくる。

 

「パルデア代表のネモです。皆さん、決勝進出おめでとうございます!

 私達も諸国リーグを勝ち上がりました。明日の決勝でお会いしましょう!」

 

 ネモと名乗る少女の姿を見た何人かの顔色が変わる。パルデア地方のチャンピオンランク保持者として、名を馳せている彼女。

 現時点の"格"だけでいえばデュフォーやタクトはもちろん、キクコをも凌駕する存在だ。

 そんなネモのランクなど露知らず、ゼオンやサトシが呑気に応接し始めたところで、この場の空気を一変させる一言が放たれる。

 

「ということで明日の準備や調整も兼ねて、今から誰か私とバトルしませんか!?」

 

 




いつもご視聴ありがとうございます
あと評価に色が着きました、こちらもありがとうございます

次回から決勝戦が始まります
登場人物が多くなってしまうので、どうしてもゴチャゴチャしてしまうとは思いますが
なるべく善処しながら話を進めたいです

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