『陽』のあたる所必ず『陰』があり……幸福のある所必ず反対側に不幸な者がいる……『幸せ』と『不幸』は神の視点で見ればプラスマイナス『ゼロ』!
『安定した平和』とは!
平等なる者同士の硬い『握手』よりも絶対的優位立つ者が治めることで成り立つのが、この『人の世の現実』!


だから私たちのことは放っておいてキヴォトスのことは勝手にやっててください(懇願)

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戦局でいう所の……『一手』だな……『一手』見誤った者の敗北という事か……先生貴方の方か……わたしの方ではないがな……




大統領は演じたい

“ユウカ、ちょっといいかな?”

「先生? どうかしましたか?」

 

 その日、シャーレでいつも通り仕事をしていた『先生』は、一つの書類を見つけて手を止めた。横で一緒に仕事を手伝っていたミレニアムサイエンススクール、セミナーの会計をしている早瀬ユウカは、首を傾げながら先生と向き合った。

 先生の手に握られている書類は、連邦生徒会からシャーレへと渡されたもの。そこには……時間がある時で構わないので、ある学園の問題を解決して欲しいというものだった。先生が疑問に思ったのは、そもそも連邦生徒会からこうして学園の問題に対して言及されるのが初めてであったからだ。

 

“連邦生徒会……と言うか、リンからなんだけど”

「首席行政官から?」

“うん。リンから『グノーシス連合学園と連邦生徒会の問題の解決に協力して欲しい』って書いてあって”

「ぐ、グノーシス……ですか」

“なにか知ってるの?”

 

 学園の名前を聞いただけで、関わるのも嫌だと言うような顔をしたユウカに、先生は首を傾げた。

 早瀬ユウカは、ミレニアムサイエンススクール内でも「冷酷な算術使い」と呼ばれているが、実際は誰にでも優しく、他学園の生徒が相手であっても礼儀を尽くすような生徒なのだ。そんなユウカが、名前を聞いただけで嫌そうな顔をする学園。

 

「その……グノーシス連合学園は、2年前までずっと小競り合いを繰り返していた複数の学園を、1人の生徒がまとめ上げた新興の学園で……」

“へぇー、すごいね”

「凄いは、凄いんですけど……その、まとめ上げた生徒が、かなり過激な人で……連邦生徒会による統治を認めず、自分たちは一つの学園として動き、連邦生徒会の指示は受け付けないってスタンスなんです」

“そ、それは……”

 

 キヴォトスに存在する学園としてどうなんだ、と先生は思った。連邦生徒会とは各学園から生徒が送られ、その学園の大きさによって議席数が変わり、発言権にも関わってくる。その代わりに、連邦生徒会は学園を超えたキヴォトスそのものを統制する組織であり、キヴォトス内にある学園は全てが連邦生徒会の下にあるはずなのだ。それを断ると言うのは……かなり独立思想が強いというか、もはや勝手すぎて明らかな敵対行為であるとも言える。

 

「本当はそんなの認められるはずないですし、当然ながら周囲の学園全てが好き勝手をするグノーシス連合学園に抗議したんですが……肝心のトップが、学園内でも物凄い支持を集めているようで……」

“降ろせば即座にグノーシス連合学園は再び小競り合いをしていた日々に戻る、ってこと?”

「そう、なります」

 

 今まで多くの事件に関わってきた先生からしても、かなりイレギュラーな学園であると断言できる存在であることには間違いない。

 

“でも、まずはそのまとめ上げた人物に合わないと”

「……おすすめは、しませんよ。あまりいい人ではありませんから」

 

 ユウカの忠告は、先生の耳に残った。

 

 


 

 

 電車に揺られてグノーシス連合学園の敷地内に入ろうとしていた先生は、初手で躓いていた。

 

“え? 電車通ってないの?”

「そうなんです……以前はあの地域まで電車が通っていたんですけど……統一されてから他の学園の干渉を受けないってことで、向こうには独自の電車が通っているんですよ」

 

 ハイランダー鉄道学園の生徒の言葉を聞いて、先生は驚愕していた。連邦生徒会からの干渉を受け付けないって話は知っていたが、先生もまさか連邦生徒会だけではなく全ての学園がその範囲だとは思っていなかったのだ。

 仕方ないと最寄り駅で降りた先生は、そのまま徒歩で街を歩いて学園と学園の境までやってきた。

 

「その見慣れない服装に、ヘイローがない人間……貴女が先生か」

 

 その境を超えようとした瞬間に、先生は急に背後から声をかけられた。驚きながら振り向いた先生の視線の先にいたのは、長い金髪を揺らしながら堂々と歩く女子生徒の姿。型が古いハンドガンを腰にぶら下げ、随分と派手に着飾られている制服から、間違いなく生徒であると先生は確信していた。なのに……先生は目の前を歩く生徒から目を離せずにいた。

 

「何の用件があってこのグノーシス連合学園にやってきたのかは知らない。聞くつもりもないが……グノーシス連合学園という一つの国家の長でもある、この私が君を歓迎しよう」

“長……じゃあ、君が?”

「そうだ。私がグノーシス連合学園の大統領……()()()()()()()()()()()()だ」

 

 今まで先生が出会ってきた生徒の誰よりも『大人』に近く、誰よりも異質である生徒。そのファーストコンタクトであった。

 

 

 


 

 

 

 やぁ、みんな……今日も元気にジョジョしてるかい?

 みんな大好きファニー・ヴァレンタイン大統領を()()として名乗っている大統領(モドキ)だよ。

 

 私には前世の記憶がある。普通に生まれ、普通に生活し、普通に死んだ、なんの変哲もない凡人の人生、その一生の記憶が。気が付いた時には、この()()()()()でただの生徒として銃を手にしていた。転生する原因となる死因の記憶とか、神様に出会ったとかそんな記憶は決してない。()()、今の私にとってそれらの記憶が大切じゃあない。

 

 大切なことは、()()! ()()()()()! 私が私として立っていると言う事実だッ!

 

 

 なんて格好つけて言ってみるけど……私はただ単にオタクだった……それだけの話だ。

 

 

 ジョジョの奇妙な冒険Part7『STEEL BALL RUN(スティール・ボール・ラン)』という漫画がある。詳しく話すとオタク特有の聞いていないことをベラベラと早口で語ることになるので割愛するが、その漫画に出てくる登場人物の1人が、私は大好きだった。その人物の名を『ファニー・ヴァレンタイン』という。彼は第23代アメリカ合衆国大統領として登場し、主人公ジョニー・ジョースターと戦いを繰り広げた敵キャラだ。しかし、彼には彼の信念があり、愛国心があった。私はその『覚悟』と『愛国心』に酷く感動していた。

 

 ところで……ここがキヴォトスで私の頭上に天使の輪っかのようなもの……ヘイローが浮かんでいることからここはソーシャルゲームの1つである『ブルーアーカイブ』の世界であると推測する。「透き通るような世界観(笑)」で送る学園ゲームなのだが……私が所属している学園はその作中に一度も出ていない名前をしていた。

 ただ一度も登場していない学校ってだけならよかったんだが……学園が近くに幾つも乱立していて、戦争のような状態になっているのだ。1年生の私には一切事情なんて理解できないが……はっきり言おう、アホじゃないのか、と。

 しかし、ここで私に天啓が授けられた。

 

 ファニー・ヴァレンタイン大統領ってアメリカ合衆国の大統領な訳だろ? で、この乱立している学園群を全て統合してしまえば……できるのは連合学園ってことになる。それはつまり合衆国ってことだろ(錯乱)

 そんな思いだけで、私はあらゆる手段を使って学園を統合したんだ。

 あらゆる手段の内訳? そりゃあ敵対校と敵対校を扇動して潰し合わせたり、中枢にいる人間を金で買収して軍隊を崩壊させたり、愛国心を煽って学園を統合することを支持させたり、学園内で発見されたオーパーツを用いることで有利な状態で戦って相手に無条件降伏を飲ませたりしたんだよ。

 

 統合する為とはいえ戦争を過激化させた私のことを生徒たちが支持してくれるかなって話なんだけど、そこは本当に申し訳ないけど連邦生徒会をスケープゴートにさせてもらったよ。連邦生徒会は生徒数に応じて議席が増えるということは、必然的にマンモス校の発言力が高まると言うこと。争っていた私たちの学園は全てが弱小校だったし、そこら辺をちょちょっと煽ってやればあら不思議。連邦生徒会は私たちを見捨ててキヴォトスを運営している悪の枢軸になってしまったのでした。

 悪いとは本当に思ってるよ? でも……ヴァレンタイン大統領なら、自国民の為に他を犠牲にするでしょう?

 そう……戦争も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってやつだよ。

 

 

 学園を統合して、ついでに連邦生徒会や他の学園との関りを捨てた私たちのグノーシス連合学園は、以外にも普通に運営が上手くいっていた。かなりの数の高校を一つにまとめた訳だけど、当然ながら端から端まで管理することはできないので、元学園区分を州として地方に行政機関を置いた訳だ。私の仕事は、その州から選ばれた議会の連中と意見をぶつけ合いながらグノーシス連合学園の利益を追求すること。それ以外にはない。

 で、そんな風に好き勝手してたら……いつの間にか連邦生徒会長が失踪して、外から大人の『先生』がやってきたことを知った。つまり……ブルアカの原作が始まったと言うこと。とは言えだよ……私は正直全くと言っていいほど興味が無かった。だってブルアカのストーリーに一切名前が出てこなかった小さな学園共なんて、先生と関わることなんてないだろって思ってさ。あったとしても、虚妄のサンクトゥム攻略戦ぐらいでしょって笑ってたら、先生が来ちゃった。

 そしてなんで女先生なのさ。

 

“どうして、連邦生徒会の体制に反対するの?”

「そうせざるを得ない状況だったからだ」

“それって……”

「グノーシス連合学園は複数の学園が統合されて作られている。エデン条約でごたごたに巻き込まれた先生なら良く知っていると思うが、トリニティ総合学園と似たような経緯、だな。まぁ……あの学園ほど平和に統合された訳ではないんだが。もっとも、トリニティもアリウス分校などという闇を生み出してしまっているが」

“アリウスのことまで……”

 

 クロノスがエデン条約云々の話をしていたのは知っているし、監視の目を放っていたミレニアムサイエンススクールでも、会長・調月リオが失踪していることは把握している。

 

“じゃあ単刀直入に聞かせてもらえるかな? 君が……グノーシス連合学園が連邦生徒会と協力しないのは、理由があるからなんだね?”

「……そうだな。今となっては、ただ形骸化しているだけなのかもしれない」

 

 実際、グノーシス連合学園をまとめるために連邦生徒会を敵にしただけで、なにか恨みがある訳ではない。恐らく、グノーシスの生徒たちもそう思っているはずだ。だが……

 

“なら、せめてリン……連邦生徒会長代行の七神リンと話してあげて欲しい”

「……大きなテーブルの周りに大勢の客がぎっしり着席していて、各々の席の前には皿、ナイフ、フォーク、ナプキンなどのセットがきちんと置いてあるが、隣の席との間隔が狭いのでどちら側のナプキンが自分のものか分からない時に……どちらを取るのが正解だと思う?」

“え?”

「『右』か? 『左』か?」

“その……状況にも、よるんじゃない?”

「違うな。正解は『最初に取った者』に従う……だ。誰かが最初に右のナプキンを取ったら全員が『右』を()()()()()()()()。もし左なら全員が左側のナプキンだ。()()()()()()()()()。これが……社会だ」

 

 あぁ……言ってみたかったのよこのセリフ。

 

「私の言いたいことが、わかるか先生?」

“最初に決めた者が……違うね。最初に取れる者が決めているって言いたいのかな?”

「そうだ。この世のルールとは全てがそのナプキンのように動いている。そして……ここからが重要だ。そして『ナプキンを取れる者』とは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()。誰でもいいって訳ではないんだよ」

 

 言ってみたかったというのは本当だが……実際に今のキヴォトスははっきり言ってこんな状況だ。

 

「もし、連邦生徒会長がいれば……ナプキンを取るのは彼女だったはずだ。だが、今のキヴォトスに彼女はいない……()()()()()()()()()()()()()()が、いないのだよ。主席行政官であろうと、ティーパーティーのホストであろうと、セミナーの会長であろうと、万魔殿の議長であろうとも、ナプキンを取るに値する人間ではない」

“だから、連邦生徒会とは話し合いもしない”

「そんな複雑な話じゃあない。ただ……私が、その『ナプキンを取る者』になると言っているだけのことだ」

“ヴァレンタインは……キヴォトスの長になりたいの?”

「違う。私は、グノーシス連合学園に所属する生徒の安全と利益を守ることを使命としているだけだ。その為には……いかなる犠牲も厭わない」

 

 まぁ……はっきり言って、私は先生の敵ってことだな。




(本業の執筆が忙しいので続きは)ないです

この後、他の学園に平然と不幸を押し付けたりするファニー・ヴァレンタイン大統領(偽名)と先生が完全に敵対したり、オーパーツ(笑)である聖人の遺体を巡っての争いがあったり、全部が終わった後も生徒だが大人の側面も持つ大統領に先生が一方的に苦手意識を持ったりする話を考えたけどそこまで書けなかったので供養

誰か書いてくれよな(他人事)

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