お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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 ~前回までの劇場版転生ポケモン令嬢~

 ポケモンと人間しか動物のいない「ポケモン世界」に生きる令嬢アオバ・フロックスに憑依転生した青年、中橋蒼玻。彼は、発見されたばかりの謎の化石が、中生代に彼の世界で生きていた恐るべき龍ティラノサウルスのものであると気が付いた。

 物語上位世界ーポケモンの世界を創作世界として捉えているはずの蒼玻の世界に由来するティラノサウルスが、どうしてこのポケモン世界で見つかったのか?蒼玻が自分が転生した世界について考え始める一方、ティラノサウルス化石は活きているかのように動き出し進撃、山も川も越え、オーキド研究所を踏み潰す。

 ポケモンや人々がそれぞれの思惑でティラノサウルス化石を止めようとする中、蒼玻/アオバ・フロックスも本能的に、ティラノへと立ち向かおうとしていた。

 -何かこの世界には秘密があるのか?

 「自己存在」「存在の理由」をテーマとするミュウツーを敵に回し、蒼玻/アオバ・フロックスは、ティラノサウルス化石を「目指すどこか」へ辿り着かせないため、戦いに赴こうとしていた...


#meta3 「ミュウツーの順襲」

 

ー*ー

 

 「今頃、カクミガシ博士はティラノサウルス捕縛作戦中か…」

 

 開口一番、蒼玻は言った。

 

 ここはコンジキ駅一番プラットフォーム。わずかに、コンジキ大学の方角の喧騒が聞こえてくる。それだけではなく、街中がなんだか騒々しい。

 

 「蒼玻くんとお姉ちゃんの危機感、間違ってなかったね。」

 

 厄禍に応じて巨大になり、超ダメージを発する「ディザスターウィング」。その翼が空をも覆うということはどういうことか、コンジキ市民なら知っている。

 

 「あそこまで大きな『ディザスターウィング』を見ることになるとは思いませんでしたわ。/地平線のはるか果てまで続く幻影だもんな…古代ユキコシ文明並みの脅威だってことだ、あのティラノサウルスは。」

 

 その古代ユキコシ文明相手に、一巡前のカクミガシ博士は、ナノハナ武士団らと手を組んでなお玉砕している。つまり蒼玻/アオバからすると勝ち目は薄い。

 

 「急ぎますわよ、カグヤ。/早く加勢しないとな。」「うん!」

 

ー*-

 

 「どうして、そんなにあの化石を自由にさせようとするのかね?」

 

 ”「アナタなら気づいているでしょう?あの化石はポケモンではない…この世界の理の外にあるものです。」”

 

 ーユキコシメガアブソルの ふぶき!

 

 ーメガミュウツーYの はどうだん!

 

 波導の爆発が吹雪を吹き消すのを横目に、カクミガシ博士は対話を続ける。

 

 「容易に結論を下すべきではないね。ポケモンの法則が通用しないことは確かだけど...おっとアブソル。」

 

 -ユキコシメガアブソルの ふいうち!

 

 ユキコシメガアブソルの不吉な姿が、メガミュウツーYの背後をよぎる。

 

 ”「小手先の小技ですね。」”

 

 メガミュウツーYは、テレポートによってユキコシメガアブソルをかわす。

 

 ”「アナタは虚龍の来歴を知らない…アレは、フロックス家が世界を一巡するのに使ったムゲンダイナの、その遺骸が変じたものですよ。」”

 

 -ユキコシメガアブソルの つるぎのまい!

 

 「…なんだって?」

 

 ”「やはり知らなかったのですね。

 

 無から化石が出現したわけではない。ムゲンダイナが宇宙を加速して、アオバ・フロックスに宇宙のループを一巡させてエネルギーを使い果たし死んだ…世界の誕生も終焉も一周も経験した存在が、死してすぐ、この世界の外側の法則を持つ存在に昇華したのです。」”

 

 -メガミュウツーYの めいそう!

 

 「この世界のすべてを経験した存在が、世界の外側の存在になって、傍若無人に動き回っている…このことに何らかの意味を感じないと?

 

 いいえ…すべてを知った今、虚龍は外からこの世界を問い直しているのです。」” 

 

 「最後の審判だとでも言うのかね。…この私の好奇心の及ぶところではないな。

 

 アブソル、そろそろ引導を。」

 

 ーその厄禍は迂転するー

 

 通常のメガアブソルとは逆に、真っ黒なユキコシメガアブソルの翼。それが、空を覆わんかのように幻翼を広げる。

 

 メガミュウツーYは、迫る幻影の黒翼を目にしてもうろたえることなく、2つの結晶を何処からか取り出した。一つはひし形の、アローラ地方由来のZクリスタル。そしてもう一つは正二十面体。

 

 「…BREAKオーラ結晶…自己生成できるということは、少なく見積もってもよりしろさま並みの『強さの概念』を持っている、か…」

 

 ーメガミュウツーYは Zパワーを見に纏った!

 

 -メガミュウツーYに 励起BREAKオーラが収束する!

 

 金色の粒子で全身をきらめかせながら、メガミュウツーYは手元へサイコパワーを集めていく。

 

 「アブソル、攻撃発動を遅らせろ。

 

 ZパワーとBREAKオーラ…スパコンと量子コンピュータ―を掛け合わせるような神秘の実験だ!さあ結果を出力したまえよミュウツー!」

 

 -メガミュウツーYが解き放つ 全力の Zワザ!

 

 -メガミュウツーYの ワザが BREAK状態になった!

 

 -メガミュウツーYの サイキックインフィニティBREAK!

 

 -ユキコシメガアブソルの ディザスターウィング!

 

 地平線まで届くかのような禍の翼が、メガミュウツーYを包み込んで封殺すべく、迫る。

 

 メガミュウツーYは、右手の上に蓄えた、まるで一つの星系かのように美しく輝く破滅的光爆を、全身の筋肉をしならせて、ユキコシメガアブソルめがけ投げつける。

 

 幻影の黒翼は、サイコパワーの光爆を受け止め…そして黒と紫の閃光が爆轟した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー破滅的な光爆は、惑星のように周回する光点をたたえながら、黒翼を発破してユキコシメガアブソルの額に着弾した。

 

 翼の幻影が消失し、ユキコシアブソルが煙を引いて地上へと落下していく。

 

 「アブソルぅ!アブソルぅ~~!!」

 

 ボール片手に、相棒ポケモンの落ちた方向へカクミガシ博士が走っていく。

 

 メガミュウツーYは煤けた身体で下界を見下ろしながら、左手にサイコパワーを込め、急降下した。

 

 ティラノサウルス化石は、未だ、覆いかぶせられたネットの下でもがいている。

 

 ーメガミュウツーYの サイコブレイク!

 

 サイコパワーの一薙ぎが、ネットを斬り裂こうと、流星のごとく墜ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーデュアルメガディアンシーの ムーンフォース!

 

 その横やりは、正確無比に、メガミュウツーYの横腹を打ち抜いてビル壁へ叩きつけた。

 

ー*-

 

 ”「アナタも、やはり邪魔をするのですね。」”

 

 「貴方こそ、すでにわたくしを御存じでしたのね。

 

 でしたら」

 

 ”「ただ知っているわけではありませんよ。魂が二重だという事も、知っていますし感じています。」”

 

 蒼玻/アオバは、ミュウツーの言い方に若干の違和感を覚えつつも、素を出すことにしたー「感じている」はわかる。屈指のサイコパワーを持つミュウツーなら二重魂魄を感知してもおかしくはない。けれど「『知っている』し感じている」?

 

 「じゃあ俺たちがここ数週間、あっちこっちに情報と資金を出して、あのティラノサウルス化石をどうにかしようとしてたのも勘づいてるよな?/どいてくださいますかしら?と言っても、聞いてはいただけないのですわよね?」

 

 フロックス家はミュウツー誕生の経緯を把握している。従って、丸くなったとはいえミュウツーはミュウツー、人間にいい感情を抱いてはいないだろうし交渉の余地はないだろう...と考えていた。

 

 そして予想は外れない。

 

 ”「気づかないのですか?アレはただの生物ではなく現象…世界がひとりでに起こした自然現象。

 

 化石の進行は世界の天命、ワタシたちを導く『世界の意思』なのです。

 

 世界に、アナタたちが試されているのです。抗ってもためになりません。

 

 アナタこそなぜ、愚かなあがきをするのですか?」”

 

 「悪いけどな、その世界の外から来た転生者なんだわ、俺/そうでなくともわたくしとて抗いますわよ。欲張りな令嬢が、傲慢な運命論に黙っていられると思っていらして?

 

 こういうわけで、わたくしたち/俺たち、使い古された運命論だとか『世界の意思』だとか、そんなものぶち壊すつもりなんだわ。」

 

 ”「外の世界…

 

 …奴が言っていたとおり、転生者、でしたね。」”

 

 「奴…?」

 

 ”「アナタの魂についてと、あの虚龍の存在を、ワタシに教えてくれた人物ですよ。」”

 

 「…恐竜と虚ろなドラゴン()を掛けて虚龍、と。洒落たネーミングセンスですわね。それもその『奴』とやらが?/どうして俺が転生者だって知ってるんだ?魂でも見たのか?」

 

 ”「…アナタが、『主人公』だからだ、そうですよ。」

 

 「主人、公…?」「お姉ちゃん!それってきっと、ムゲン団の時にいた…!」

 

 ー「『ダレデモナイ』とお呼びください。『主人公』さん?」

 

 「…っ、もしかして、そいつ、顔があるけど認識できないし/老若男女すら識別できない不審者ではありませんでしたかしら?」

 

 ”「『ダレデモナイ』、そう、名乗っていましたね。」”

 

 「…『世界の意思』ってのには、俺も同意だぜ。

 

 俺のことを主人公呼ばわりする『ダレデモナイ』とかいう黒幕に、上位世界由来の存在であるティラノサウルス?/どちらもメタフィクショナル、そう思った方がいい、ということになりましたわね。これは...ますます、抗う他に選択肢はありませんわ。」

 

 ”「従う他に、ではないのですか?

 

 この世界の外から来た虚龍、この世界を物語として扱うダレデモナイ…彼らこそ、ワタシたちとワタシたちの世界を俯瞰して、そして問い直している…のですから。そして、この世界の理にすら従わない存在を、どうやってアナタが従わせるというのですか?」”

 

 ミュウツーの言う通りだ。

 

 物語上位世界とでも言うべき世界、蒼玻の世界、基底現実…それらに属する存在が無から湧き出てきたことには、このポケモン世界に対する試練、意思、目的を感じざるを得ない。

 

 それに、そもそも、今に至っても虚龍を完全に阻止する方法は見つかっていない。数十重に重ねられたネットで抑えられているが「長くは続かないだろう」というのが蒼玻/アオバの見立てーしかも黒幕であるらしいダレデモナイに至っては一言で蒼玻/アオバを脱力させてみせるなど底が知れない。

 

 それでも。

 

 「ポケモンという体系を生物学として確立した、ポケモン学のオーキド研究所。

 

 ポケモンがいる自然という体系を博物学として追求してきた、ユキコシ本草学のカクミガシ研

究室。

 

 片方が踏み潰され、そして今もう片方も踏みにじられようとしているということの意味、考えたほうがいいんじゃないか?ミュウツー。

 

 /アトランティスが見せてくれましたわよ。生贄を押し付け、神の性質を歪める、これが『失墜』である、と。

 

 ポケモン世界に体系と定義を与えてきた存在をメタ的なティラノサウルスが踏みつけて冒涜したのなら、それはこの世界の体系、定義、概念への権利を大きく与えてしまう、決定的な改変能力を授けてしまう…それはあってはならない悲劇ですわ。」

 

 ”「だとしても、ワタシはここで、アナタたちを止めます。

 

 ワタシの存在の答えが出るのなら。

 

 虚龍が、この世界のあまねく命の、存在の答えを求めるのなら。」”

 

 ギリッ...蒼玻/アオバの歯が不協和音を立てる。存在の答え、理由、意義…それらは常に、蒼玻にとって哀しい問いだったからだ。

 

 「存在の意義、存在の理由…クソが。俺たちはわかりあえないらしいな、ミュウツー。/こういう野蛮な解決はわたくしの性ではありませんが、力づくで黙らせるしかないようですわね。

 

 「やっておしまい、ディアンシー」!」「お姉ちゃんたちを手伝うよ、おいでグレイシア!」

 

ー*-

 

 ーデュアルメガディアンシーの トリックルーム!

 

 ーグレイシアの つららばり!

 

 魔訶不可思議なトリックルーム空間の中、鋭いツララがメガミュウツーYへ襲い掛かる。

 

 メガミュウツーYは、すぅーっと息を大きく吸い、渾身のサイコパワーを両の手に込め…バン!パントマイムの仕草で虚空に打ち広げた。

 

 -メガミュウツーYの バリア―!

 

 広がる、サイコパワーでできた透明な防壁ーそれが、トリックルームに阻まれたかと思うと、トリックルーム結界の壁面にヒビを入れ、パリン!という音とともに打ち破ってビル間に広がる。

 

 「な…」

 

 -メガミュウツーYの けたぐり!

 

 サイコパワーみなぎる両腕両足が、目にも止まらぬラッシュで、迫りくるツララを叩き落とす。

 

 「…は?んな無茶苦茶な/最強のポケモンを謳うだけのことはありますわね…

 

 ディアンシー、ムーンフォース!」

 

 -デュアルメガディアンシーの ムーンフォース!

 

 -メガミュウツーYの サイキックインフィニティ!

 

 月光のビームが宙を奔る。

 

 超常の星光が空を裂く。

 

 (デュアルメガシンカで特殊攻撃力はかなり上がってるはず!メガミュウツーを破れるか…!?/いえ甘く見ない方がいいですわ。アレはZワザ!)

 

 ムーンフォースのビームが押し負け、莫大なサイコパワーの塊が地面へ到達し路面を吹き飛ばす。

 

 電柱が吹き飛び、信号機がへし折れ、ビルが揺れる。

 

 ”「これであのディアンシーを倒せ…ますかね?」”

 

 「今ですわイーブイ!」

 

 -イーブイ(ブラッキー)の ふいうち!

 

 はつげんちょうせいでブラッキーになったイーブイが、ビルの屋上から、メガミュウツーYの背後へと躍り出た。相性抜群の吶喊が、メガミュウツーYの身体を揺らがせる。

 

 ”「伏兵…小癪な!」”

 

 -メガミュウツーYの サイコブレイク!

 

 サイコパワーの奔流が、イーブイに向けて投げつけられる。

 

 「畳みかけて!グレイシア!」

 

 それすらも読んでいたと、バトルのペースはこちらのものだと言わんばかりにカグヤが叫び、雪雲が出現と同時に真下へ崩落して、メガミュウツーYをその衝撃でアスファルトへと叩き落とした。「ゆきなだれ」の一撃だ。

 

 「やっと、地上に降りてくれたな/見下ろされるのはわたくしの性にあいませんでしたわよ。」

 

 外装が破壊されたビルの一階から、撃墜されて戦闘不能になったイーブイをボールに戻しながら、煤けた純白の令嬢とダイヤ姫ポケモンが姿を表す。

 

 ”「決着を、ミュウツー。」”

 

 ”「望むところです、ディアンシー。」”

 

 人に創られ、人にまつろわぬポケモン、ミュウツー。

 

 人とともに、代々2000年の絆を受け継いできたポケモン、盟約のディアンシー。

 

 両者が、正対し、全力フルパワーを両の手に込める。

 

 (ケリをつけるぞ、アオバちゃん、ディアンシー/時間操作ですわね、ええ)”(任せてくださいっ!)”

 

 フェアリーオーラが満ち満ちて、デュアルメガディアンシーの両手のうちに空気が集まっていき、二酸化炭素が圧縮されていく。

 

 -デュアルメガディアンシーの ダイヤストーム・アクセラレーション!

 

 時間加速をかけられたダイヤモンド渦が舞き上がり、まさに破断の旋風を巻き起こした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -メガミュウツーYの サイコキネシスBREAK!

 

 悠久の時を秘め回転するダイヤの竜巻は、すべて、メガミュウツーYの目前でターンした。

 

 竜巻の回転速度は極超音速、それを自由自在にサイコキネシスで動かすなど、超常を超えた超常ーだがメガミュウツーYは容易くやってみせる。

 

 かくて、ダイヤの竜巻は、ぐいーっとその方向をU字に捻じ曲げられ、ティラノサウルス化石を直撃した。

 

 学生たちが覆いかぶせた幾重ものネットが、モース硬度10の乱流で引きちぎられる。その下のティラノサウルス化石も、史上最強の研磨剤たるナノダイヤモンドに数百万年分研磨され、サラッサラの粉末となる。

 

 数秒前までネットだった糸くずの中から舞い上がる砂片が、空中に再び、恐ろしき龍の姿を描く。

 

 「っ、グレイシア、れいとうビームだよ!」

 

 空中で組み上がっていく砂塵が、一瞬にして凍り付き…直後、けたたましい、まさに獣脚類が吼えるかのような音とともに、氷晶は砕け散った。

 

 完全に再生したティラノサウルス化石が、再び、その燃え怒めく眼で世界を睥睨し、悠然と歩きだす。

 

 「ま、待ちなさいですわ!」

 

 蒼玻/アオバは、ティラノサウルス化石を追いかけようとした。しかしメガミュウツーYは神速のスピードで回り込み立ちふさがる。

 

 「行かせません。虚龍を妨げることは許しません。」

 

 「さっさと終わらせて/ここを通していただきませんと、ね。カグヤ!」「わかってる、お姉ちゃん!」

 

 ーデュアルメガディアンシーの ダイヤストーム・ディセラレーション!

 

 ーマハリハグルマの かげうち!

 

 時間減速された無数のダイヤモンドが織り成す竜巻、に沿って拡がる、フラクタルに分岐する無数の「空間のヒビ」。それは世界を断絶する線となってメガミュウツーYに迫る。それはまさに、スパイラルな、ダイヤモンドと空間断裂の投網だった。

 

 ”「一撃には、一撃で応えましょう。」”

 

 メガミュウツーYが持つZクリスタルとBREAK結晶が光り輝き、左手へとサイコパワーを集束させていく。

 

 -メガミュウツーYの サイキックインフィニティBREAK!

 

 膨大なサイコパワーの奔流が、ダイヤモンドを破壊すべく、空気をプラズマ化させ吹き飛ばしながら猛進し、そして時間減速によって停止する。

 

 「どんなに強かろうが、無駄ッ!/わたくしたちの領域(ジオスケール)、誰にも破れはしませんわ!

 

 「イーブイ」!」

 

 「グレイシア!お姉ちゃんに加勢!」

 

 -イーブイの ブイブイブレイク!

 

 -グレイシアの ふぶき!

 

 イーブイが、光を纏って突撃する。グレイシアは、真夏に極寒の猛吹雪を出現させた。2つのトドメが、メガミュウツーYへと突き進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふいに、キノコ雲が上がった。

 

 -デュアルメガディアンシーは みらいよちのこうげきを 受けた!

 

 天誅のような、光の柱。雲を裂き降り落ちたそれは、デュアルメガディアンシーを中心にして大通りを吹き飛ばし、ビル街の窓ガラスを爆風で割り砕く。時間減速領域?絶対時刻座標を定めて設定されたこのワザには何の意味もなさない。

 

 イーブイの吶喊でビル壁にめり込まされたミュウツーは、埃を払いながら宙に浮かんでみせた。

 

 ”「勝負、あったようですね。」”

 

 「お姉ちゃん、蒼玻くん、しっかりして!」

 

 デュアルメガディアンシーからのダメージフィードバックと爆風の衝撃のダブルパンチで倒れ伏す純白の令嬢を、カグヤが揺さぶっている。

 

 ミュウツーは、コンジキ大学正門前に築かれたバリケードをサイコキネシスで吹き飛ばし、ティラノサウルス化石を護衛しながら、カクミガシ研究室の方へ去っていった。




ー*-

 虚龍は予定通り、コンジキ大学カクミガシ研究室を破壊できたようですね。これでこの世界を体系づけるシンボルはもはやなく、世界はまっさらな思考を人々に迫ることでしょう。

 「ミュウツー、御苦労だった。」

 ワタシのサイコパワーを使っても、顔を認識することすらできない人物。ダレデモナイと名乗るこの人物は、ワタシにあの歩く化石の意義を教えてくれました。

 あの化石が目指す先に、ワタシを含め、世界のすべての答えがある…そんなことを、ダレデモナイはワタシに言ったのです。ですからワタシは、人に創られたこの身の意味を知りたくて、知る必要があると思って、虚龍とこの人物に呼ばれているあの化石を、見守ってきました。

 ですが…

 「…虚龍が動くことは許せます。アレはワタシたちに今一度自己存在の意義を問い直すからです。

 ですが、アナタだけは、外の世界からやってきたアナタだけは、この世界にいるべきではない!」

 この世界を、ダレデモナイは、本当に掌の上の玩具、落書き帳のメモ書き程度のものとしか思っていません。明らかに、無数の命が載るこの世界を弄んでいます…それは、許せることではありません。

 アオバ・フロックスに言われるまでもなく、ワタシも一線はわきまえています。虚龍は現象ですから看過できても、この人物は...それに、人に創られたワタシが今再び人に自由を奪われるのは納得できません。

 正体不明、なんらかの認識阻害を持っている不気味な人物…ですが、必中ワザを使えば、認識できなかろうと当てられます。

 「虚龍、阻止してください。」

 虚龍を立ち塞がらせて、盾のつもりですか?

 -ミュウツーは メガミュウツーⅩへ メガシンカした!

 ”「無駄です。化石は再構築しますし、ワタシの攻撃は化石を突破してアナタに届く…!」”

 -メガミュウツーⅩーの はどうだん!
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