お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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#fict4 「転生ポケモン令嬢」の真価/伏線の意味を騙れ

 虚龍は、大きく口を開き、ミュウツーに正対した。

 

 -メガミュウツーⅩの はどうだん!

 

 -虚龍の ”解体()”!

 

 ミュウツーの手中から発されたはどうだんが、吸い込まれるかのようにまっすぐ、骸骨でできた虚ろな口に呑まれ…消える。あたかも、食べてしまったかのように。

 

 「…馬鹿な。」

 

 ミュウツーは呆然と呟き、そしてはっと、叫んだ。

 

 「アナタ、それに何を使ったのです!?

 

 宇宙を一巡してエネルギーを使い果たしたムゲンダイナの遺骸、世界のすべてを経験したそれが現象となって動き出した...そう思っていました。ですが、違ったのですね!?

 

 虚龍は、ただ知っていて、問い直すだけの存在…そうではないのですね!?」

 

 はどうだんの波導を食べたわけではないーそもそも虚龍は肉体を持たない骨で、その虚ろな口内に入ったはどうだんが消えたのは捕食ではなく消失だ。

 

 「はい。

 

 ムゲンダイナのオーラで集めた全世界の構成情報世界の収点(アカシックモーメント)

 

 ラスト団のクワズが反転世界を覗くために世界に亀裂を開けた世界のまくれたところ(ニュー_ワールド_オーダー)

 

 宇宙を一巡したムゲンダイナの龍骸(ホロウドラゴン)

 

 古代ユキコシ文明のアンノーンシステム(源理改変)

 

 それらすべてです!」

 

 ミュウツーは、吐気に喘いだ。

 

 世界のすべての情報を一度は秘めた概念的一点…ムゲン団の闇ユウリがかつて世界の過去現在未来すべてを情報的改変するために創り出したのが世界の収点(アカシックモーメント)である。そして、これを宇宙を一巡し運命を覆し力尽きたムゲンダイナに加えたなら、それは世界のすべてを知り尽くした龍骸となる…そうミュウツーは考え、だからこそ全智存在たるこの龍骸が目指す先が世界の存在意義を問いただす、そう考えてきたのだ。

 

 しかし違った。

 

 世界のまくれたところ(ニュー_ワールド_オーダー)…すなわち、世界の外側の概念。

 

 言霊によって事象に干渉するアンノーンのシステム。

 

 それらがあるということはー違和感はあった、世界のすべてを教えたところでムゲンダイナの骨が正体不明の古代生物(ティラノサウルス)になるわけがないーこの龍骸は世界を問い直すだけのおとなしい存在などでは決してなく、このポケモン世界の外の視点を持ち、積極的に世界を言葉によって変えることができるモンスターということだ。

 

 ”「アナタ、こんなものを創って、何を…!」”

 

 「創って?

 

 ノンノンノン。

 

 ティラノサウルスは、未だ道程に過ぎない。

 

 この虚ろなる世界は、もっと前へ積極的に前進していくべきです。こんなふうにね。」

 

 無数のアンノーンが空中に整列していく。それだけなのに、ただただおぞましいと、見る者すべてが否応なく実感させられる光景。

 

 ポケモン学、ユキコシ本草学…それらの文字列が現れては虚龍の口へ吸い込まれ、そしてポケモンの名前が羅列されていく。

  

 ”「アナタ、世界一周分の経験を積んだ虚龍に、ポケモンの体系とポケモンの名前の言霊を喰わせるなんて…!何が起こるか…!」”

 

 「世界の外側からは、この世界はポケモンの物語として見られているでしょうね。

 

 ポケモンの言霊とポケモンの体系。これで、虚龍は、ポケモン世界への上位存在として完全に覚醒します。」

 

 骨格が、ムゲンダイナ以来の光を…いや、この光は、地上を無限に照らす太陽光か?

 

 「そうそう、何を目的としているのか、でしたね、ミュウツー。

 

 この世界で、このユキコシ地方だけが、正しい世界なんですよ。それ以外は全部全部、御都合主義だ...まるで創作ファンタジーみたいにね。」

 

 虚龍の骨が金色の光の粒子となって、自らを解体しながらアンノーンの文字列を呑み、組み変わっていく。

 

「この世界はフィクションとしても壊れてしまったんです、だから、取り戻される。

 

 そして、最後の材料が、今近づいてきています。この不思議な不思議な生き物(ポケットモンスター)を完成させるための。アナタが無力化してくれたんです。」

 

 凡てを呑み込む龍腹は、統べてを蓄える無機質な真球へ。

 

 凡てを搔き抱く龍爪は、統べてを抱き竦む歯車仕掛けの巨腕へ。

 

 凡てを踏み荒らす龍脚は、もはや居ながらに統べてを知ろしめすこの存在にとっては、必要がない。

 

 凡てをひっちゃぶる龍顎が、無数のフィルムロールへと解け、地平線の向こうへ、地下の深くへ、宇宙の彼方へ、世界の統べてへと延びていく。

 

 凡てを爛々と睨む、燃え怒めく眼は、統べてを視つめる虚ろな4対の瞳へと変じ…

 

 ”「止めます、絶対に。

 

 アナタも虚龍も、ここで、消す!」”

 

 -メガミュウツーXの バニシングストライクBREAK!

 

 メガミュウツーXの右腕にサイコパワーが宿り、メキメキと盛り上がった筋肉から光が噴き出し...その超常的な筋腕が、摩擦熱で陽炎を作りながら、「虚龍だった存在」へと殴り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全宇宙が放つ、無限にも等しい光芒と暗黒…歯車仕掛けと真球とフィルムロールからなるポケモンは、解放する圧倒的な「圧」だけでメガミュウツーⅩを空中に縫い付けていた。

 

 「原作存在が、物語上位世界存在に勝てるわけがないでしょう?

 

 『万象の龍は以て、億界の法に則るを示す』...」

 

 虚龍(???????)の ”解体(→BREAK)”!

 

 メガミュウツーYのまとうサイコパワーが、妻子歯環へ”解体(→BREAK)”される。

 

 は無数の稲穂のへ。ガミは伸び続ける人形のへ。ュウから熱の小が降り注いで、すべてが永遠に回反復する。

 

 ミュウツーという概念は、極めて多様で不詳な様態へと散逸し、世界から消失した。




 運命とは、下り坂を転がり落ちることです。

 人は時に運命に従い、時に運命に抗うでしょう。しかし、運命という大局に本当の意味で逆らうことは、できません。

 運命とは、みずポケモンにとって流れる河のことです。

 魚は河を流されることも滝を登ることもできるでしょう。だが、河の流れを上に向けることは、できない。

 世界は無数の因果と理を秘めて廻っており、因果は時という重力に引かれて運命という河を流し、運命は寄り集まって物語という小世界を作り出します。

 登場人物は物語を紡ぎ、物語は登場人物を押し流す。これを人は運命と呼ぶのです。

 物語は登場人物を求め、物語は登場人物が思い描く。これを人は天命と呼ぶのです。

 ですが、人は物語を変えることはできません。なぜなら、人々が形作った物語それそのものすら、人々を含んだ、ある種の予定調和に過ぎないからです。

 可能性は無限ではありません。風を吹かせればリンゴは左や右に落ちるかもしれないでしょうが、リンゴが上に向かって落ちることはあり得ないのです。けだし人は、時間に従って増大する限定された合理的な帰結を選び漸進しているに過ぎない…どんな超展開ですら、物語が物語世界として破綻せず成立している限り、合理的な帰結の中にあります。

 嗚呼哀れな登場人物たちよ。選ぶことはできるでしょう。抗ったつもりにもなれるでしょう。だが、それすらも運命のペン先の上にあります。運命はキャラクターをほくそ笑むのです。むろん、それがキャラクターが天命を果たしたという誇りを穢すものではないからこそ、物語は美しい。

 それでも人は、物語の進行の中、それすらもひとつの物語でしかないことに気付きすらせず、例え気付いたとしても目を背け、如何に大河の中を泳ぎぬくか、昨日を明日へつなげるための今日を生み出すか、暗闇に明かりをともして前進するか、考えなくてはならない定めにあります。

 人々が人生を重ね意思を練り上げその魂で下す一つ一つの判断が、生贄を燈火に変えて、この物語を輝かせてきました。そしてきっと明日も、明日も。

 帰結は、そうは選べませんでしたでしょう。ですから私は、彼ら彼女らの選択が誇れるものであると、説明を用意しなければなりません。その説明が伏線の収束を解説するからです。

 愚かな愚かな主人公が、何処へ向かい、何を持てあまそうとも。

ー*-

 ダレデモナイは、虚龍だったモノが最後に求めていた、最後のパーツの元に、辿り着いていた。

 「この世界を完成させるのにもっとも必要なものとは、何だと思いますか?

 きわめて簡単な問いですよ。

 中橋蒼玻、貴方が、この世界、この物語世界の主人公なのですから。」

 コンジキ大学前大通り。あちこちに血の染みを作りながらもなんとか立ち上がって妹にもたれかかっている、埃まみれの令嬢アオバ・フロックス。息も絶え絶えの彼女に、いや彼に、顔すら認識できないし老若男女すら識別できない人物ダレデモナイは話しかける。

 「俺、が…?物語、の、主人公…?」

 「そうですよ。

 この世界は、いつだって、貴方を中心に廻ってきた。

 それが、『お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~』の、物語世界なのですから。」

 あたかも、それが、生まれたばかりの赤ちゃんでも知っている当然のことであるかのように、ダレデモナイは告げた。…このポケモン世界は物語に過ぎないと。

 「何を…/貴方、そんな、まさか、だって!」

 「黙っていてくださいアオバ・フロックス。ヒロインは物語に必須ではありませんから。

 物語唯一の必須構成要素は主人公。主人公がいてこそ物語世界は成り立つのです。」

 (こ、この方、なんと…!/アオバちゃん、少し、俺に任せてくれないか。

 …コイツはまだまだとんでもないことを明かしそうだ。)

 「俺が、必要だと?それで、俺のところに来た…?

 何をするつもりだ、ダレデモナイ。」

 ダレデモナイ本人と、その背後で無限に等しい光芒と暗黒を放つ???????。交互に視線を向け、蒼玻は問う。

 「ある要素が物語の完成にとって必須な存在ならば、物語の神を完成させるのにも必須な存在という事になります。」

 「物語の、神…?は...?」

 「この世界の虚構性と言葉を掌握するのに必要であった概念は5つ。

 全世界の構成情報の概念たる、世界の収点(アカシックモーメント)

 これに世界の外側からの視点を与えるための世界のまくれたところ(ニュー_ワールド_オーダー)、世界のすべてを抱え込む器たりえる宇宙を一巡したムゲンダイナの龍骸(ホロウドラゴン)

 世界という物語を言葉という側面で再構築し再解釈し操る、アンノーンの言霊(源理改変)

 そして一本の矢。物語の方向性を定め、物語の軸線となる矢印。ベクトルの支点にして力点にして作用点…

 …物語指準矢(主人公)、そう、貴方ですよ。

 中橋蒼玻、貴方の転生した意義は、今、ここにあるのです。」

 「俺の、転生した意義だと!?どういう、意味だ!?」

 「御存じありませんか?

 『げんが は なかはしこうよう』...」

 「都市伝説(ネットロア)だろ、それは。」

 「ええ。ですが、物語という観点では、二次創作もネットミームもまた、その物語の一部です。

 ゲンガー?原画?いや、幻我かもしれません。ですがそんなことはどうでもよかった。

 中橋紅葉では直截に過ぎました。であるからこそ、私ではありません、世界が選んだのです。紅ではなく蒼を。中橋蒼玻という人物を。

 ポケモンの世界にとってメタ的な名前を持ち、ポケモンの世界を創作として観察しながらも、ポケモンの世界の住人として転生し主人公を行う人物を、必要としたのです。」

 「んな、じゃあ、お前は、あのティラノサウルス、虚龍とやらの完成に必要だから、俺をこのポケモン世界に放り込んで、いろんな事件で5つの概念集めに協力させて…!?

 なんなんだお前いったい!?」

 無茶苦茶な、意味が分からない、受け止め切れないーあらゆる困惑が蒼玻の思考を占拠する中、ダレデモナイは決定的な真実を告げた。

 「勘違いをしていますよ。

 アナタの正体?アナタは配役のためのCharacterに過ぎない。『中橋蒼玻』は、そのようにして設定されたに過ぎない。

 私の正体?私は狂言回しに過ぎない。『ダレデモナイ』は、物語の自然な進行を、イベントの発生を導く自然現象に過ぎない。

 この『転生ポケモン令嬢』という喜劇に、私という存在は黒子であり最初から最後まで不要です。

 そして、アナタという個人も。」

 「な」

 どこからともなく出現したティラノサウルスの影が、蒼玻/アオバをくわえ、何かを呑み込む。

 アオバ・フロックスはその瞬間、思い切り背を丸め、えずいた。

 「蒼玻くん!?蒼玻くんっ!?蒼玻くん!!!」

 青い双眸から、涙がぽろぽろとこぼれていく...

ー*ー

 「お姉ちゃんに、何を!?」

 「何もしていませんよ、カグヤ・フロックス、アナタの姉には。

 世界に必要なのは主人公のみですから。」

 いつの間にか、一本の光輝く蒼い矢が、ダレデモナイの手上に踊っているーいや、思い返せば、それは最初からダレデモナイの手中にあったのではなかろうか?あるべきところにあるべきものがあるべきように存在する、それだけのことではなかろうか?

 「その矢…わたくしの…

 返して!蒼玻くんを、返して!」

 ぐしゃぐしゃに濡らした顔で、アオバはダレデモナイへと手を伸ばす。けれど、まったくその手は届かなくて。

 「お姉ちゃん何言って…蒼玻くん?

 …その矢、もしかして!?」

 「物語の軸、ストーリーラインとなる『主人公』を概念として取り出せば、それは世界の方向性を指し示す矢印、一本の矢となることは明白ですね。

 の色は、目が醒めるような蒼…『中橋蒼玻』という概念にふさわしいでしょう。」

 アオバの手が垂れ、身体が崩れ落ちる。慌てて姉の身体を支えるカグヤだが、彼女すらももう、ダレデモナイを睨みつけることすらできないー蒼玻の概念を矢としてアオバの身体から取り出したなどと、それは理解すら拒む超常で。

 「The_world(世界は)_Time_Is_Over(収束する)

 だが、これすらもあくまで、緞帳の幕を引くプロット(筋書き)に過ぎない。」

 そう言って、ダレデモナイは、光り輝く矢を???????へと投げ込んだ。

 全宇宙にも等しい光芒と暗黒を、物語示準矢と呼ばれた光り輝く矢が乗り越える。

 虚ろな4対の眼窩を、左から右へ矢が射抜く。

 「ああ、紹介しておかなければ。

 『主人公』の『名前』は、『物語』に於いて、もっとも重要なファクターの一つですからね。」

 かつて虚龍だった???????は、紹介にあずかりながらもその姿を荘厳に創り変えていく。

 「ある、すでに失われた物騙の世界で、このポケモンはこう呼ばれていたそうです。」 

 真っ黒なフィルムロールがいくつもの環をなし、無数のそれが本体の上下にー本体から遠ざかるほど大きくなりながらー天空から地底まで続く。

 「失われしまぼろしの伝説。」

 本体の左右でどこまでも伸びる歯車仕掛けの巨腕が、錆を落としながら光を纏い、世界を包む翼かのように平たく開いていく。

 「現実を創造せしアルセウスとついをなす、fiction(虚構)をしろしめしdeus ex machina(絶対神)。」

 無限にも等しい暗黒が無機質な真球の胴体を染め、無限にも等しい光芒が4対の眼窩から迸る。

 フィクトマキナ(FictMachina)!」

 永遠にして至上なる光翼が、全天へと展開された。

 フィクトマキナ(うつろなすがた) ことだまポケモン タイプ 可変 大きさ 可変 重さ 可変

HP攻撃特攻防御特防すばやさ
フィクトマキナ可変可変可変可変可変可変可変


 特性 だいよんのかべBREAK/メタフィクション 

 だいよんのかべBREAK:このポケモンはあらゆる事象を改変できる
 
 メタフィクション:メタ的な事象を引き起こしたり、「他作品ネタ」を発生させる。

 世界を物語と見做し、言霊によって事象を自由自在に改変するポケモン。ある物語で産まれたと言われる。全天へと至上に輝く光翼こそは世界を踊らせる歯車仕掛けであり、無数に続く漆黒のフィルムロールこそは廻り続ける世界そのものである。/因果を決めるコマンドを持つ全能の存在であり、ポケモンではない。ある時は仮面ライダー、ある時はSCPオブジェクト、ある時はクロスオーバー小説サイトであるような概念(ネタ)。この存在が狂言回しをやめて自ら踊り始めた時、世界は意義を問い直されるだろう。

ー*-

 「貴方、わたくしから蒼玻くんを奪って、何をする気かしら…?」

 「何もする気はありません。

 物語の中の存在に、何かをなす必要がどこにありましょうや?

 手を動かす必要も足を動かす必要もない。ただ文字をつづればよいのですから。」

 「なっ…」

 予定した筋書きは既に崩壊しつつあります。

 「しょせんアナタもワタシも、この世界のすべて、二次創作小説の字面の上の存在です。

 『少なくとも、文字の上では全てが真実になる。君たちの宇宙の法則はそう決まっている』。」

 後3日足らずのデッドエンドへ向かって、正しく決着を付けるよう尽力しましょう。
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