そこには、武器の生産や加工をする事が出来る「加工屋ノハラ」があった。
モンスターハンターとクレヨンしんちゃんのクロスオーバー短編小説です。モンスターハンターの世界が舞台なので、原作名は「モンスターハンター」です。
此処ユクモ村やカムラの里からあまり離れていない場所にある村、「カスカベ村」。
ハンターは大して多くないが、モンスターの襲撃は少ない事から、安定した生活を送れる村だ。この村の住人は個性的な者が非常に多い。
その中で、特にハンターから注目されるのは加工屋だ。武器や防具の生産や強化を行う場所なのだが、カスカベ村の加工屋はあらゆる加工屋の中でも特に技術力が高い事で知られている。そのような事から遠い場所からわざわざカスカベ村の加工屋に赴く人がいる程だ。
その加工屋の名前は「加工屋:ノハラ」。
加工屋:ノハラを覗いて見よう。
加工屋:ノハラは4人と1匹の家族が経営している。
その加工屋で働く人物の内の一人が……
「おーい、そろそろギルドに出かけて来るぞ」
「えぇ、行ってらっしゃい!」
一家を支える大黒柱、ノハラヒロシ。
一家の主婦、ノハラミサエだ。
武器・防具の強化である程度儲けているが、より安定した生活を得る為にヒロシはハンター業を営んでいる。ハンターとしての実力は十分にあり、最近は古龍相手に健闘をした程なので十分プロと言っても良いだろう。
ミサエは主に一家の家業をしている。一家の食事を作ったりしているが、彼女の作る料理は絶品だとカスカベ村で評判だ。しかし、ケチではあるが。
「今日はジンオウガとタマミツネの狩猟だけど、大丈夫なの?」
「あぁ。狩り慣れてるから大丈夫さ。サブターゲットを達成すれば報酬は更に増えるし、家計も助かるぞ。ローンを十分も返せる位集めたけど、老後の為に金はあった方が良いからな」
「まぁ、ウチは大分儲かっているんだけどね。主に……」
ミサエが視線を店の販売スペースに移す。それに従う様にヒロシも視線をミサエと同じ方向に向けた。そこには、
「そこのおねぇさ~ん♡ オラと一緒に武器や防具を強化しな~い?」
お尻をフリフリしながら、店の前で美人の女性に声をかける幼稚園児がいた。
その子供こそが、ノハラ家の子供であり、加工屋:ノハラの職人。
その名は、ノハラシンノスケ。
5歳でありながらも達人級の武器・防具の製造・加工技術を持っており、その実力から村だけでなく村から離れた村落・都市や離島からわざわざシンノスケの元に訪れる人がいる程である。
「コラコラ! 店でナンパすんな!」
「も~う、怒ると皺が増えるゾ。ミサエ~」
「誰のせいで怒ってると思ってるのよ!」
「また始まったか……」
ミサエとシンノスケのやり取りを見てヒロシは冷や汗をかいて呆れている。毎度二人のあのような雰囲気のやり取りはよくあるのだ。
その様子をヒロシ以外の者も見ていた。
「たや~」
「おっ、ヒマワリか。早く動けるようになったな~!」
廊下に出てきてヒロシの元にハイハイしてくる子は、ノハラ家の末っ子であり、シンノスケの妹であるノハラヒマワリだ。まだ0歳ではあるが元気にハイハイして動き回っている。元気がある証拠だ。きっと将来は活発な子になるに違い無い。
「たい? たい~!」
「ちょ、何処に向かって…… んん?」
ヒマワリがヒロシに向かっていたが、途中で向きを変えて近くにある紙を見ている。一体何かと思い、覗いて見るとそこには今日配られたばかりの広告を見ている。その広告はギルドからハンターを募集している事を知らせる内容が書かれている。
どうやらこの広告に載っているイケメンに反応したようだ。
「えへへ~!」
「あ~…… ミサエの子だな…………」
「クゥ~ン……」
ミサエはイケメンに目が無いのだが、その性格はヒマワリにも受け継がれているようだ。親子は似る物である。と言っても、シンノスケもヒロシの美人好きが受け継がれているのだが。
外ではノハラ家の愛ガルクであるシロがその様子を見ている。体が白く、体を丸められる事から偶に綿あめの真似をする事が出来る。
「も~、仕事中にナンパしたらチョコビ抜きよ!」
「ぶ~! 母ちゃんのケチ!」
ミサエはシンノスケにお菓子抜きの罰を与えるつもりらしい。チョコビは最近ギルドが一般人向けに作られたお菓子で、チョコレートとビスケットと言う菓子を元に製造しているとの事。とても美味しいと評判で、最近ではアイルーやハンター達からも人気のお菓子となっている。
「やれやれ、それじゃあ行ってくるぞ」
「行ってらっしゃい!」
「お土産狩って来てね~」
狩って来て、か。玉とか欲しがるんじゃないか?
そう思いながら、ヒロシは家を出てギルドに向かった。外は晴れている。狩りの場になるチチブの森は良好な環境だろう。ヒロシは自慢の武器を携えて出かけて行った。
こうして、シンノスケは仕事に入るのだが、何故5歳のシンノスケが働いているのか。
それは簡単だ。
「出来たゾ! クックジョーとクックシリーズだゾ!」
シンノスケの加工技術が極めて高いからである。
シンノスケは元々コスプレ作成が得意だった。その事から早い段階で防具の作成技術が高くなっていき、次第に武器の製作が出来る程職人技術が高くなっていったのだ。しかもそれ程の技術が5歳になった頃から完成されていた。正に天才児と言うべきだろう。
「わ~! ありがとう、しんちゃん!」
このイャンクックの武器と防具を作るように頼んだ人物は、シンノスケの友達であるマサオ。近くにあるフタバ幼稚園に通っている園児だ。
「シンちゃん、上手い~!」
「見事な、職人芸!」
「確かに、一流の出来だ……」
その近くではマサオと同じくシンノスケの友達であるネネ・ボーちゃん・カザマがシンノスケの作った武器を見ている。3人共シンノスケの作った武器の出来を見て驚いている。
「イャンクックの武器なら何度か見た事あるけど、シンちゃんの武器が一番きれいだよ!」
「いや~、それほどでも~♪」
「誉めて…… はいるな。確かに結構しっかりしてる……」
マサオはイャンクックの武器を手に取っている。出来たてという事もあり汚れが一切無い、美しい出来となっている。マサオが言うには他の人が作る武器よりも綺麗だそうだ。これを考えるとシンノスケの作る武器は他の人よりも優れている一級品である事が分かる。
「マサオ君も大型モンスターの狩りを始めたのよね」
「うん! パパやママみたいに凄く強いハンターになるんだ!」
「私のママもウルクススの武器や装備で色んなモンスターを狩ったのよね~。だから私もウルクススの武器と防具を使ってるの!」
「僕のパパも古龍と戦った、一流のハンターさ! アトラル・カの装備を着て色んなモンスターと戦ってるんだ!」
「僕も、ハンターに、なりたい!」
「オラもハンターになって、素敵なななこおねいさんにモテたいゾ~♡」
5人共親がハンターと言う事もあって、全員一流のハンターを目指しているようだ。ハンターは強いモンスターを狩る職業だ。多くの人から注目され、憧れる。中には歴史に名を残し、後世で英雄として扱われる事もある。少し前にはシュレイド城で黒龍ミラボレアスを倒した「導きの青き星」というハンターは特に有名だ。
「よ~し、今日は狩りの練習だ! 今日はランポスの群れと戦ってみよう!」
「今度は複数のモンスターと戦うのね?」
「出来れば私達カスカベ防衛隊全員で行きたいんだけどね……」
「仕方無いよ。ギルドの規則では、狩りは4人までだから」
「一人余っちゃうよね……」
カスカベ防衛隊。
このカスカベを守る為に結成された防衛隊だ。防衛隊と言っているが、やっている事は一緒に遊んだりする事が多い。勿論最近は狩りに行く事が多くなっているが。マサオはハンターの登竜門でもあり「先生」の愛称で知られているイャンクックを狩れた事から実力は十分に有る事が窺える。
クエストに参加できる人数は原則4人までとなっているため、5人メンバーの防衛隊が全員参加する事は出来ない。
「ギルドの規則だから仕方無いよ。僕達もパパやママみたいに立派なハンターになるんだ!」
「流石風間君! 僕も頑張るよ!」
「強くなるだけじゃないわ! 強い武器も必要ね! 素材とか集めなくちゃ!」
「しんちゃん、僕も、素材を集めて、武器を加工したい……」
「ほいほーい! その時はチョコビ3個で作ってあげるゾ!」
「それで良いのか……」
カスカベ防衛隊の5人は立派なハンターになろうとする意気込みを見せた。これ程の意気込みならきっと立派なハンターになれるだろう。実際彼ら5人は5歳でありながらモンスターを狩れる程の実力を持っている。正に天才的な才能と言って良いだろう。
「そういえばカスカベガーディアンキッズもハンターの試験を受けているそうよ」
「あの5人組も?」
カスカベガーディアンキッズ。
カスカベ防衛隊のライバルとも言える5人組だ。彼らもカスカベを守るための活動をしており、お互いよく修行したりする事も多い。
その彼らが試験を受けているとなると恐らく合格するであろう。
「トモちゃん、きっとしんちゃんと一緒に狩りに行きましょう! って言いそう……」
「むむっ…… それなら負ける訳にはいかないわ!」
「ネネちゃん、やる気が上がってる……」
「イライラするとウルクススの人形を殴ったりするし…… 何時ものネネちゃんじゃない時ってあるよね…………」
「が、頑張ろう…………」
皆のやる気(特に1名)が上がっている事もあり、加工屋ノハラは随分と盛り上がっている。加工屋ノハラに訪れる人達は大体このような光景を見る。シンノスケの友達がよく話をしている光景が見られる、と。
カスカベ防衛隊がよく加工屋ノハラに集まるためこの光景がよく見られるのだ。加工に来たハンター達はこの光景を見ると和んだり、冷や汗をかいたりする模様。
こうして、色々話を交わして解散となった。
その日の夕方、ヒロシが狩りから帰って来た。
「お~い、帰って来たぞ!」
「あなた、お帰り!」
「父ちゃん、ただいま~!」
「それを言うならおかえり、だろ?」
「たや~!」
ミサエ・シンノスケ・ヒマワリがヒロシの帰宅を迎えた。三人共笑顔で迎えている。夫のヒロシはその様子を見て彼自身も笑顔になる。その様子は仲の良い家族だ。
「ほうほう、鱗や玉があるゾ。これでもっと強化できるゾ」
「そうだな…… 明日は武器と防具を強化してくれるか?」
「ほーい! オラがタマミツネのヒラヒラでスカートを作ってみるゾ!」
「男だからスカートはいらないぞ…… 」
どうやらシンノスケはヒロシの防具にスカートを作るつもりのようだ。ヒロシからすれば恥ずかしいので止めて欲しいところだが……
シンノスケは様々な素材で色々な物を作っている。中には狩猟に置いて実用的なものまで含まれている。その技術はクシャルダオラやラオシャンロンといった古龍との戦いでも有用的だと他のハンターやギルドの偉い人達が分析している。
「他にも色々作ったゾ! 新しい短剣だゾ!」
「おっ! これは中々面白い形だ!」
シンノスケが作った新しい武器はどれも面白い物ばかりだ。どれも独創性に富んだ物ばかりだ。
彼が作る独特の武具は多くの人を魅了している。遠方から来る人が多いのも納得だ。
「シンちゃん! あなた! そろそろご飯よ!」
「ほ~い!」
「おっ! この匂いは…… サシミウオと火竜の肉のステーキか!」
「お腹減ったゾ~!」
「よし! それじゃあ飯にするか!」
元気の良い声と共にシンノスケとヒロシは食事の為に台所へと駆けて行った。そこにはミサエが作る美味しい御馳走が待っているのだ。ミサエの料理の腕は高い事で近所から評判だ。
こうして、ノハラ一家の台所は楽しい雑談が交わる、家族憩いの場となるのであった。
これが、加工屋ノハラの日常である。
何処の家庭でもありそうな日常風景。加工の技術・ハンターの技術・主婦としての技術が高い者がいる。しかし、この町では普通に暮らす、普通の家族だ。普通の家族の幸せがこの家に溢れている。
今日も、明日も、明後日も、この幸せが続くのだ。