「わかった事があるの。
やっぱり───────但しイケメンに限るって。
だから付き合いなさい隼人」
「わかった」
こうして付き合う事になった雪乃と葉山。
葉山を狙う女子や、雪乃を狙っていた男子以外は皆祝福した。
そして数ヶ月も経ち、二人がヤる事をヤったという噂が流れるようになると、女子はそうでもなかったが、雪乃を好きになる様な男子は処女厨が大半だったので、一気に対応を変えた。
冷めた、若しくは二人を推すという、自分への言い訳を全面に押し出して、雪乃を諦める事にしたのだろう。
一部の男達が引いていく中、女子達は違った。
男子が非童貞になった所で、その価値は上がる事はあっても下がる事はない。
寧ろ、そろそろ倦怠機では?
と目論む女子達はそれなりにいた。
表立っては、恋愛相談に乗る振りをして、雪乃から情報を引き出そうとしていた。
雪乃はそういったやり口には疎く、近寄るか遠ざけるかしか知らない彼女は、近付いてくるけれど別の目的を持つ集団には弱かった。
そこに詳しかったのは葉山だ。
彼は過去の過ちを繰り返さない様にと、先手を打った。
女子達に聞こえる様に惚気話をする様になったのだ。
そして、裏で雪乃の悪口を言っている女子達には釘を刺した。
八幡がバイトをバックレても人生やり直そうとしているように、葉山もまた、やり直そうとしていた。
八幡は将来もう一度そのバイトをやることを人生の目標としており、一生をバイト道に費やす信念を燃やす真人間になっていた。
葉山はそれを応援しようと思っていた。
恵まれた成功者である故に、余裕がある葉山は誰にでも優しくあれるのだ。
「バイトなんて底辺職」と、やりもしないのに見下すクラスメイトを葉山は叱り、クラスの全体として八幡がバイト道を極める事を応援する空気が生まれていた。
葉山は東大に進み、法学部を卒業した。
雪乃の両親からも姉からも認められ、政治家としての一歩を歩み始めた。
地番・看板・鞄の全てが彼にはあった。
例えなくても、全ての議員の中で圧倒的にイケメンでセクシーなので、普通に投票された。
葉山は国会議員として当選した日に、雪乃にプロポーズした。
雪乃はそれを喜んで受け入れ、周囲もそれを祝福した。
子供にも恵まれて、葉山は幹事長等の要職を歴任して、遂に総理大臣になった。
彼にはずっとやりたかった政策がある。
それは、アルバイトを増やす法律だった。
アルバイトをバックレて、制服を着払いで返しても、もう一度胸を張ってアルバイトをやれるように葉山は法律を作った。
「さあ、ヒッキー。
これでアルバイトをやれるぞ!!」
新法律の発表は、大晦日の同窓会中に発表された。
八幡はその法律が出来た事で、特別養護老人ホームの正社員をやめて、アルバイトになった。
今度はバックレも、制服の着払いもしなかった。
誰もが大人になっていく。
そして、結婚して、子供を生んで、未来の日本を作るのだ。
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