『
そのまま門を出て始めに落ち合った廃教会へと向かう。
繰り返すように地下の扉をくぐり、最低限の生活が可能という程度の地下室へ戻る。
着くと同時に
「はぁぁぁ、緊張しました」
「僕に付き合ってくれてありがとうございました、レフィーヤさん」
すかさずベルが労いを送る。周りの目もない場所まで来て互いに気が緩んだようでベルもレフィーヤに習うように深呼吸をしていた。
ベルが近くにあった椅子に腰掛けると、レフィーヤはさっきと同じようにベルの座った椅子にもう一つの椅子を近付けてから座る。前と違うのはレフィーヤの頭がベルの肩に乗せられていたことだった。
一瞬ピクリと揺れたベルだったが、それを受け入れ、倒れないようにレフィーヤの肩に手を回す。
片手で抱きしめられるような形になり、気恥しさを覚えつつもベルの胸に顔をうずめて隠す。
「ねぇベル。私、もっと反対されると思っていたんです」
「······はい、僕もそう思ってました」
それから暫く、落ち着いたところでレフィーヤは感じていた不可解を明かした。もしその疑問の答えを知っているとしたら、ベルなのではないかと思ったから。
「実は僕もよく分かってなくて······でも、たぶんマス······ヘディンさんがなにかしてくれたんじゃないかなって」
「ヘディンさんが······?」
帰ってきた答えはとても曖昧なもの。
しかし、さっきのやり取りを見た限り少なからずあの人はベルを気にかけているような雰囲気があった。それを思い出すと無い話でもないのかと思ってしまう。
「レフィーヤさんに返事をする前に、ヘディンさんには全部話してあったんです。僕がレフィーヤさんを好きだってこと、それを伝えに行くこと全て。あの人にバレないようにするのは不可能だったので」
「あの人ってベルのなんなんですか······」
もしかしたらフレイヤ・ファミリアとの
ただベルがヘディンさんと共闘していたのは見ていた。きっと私の知らない何かがあったのだろう。
「まぁ······認めてもらうのは結構大変だったんですけど」
ベルの言葉から、随分とヘディンさんを慕っていることはよくわかった。
「尊敬しているんですね」
「っ······、はい!」
レフィーヤの言葉にベルは嬉しそうに笑う。
いつまでも素直で純粋な少年の笑顔にレフィーヤの顔も綻ぶ。
たぶん、この魔道具以外にもベルは色々してくれていたのだろう。ヘディンの他にも事情を知っていた人はいたのかもしれない。
それは何としてもレフィーヤと結ばれるために手を尽くした証だ。その事実が何よりも嬉しく、それを当然のようにしてのけるベルの白さが愛おしい。
「ありがとうベル。私を選んでくれて······、私は今凄く幸せです」
「レフィーヤさん······」
ベルがレフィーヤにしてくれたことを考えればそれは些細なお返しかもしれない。それでも、少しでもベルに伝わって欲しい。
だから、少しでも多く気持ちが伝わるように見上げた先にある『そこ』へ顔を近付ける。
三度目の接触。それは一度目よりも深く、二度目よりも長い。
そして、どちらからともなく、重なる唇の間から舌を挟み込み、絡め合う。
どれだけそうしていたか分からない。ただ両者とも息が続かなくなるまで離れることはなかった。
「ぷはっ······」
「はぁ······はぁ······」
乱れる息を鎮めるために何度も空気を吸っては吐いて息を整える。しかし一度離れただけでは昂りは治まらない。
目に入ったのは部屋にあった
レフィーヤはベルの手を引き
「っぁ······」
漏れ出た声、紅潮した頬、潤んだ瞳に映る一人の少年も今置かれている状況がわからないはずがなかった。
見つめ合う姿勢から意を決して身体を起こし、レフィーヤを覆うように顔上から見つめる。
そんなベルにレフィーヤも手を伸ばし、ベルの首に回した。一人の
蝋燭に照らされた影がゆっくりと──重なっていく。
これで終わりです
ありがとうございました