ローグライクなスタンド使いのキヴォトス新生活記録   作:enigma

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皆様、新年あけましておめでとうございます。
長いこと仕事の関係で執筆に移れてなかったのと、前の小説をどんなノリで書いていたのかすっかり忘れてしまったため、書き方を忘れて執筆出来てなかったenigmaです。

最近・・・と言っても約半年前ですが、新人先生となってすっかりブルアカの世界にハマったので、ちょっと創作意欲が出てきて改めて執筆をちょっとずつ始めてみました。

主人公は使いまわしで遅筆でもありますが、この小説で少しでも楽しい新年を迎えていただける方がいらっしゃれば幸いです。

それではまずは導入、どうぞ。


【学園都市】の新たな住人

これは、とある世界・・・数多の【学園】が自治区を統治し行政を回す学園都市【キヴォトス】に存在する、一つの学校での一幕・・・

 

 

 

===アビドス廃校対策委員会===

 

その一枚の張り紙が出入り口に張られた事務室の中では、様々な書類が散りばめられた会議机の前に座る一人の少女が電話に出ていた。

白のスクールシャツに水色のネクタイ、格子模様の入った黒スカートを身に纏った学生と思わしきその少女は、何やら険しい表情で電話口の話し声に聞き入っているようである。

 

『・・・というわけで勝手ですが、今回の貴校への入学はなかったことにさせていただきます。』

「・・・わかりました。それでは後の手続きはこちらの方でしておきます。我が校としては残念な結果ではありますが、お子さんの今後の学生生活が良いものであることを心からお祈り申し上げます。」

『ありがとうございます。それではこれで』

 

失礼致します―――スピーカーからのその一言を最後に電話が切れる。

少女は見目麗しい顔貌を固くしながら電話を置き、深く、大きく一呼吸置くと・・・

 

 

「うわぁああああああ!これで入学予定の子、あと一人になっちゃった・・・どうしよう、このままだと来年度二人だよ・・・!あぁああああああああああ・・・」

 

緊張が切れた様に破顔しながら黒い手袋を着けた両手で頭を抱え、仰け反りながら一人泣き言を溢していた。

緑がかった薄い水色の腰まで伸びる長髪と、何故か頭頂部に浮かんで彼女の髪色と同じ輝きを放つ、二重の円形の輪っかとその中にある正方形の枠で出来たような光輪が、彼女の動きに合わせて揺れている。

 

「くぅ~~~・・・ダメよユメ、勝負はまだまだこれから!考えてみたら一人でもギリギリこれまでの利息の支払いはできてたんだし、二人になれば元金も一緒にちょっとずつ減らしていけるはず。で、二人体制になれば当然募集活動も今までの2倍出来る・・・よし!元気出てきた!」

 

少ししていくらか気持ちが落ち着いたのか、不安な表情を決意に満ちた笑顔に変え、勢いよく立ち上がると同時に両手を握りしめて天井に突き出す。

 

「そうと決まったらさっそく募集に行かなきゃ!今日も頑張るぞー!」

 

---ドォオオオオンッ!!

 

「・・・もぉ~~~!これからって時なのにぃ~~~!!」

 

元気よくやる気に満ちた掛け声をあげた・・・その直後に事務室の窓を振るわせる爆音がどこからともなく木霊する。

そのことに何かを察したように間を置いて叫んだ少女は、足元の学生鞄の隣に置かれた『IRON HORUS』の文字と三角形のエンブレムが入った黒い金属製のビジネスバッグのようなものを手慣れた様子で掴み、スカートを翻して勢いよく事務室を飛び出した。

 

---ダダダッ ダダダダッダダッ

 

遠くの方で鳴り響くように反響して聞こえる断続的な火薬の炸裂音。

それに危機感を煽られる少女は、砂埃が目立つ廊下と階段を一心に駆け抜けながら窓越しに見える砂まみれの校庭や校門の様子を確認する。

 

(良かった!学校にはまだ侵入してきてない!早い所駆けつけて撃退しないと!)

 

速度を落とさず音の方角に一番近いと思われる校外への出入り口にあっという間に到着すると、出口の前で扉の横の壁に背中を預け、持ってきていた鞄についているスイッチのようなものを押す。

次の瞬間、バンッ!という音と共に鞄は勢いよく縦に2度開き、少女の姿を隠せるくらいの大きさの盾に姿を変える。少女は鞄の内側に当たる面に格納された拳銃を右手に持ち、開いた鞄の内側にある持ち手を左手で握って正面に構え、ドアノブを回した後盾で扉を押しながら外へと飛び出す。

 

(敵影・・・無し!この音の感じ、襲撃場所は学校の外?)

 

奇襲を警戒するように盾で身を隠しながら素早く周囲を確認し、安全確認をとった少女は思考を巡らせていく。

 

「(今回の襲撃目標は学校じゃなくて、住民の人達!?)急がなくっちゃ!」

 

何かしらの悪い状況を想像した少女は、未だ銃撃と爆発音が鳴り響く方向へ一目散に駆けだす。

学校を囲う外壁を一足で飛び越え、校内と同じく所々砂を被った居住区らしき地域を走り抜け、段々と音の発信源へと近づいていき・・・それに伴って人の声が聞こえ始める。

 

「クソッ!なんなんだよコイツ!さっさとくたばっちまえってんだ!」

「おい!気をつけろ!仲間に当たるぞ!」

「ギャアアア!こっち来た!早く何とかしてくれ!」

「ムチャ言うな!」

 

(この声、いつものヘルメット団!あそこの曲がり角の先にいる!・・・誰かが戦ってるのかな?)

 

疑問が浮かぶものの、見てみればわかるとそれを一旦棚上げして、少女は十字の曲がり角で一旦止まり、進行方向を陰から少し顔を出して確認する。

 

「また消えたぞ!探せ!」

「チクショウ!アイツ仲間を使い捨ての道具みたいに扱いやがって!ゼッテェゆるせねえ!」

 

少女のいる場所からおよそ30メートル先・・・戦闘によるものか砂埃と硝煙が舞うその居住区域らしき場所では、フルフェイスのヘルメットを被った7人の集団が背中を合わせるように円陣を組み、必死の様相で周囲を警戒していた。

体形や声質から全員女性であろうと思われるその集団・・・少女とは形や色は違うが、全員の頭上に天使の輪のような光輪が存在し、さらにそれぞれがアサルトライフルや榴弾、拳銃など様々な銃火器を携帯して、しきりに銃口と視線を動かしている。

立っているヘルメット集団の足元や周囲では、光輪が消失した彼女達と同じ格好の者達が少女の見える範囲でも20人程度転がっており、砂まみれのアスファルトの上で地面に転がっている者もいれば、民家の屋根にぶら下がっている者や建物の壁面に頭から突っ込んでいる者までいることが分かる。

 

「スナイパー!アイツがどこに行ったかまだ分からねえのか!?」

『待て!今探している途中・・・そこから離れろ!』

「は?なに」

 

彼女が言葉を紡げたのはそこまでだった。通信先の突然の指示に困惑した彼女と、彼女の背中を守っていたヘルメット集団の背中を突然の爆風と爆炎が襲い、反応できなかった全員がその場に倒れ伏す。

 

「イッテェ~~~~、いったいなに・・・グゲッ!?」

「んがっ!」

「ゲホッ!?」

 

そして立ち込める爆煙の中、何者かの影が倒れ伏した者達の側を駆け抜け、その去り際に微かな足音をかき消すような炸裂音と同時に、倒れ伏した者達から息を無理やり吐き出させられたような声が次々と辺りに響く。

やがて最後の一人の側を駆け抜けた影が民家の塀の陰へと消えていくと・・・数秒ほどしてから、倒れた者達の無線機から声が発せられる。

 

『オイッ!何があった!?応答しろ!オイッ!!』

 

必死に呼びかける声が閑静な住宅街を木霊するが、それに応える者はいない。

それからさらに何度か、無線機から呼びかけが続くが・・・

 

『・・・クソッ!おい、撤収だ!』

『マジかよ?仕事は?』

『こんなザマで出来るわきゃねえだろ!この後にアビドスだって控えてるのに残ったアタシらだけでやるってのか!?』

『だよね~・・・』

『ねえ、誰かこの後メシおごってくんない?アタシ今日の準備で全然お金なくって・・・』

『こっちだってそんな金ねぇよ!後でどっかのコンビニでも襲って来い!』

『わかったー、誰か一緒に行く奴いるー?』

『あ、アタシ一緒に行くー!』

『アタシもアタシも!』

『うちもー!今月ピンチなんだよねー。』

 

やがて呼びかけは打ち切られ、そんな会話を最後に辺りは静寂に包まれることになった。

・・・それから多少の間を置き、十字路の陰から様子を伺っていた水色髪の少女が盾を構えつつ姿を現す。

 

「も、もういいかな・・・今のは一体何だったんだろう?」

 

念の為、臨戦態勢は解除せずに戦いが終わったであろう場所に足音をできるだけ殺しながら少女はゆっくりと前進していく。

すると12メートルほど進んだところで、少女の目の前で状況に変化が起こる。

 

---ズリ・・・ズザザザザザッ!

 

「え!?」

 

倒れているヘルメット集団の一人が突然何かに引きずられるように動き、先程爆炎に紛れて人影が姿を隠した塀の手前で身体が浮くと、明らかに不自然な体勢で2メートルはある塀を飛び越え、そのまま向こう側へと姿を消したのだ。

少女が突然のことに驚いていると、一人、また一人と、塀に近い位置にいる者から次々に見えない何かに引きずられるように動き、同じように塀の向こうへと引きずり込まれていく。

 

(こわっ!?なになに!?何が向こうにいるの!?)

 

あまりにも訳が分からない状況に恐怖を覚えるが・・・

 

(・・・も、もしこのまま何もわからないで放っておいて、もしこれがうちの学校でも起きたら・・・こ、怖い!ここまま行くのも怖いけど、放っておくのも余計怖いっ!・・・・・・・うぅ~~~~、ままよ!!)

 

暫く迷った後、意を決して少女は以上が起こっている塀の方へと歩いていく。

 

---ビリビリ・・・ボリッボリボリボリッ

 

(何の音?)

 

後13メートルの位置まで来た時、ふと、ビニールを引き裂くような音がした後、何かが砕けるような音がしてくる。

何の音か気になってより近づいていく少女だったが・・・

 

---カツンッ

 

(あ!)

 

足元に落ちていた空薬莢を誤って蹴ってしまい、塀の向こうから聞こえていた音が止む。

 

(ば、ばれた・・・?)

 

うっかりやってしまった凡ミスによる焦りも相まって、少女にとって緊張に満ちた沈黙が続く。

生温い風が少女の肌を撫で、ふと彼女の脳裏に先程塀の向こうに連れていかれたヘルメット集団の姿が脳裏を過ぎる。

が、改めて目的の場所が目と鼻の先にあることを認識し、気持ちを奮い立たせて塀に向かって声を上げる。

 

「あの!誰かそこにいるの!?」

「・・・・・・」

「わたし、この先にあるアドビス高校の生徒会員のユメっていうの!このあたりで誰か戦ってたみたいだから急いできたんだけど・・・ここにいる子たち、君がやっつけたの!?」

「・・・・・・」

「も、もしも~~し?そ、そこにいるんだよね?あの・・・もしかして、オバケ・・・とかじゃない、よね?ね?」

「・・・・・・」

 

一生懸命声をかけるも、帰ってくるのは沈黙ばかり。あまりにもいづらい雰囲気を感じ取り、すぐにでも帰って布団に潜り込みたい気持ちにかられる少女だった・・・が、不意に変化が訪れる。

 

---ズリ・・・

 

「ひぅっ!?」

 

塀の向こうで何かが擦れるような音がし、少女の喉から小さく声が漏れる。それを知ってか知らずか、「ズリ・・・ズリ・・・」とさらに音が続き、音は徐々に少女のいる位置から遠ざかるように移動していく。

 

(何か引きずってる音?どこかに行こうとしてる・・・?)

 

---ズリ・・・ズリ・・・ドサァッ!

 

「ぐぁっ!?」

「!?ちょっ大丈夫!?」

 

引きずる音が何度かした後、突然何かが倒れるような音と苦痛に耐えるような呻き声がして、少女は慌てて再度声を上げる。

 

「く、ぎぎ・・・」

「・・・今そっちに行くからね!そのまま待っててね!」

 

少しの逡巡の後、少女は意を決したようにそう言い、数歩後ろに下がってから塀に向かって全力で駆けだす。そして5メートル手前の位置でアスファルトを力強く踏みしめ、一気に塀の上へと飛び上がった。

塀の上から民家の中庭を確認すると、先程塀の内側へと引きずられていったヘルメット集団の数人が武装解除された上で多少衣服が乱れた状態で寝転がされており、辺りには手のひらサイズくらいのビニールの包装が複数個無造作に散らばっている。そしてそこから数歩分ほど離れた位置で、ヘルメット集団とは違う服装・体格の人間が一人、地面に転がった状態から弱弱しくも必死に起き上がろうと足掻いている様子が少女の目に入る。

ぱっと見は少女と同じくらいの身長だろうか・・・頭髪は首の付け根まで伸びた砂埃を被っているボサボサの黒髪で、気絶して光輪が消失した少女や他のヘルメット集団と違い、気を失っていないはずなのにその者の頭の上には光輪が存在していなかった。

体の方は碌に食事をとれていないのか、少女と比べて明らかに瘦せており、先程の戦いでそうなったのか、所々が破れて穴の開いた白いTシャツと黒の綿パン、擦り切れてボロボロのスニーカーを身に着けている。

腰には・・・武器だろうか、何か丸いものが左右に合わせて二つ収まったガンベルトのようなものをそれぞれ身に着けている。

 

(あの子だ!よかった、ちゃんと人間だった・・・なんかヘイローがないように見えるけど、気絶してる・・・わけじゃないよね?)

 

内心オバケを相手にしている可能性を捨てきれていなかった少女が少しだけホッとすると、塀の上から飛び降りて(一応警戒しながら)倒れている者の側に駆け寄る。

少女が倒れている者の体をよく見ると、服や露出している黄色人種の様な肌は被っている砂埃の茶色に加えて、大小様々な切り傷や擦り傷から滲み出た血で至る所が赤黒くなっていることがよくわかる。

 

(酷い傷・・・すぐに手当てしないと、このままじゃあ・・・!)

 

一刻を争う状況に気が逸り、続いて倒れている者の頭部に目線がいくと、自身の左隣に立った少女に気が付いたのか、倒れている者は立ち上がろうとするのを一旦止めて顔と目線を少女に向ける。砂だらけで痩せて頬がこけた、元は程よく肉の付いた平凡な顔つきだったのであろうその顔は、気を失いそうになっているのを精神力だけで踏みとどまっているような印象を少女に与え、少女の中の良心を動かした。

 

「しっかりして!今病院に連れて行ってあげるから!」

 

純白と言って良いほどに白いスクールシャツが血と砂埃で汚れることも厭わず、少女は倒れている者を背中に背負って立ち上がる。

両手に盾と拳銃を持ちながらという一見不安定な状態ではあるものの、その体幹は全くぶれることなく少女は家の敷地から戦場跡の道路へと出る。

 

「えっと、ここから一番近い病院は確か・・・」

「いててて・・・チクショウ、いったい何がどうなって・・・」

「!?」

 

病院の場所を思い出そうと道路のど真ん中で立ち止まっていた少女。

しかし、思考を遮るように少女の耳に何者かの声が聞こえる。

少女がその方向を見てみると・・・路地の陰からヨロヨロと、頭を抱えたヘルメットとジャケット姿の少女が一人、自動小銃を肩にかけて道路に出てきていた。

そして、ヘルメットの少女が思考にかかった靄を振り払うように頭を振っていると、不意に水色髪の少女と目が合ってしまう。

 

「・・・アン?何見てんだテメェ、こちとら見せモンじゃねえぞコラァッ!!」

「(マズイ!今はこの人を背負ってるから戦えない!)ご、ごめんね?私たまたま通りかかっただけだから・・・え、えへへ!す、すぐに退散させていただきまぁ~す・・・」

 

状況的に分の悪さを感じ、そそくさと水色髪の少女は足早にその場を去ろうとする。

 

「・・・いや、ちょっと待て。お前どっかで見たことあるような・・・おい、止まれよ。ちょっとそのツラよく見せろ。」

 

が、ヘルメットの少女が何か引っかかったのか、去ろうとする少女を呼び止める。

ビクッと一瞬震えた水色髪の少女は、冷や汗をかきながら少しだけ振り返り言葉を返す。

 

「ギクリッ!・・・い、いやぁ、な、何のことだろ?アタシ、どこにでもいるごく普通の学生だよ?きっと誰かと見間違えてるだけだよ、うん!きっとそう!」

「・・・いや、ちょっと待て、お前その服装と武器・・・・・・あ!お前アビドスの生徒会長!」

「ギッックゥ~~!!い、いやいや、いったい誰のこと?アタシは偶々通りかかっただけのただの学生で、決してアビドスの復興委員会美少女会長なんてことは・・・」

「というかテメェッ!よく見たらさっきアタシらにかかってきたヤツも一緒じゃねえか!!なんか弱ってるみてぇだし、テメェはテメェでソイツ背負っててロクに動けなさそうだな・・・!」

「くっ・・・!」

「ちょうどいい!!ここで二人ともぶっ潰してこのまま学校の乗っ取りもやってやる!!そこ動くなよぉッ!!」

(まずい!下手に動いたら背中の人が・・・!どうしよう!)

 

そう言ってヘルメットの少女が自動小銃を構え、銃口を水色髪の少女に向けた。引き金に指をかけ、今まさに引き金が引かれ・・・

 

 

 

---ガァンッ!!

 

次の瞬間、大きな音が路地を震わせた。

せめて盾で自身と背中の重傷者を守ろうとした水色髪の少女は、訪れる衝撃に備えて身構えていたが・・・予想に反して音以外に何も起こらず、前に構えていた盾をずらしてヘルメットの少女の方を覗き見る。

 

「ぐ、ぁがっ・・・な、なんで・・・!?」

 

視線の先では銃弾が放たれた様子すらなく、ヘルメット姿の少女の右肩にどこかで見たような鉄球が凄まじい勢いで回転しながら食い込んでいて、その反動によるものか自動小銃を手放して悶えている姿があった。

 

「・・・え?え?な、なにこれ?どういうこと?」

「・・・は、や・・・く・・・」

「え?」

「い、まの・・・うち、に、は・・・はや、く・・・」

 

予想だにしないことに思考と行動が止まってしまう水色髪の少女だったが、その止まった思考を動かすように背負われている人物が掠れた声をかけ、この場から立ち去るよう促す。

 

「う、うん!ちょっと激しく動くからしっかり捕まってて!」

「ま、待て・・・ぐえっ!?」

 

そう呼びかけて立ち去ろうとする水色髪の少女をヘルメットの少女が追いかけようとするが、右肩の鉄球の命中箇所から彼女の服や皮膚が螺旋状に捩じれていき、バランスを崩して転んでしまう。

 

「この・・・くそっ!おっ・・・ゴホッ!?だれ、がぁ・・・!?」

 

立ち上がろうとするも上手く起きられず、落とした小銃も真面に拾えず、自分のように起きている誰かがいないか声を出そうとするも今度は皮膚の捩じれが首を絞める様に広がって、真面に声が出なくなってしまう。

やりたい行動を軒並み封じられたヘルメットの少女は立ち去っていく彼女達を憎らし気に見送ることしかできず・・・いつの間にか肩から外れた鉄球が去っていく彼女達に転がって追いつき、音もなく現れ彼女達の側にいた人型の影が回収して消えたことには、誰も気が付くことはなかった・・・

 

 

 

そしてそれからおよそ2週間後・・・破綻寸前の砂にまみれた学園に、一人の生徒が入学するのだった。

 

 

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