ローグライクなスタンド使いのキヴォトス新生活記録 作:enigma
そう言えば、今回のアニバも凄かったですよね。
フェス限の生徒二人実装に、100連期間限定の二人、まさか今回でミレニアムのイベントでセイアが実装されるとは思いませんでしたが・・・なんとかみんな最低限の犠牲でお迎えした上でイベントを楽しめたので、個人的にはかなり良かったです。
次のハフバは果たしてどうなってしまうのか、デカグラストーリーの続きはどうなるのか、そしてその間にどれだけガチャを回す事態が起こるか、楽しみでもあり恐ろしくもあります。
それでは皆さん、また次の投稿でお会いしましょう。
―――キィーンコォーンカンァーンコォーンッ キィーンコォーンカンァーンコォーンッ
卒業式が終わり、今日で聞き納めになるそれを聞き流しながら、私も何時ものように誰と話すこともなくカバンに荷物を詰めて帰り支度をしていく。
・・・そうしていると、教室の中で話すクラスメイトの会話が、嫌でも耳に入ってくる。
「ねえねえ、近所の雑貨屋さん来月末でお店閉めちゃうんだって。またこの辺り不便になっちゃうよねぁ~・・・」
「ホント?私も好きなお店があったんだけど、この間不良に強盗に入られたせいでお店を続けられなくなりそうって店長さんが言っててさ・・・」
「そっちも?私もこの間商店街に行ってたんだけど、また一段とお店を閉めるところが増えちゃって寂しくなっちゃっててさぁ~・・・」
「なんだかどんどん寂しくなっていくよね・・・いろいろ言われてるけど、正直アビドスも、いよいよ限界近いって感じ。」
「ねぇ~~。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・よし。荷物はOK。
持って帰る物を全て入れた肩掛けカバンを担いで、足早に教室を出ていく。
「そういえばさ、アビドス高校もどうなっちゃうのかな?私、あそこに進学する子の話聞かないんだけど・・・」
「借金・・・もんね。せい・・・も・・・・」
「けど・・・」
教室から聞こえてくる嫌な話声が、少しでも早く聞こえてこなくなるように・・・
「ハア、ハア、ハア・・・・・・・・ハァー・・・」
気が付けば、母校はもう見えなくなっていた。
砂でコンクリートの道が埋まった街路の真ん中で、私は息を切らせながら立ち尽くしていた。
---ヒュゥウ――――――・・・
「・・・」
不意に吹いた風に煽られて、どこからともなく砂が目の前の寂れた街並みの中を舞う。
・・・昔はこの辺りも、もう少し道が綺麗で、人が通る道だったはずだ。
けど、時が経つにつれて砂嵐の影響がどんどん人の住む都市部を飲み込み脅かして、それを何とか出来る人が誰もいないから、真面に住める場所はどんどん砂に埋もれていった。今では私のような地元の子供も大人も、皆次々に他所の自治区に逃げる様に出て行ってしまって、代わりに他所の地区から不良や犯罪者、良い人面してすり寄ってきては人を食い物にしようとするロクデナシ(大人)達が元々いた不良・犯罪者達と共に更に
「・・・進学、か・・・」
ポケットの中に手を入れ、指先に触れたものを握りしめ取り出す。
出て来たのは、一枚のチラシ。
これから入学する、アビドス高校・・・・・・いつの日か、華々しい学園生活を夢見たこともあるあの学校の入学案内。
・・・今でも、あそこで学生生活を送りたいという気持ちはある。例え生徒がどれだけ少なくなったとしても、これまでどうしようもない色々な事に振り回されて草臥れてしまっても、今ではもう惰性に近い気持ちだとしても、それでも、その願いだけはずっとなくさずここまで来た・・・・・・・・けど、仮に入れたとして、そこから先はどうなるだろう?
学校の抱える借金は噂によれば億単位であるという。真面な経済基盤を持った他所の自治区ならば決して払えない金額ではなくても、殆ど経済基盤も動ける人手も壊滅状態と言っていいアビドスでは利息すら満足に払えるか怪しい。
利息の支払いすらできなくなってしまう時が来たら、果たして学校や自治区はどうなってしまうのか・・・私は、どうなってしまうのか・・・何処へ、行けばいいのか・・・
「ッ!」
何故だかそれを見ている内に、胸の内から言いようのない何かがこみあげてきて、思わず力の入った掌の中でチラシがくしゃくしゃに潰れてしまう。
「・・・・・・・・・・帰ろう・・・」
気が付けば、握りしめて皺くちゃになったそれをカバンに詰め込み、帰路に着く。
そうして、取り立てて特に振り返ることもなく私の中学校生活は終わり、そのまま高校への入学日まで、適当に―――胸中に燻る懸念と不安から目を背けながら―――ただ漫然と待つ日々を送っていた・・・
「・・・よし、こんな感じだよね・・・」
良くも悪くも代わり映えの無い日々を過ごし、いよいよこの日がやってきた。
姿見に映る私の姿は、いつか袖を通すことを願ったアビドス高校の制服を身に纏っている。
「・・・・・・・ん~・・・」
改めて姿見に映る自分の姿を、頭の天辺から足先まで見る。両手を広げたり、万歳したり、下から覗き込むような姿勢を取ったり・・・思い描いていたものとは随分と違ってしまったけど、それでもこれからアビドスに自分も入るんだという実感が、改めて湧いてくる。
「・・・あ!そろそろ出なくちゃ・・・」
そんなことをしている内に視界の端に捉えた時計の針が示す時刻を見て、バッグや銃火器などの必要な荷物を急いで担ぎ、家を出る。
電車を乗り継ぎ、バスに乗り、相も変わらず砂に埋もれ、閑散とした自治区の街並みを通っていく。
「えっと、確かこの先に・・・あれか。」
次第に、廃墟の様な街並みの中に一際大きな建物が見えてくる。
少し前に通りかかった時に見たことのある、整備が碌に追いつかなくなっているであろう、あちこちに砂を被って至る所に弾痕が刻まれたあの校舎が・・・
「・・・え?これは・・・」
記憶にある校舎の姿を予想していた私は、実際に見た光景に目を疑った。
よく外部の不良やチンピラの襲撃を受けて、特に銃撃戦の被害が多かったらしい校門や敷地を囲う外壁はつい最近行われたのか綺麗に修繕補修をされていて、校門の脇には【祝 入学式】と書かれた看板が、文字を囲う花飾りで装飾され、立てかけられていた。
そして開かれた校門の先・・・以前は幾度とない砂嵐のせいで降り積もった砂に、校庭や校舎、その他の設備の至る所が埋もれていたり、あちこちで小山を作っていたりしていたはずだが、今見える範囲ではそれらは全て取り除かれ、ついでに補修も行ったのか見違えるほどに綺麗になっていた。
記憶にある中で一番綺麗だった頃の校舎よりも、下手をすれば今の方がよっぽど良くなっているのではないだろうか。
「これは・・・いったい、どういう・・・」
「あ!おーい!」
思い描いていた事と目の前の光景とのギャップに混乱していると、校舎から出て来た人影がこちらに気付き、手を振ってこちらに走ってくる。
見ていると何処か気の抜けるような、良く言えば天真爛漫、率直に言うなら緊張感とか警戒心といったものを欠片も感じないような様子で駆け寄ってきた彼女は、そのまま花が咲いたような満面の笑みで私と相対する。
・・・というか、この人は確か・・・
「その制服、もしかして新入生のホシノちゃん!?」
「えっと・・・はい、そうです、けど・・・」
「~~~~~~~~~~~やったぁ―――――っ!!ついにこの時が来たぁ――――――――!!これでまた後輩の子が一人増えてくれたよぉ~~~~!!待ち遠しくて仕方がなかったよぉ~~~もう~~~~ッ!!」
「は、はぁ・・・」
問いかけに込められた勢いの様なものに思わず気圧され、返答に詰まってしまう私の様子に目の前の彼女は全く気が付いていないようで、嬉しくて仕方がないと言わんばかりの振る舞いで話を続けていく。
目の前で行われる余りのはしゃぎようと喜びように、なんだかこっちも力が抜けてしまうようだ。
「あ!ごめん!自己紹介がまだだったよね。私は梔子ユメ、アビドス高校の生徒会長なんだ!」
・・・知っている。現在アビドス高校に残っているたった一人の生徒にして、アビドスの生徒会をたった一人で務めている生徒会長。
・・・いや、でも確か、今はなぜか生徒会が二人になっているという話もどこかで聞いたような・・・
「これから三年間、ホシノちゃんが入学してよかったって思ってくれるように私達頑張るから、よろしくね!あ、もしよかったら学校案内の後で生徒会に遊びに来てみない?うち、なんだかんだでまだ二人しかいないから、ホシノちゃんみたいな可愛い子がうちに来てくれたらもっと賑やかになって、ホシノちゃんも楽しいと思うんだ!」
「・・・いえ、結構です。それよりも、これから入学式をするんじゃないんですか?」
彼女の明るい雰囲気と歓迎のムードに内心戸惑いながらなんとなくそう返し、彼女の後ろの校舎に目線を向ける。
いったいいつの間にここまで綺麗にしたのか・・・流石に新品の校舎ほどとは言わないが、学区外で見たことのあるちゃんと整備された校舎くらいにはなっているそれを見ていると、横目に見える彼女はハッとした表情になる。
「・・・あ!そう言えばそうだ!いけないいけない、つい話し込んじゃった・・・それじゃあ入学式はこれからあっちの体育館でやるから、私についてきて!荷物を置ける場所とかも案内するね!」
「はい、お願いします・・・」
そう言って、私は先導する彼女の後をついていく・・・
「あ!そうだ!」
「?」
が、彼女が不意に止まって私の方に振り返り、両手を広げる。
「改めまして、アビドス高校へようこそ!ホシノちゃん!これからの3年間、一緒に楽しい思い出を作っていこうね!」
「・・・まだ生徒会に入るとは言ってませんよ。」
「ひぃん!?ま、まあそういうのもあるけど、そういうのが無くても他にも色々と仲良くしたいっていうか・・・」
「・・・早く行きましょう。あっちなんですよね?」
「あ!?ちょっと待って!」
ワタワタする先輩の横を過ぎって、私は体育館に向けて歩いて行った。
・・・理由は上手く言えないが、嬉しさからくる興奮と、自己嫌悪を感じながら・・・
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・・・・」
時刻は朝の9時。入学式開始まで、後30分だった。
体育館内の壇上・・・演説台の後ろや、壇上に登る階段の脇に置かれた【祝 入学式】の立て札や、それと向き合うように置かれている俺と新入生用の椅子が一つずつ。この日の為に用意されたセットを眺めながら・・・つい先日完成した制服で装いを新たに、俺は一言呟く。
「いよいよだな・・・」
『色々ト大変デシタネェ~、ココマデ持ッテクルノニ、ギヒャヒャヒャヒャ!』
「ああ、ここまで本当に大変だった・・・」
改めてその場で首を動かし、今は見られる程度に綺麗になり、もう天井の支柱から砂が落ちてくる心配もなくなった体育館を見渡す。
補償金の振り込みが終わり、俺と先輩は一度、入学式に向けて校舎の掃除を行うことにした。
入学式や、俺達がこれから使うことになる教室を優先とした行動だが、まあこれが一度ハマりだしてからが大変だった。
掃除前のアビドスの校舎は、改めて状態を確認すると実は結構襤褸くなっていた。
恐らく割と昔から起こっていたであろう襲撃や砂嵐などの様々な理由から出来たのだろう外壁の傷に、割れたまま直されず残っている窓ガラス等はもちろんのことだが、校舎外だけに飽き足らず、体育館含め校内にどこからともなく入り込んでいる砂はどの部屋にも一つ一つの部屋の天井裏にまで厚く堆積し、掃除されないまま放置されていたであろう部屋はそれプラス大量の埃で開ける事すら躊躇してしまう有様となっていた。
入学式までもうあまり日がない状況での週刊チンピラ&ヘルメット団の襲撃対処や金策の合間を縫い、割とあちこち酷い有り様になっていたそんな校舎の掃除・修繕をするには到底二人では足りず、先輩の居ない内に能力をフルで使うことはもちろんのこと、それに加えてホルマジオの瓶に詰めていた敵を大量に駆り出して休日も返上し、実は一回学校に直撃しそうになっていた大型の砂嵐をウェザー・リポートで退ける事態になりながらなんとか普通の学校レベルの状態まで修復ことが出来た。
明らかに不自然なペースでの進行だったが、これに疑問を投げてくる可能性のある人がユメ先輩だけだったからなんとか誤魔化して無難に終われた。ユメ先輩以外にいたら正直どうしようもなかったろう・・・新入生が来てからは、もうこの手は使えないな。
「・・・うん?そろそろ到着か。」
今日までの苦労を改めて振り返りながらしみじみとした思いに浸っていると、周囲に展開しているウェザー・リポートの気流による探知網によって、先輩と隣で歩く誰かが体育館の出入り口・・・壇上から見て左手側にある扉の前まで来たことが分かり、一旦思考を切り替えてそっちに向き直る。
ガチャ、とドアノブを捻って開けられる扉―――最近油をさして不愉快な音が鳴らなくなったそれ―――から姿を現すのは、予想していた先輩と、今日の主役の一人の姿。
「!」
「ッ!?」
新入生が俺の姿を捉えた瞬間、強い警戒心を覚えたように表情が険しくなったタイミングで、反射的に腰の鉄球に手が伸びそうになるのを意地で押しとどめる。
『・・・強イデスネェ~、コノオ嬢サン。』
常に引き笑いと共に横から茶々を入れるアライブも、神妙な口調で目の前の少女を一緒に見てそう溢し、俺もそれに内心で同意する。
これまでキヴォトスに来てから様々なチンピラや犯罪者を相手取ってきたが・・・向こうが敵意や殺意までは抱いていないであろうに感じる、それらとは比べ物にならないこの圧ッ!その辺のカスとは比にならないこの存在感ッ!
例えるならば、薬中の浮浪者の殺気とオーラ纏い状態の全盛期承太郎の殺気くらいの差だ・・・!
キヴォトスの環境が環境なだけにこんな奴もいる所にはいるだろうとは思っていたが、まさかこういう形で目の当たりにするとはな・・・やれやれ、この分だとまだまだ戦力面で安心出来るようになる日は大分遠いな。
「どうも先輩、その子が今日の主役ですか?」
とりあえず剣呑な雰囲気を出すわけにはいかないので、先輩に声をかけて気分を切り替えにかかる。
そんな俺の内心の事は知らず、先輩はいつもの調子で話に乗ってくれた。
「うん!今日入学してくれるホシノちゃん!あ!ホシノちゃん、この子は今年の2月からここに入ってくれた梶原 泰寛君!とっても頼りになるんだ!」
「御紹介に預かりました、梶原 泰寛です。」
先輩の紹介に続き、未だに強い警戒心が表情と態度に現れている彼女に、それを気にしない素振りで軽い会釈と共に挨拶する。
「・・・・・・・・・」
「え、えっと、ホシノちゃん?」
「・・・・・・小鳥遊ホシノです・・・」
隣にいる彼女の不穏な雰囲気を感じ取った先輩に不安げに見つめられると、少し間を置いてからそれだけ彼女は告げる。
「・・・あ、あれぇ~~?そ、それだけ?」
「どうも。」
ぽかんとした先輩を尻目に、これ以上はまだ距離感は詰まらないだろうと思いながら短く返し、次いで先輩の方に再度向き直る。
「それじゃあ先輩、この後はどうします?入学式、予定より早く始めます?」
「あ、うん。どうせだからそうしようか。準備の方は大丈夫だっけ?」
「進行表と祝辞の紙は壇上に設置済み。オーディオ機器のセッティングもOKですよ。」
「ありがとう!それじゃあさっそく始めちゃおうか!ホシノちゃんと泰寛君はそっちの椅子に座っててね!」
「了解。」
「・・・分かりました。」
そうして俺達は、それぞれ予定された場所に移動する。
先輩は壇上に。俺と小鳥遊はそれに相対するよう置かれた新入生用の椅子に。
「・・・・・・・」ジィーーー
「どうしました?もしかして緊張してます?」
「あ、いえ・・・そういうわけでは・・・」
席に着いた直後、なんか予想外のものを見るように二度見する素振りをした後怪訝そうに俺の方を見ていた小鳥遊にそう問いかけると、戸惑うように口籠りながらそう言う。
「それとも、僕のような生徒はそんなに珍しいですか?ヘイローが無いのにロボットでも動物でもない人は。」
「・・・まあ、それもあるといえばありますが・・・生徒会長とかなり慣れたやり取りをしているようでしたので、てっきり上の学年の人かと思っていたので・・・後、さっきの話からてっきり新入生は私だけかとも思っていたものですから・・・」
「ああ、そう言う・・・まあ慣れ云々に関しては、二月(ふたつき)生徒会の手伝いをしていたら嫌でも慣れざるを得なかったというかなんというか・・・いや、普段の日常的なやらかしはともかく先輩と一緒に生徒会の手伝いするのは別に嫌ってわけじゃあないんですけどね。それはそれとしてこう、次々来る激務や何やらの為に急いで適応せざるを得なかったというか・・・」
「は、はあ・・・」
「まあこの辺は小鳥遊さんも先輩と付き合っていればそう遠くない内に似たような感じになりますよ。あの人、あの通り根っからの陽キャで良い人で、気が付いたら距離感直ぐにうまってる様な人なんで。貴方もいつの間にか親しい仲になってますよ。」
「どんな評価ですかそれ・・・・・・どういう魂胆か知りませんが、私は誰とも仲良くする気なんてありませんよ。」
そう言うと、彼女は目線を壇上に向けてそれっきりで話を打ち切る。
なんとなくその姿に、雨の日に子猫とか子犬に傘を貸す不良のイメージが脳内で重なったような気がしたが、気のせいかと思って俺も壇上に向き直る。
俺達が見たタイミングで、マイクの前で軽く咳払いをした先輩は、なるべく厳かになるよう、口火を切った。
「それではこれより、第〇○○期、アビドス高等学校入学式を開式致します。新入生、起立!」
先輩の号令と共に俺達は立ち上がる。
「礼!着席!」
壇上の先輩に合わせる形でお辞儀をし、着席する。
「続いて、本校への入学許可宣言に移り・・・」
---ズダダダダダダダダッ
「「「「「うぎゃああああああああっ!?」」」」」
「???今のは?」
「?あれ、今なんか声がしたような・・・」
「センパーイ、良いからそのまま続けて続けて!」
途中聞こえてきた外の雑音に中断されかかる式を、先輩に声をかけて軌道修正にかかる。
「いや、でも・・・」
「大丈夫です!何にも問題なんて起きてませんから!そのまま続行しましょう!ね!」
「う、う~~~ん、なんか引っかかるけど・・・まあそこまで言うなら・・・んん!では改めて、入学許可宣言に移ります!」
「え?いや、あの・・・ええ?」
明らかに何かを察していたであろう先輩だったが、少し渋るも気を取り直して式を再開してくれる。
隣の小鳥遊はそれに納得いかなそうでちょいちょい出入り口の方に目線を向けていたが、少しして外の物音が無くなってから
「・・・というわけで、アビドス高校生徒会はこれまでに積もりに積もった膨大な借金の利子を返すのにさえ苦慮し、つい最近までは何一つ復興のきっかけすら掴めない状況が続いておりました。しかし、2月からその状況は変わりました。新たに加入してくれた一人の生徒の協力により本校校舎の襲撃は全て退けられる様になり、さらに襲撃元を絶つとともに得た戦利品を売却するなどして、現状毎月の利子の返済を行っても手元にお金を残せるようになっております。さらに、三月に匿名で我が校に出資してくださった方のお陰で2月の商業地区を狙った不良による襲撃事件の補償を行うこともでき、自治区の衰退並びに住民のさらなる流出に一応の歯止めを行うこともできました。そして今後は未だ大半が残っている支援金を基にさらなる事業計画を打ち出し、一刻も早い借金の返済、並びにアビドス自治区の復興・再生を行い、嘗ての活気に溢れたアビドスを取り戻すつもりです。」
「???????」
ああ!隣で話を聞いてる小鳥遊が宇宙猫みたいな顔に!?
どれもここ最近の出来事で、しかも唯一自治区内で広まってる可能性のある補償金の解決も本当に最近のことだからよく知らなかったのかしらん?
「・・・」チラッチラッ チラッチラッ
ダディャーナザン!?(人違い)
ナズェミデルンディス!
・・・冗談はさておきなんか横目でチラチラ見てらっしゃるが、まだ歓迎の言葉も終わっていないぞ小鳥遊さん。式の間はお静かに。
「改めて、この苦境の時代にアビドスを見捨てず残る決断をしていただき、本当にありがとうございます。まだまだ数え切れないほど多くの問題を抱える私達ですが、それでも、この学園を、自治区を諦めず残ってくださっている全ての方の為に、そして、私自身が大好きなアビドスの為に、楽しみながらも精一杯、ここに残っていてよかったと、ここに生まれてよかったと、そう思ってもらえるよう尽力いたします。そしてできる事ならば、すでに一緒に頑張ってくれている貴方も、まだ入ったばかりの貴方も、どうかこの学園生活を楽しんでください。やりたいことを見つけて頑張ったり、誰かと他愛無い話で笑ったり、偶々入ったお店で一緒に買い物をしたり、ご飯を食べたり、勉強したり、力を合わせて何かをやり遂げたり・・・これから先、辛い事や大変な事が多く降りかかることがあっても、そうした青春の思い出が私含め皆さんの力となり、支えとなって、これからの生活をより良いものにしてくれると、私は信じています。
御静聴、ありがとうございました。続いて、本校の校歌をこれより流します。」
そう言って先輩は壇上から降りてスマホを操作する。
手元の操作が完了すると、備え付けのスピーカーから盛大な前奏の後に流れてくる沢山の声による校歌の斉唱が館内を木霊した。
・・・見つけた時に一度聞いてみたが、改めて良い歌だな。掃除の序でで偶々の発見だったが、発掘した甲斐があった。
隣でこっちをチラ見していた小鳥遊も、曲が始まるとこっちを見るのを止めて流れてくる歌に聞き入っていた。
・・・・・・これで今日から、本当の意味でのアビドス生徒としての3年間が始まる。
今までやってた金策や治安維持活動、鍛錬、人の呼び込み、法律、経済等の勉強に加え、単位を取って学年を挙げていくための授業もこれからは追加される・・・鬱だ。前の世界で社会人やってた頃なんて比較にならないほどの仕事量とかマジで気が滅入る。
まあ前の世界では趣味に人生全振りしてて仕事とかその合間にやってたくらいの感覚だが・・・いやだからこそ余計に桁の違う仕事量過ぎてつらいわ。合間合間の鍛錬のせいかまだまだ全盛期の仕上がりからも遠くて安心には程遠いし。
(ただまあ・・・)チラッ
「~~♪」
壇上を降りて校歌に聞き入っている先輩を横目で見る。
おっちょこちょいで未だに騙されたり絡まれたりしてトラブルをよく持ってくる、優しく暖かな、誰よりも
・・・ま、こうして拾われるような羽目になったのが運のツキか。
やってやろうじゃねえか、リアルシ○○ティ・アビドスエディション
ノーコンテニューでクリアしてやらぁ!
・・・単位は最低限でも、ええか!(留年予備軍メンタル)