トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
「何をする
強制労働を余儀なくされた大勢の債務者が遠巻きに見る中、
事の発端は強制労働施設に『ウマ娘ちゃんのご厚意による慰問ライブ』が行われそこにシュヴァルグランが来たことだった。
「……あ!」
壇上でシュヴァルグランは客席から以前陸釣りに出かけた時に一緒に釣りをした中年男性、小槻を見つけた。
ライブ終了後。シュヴァルグランは
『これからお嬢ちゃんは自分よりも結果を残す者に苦しめられるだろう……。理想と現実のギャップに苦しめられるだろう。それでも今やれることを精一杯やってみるといい。そうすればきっと現れるよ。お嬢ちゃんの良さを理解し、共に歩いてくれる立派な人が──』
とアドバイスをしてくれた小槻にお礼を言うため労働者寮に足を運んだ。そして
「あ、あの……よろしければ、これ……お古だけど……」
と直筆のサインが書かれた帽子を小槻に手渡し労働施設を後にした。
「しゅ、しゅしゅ……シュヴァルグランの直筆サイン入り帽子……!」
過去にシュヴァルグランが使用していた直筆のサイン入りの帽子に
「班長! 班長が陸釣りに行ったのは俺が『最近暑いですよね~! 普段はこうやって土いじっているから、たまにはこう海に行って潮風浴びたいですよね……!』と言ったからですよね? つまり俺が言わなければその帽子は班長の手元に来ることはなかった。よってそれは俺のものです……!」
「ちょっと待て……!」
沼田の発言に石下が待ったをかける。
「それを言ったら『せっかく海に行くなら……』と季節や潮の流れ、初心者でも釣れる穴場を調べて教えたのは俺! 俺の釣りに関する知識がなかったら班長はあの釣り場に行くことはなかった。つまりその帽子は俺がもらうべきです……!」
「バカを言うな!」
目をギラギラさせる部下に、小槻は威嚇するように二人を睨みつける。
「そもそもワシが外出しなければシュヴァルグランがこんな場所に来ることはなかった! つまりワシがシュヴァルグランと一緒の釣り場に行ったからこの帽子は手に入れられたのだ! つまりこれはワシの物だ……!」
「何だと!?」
「何を!?」
三人はお互いを睨みつける。それから取っ組み合いの大げんかに発展するのには時間はかからなかった。
「この帽子はワシの物だ! 絶対にやらん……!」
「何を! 人がいつも命令を聞いているからっていい気になるな!」
「班長……いや、小槻! 沼田! ……お前らをぶっ潰してシュヴァルグランの帽子は俺が手に入れる!」
その後騒ぎを聞きつけた黒服によって喧嘩の元になった帽子は没収。そして
「ククク。ワシのコレクションにシュヴァルグランちゃんの直筆入れの帽子が加わったわい……!」
とよだれを垂らしながらショーケースに入れられた帽子を眺める