トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
とあるラーメン店。
「ひぃ、ひぎっ……!」
(も、もう。ムリ……!)
大量の汗を流し、口から火を噴きそうなほど顔を真っ赤にして涙を溜めるキングヘイローは目の前に置かれた真っ赤なラーメンを前に箸を置こうとしていた。
この日。キングヘイローはとあるバラエティー番組からオファーを受け激辛ラーメンを食べていた。
他の出演者はあまりの辛さにギブアップをし、辛さを通り越した痛さにキングヘイローにも限界が来ていた。
(痛い……辛い……。舌に空気が通るだけでも激痛がする……なんで私はこんな辛い思いをしてラーメンを食べているの?)
私のことを知らない人のためにキングがキングたる
そう言ってオファーを受けた過去の自分を呪った。
(嫌だ……もう食べられない……つらい…………)
「も、もう……ギ──」
ブアップ。そう言おうとしたキングヘイローの脳裏に、
『そして俺こそが、一流のトレーナーだ!』
自身のトレーナーの言葉が浮かぶ。
「ッ!?」
その瞬間、箸を置こうとしたキングヘイローの手が止まる。
(そうだ。あの人は何の実績も残していない、不甲斐ない走りしか見せていない自称『一流のウマ娘』に対して自分こそが『一流のトレーナーだ!』と私に呆れる周囲に対してそう宣言した。……現実を見ない、口だけのウマ娘と誰もが思う私に!)
「そうよ……!」
箸を持つキングヘイローの指に力がこもる。
(あの人は私を信じてくれた。私とともに歩く決心をして……。ともに汗を流し、ともに泣き……そして私を一流だと証明してくれた!)
「私のトレーナーは一流のトレーナー……その一流のトレーナーが担当するウマ娘はもちろん一流……!!」
今にも流れそうな涙はピタリと止まり、消えそうだった瞳に炎が宿る。
「だったらその一流のウマ娘がギブアップなんて、あるはずがない!!」
「残り30秒です」
タイムウォッチを持った店員が残り時間を告げる。激辛スープを吸い込んだ麺の量に誰もが完食は不可能と思った。その時だった。
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!!!」
キングヘイローは器を持ち上げ口につけると、そのまま箸で激辛ラーメンを流し込んでいく。
「うぐっ!」
あまりの激痛にキングヘイローは一瞬止まる。しかし
(こんな激辛ラーメン……。私を一流に導いたトレーナーの苦労に比べたら!!)
一流のトレーナーが担当するウマ娘が一流じゃないなんて許さない!!
その思いが激痛から来る拒否反応を力づくでねじ伏せた。そのままズルズルと麺を喉へと流し込むキングヘイロー。そして
「3、2、1……」
ドンッ!
口の中に残った麺を飲み込み、キングヘイローは空になった器を置いた。
カランカラーン! カランカラーン!
店内に成功の鐘が鳴り響く。
「29分59秒。キングヘイローさん、チャレンジ成功!!」
進行役の芸能人の言葉を聞いたキングヘイローはカメラに向かってグーサインをした。
(やったわよ、トレーナー!)
こうしてキングヘイローの自分というウマ娘を世間に認知させるという目論見は成功した。
『キングヘイローのトレーナーはカツ丼を食べるようです』でキングヘイローのトレーナーが大食いにチャレンジしたのでキングヘイローには激辛に挑戦してもらいました(笑)
https://syosetu.org/novel/333943/8.html