原作15巻(第151話)ファーストキッスは終わらないにて……もし、四宮かぐやの揺れ動く乙女心のデフォルメとして表現された3つの人格(通常・氷・アホ)が、本当に多重人格としてかぐやの内部に存在していたら? という創作物(一話限り)です。
※各人格に独自設定有り
氷かぐや→幼少の頃から四宮家の厳しい教育を受け、その教育に耐え抜く事は出来たが、その反動で氷の様に冷たい人間性を獲得してしまった哀れな少女。高等部で白銀御行と出会った事で人に好かれる努力をする様になり、その副産物として通常かぐやの人格が生まれた。以降は14巻終盤まで人受けの良い通常かぐやに主人格の座を譲るが、頭脳内裁判のいざこざの結果、現界するに至る。
※キッスはするよりされたい派
通常かぐや→1巻から登場している最も読者に馴染みのある通常版かぐや。3つの人格の中で1番バランスの取れた人格であり、氷かぐやの冷徹さ、アホかぐやのアホさ加減を絶妙にブレンドされた人格。氷かぐやから生み出されたという自身の人格の立ち位置は理解しているが、
※気持ちのままにキッスする派
アホかぐや→アホ。行動原理がかいちょー!なアホ人格。理性は殆ど無く本能に従いソレに抗わない為、白銀御行に対するスキンシップという一点に於いては、他の追随を許さない人格。
みんなでかいちょーとイチャイチャすれば良いじゃない!という本能の元で行動する。
※かいちょーとならキッスしたいしされたいし、その先だってしたい派
12月24日〈クリスマス・イブ〉……半分の月が照らす小さな公園で、2人の男女がベンチに座り向かい合っていた。
「ねぇ会長……イブの夜に男女が二人。こういう時、普通どうするんですか……?」
「……普通でいいなら、やっぱこうじゃないか?」
「ン……」ギュッ
「……ッ」
2人の距離がゼロになり……次の瞬間にはまた離れる。時間にすれば1秒にも満たない刹那の接触……にも関わらず、2人の表現は何処か満足気で熱を帯びていた。
「やっと……会長からしてくれましたね?」
「待たせて……不甲斐ない人間で悪かったな」
「ふふ、いいんです。ちゃんと……してくれましたから。でも、
「……あの子達?」
「……会長、大切な話があります」
「大切な……話?」
「はい、私の秘密について。出来る事なら会長には、この話を聞いた上で……受け入れてもらいたいです」
「あぁ、聞こう。教えてくれ、四宮の秘密を」
「ッ……はい!」
………
「……以上が私の秘密です。会長には……余計な負担を強いる事になってしまうのかもしれません。でも……私が今こうして会長と向き合う事が出来る様になったのは、
「他の人格ともキスをして欲しいと?」
「……ッ」コクン
秘密を出し切った少女は小さく頷くと、そのまま顔を手で覆い俯いて返事を待つ。多重人格という非現実な話、これからは頻繁に入れ替わる事になるが、それぞれの人格とも恋人としてのスキンシップをして欲しいという願望……常人が理解し受け入れるには、あまりにも常識から逸脱した願いという自覚がある為、不安に耐えながら男が答えるのを待つ……
「……」
それに対し、
「……」
(え、最高やん……)
あっさり受け入れていた!
「四宮、顔を上げてくれ」
「……」
「そんな顔をするな。たとえ人格が幾つあっても、それが四宮であるのなら……俺にとっては何の問題も無い」
(四宮には3つの人格があって? それぞれの人格とも? キスや何やらの恋人同士のスキンシップをして欲しいって?)
「……ッ」
「ちゃんと受け入れるさ」
(いや、最高やん……単純計算で恋人としてのスキンシップが3倍になるって事だろ?)
「会長……ッ!」ギュッ
「四宮……」ギュッ
(普通にご褒美やん……)
四宮かぐやもそうだが……白銀御行も決して普通とは言えない人間である事を忘れてはいけないのである。
………
〈頭脳内〉
「ち、ちょっと! いつまで会長と抱き合ってるのよ! 貴女はもう満足したでしょ!? 早く私と代わりなさいよ!」
「はいはいはーい! 次は私がキッスされる番!」
「そんなに慌てないでもらいたいわね……四宮の人間たる者、常に冷静であるべきよ? ふぅ……」
「貴女もちょっと冷静になり切れてなくない!?」
「次は私ー!」
「ち、ちょっとやめなさい! 私が交渉してあげたんだから、もう少し堪能させ……」
「もう十分でしょう!? キスどころかハグまでして! 主人格だからって好き放題し過ぎじゃないかしら!?」グイグイ
「だから次は私ー!」グイグイ
「ち、ちょっとやめっ……」グラッ
「あ」
「あ」
「あ」
………
「……」
「四宮?」
「かいちょー!」ダーン
「うぉっ!?」
「んー♪」チュッ
「ンー!?」
「かいちょ、好き好きぃ♪」チュッ、チュッ
「ンムッ…四ッ……!?」
………
〈頭脳内〉
「バカなの!? 貴女バカなの!? いきなり会長を押し倒してキスするなんて、やってる事が痴女そのものじゃない!!」
「
「どういう意味よ!?」ガビーン
「んっ」
「そもそもの話……貴女は奉心祭の時、既に会長とファーストキッスは済ませてるのだから、今回は見送るべきじゃないかしら?」
「それとこれとは話は別でしょう!? っていうか、貴女さっきと言ってる事が違うわよ!?」
「んっ」
「貴女、さっきから何をしているの?」
「みっともない真似はやめてもらいたいわね。そんな舌を出し入れしっ……」
「……」
「……」
「今日のかいちょーは、きっとお鍋の味がすると思うの!」ウキウキ
「」
「許す訳無いでしょう!?っていうか、貴女達は揃いも揃って痴女みたいな真似をするのをやめなさい!
「離してー! 私もかいちょーと大人のキッスするのー!」
「だから許さないって言ってるでしょう!? 大体主人格である私がまだしてないんだから、貴女はその後よ!」
「いーやー!」ジタバタッ
「このっ…いい加減に……しなさい!」ブオン
「わー!?」ヒューン
「」
「貴女もいい加減……呆けてないで、さっさと行って来なさい!」ドンッ
「きゃっ!?」
………
「ッ!」
「ン……」
「……んー!?」
(か、会長の顔が目の前に!?っていうか、いきなり代わったからキスしたままの状態になってる!? ど、どうすればいいの!? 一旦離れる!? あぁ、でもでもっ……!)
「……ッ」ジッ
(さっきと雰囲気が違う……多分人格が代わったんだな。雰囲気的にいつもの四宮っぽいが……)
「ッ!?」
(か、会長と目が合った!? あぁっ、違うんです! 私は会長を押し倒してキスする様な淫らな女じゃないんです! それもこれも全部
「……?」
(四宮の様子が……?)
人格が代わり表に出た直後、突然目の前に現れた白銀御行の顔。更には触れたままの唇の感触……かぐやは今年で1番と言って良い程混乱し、慌てふためいていた。
(ど、どうすれば良いの!? 前キスした時はどうしたんだったかしら!? 確かっ……!)
………
〈頭脳内〉
「……ちょっと、いつまでやってるのよ! そろそろ私と代わりなさいよ!」
「その次は私ー!」
「ほら、後ろがつかえてるんだから早く……」
「……ン」れっ!
「」
「」
………
……
…
〈頭脳内〉
「貴女を信じた私が馬鹿だったわ」
「ほ、本当にごめんなさい……目の前に会長の顔があったり、触れたままの唇の事とか、色々あり過ぎて訳がわからなくなってしまって……」
「だからって普通舌を入れる!? どうするのよ!? 会長も固まったままになってるじゃない!」
「ズルい! 私もするー!」
「貴女は黙ってて!」
「と、とりあえず私は引っ込むから、後処理は
「この場面で代わるとか正気!? ちゃんと最後まで自分で責任取りなさいよ!」
「私が行くー!」
「「貴女はダメ!!」」
今日がかぐやの誕生日という事で浮かんだネタを供養しました! ギリギリ間に合った……お読み頂きありがとうございました!