ある日道端に萎れそうな草を見つけたヨシオ君。家にそれを植えて育てる事にしました。そんなある日綺麗な薔薇(ばら)が咲きました。十七枚の花弁(はなびら)薔薇(ばら)でした。

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道端に今にも枯れてしまいそうに萎れてる草がありますよ


十七枚の願い

 その日ヨシオ君が歩いていると道端に今にも枯れそうに萎れている草を見つけました。

「可哀想だなあ。このまま放っておいたら枯れてしまうよ」

 ヨシオ君は急いで家に帰り植木鉢とスコップを持って戻ってきました。そしてその萎れている草を植木鉢に移しました。

「いて! この草には棘があるぞ。気を付けなきゃ」

 ヨシオ君は家に帰るとその草を庭の片隅に植え替えて水を上げました。するとその草が話し出したのです。

「危ない所を助けてもらってありがとう」

「いやいや、そんなのお安い御用だよ。でも草が喋るなんて驚きだな」

 その日以降、ヨシオ君は毎日欠かさず草に水を上げました。

「早く大きくなるんだよ」

     *

 ある日ヨシオ君はお父さんお母さんとデパートに行きました。お母さんが買い物をしている間お父さんとオモチャ売り場で時間を潰す事になりました。

 オモチャ売り場にはヨシオ君が大好きなロボットのオモチャがありました。

「ねえ、お父さん。このオモチャ買ってよ」

「オモチャを見るだけって言っただろう」

「うん、でもこれ欲しいんだよ」

 ヨシオ君は駄々をこねました。今友達の間で流行っているロボットのオモチャだったので何が何でも欲しかったのです。

「ダメだ、ダメだ。買わないぞ」

 結局オモチャはお預けと言う事になりました。

     *

 今日もいつものように草に水をあげようと庭に来てみると、その草から花が咲いていました。立派な薔薇(ばら)の花でした。花弁(はなびら)がたくさんある八重咲きの薔薇(ばら)でした。

「ヨシオ君、ありがとう。立派に花を咲かせることが出来たよ」

「綺麗に咲いて良かったね」

「お礼に何でも一つだけ願いを叶えてあげるよ」

「本当に⁉︎」

 ヨシオ君はどんな願いが良いか考えました。欲しかったオモチャをお願いしようか、美味しいお菓子をお腹いっぱい食べようか。

(一つだけだからなあ。もっとたくさん願いを聞いてもらえたら悩まないのになあ)

「よし。決めた!」

「どんな願いだい?」

「無限に願いを叶えて欲しい」

 薔薇(ばら)はビックリしました。

「随分贅沢な願いだね。でも願いは願いだ。その願いを叶えるよ」

 すると薔薇(ばら)の花が一瞬キラリと光りました。そして薔薇(ばら)花弁(はなびら)が一枚ハラリと落ちました。

「さあ、願いは叶ったよ」

「本当に? じゃあ僕の願いは無限に叶えられるって事だね?」

「……そう言う事になるね」

「じゃあ早速だけど、欲しかったオモチャがあるんだ。それを僕に頂戴」

 すると薔薇(ばら)がまた一瞬キラリと光りました。そして薔薇(ばら)花弁(はなびら)が一枚ハラリと落ちました。

 後ろからお母さんが呼ぶ声がします。

「ヨシオ。今お父さんから電話があって、お前が欲しがってたオモチャ買って来るってよ」

 ヨシオ君は驚きました。

「わあ、本当に願いが叶った」

 それからと言うもの、ヨシオ君は贅沢でワガママな願いを何度もするのでした。

「豪華なお肉料理が食べたい」

「大好きなミヨちゃんが喜ぶプレゼントを頂戴」

「かっこいいけど高くて買えないあの帽子が欲しい」

 しかし薔薇(ばら)はちゃんとその願いを叶えてあげました。その都度薔薇(ばら)はキラリと光り、その都度薔薇(ばら)花弁(はなびら)がハラリと一枚落ちるのでした。

 その日ヨシオ君が薔薇(ばら)のところへ来ると、薔薇(ばら)花弁(はなびら)が後一枚しかない事に気付きました。

「何で花弁(はなびら)が無くなってるの?」

 薔薇(ばら)は正直に答えました。

「願いを一つ叶えるには僕の命を削らないといけないんだよ。だからその都度花弁(はなびら)が落ちてしまうんだ」

「なんだって⁉︎」

 ヨシオ君は驚きました。自分の願いを叶える為に薔薇(ばら)が命を削っていてくれたなんて。

「僕は花弁(はなびら)が十七枚しかなかっただろ? それももうあと一枚になってしまったよ」

「ど、どうしたら良いんだ」

 ヨシオ君は花弁(はなびら)が後一枚になった薔薇(ばら)を見て考えました。

「そうだ! 薔薇(ばら)さんの花弁(はなびら)を元に戻して!」

 するといつもの様に薔薇(ばら)はキラリと光りました。そして最後の一枚の花弁(はなびら)がハラリと落ちました。

「…………」

 ヨシオ君は事の成り行きを見守っています。

 すると薔薇(ばら)花弁(はなびら)がムクムクと再生してきました。みるみる内に元の薔薇(ばら)の姿に戻ったのです。

「やった! 元に戻ったぞ!」

 しかし薔薇(ばら)は何も言いません。

薔薇(ばら)さん、何か言ってよ!」

 ヨシオ君は薔薇(ばら)を優しく揺らすのですが、もう薔薇(ばら)が喋ることはありませんでした。

「最後の願いを叶える為に命を全て削ってしまったんだ。僕は何て馬鹿な事を……」

 薔薇(ばら)は優しく吹く風に揺れるだけでした。


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