思春期真っ只中のなか、自分を見つけていく ただ楽しいと思ったことを、飽きるまでやり続けたい。
放課後、居残りで課題をやらされていた俺は、新品のチョークの箱が目に入った。
課題も終わったことだし、景気づけに黒板に絵を描いてみようと思った。 さっそく箱を開け、全ての色のチョークを一本づつ黒板にセッティングする。
まずは木や草などの生い茂った森の中を描いてみようとチョークを走らせていく。
現実にはない色の植物が出来ていくが、なかなかに味があってアートっぽく、自分でも上出来だと思った。
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のめり込んで集中してたらしく、気付くと黒板一面に森ができていた。 すでに30分も経っていたらしい。
こんなコトをしてる暇では無いと我に返った俺は、職員室へ課題を提出しに行った。
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次の日の朝、学校へ着くと教室がなにか盛り上がっていた。
「誰が書いたんだろうね!」 「先生?」 「あの人こんあ事しないでしょ!」 「最後までいた人でしょ?」「にしもうまいね 色使い? こんな色の木とかないだろうけど、すごいよね」 「ねー。」
そうだ、結局、職員室に課題を提出して、そのまま消すのを忘れて帰ったんだ。
恥ずかしい バレたら黒板アートの人と言うレッテルを貼られてしまう。
このまま友達とアレについて会話しても、何か変な様子になってしまう未来が見える。 バレはしないだろうけど。
「〇〇、すごくね?アレ」
「んあ…すげー…。誰が描いたの?」
「スゲーよな それが誰が描いたのかだれも知らないんだって。」
「なんだそれ」
「にしてもスゲーよな 存在しない色の木とか植物なのに妙に現実味があるというか存在しそうというか…神秘的?」
「美術の先生じゃね?」
「どうだろ」
バレはしなさそうだが、俺が昨日、最後まで教室にいた事を先生は知ってるはずだ。課題をやらされていたからな…。
そして戸締りをするはずだから、昨日見たはず…。 いや、案外ズボラな学校だからな…見ていない可能性もあるのか。
しかしどう考えても先生に最後まで居残りしていたことはバレているはずだから、みんなの前で俺が描いたのか尋ねてくるかも…。
「はい〜おはよう」
そう考えていたら先生がやってきてしまった
「お、消されてないな〜。」
「せんせー、この絵なにー?」
「さあ でも昨日戸締りする時にはあったんだよ 誰が描いたんだ? 怒らないぞ すごいからな ん?」
戸締りの時に見られてたか…そりゃそうか、見られたくなさすぎて戸締りしない可能性を見すぎてた…。
「まあいいか、ホームルーム始めるぞー消すぞー いいなー?」「えー残しとこうよ」「ホームルームできんぞー」
***
ホームルームが終わり、俺が描いた絵が無くなったのを実感した、少し、いや、だいぶ悲しい こんなのだったら黒板じゃなくてノートに描くんだった。
しかし黒板にチョークで、大きく描くのにハマってしまった俺は今日も描こうと決意した。
「〇〇」「ん?」
「あの黒板アートさ、〇〇が描いた?」
想定外である いや、想定内だが、この1時間、考えないようにしていたことだ。 俺が昨日の放課後に居残り課題させられていた事をコイツは知っている…。
なぜなら課題を忘れてきて、確実に居残りが確定したことを昨日話していたのだ。
「え?」「だって〇〇、昨日居残りしたんでしょ?」「そうだけど…え〜」「誰にも言わないからさっ!」「ほんとか?」「そのセリフ言う時点で〇〇じゃん!」「いや、俺じゃないよ」「えー、〇〇だと思うんだけどな〜」
コイツとは仲はいいと思っているが、言いふらすタイプのヤツだと思うから言わないようにしよう。
そして、今日の放課後、最後までどうにかバレないように居残って黒板アートをもう一度完成させるんだ!
***
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
「うお〜終わったあ 〇〇行くぞー」 「クソ疲れた…お前原付で帰れるんからいいなー」 「お前も買えよ原付、免許持ってんだからさ。」 「そうだな〜でも親に買って貰えないからな俺は バイト代から捻出しなきゃだからな…。」 「そーかあ、お金か〜…。」そういう会話をしていると、駐輪場に着いた。
「ま、頑張れよ〜じゃあね〜。」
ガコンッ! ビィンビビビビビビビィィィ…
アイツはいいよな親に免許代も原付代も出してもらって…。だが今の俺は、最後まで学校に居残って黒板アートを完成させる任務があるのだ…。こんなことでクヨクヨしてられない!
早速学校に戻り、どこに隠れるか考え、最初に思いついたトイレに籠ることにした。
多少臭いが、我慢出来る程度だ。
そんなことより、どんな黒板アートを描こうかと思いを馳せていた。 俺は絵を描くのはそこそこ好きだ。
人間や漫画チックな絵も描くが、一番描いてて楽しいのは、植物だ。花や草木が生い茂った風景画を描くのが好きだ。 しかし、今まではコピー用紙に鉛筆で描いていた。
絵の具なんか使うのはめんどうだし、ぱぱっと描いて満足していた。そして、そんなに絵を描くことについて考えてもなかった。
しかし黒板アートは、そんな俺を一変させた。今日の朝、女子たちがみんな俺の黒板アートに夢中だったのだ。 俺には才能があるのかもしれない。 隠れたヒーローになるために俺は黒板アートを完成させるのだ。
そして俺は山とビル群を描くことに決めた。1番好きで1番描いてきた草木は昨日描いたし、風景画が描きたかったため、山とビル群を書くことに決めた。
そんなことを考えていたらもう4:50分である。
先生達は今頃職員室で会議中だろう 警備員なんかいる学校じゃないので安心して黒板アートに取り付ける。
そうして俺は教室に向かい、チョークを手に取った。
長方形の物体をいくつか描き、後ろにデカイ山々を描いていく、形が出来たら窓枠やその中の様子、屋上やフェンス、洗濯物などを描いていく。そうするとすぐに黒板アートの形ができ、とても楽しく夢中になる。
気付くと外は段々と日が暮れて、時計を見ると5:50分。
そろそろ戸締りに来るかもしれないと思い、途中だったが急いで帰った。
悔しいが、バレてしまっては意味が無い、俺は隠れた黒板アートヒーローなのだ。
俺はその日家に帰って、風呂に居ても、布団に居ても明日の朝が楽しみだった。
こんなドキドキは初めてだ。