仮面と彩りの狂騒曲   作:咲野 皐月

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 皆様、おはこんばんにちは。咲野 皐月です。

 先日の土曜日は更新をお休みしてしまい、申し訳ありませんでした。Ave Mujicaのライブ当日に間に合う様に話を作っていたつもりが、その直前になっても内容が固まっていない事態が発生しましたので、本日の投稿となります(この場を借りて謝罪致します)。


 さて、今回の内容から本小説の本筋に入っていこうと思います。アニメ「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」で言いますと、中盤以降にあたる時系列になりますので、二話から少し時間が進んでいる事になります。

 読む際はその点等に気をつけて頂きつつ、本編を楽しんで貰えると嬉しいです。


 それでは……本編スタートです。

 最後までごゆっくりとお楽しみください。


EPISODE3

「では、ボーカルレッスン始めま〜す!」

『よろしくお願いします!』

 

 

 RiNGでの一件から暫くした頃、僕はsumimiのレッスンに立ち会っていた。大学の方は順調に講義を履修していて、手応え自体もそれなりにあるので、特に問題は無いのだが……課題と言える物があるなら、寧ろ此方の関係が強かったりする(ちなみに夕飯を食べた後、如何にも怒ってますよモードの彩にしこたま怒られました(解せぬ))。

 

 事の発端としてはこの前に立希から聞かされた、CRYCHIC解散の件がそれに当たり、未だ僕の中でも纏まりが付かないのが現状だ。

 

 

 それ以外にも考え物な案件は幾つかあるのだが……今現在の悩みの種になってる事以外に特筆するべきは、新規でまた一つのガールズバンド……【MyGO!!!!!(まいご)】が結成された事だろうか。何でも羽丘学園の方に、ゴールデンウィーク突入前の異例な時期に編入して来た少女が居るのだとか。

 

 

 その少女はとことん流行り物に目が無い(ミーハー女子)であり、世間一般でガールズバンドが広まっていると知るや否や、手当り次第に声をかけまくっていた様だ。それをそよから愚痴混じりに聞かされた時は、何度同情の目を向けてしまいそうになったかは定かでは無い。

 

 ……まあ、そのそよの関連でも一つ厄介な事こそあったはあったものの、そよとはたまに愚痴を叩き合える様な仲まで進展したとは言っておこう(ちなみに僕の方から敬語はやめて欲しい、と頼みました(彼女は了承済))。

 

 

「(やはりおかしい。どの様に考えたとしても、理由を告げずに脱退……そこから解散に至る動機が思い浮かばない。何故祥子はバンドメンバーに理由を伝える事無く脱退したのか、そしてそれを追う形でCRYCHICが無くなったのか……考えれば考える程に疑問が残る)」

 

 

 そんな僕の胸中など知る由も無く、初華とまなは順調にレッスンを熟していた。さすが人気急上昇中のアイドルユニットと謳う通りだ、と感心する他無かった。二人とも声の強弱が確り付いていて、各々の持ち味を遺憾無く発揮出来ていた。

 

 

 これは京介──昨年から関わり始めたMorfonicaのマネージャーを務める青年……流川(るかわ) 京介(きょうすけ)から人伝に聞いた話なのだが、彼はどうやらまなに並々ならぬ関心を寄せているらしい。

 

 その語り始めた時の熱量と言ったら……機材トークになると大炎上するくらいの強さを見せる麻弥や、つい数ヶ月前までマネージャー業に就いていたPastel*Palettes(パステルパレット)のファンだと息巻く一ノ瀬と遜色無い程だ。

 

 ……ただし、この事について彼から聞いたのは『俺は一ノ瀬(あの馬鹿)の様に行き過ぎたりはしない』と言う事だったのだが。

 

 

「(……まあ、この事はまたの機会にでも考えるか)」

「……はい、今日のレッスンはここまでです。お二人ともお疲れ様でした〜!」

『ありがとうございました!』

 

 

 僕がそんな事を考えている間に、ボーカルレッスンが終わった様だ。音響を担当していた人から見ると、かなり今回は良かったみたいで。……これも日々レッスンを確りしている影響だと考えれば、継続的に何かをするのはどの分野においても同じ事がわかるな。

 

 

「颯樹さん、どうでしたか? 私たちの歌は」

「先輩に見て貰えると、やる気がいつも以上に出て来る気がします……先輩? どうしたんですか、顔色が良くない様ですが」

「ええっ、それは大変だよ! 何か氷枕とか用意した方が良いのかなぁ……」

「あ、あぁ……ごめん、心配させたかな。大丈夫。心配してくれてありがとう」

 

 

 僕が二人に対してそう言うと、まなはホッと胸を撫で下ろしていたのだが、初華の方は若干信用無さげに見て来た。……まあ、傍から見れば心配にさせやすいのかな、僕って。担当アイドルに心配されるなんて、自分もまだまだだな……つくづくそう思うよ。

 

 その後は少し雑談を交えた休憩を取り、僕が運転する形でレッスンスタジオを後にした。車内では初華とまなが仲良さそうに話をしており、僕はそれをBGM替わりに運転を続けていた。

 

 

「……ん、ちょっと横から割り込んでごめんね?」

「良いですよ、どうしましたか?」

「初華、そう言えばここ最近……ギターの弦の事を気にしてなかった? 確か交換時期だったよね」

「あ、そうです。近々変えようかと思ってたんです」

「それなら……江戸川楽器店に寄ろうか。まなはそれで大丈夫かな?」

 

 

 僕がまなにそう問いかけると、彼女から承諾の旨の返事が聞こえたので、車を江戸川楽器店まで走らせる事にした。場所に関しては以前も何度か訪れる機会があったので、そこまで迷う事はなかった。

 

 そして目的の場所に辿り着き、ギターの弦の交換を待っていると……。

 

 

「いらっしゃいませ〜」

「すみません、ベースの弦の交換をお願いしたいんですが」

「はい、承りました。少々お待ち下さい」

 

 

 僕と同じ黒い髪をセミロングにして、左右に跳ねた様な痕がある少女が、自身のベースの弦の交換を依頼していた。そして店内を軽く物色して……って、あれ?

 

 

「おや、三角さん。こんな所で奇遇ですね」

「海鈴ちゃんこそ奇遇だね。ここに来たって事は……」

「ええ、考えてる通りです。それと…」

「あっ、お邪魔しちゃったかな……私はこの辺で…。颯樹さんもご一緒に」

「そ、そうだ「いいえ、颯樹先輩は私たちと一緒に。少し話したい事もありましたので」」

 

 

 そうして初華と海鈴……と呼ばれた少女は、僕を間に置いて話をし始めた。その傍らでまなが少し居心地悪そうにしていたが、それに関しては僕が適宜内容を簡潔に伝える事で、何とか乗り切っていた。

 

 

「それでさ、えっと……海鈴、で良いの? 聞いてる限りだと初華とかなり親しそうだけど」

「はい、大丈夫ですよ。三角さんとは同級生なので」

「なるほどね。遠目に君のベースを見たけど……結構使い込んでる? それも長くやっていて、熟した数も三桁は優に超えそうなくらいの」

「はい。今までたくさんバンドのサポートに入ったので、それなりには」

 

 

 ちなみにそのサポートに入った数を聞いた所、彼女の口から驚きの言葉が聞こえて来た。

 

 

「30……は行っていたと思います。その中で現在も動いているのは、甘く見積っても10くらいですが」

「そ、それはまた……」

「す、すごいね……」

「そこまででもありません。それと……立希さんから伝言を預かってます。『この前は失礼な事を言ってすみませんでした』と。何かあったんですか?」

「ああ……彼女のプライバシーにズケズケと踏み入った此方の過失だ。気にしてないよ」

 

 

 そう言ってこの場は何とか納める事が出来た。

 

 そして二人の使う楽器の弦も交換が終わり、代金を支払って楽器店を四人揃って退出した時、海鈴からこんな事を問いかけられた。

 

 

「先輩、そう言えばここまでどうやって?」

「ん? 車で来たけど」

「車ですか……ならば、次のサポート先が少し遠いので、送って頂けると嬉しいんですが」

「構わないよ。あとは二人を送り届けて終わりだったし、その道中でも良ければ」

「感謝します」

 

 

 そうして帰りの車の中に海鈴も同席し、目的を終えるまで少々賑やかなドライブと化したのだった。ちなみにこれは余談ではあるが、海鈴たちを送り届けてる途中であの二人から同時に招集の連絡がかかったのは、また別の話だ。

 

 

 ……だが、その中で気になる物が。

 

 

『盛谷 颯樹様 夜分遅くに失礼致します。単刀直入ではありますが……明日の夕刻、お時間を頂戴致したく存じ上げます。場所は追ってご連絡させて頂きますので、お待ち下さいませ』

 

 

 ……なんだ、これ。

 

 新手の迷惑メールにしては、結構丁寧な文面なのが気になるけど……とりあえず、明日の夕方になれば分かる、って感じで良いのかな。

 

 


 

 

「……祥子ちゃん、アレでホントに良かったの?」

「えぇ、問題ありませんわ」

 

 

 祥子ちゃんに言われて、昨日の夜にメールをとある人物に一通送ったけど、宛名とか書いてないから『新手の迷惑メール』として受け流されて、既読スルーされるんじゃないかなと思うんだけど……。

 

 

 ……と、『お前は誰だ?』って思いながらこれを見てる読者の皆様もいるから自己紹介させてもらうよ。僕は雨宮(あめみや) 獅音(れおん)。今年度の春から羽丘学園に通ってるただの高校生…といきたい所ですが、そういう訳には行かないようです。

 

 何故なら……最近になって、生き別れた幼馴染…豊川(とがわ) 祥子(さきこ)…祥子ちゃんと再会した時から運命の歯車が大きく動き出したのです。

 

 

 祥子ちゃんと再会してから暫く経ったある日、僕はとある一件で周囲で…というより巷で流行ってるガールズバンドに関わる事になったのです。その時祥子ちゃんに誘われて、彼女の所属…これから立ち上げるガールズバンドのメンバーの一員になったのです。

 

 僕の立ち位置は早い話マネージャーになるのですが、祥子ちゃん曰く『私の補佐を務める右腕』との事で、その彼女に頼まれて、先程言った昨日の夜に『夜分遅くに失礼致します。単刀直入ではありますが……明日の夕刻、お時間を頂戴致したく存じ上げます。場所は追ってご連絡させて頂きますので、お待ち下さいませ』という内容のメールを送ったのだ。

 

 

 それで今僕と祥子ちゃんは、放課後に花咲川高校の校門前で待ち合わせている最中です。羽丘でもよかったのだけど、祥子ちゃんが言うには『数日前に睦が来たので、目立つ可能性があります』との事で、消去法で花咲川(ここ)になったのだ。

 

 ちなみに余談だけど、祥子から話が出てた睦という子は、若葉(わかば) (むつみ)と言って、両親が芸能人という珍しい経歴があるのだ(ちなみに父親がお笑い芸人で、母親が女優)。

 

 

 そんな睦さんは、祥子ちゃんとは幼馴染で、僕は彼女と面識を持ったのはほんの最近だ。でも、幼少期から彼女の話を祥子ちゃんから聞かされたので、初めて睦さんと会った際はすぐに彼女と認識できた。

 

 

 で、話を戻すと……以前睦さんが祥子ちゃんに会いに来た時に彼女が校門前で待ってたんだけど、両親の事と彼女が通ってる学校…お嬢様学校で有名な月ノ森の生徒である事も相まって、悪い意味で目立ってしまったのだ。

 

 それでやむなく別の場所…此処で近いのはRiNGが挙げられたが、周囲の人達に張り込みをされるかもしれないという事で、幸いにもメールを送った人物は花咲川高校周辺に土地勘があるので、待ち合わせ場所として花咲川の校門前を指定したのだ。あとはメンバーの一員で、祥子ちゃんと幼馴染の初華さんと、その初華さんと同じクラスメイトの海鈴さんも花咲川の生徒だからなのも理由の1つである。

 

 

「でも僕らのやってる事って、睦さんやそよさんとなんら変わりないと思うんだけど……」

 

 

 しかし、僕らは羽丘の生徒なので花咲川の校門前で待つのは、以前の睦さんやそよさんと同じなんだけどな……。

 

 

「睦は昔からの仲なので仕方ないとして、そよさんの場合は待ち伏せですわ」

 

 

 それで収めちゃうの……? まあでも、そよさんの場合は祥子ちゃんの指摘通りどちらかというと待ち伏せなんだけどね……。

 

 

「お待たせ。さきちゃん、獅音くん」

 

 

 ちょうどその時、学校終わりの初華さんが僕たちと合流してきた。その時初華さんはニッコリと笑って僕たちに手を振っているけど、芸能人だよね……? 一応イメージアップになるとはいえど、そんなに愛嬌を振る舞いすぎていいのだろうか?

 

 

「初華、貴女は有名人の自覚を持って下さい」

「ご、ごめんさきちゃん……」

 

 

 そんな初華さんに祥子ちゃんが苦言を呈した。初華さんの方は祥子ちゃんの指摘通りのようで、自覚が足りてなかったのかすぐに謝った。

 

 

 確か祥子ちゃんと初華さんは幼馴染だったな……。小さい頃、豊川家の別荘のある島で初華さんと出会ってから交流を始めたというのは聞かされた事があるなぁ……でも、直接会ったのはつい最近になるけど。

 

 あとはsumimiのメンバーとして活躍してるのだが……先程僕達がメールを送った人物というのが、sumimiのマネージャーを担当しているのだ。その事もあって初華さんには、その人の連絡先の入手と今日会ってくれるよう取り計らって貰ったのだ。ホント、感謝しかありません……。

 

 

 そこから暫くすると、1台の乗用車が僕たちの目の前…というより校門前に止まった。そうして車の中から、僕たちより少し年上の黒髪の男性が降りてきた。昨日僕がメールを送った本人……盛谷 颯樹さん、その人である。

 

 

「……君たちか、僕に用があるのは?」

「はい。まず用件に入る前に自己紹介から。私は豊川 祥子と申します」

「僕は雨宮 獅音です。よろしくお願いします、盛谷さん」

 

 

 初華さんの存在に気づいた盛谷さんが僕たちに近づいてきて、昨日のメールの送り主か確認してきた。その時僕たちは自己紹介を忘れないけど。

 

 

「そうか。改めて……僕は盛谷 颯樹だ。それと、獅音と言ったかな。僕の事は颯樹で構わない」

「分かりました、颯樹さん」

 

 

 盛谷さん改めて颯樹さんか……『礼儀正しさとフランクな一面も兼ね揃えており、誰に対しても優しい』というのが第一印象である。

 

 

「それで……話がしたいという事で、僕を呼び出した訳なんだけど……何処で話すんだ?」

「それなら問題無く。その場所までご案内しますので、車を出して貰えないでしょうか?」

「……分かった。それじゃあ今から行こうか。ここは目立ち過ぎる」

 

 

 そう言って颯樹さんは祥子ちゃんと初華さんを後部座席に、僕を助手席に乗せて、僕が教えた目的地の住所とその付近のコインパーキングの場所を教えると、カーナビを手早く操作した後、車を走らせた。

 

 

 そこから約数十分後、目的地付近のコインパーキングに到着すると、そこで車を停めて全員が降りて、僕の案内の下、目的地まで徒歩で行く事となった。

 

 コインパーキングから目的地まではそんなに離れてないので、ものの数分で到着した。その場所というのが……僕の自宅である。家に到着すると軽く周囲を確認してから全員を招き入れて、リビングまで案内した。

 

 

「ごめんなさい獅音。自宅を提供してもらって……」

「気にしてないよ。それに両親も此処数日は帰って来ないから、話をするのにはうってつけでしょ?」

 

 

 祥子ちゃんが申し訳なさそうにしてるが、僕は気にしてないからね。父さんも取材で数日家に帰って来ないし、母さんも此処数日は泊まり込みで不在だから話し合いをする際はうってつけだよ。

 

 僕は祥子ちゃんと話してる最中、全員に出す紅茶とお茶請けのお菓子を準備をしていた。そして湯が沸き上がると、あらかじめティーパックを入れたティーポットにお湯を入れてお菓子と一緒にリビングまで持って行った。

 

 

「どうぞ」

 

 

 紅茶を全員分注ぐと、まずは最初に颯樹さんにお茶を差し出して、その次に祥子ちゃんと初華さんにも差し出した。

 

 

「ありがとう。それで話というのは?」

 

 

 颯樹さんは僕から紅茶を受け取ると同時に話の本題に触れてきた。まあ、聞かれるのは無理も無いか……。

 

 

「そこからは私が説明しますわ……」

 

 

 紅茶を一口啜りながら祥子ちゃんが話に加わってきた。まあ、祥子ちゃんが今回の発起人だから、彼女から話を切り出すのは当然の事だよね。颯樹さんも紅茶を飲みながら祥子ちゃんの話を聞いていた。

 

 

「……颯樹さん、貴方の力をお借りする事は出来ませんか?」

 

 

 祥子ちゃんがそう一言颯樹さんに告げた。しかし、この時僕はまだ気づいていなかった。これはまた、新たな問題の始まりを告げる事に────。




 今回はここまでです。如何でしたか?

 次回も成る可く早く投稿しようと思いますので、更新通知をお待ち頂けると幸いです(今回の続きから始めます)。


 それでは、また次回の更新にてお会いしましょう。
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