新人V-TUBER八幡!! 80000ちゃんねるはじまるよ〜!! 作:八幡の可能性を完全に理解した人
原作:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
タグ:R-15 アンチ・ヘイト 【今推せば古参】比企谷ハチマン【新人V-tuber】 令和最新版比企谷八幡ボイス販売開始(作中で) 配信者
果たして彼は世界に羽ばたけるのか!?
八幡はユーチューバーを始めた。
彼は瞬く間に全国、いや世界の人気者に──────なりはしなかった。
考えてみれば当たり前である。
リアルで話していてつまらない奴、リアルで接していて人気者とは程遠い奴が、画面越しになった所で人気者になるはずもない。
だってつまらない奴が何をしたところで、そいつ自体がつまらないのなら、やはりつまらないのだ。
八幡はぼっちだ。
それはリアルでも配信者としてもだ。
周りからどんどん人が集まってくるけれど、距離を取る孤高ではない。
人にワザと嫌われようとはしていないのに嫌われる。
それがぼっちである。
八幡には英語は話せないので、必然的に視聴者のターゲット層は国内のみとなる。
動画の編集技術も得意分野もないので、自作絵のvtuberとして雑談をメインにした。
八幡には上手い絵も描けないし、絵師に払う金もない。
大して動画も上げてない段階で八幡はボイスを販売したが、そもそもファンもいないので誰も買う人がいない。
八幡の両親だけが買ってくれた。
歌は作る才覚も歌う才覚も無かった。
楽器を“弾いてみた”なんてのも出来ないからだ。
たから雑談しかなかったが、八幡の話を聞いても面白いと思う人がいないから、リアルでもボッチなのだ。
イケメンからは程遠いリアルの顔の代わりに、美麗とは程遠い絵を貼り付けたところで、大して変わる事もない。
自分の外面の外に更に着包みを貼り付けるvtuberだからこそ、元の中身が優秀でなければ成功しない。
八幡はvtuberをやっているとリアルの周りにアピールしていた。
そうすれば人気者になれるかと思っていた。
しかし余りの弱小チャンネル故に、応援するのも恥ずかしいと言われてしまった。
あまりの気持ち悪がられ方と、それにムキになる八幡を見た雪乃は、八幡に配信者ではなく堅実な生き方をするように忠告した。
しかし、八幡は雪乃にさえムキになり、聞き入れる事は無かった。
ここから八幡と雪乃は疎遠になり、他の人々とも疎遠になった。
vtuberとして八幡は売れなかった。
ITもタレント業も、優秀な者だけが売れる職業だ。
そのハイブリッドであるvtuberは優秀でなければ売れない。
ファン名を、八メン→信者→八メンと変えたりするなど、色々模索という名の迷走をしながら努力していたが、報われはしなかった。
さてどうするかといえば、誰かとコラボでもすれば良いのかと思った。
とはいえ無名同士でコラボしても、八幡として得られる美味しさはない。
という訳で大物vtuberとコラボしたかったが、それには八幡の予想を遥かに凌駕する7桁から8桁の費用がかかると知った。
八幡では手が届かないが、そういった相場を知らぬ身の程知らず達は他にも多くいるのだと、相手の事務所は優しく教えてくれた。
八幡は成功しているvtuberは、中身の声優さん自体が優秀であり、人気が取れる中の人は、ビジュアルも優れた人が多い事を知ってお近付きになりたかった。
そういった目的も兼ねて、大手事務所に挑戦してみたが、特に得意なものもないということで、薄給でもOKとエントリーフォームに書いたが、普通に一次審査で落ちた。
大手事務所も八幡を雇うコストが安くても、不人気vtuberを抱えているだけでブランドイメージが希釈されてしまうのを避けたかったのだ。
改めていうが、優秀な人間だけが売れるのがvtuberだ。
八幡は失敗に心が折れて、活動をあまりしなくなっていた。
寧ろ視聴する側になっていた。
ある日、見たくないものを見つけた。
葉山隼人×雪ノ下雪乃と、材木座義輝×由比ヶ浜結衣のカップル動画だ。
葉山に関しては、司法試験を受かったらプロポーズするという内容だった。
八幡は、その続きを見られなかった。
葉山が落ちる可能性が低い事は、八幡だって分かっていた。
八幡は、自分が雪乃と付き合えていたもしもの世界を想像し続けながら生きていく事になった。
vtuberという他の何かになり切る夢を見なければ、配信者という人気者になる夢を見なければ、今頃或いは…。
────それは選ばなかった可能性だ。