マルメロ家の日常2024~   作:大野 紫咲

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2024年の夜翰さんお誕生日おめでとう短編です!
こちらは二次創作ですが、一次創作短編「ラベンダー・ブルー」の続きとしての位置づけで書きました。こちらだけ読んでもお楽しみいただけます。
(「ラベンダー・ブルー」の頒布はこちら↓)
https://marumeroke.booth.pm/items/5954384

いつもの通り、仕事から紫咲の家に帰宅した夜翰。
待っていた夜羽は、何か渡したいものがあるようで……?


意伝子の絆

「ただいま」

夜翰(ヨハネ)、おかえりなさーい」

 いつものように紫咲の家の玄関を潜ると、ドアが開く音を聞きつけたのか、出迎えようとした夜羽(よるは)が廊下に出てとてとて歩いて来た。珍しい。今日は恵李朱(えりす)と一緒じゃないのか。

「ただいま。いい子にしてた?」

「うん。ちゃんとお留守番してた」

 これももはや習慣化してしまったやり取りだ。ここ、ボクの実家じゃないんだけど、もはや実家並どころか実家以上の安心感と言っても遜色ない。ボクにそっくりな褐色肌に艶やかな黒髪の頭を撫でていると、ボクにむぎゅむぎゅと抱き着いていた夜羽は、ふと気が付いたように体を離して、まじまじとボクの事を見上げた。

「……どうして、そんな恰好してるの?」

「ああ、スーツの事? 現場の先輩に、即興で衣装代わりに着せられちゃって……。なんかこれ着て後ろに立ってたら映えそうとか言われて、元々の仕事とは全然関係ない役で出させられたんだけど。くれるって言うから、そのまんま着て帰って来ちゃったんだよね」

 ただのバックダンサーだったはずなのに、ちょい役のエキストラみたいな事までやる事になってしまった。まあ、セリフはほとんどないし、別にいいんだけど。それよりも何だかこの服が珍しくて、新鮮さのあまり、脱がずに帰って来てしまった。スーツって、ちょっと普通のリーマンみたいじゃない? 学生時代を過ぎてから、衣装や式典以外でこんなきちんとした服着る機会なかったし、別に着たまんま外に出ても変じゃないし。こうしたらちょっとは大人に見えるかな、なんて。まあ、流石に夏に着て外歩くのはクソ暑かったけど。

 ボクがそう言うと、夜羽はちょん、と首を傾げてから、ボクのネクタイの首元を見て言った。

「なんか、パパみたい」

「ぶっふ」

 正直このリアクション期待してなかったわけじゃないけど、いざ目の真ん前でこんな純真な子供に言われると、なかなか恥ずかしいものがある。ボクは一体何をしてるんだろうか、夜羽を家族ごっこに巻き込んで……。何度か咳払いをしながら、ボクはどうにか言った。

「夜羽は天使だから、夜羽のパパはお空の神様でしょ」

「本当はそうなのかもしれないけど、でも紫咲と夜翰がいたから、ボク生まれたんだもん。だから、夜翰もボクのパパだよ」

「そうかなぁ」

「それに、夜翰はパパみたいにかっこいいもん」

「わかったわかった、ありがと」

 ぎゅー、と体にしがみついてくる夜翰ごと歩きながら、リビングまで移動する。慕ってくれるのは嬉しいけど、ここにいたら干からびてしまいそうだ。ひんやりとした空気を全身に受けて生き返ったような心地になりながら、ボクは無人のリビングを見渡した。

「あれ、紫咲と恵李朱は?」

「サキ、お昼寝してるよ」

 恵李朱も一緒、と言われて指さされた先を視線で追うと、自室の布団でサキはすやすやと寝息を立てているところだった。その隣に転がった恵李朱も、何やら寝心地良さそうにむにゃむにゃ言っている。サキの部屋は冷房が直撃しない場所にあるから、きちんとタオルケットを掛けていれば風邪を引く心配もないだろう。これは、スーツのお披露目はしばらく後になりそうだ。

「今日、ちょっと遠くまで自転車に乗って買い物行ったから、サキ疲れちゃったみたい」

「そっか。しばらく寝かしといてあげようね」

 ボクはひとまず冷たい麦茶で休憩するか……と思いながら、グラスに冷蔵庫のお茶を注いでリビングまで戻る。いつもサキが座っている定位置のソファに腰掛けて、窓越しの蝉の声に夏を感じながら冷茶の味を楽しんでいると、横に立った夜羽が何やら言いたそうにもじもじしていた。

「どうかした?」

「んー。あのね」

 両手で何かを後ろに持っているらしいという事はわかるが、恥ずかしそうにしていてなかなか出そうとしない。照れている時の夜羽がこうなるのはよく分かっていたので、心の準備が整うまで麦茶を口へ運びながら気長に微笑ましく見つめていると、ほっぺたを微かに赤く染めながらも、夜羽はぱっと背後から何かを取り出した。

「これ! 夜翰にあげる!」

「うん……? なあに、これ。すっごい綺麗だけど」

「夜翰の、お誕生日プレゼントなの」

 紫色の可愛い瓶がラッピングされて、袋にはくるりと巻かれたリボンが掛かっている。決死の覚悟を決めた様子で目を見開いて言われた言葉に、思わずぽかんとしてしまった。もう誕生日は何日か過ぎてしまったし、当日はもちろんみんなに祝ってもらったんだけど。思わず目を細めて、目の前に跪きながら、ボクは夜羽の頭を撫でた。

「夜羽が、自分で贈ろうと思って用意してくれたの?」

「うん。その、学校の課題だったから、お誕生日にはちょっと間に合わなかったんだけど……よく効く、媚薬なの。飲んだらラベンダーのいい匂いがするから、大好きな人をメロメロにできるんだって」

「ちょっと待て、えらいもん習ってるな魔法学校一年生」

「でもね、恵李朱のはラベンダーにならなくて大失敗したの」

「うん、完全に蛇足な情報だったねそれ」

 人の失敗をそんな風に大声で言ったらダメだよ、と一応は親らしい事を言ってたしなめてやると、夜羽ははぁいと素直に返事をしてちょっとだけ居たたまれないように俯いた。普段は大人しくて主張が少ない夜羽だけど、その思うところはボクも何となく理解できる。小さな頭を撫でて、ボクは目を合わせようとしない顔を覗き込んだ。

「恵李朱の薬の方が、失敗してもいい出来になったから悔しかったんだね?」

「う、うん……どうしてわかったの?」

「そりゃ、ボクの分身だもの、あんたは。大好きな紫咲に振り向いてもらえないんじゃないかって不安になったせいで、ちょっとだけ見栄張りたくなったんでしょう」

「……」

 指先で小さく額をつつくと、夜羽は恥ずかしそうにもじもじと目を逸らす。

「でも、そんな事しなくたって、夜羽の個性は十分素敵だと思うよ。無理に誰かに勝とうって思わなくてもいい。それにこの薬……ラベンダーだっけ? ボク、すごく好きだけどな」

「そう?」

 ボクの魂が分かれて生まれたとか、善行を積む天使だとか、物語上は色んな設定があるけれど、夜羽はボクの目からすればまだほんの小さな子供だ。別に天使だからってずっといい子じゃなくてもいい。そう思ってしまうボクは、一時創作における自分の分身を甘やかし過ぎなんだろうか。

「色も薄くって綺麗だし、中の花や葉っぱもお洒落だし……それに夜羽、ラッピングに凝るよね」

「ラベンダーの他にね、紫咲と夜翰の好きそうなハーブをいっぱい入れたの」

「でも、これ夜羽が授業で自分の為に作った薬なんでしょ? ボクに全部渡しちゃっていいの? 夜羽が使ったら?」

 年齢的にはちょっとどうかと思うけど、これは夜羽が紫咲を誘惑したくて作った媚薬なんじゃないんだろうか。そう思って尋ねてみるも、夜羽はぶんぶんと首を振る。

「いいの。夜翰も、紫咲の事が好きでしょ。ボクと出逢うずっとずっと前から、紫咲の事が大好きでしょ。だから、ボクも紫咲が好きだけど、夜翰が紫咲と仲良しでいてくれたら、それもすごく嬉しいの。だってボク、夜翰の事も紫咲の事も、二人とも大好きだから」

「夜羽……」

「それにね、媚薬は恋の魔法になるだけじゃなくって、愛情いっぱい込めたら、家族や友達の絆をもーっと強くするのにも使えるんだって。だからね、ボクらにぴったりなんだよ」

 思わず、ちょっと涙が出そうになった。それを誤魔化すようにぎゅっと抱きしめると、夜羽は小さな体をくすぐったそうに捩らせる。

「ありがとう。夜羽はいい子だね」

「こ、こんなの、天使だったら当たり前だよっ」

 変なところでツンデレを発揮していた夜羽は、ふと微笑むと小さな手を伸ばして、ゆっくりとボクの頭に掌を置いた。

「?」

「夜翰も、いい子いい子。いつもお仕事頑張ってえらいね」

「……っ」

 不意打ちでとんでもない愛の塊を食らって、本格的に鼻の奥がツンとなった。なんだ、この天使の破壊力は。こんな可愛い子、たとえ産んだ覚えがなかったとしても、目に入れても痛くない程に愛おしくてたまらない。思わず目に滲んだ涙を擦ると、夜羽が慌てたように手を頬に当てた。

「大丈夫? どこか痛い?」

「違う違う。大丈夫だよ。ちょっと……嬉しくて」

 心ゆくまでゆっくり抱き締めてから、ボクは夜羽の宵闇色の瞳を見つめる。ボクよりも濃いブルーの瞳は、太陽の下だと海みたいに見えるけれど、光が当たっていない屋根の下では、星屑の眩い夜空の色だ。

「ありがとう。でもね、これは覚えておいて。夜羽はボクと紫咲が好きかもしれないけど、ボクも夜羽の事が大好きだよ?」

 そう言って頭を撫でると、夜羽はぴゃっとか何とか言いながらも、腕の中でボクにしがみついて動こうとはしなかった。あったかい体温の腕を軽く叩いてから、ボクは飲み終わった麦茶のコップを洗おうと立ち上がる。

「夜羽は? ちゃんとお茶飲んだ?」

「うーん、さっき。一時間くらい前」

「じゃあ、ちゃんと飲んどかないと。熱中症になるよ」

 いくらクーラーが効いているとはいえ、水分不足になれば涼しい場所に居ても体調を崩してしまう。台所に行って夜羽がこくこくお茶を飲む様子を見守ってから、スポンジに洗剤をつけて洗い物をしていると、隣で見守っていた夜羽がボクのシャツの袖を引っ張って、大真面目に尋ねてきた。

「ねえ。どうしたら、夜翰みたいにボク、かっこよくなれる?」

「え、ええ?」

「どうやったら、夜翰みたいに優しくて、強くって、人の気持ちがわかるようになるのかなぁ」

 思わずボクは、まじまじと夜羽の事を見つめ返してしまった。優しくて強くて、人の気持ちがわかるかっこいい人間は、夜羽の方じゃないだろうか。少なくともボクは、夜羽と見た目の年齢が同い年くらいの頃に、こんなに優しかった記憶はない。両親を何でも言いなりにさせて、好きな物をたらふく買ってもらうのは気持ち良かったけれど、その反面心はいつもトゲトゲとしていて、誰かを思いやって何かプレゼントしようなんて考えもしなかったと思う。

 夜羽はボクの分身だって紫咲は言うけど、ボクとは育ち方も性格も違う。ボクの両親は九歳の時に離婚したけど、夜羽には血のつながりはなくとも家族が揃っていて、怒る時も笑う時も泣く時も、いつだって誰かが傍にいる。そんな環境で育った夜羽は、ちょっと怖がりで照れ屋でませていて不器用で、でも誰かの為を思っていつも一生懸命になっている、そんな子だ。本当に元はボクなのかって思うくらい、何十倍も素直でいい子だと思う。

「……そっか」

「夜翰?」

 泡を流し、タオルで拭いた掌で頭を撫でていると、不思議そうに夜羽がボクを見上げてくる。

 今だから思う事。ボクは、自分と同じような思いを夜羽に味わわせたくなかった。家族が自分の思惑を外れて理不尽に引き離されてしまう事も、どんなにどうにかしたくても思い通りにならない物が世界にはあるって事も、その中でだんだん他人なんか信用しちゃいけないんだって諦めてしまう事も、味わって欲しくはなくて。

 だから、目の前の存在にほんのちょっとでも傷が付こうものなら心配でたまらなくて、辛い時でも優しい気持ちを忘れないでいて欲しくて。それが成長に伴って、いつかは失われてしまうものなんだとしても、ボクは出来る限り守りたいと思っているんだと思う。だって、ボクはこうはなれなかったから。過去という物は変えられないけれど、あの頃の自分を抱き締めてあげるようなつもりで、ボクは夜羽を見ているのかもしれない。

 洗ったコップを流し台の網棚に乗せてから、ボクはしゃがみ込んで夜羽を抱き上げた。魔法で幼児サイズまで小さくなる事も出来るらしいけど、小学生の体格のままだと流石にちょっと重い。

「うわぁ、何、何」

「大丈夫。心配しなくても、夜羽は大きくなったらきっと今よりもっとカッコよくなれるから」

「え、そうなの? 本当?」

「ほ・ん・と・う。だって、ボクの意伝子を継いでるんだよ? 間違いなく世界一のイケメンになれるね。ボクどころか、ボクより何十倍もカッコよくなるに違いない」

「そ、そんなに? 直生(なお)くんよりもかっこよくなる?」

「ああ、直生なんかもう目じゃないね」

 ボクのもう一人の恋人の名前を出してそう言い切ってやると、夜羽はちょっと考えるように首を傾げてから、無邪気に笑った。たとえ血縁上の父親でなくっても、それよりも大きなもので、創作という絆でボクらは繋がっている。ボクらを形作る要素で、文化的背景で、或いは誰かが想ってくれる気持ちで。それは脆く切れやすいものかもしれないけれど、でも誰かが想ってくれる限り、こうして一緒にいられるんだ。

 抱っこしたまま夜羽にほっぺたをくっつけていると、台所からサキの寝室に続く暖簾をぺろっと捲ったもう一人の子が、眠そうに顔を擦りながらひょっこり顔を出した。

「二人とも、ママがお目覚めですよ」

「おはよう、恵李朱……さっきのやり取り、もしかして聞いてた?」

「寝てたから、目頭にちょっと聞いたぐらい。お兄ちゃんが変な焼き餅を焼いてるらしいってところ辺りから」

「わー! 告げ口ズルいよ!」

 ボクの腕から飛び降りた夜羽が、恵李朱の肩をむぎゅむぎゅしながら、使い魔の蛇の目頭に文句を言っている。目頭は恵李朱の使い魔だけど、恵李朱と夜羽が仲良しだからか、夜羽にも懐いているみたいだ。ぐるぐる二人の体に巻き付くみたいにして、揶揄うように舌を出している。

 自分の使い魔に兄弟ごと拘束されているという変な格好で、恵李朱はふふんと得意げにボクへ向かって顎を反らした。シュールだ。

「それに、夜翰がパパなら紫咲はママでしょ、普通に考えて。だってこんなにイチャイチャなんだもん。夫婦じゃないとは言わせないよ?」

「う……」

 自分だって間違いなくそのつもりだけど、なんかこう、いつまで経っても他人に揶揄われるのはちょっと恥ずかしい。ボクは現世の人間じゃないのにこの家に来るのが当たり前みたいな顔して帰って来ていいのかな、という気持ちと、何年経っても甘々な恋人気分でいる気恥ずかしさ。でも、その両方を紫咲だって嬉しく思ってくれているらしいのだから、ボクがそれに乗っからない理由はない。

 図々しくてもふてぶてしくても、ボクは紫咲が好きだ。紫咲と、一緒に暮らしている家族の事が。

「そいで? パパからボクへのハグはないのですか」

「はいはい、恵李朱もこっちおいで」

「なんか、夜羽への対応と比べて雑ですな」

「そんな事ないから! 文句言わない!」

 わざとらしく変な言葉遣いになる恵李朱を抱き上げながら、思わず爆笑してしまう。訳あって、恵李朱の方は夜羽とはまた魂の所以を別にしているから、結構な変わり者というか癖の強い男の子だ。悪魔だけあって夜羽よりは随分強かだけれど、この子の事ももちろん可愛い。結局はその手練手管にやられてベロベロに甘やかしてしまう時点で、ボクも悪魔の虜なのかもしれなかった。

「いいなー」

「夜羽はさっき散々抱っこしてもらってたじゃん」

 羨ましそうに見上げる夜羽とボクの腕の中の恵李朱が大騒ぎしていると、紫咲がサロペットの部屋着姿で、苦笑しながら暖簾の内から姿を現した。

「おかえりなさい、夜翰さん」

「ただいま。ごめん、起こしちゃったね……」

「いいのいいの。私も、いい加減に起きてみんなとおやつの準備しないと。今日は何が食べたい?」

「冷蔵庫のプリン!」

「ゼリーの残りがいい( ˙꒳˙)」

「うーん、じゃあ片方は明日にしましょうか。一日ずつ食べよ。その代わり、一緒に今日買ったクッキーはどう?」

「さんせ~い!」

 真っ二つに割れた意見を紫咲は上手く纏めて、二人の背に優しく手を添えている。そんな中で、夜羽が慌てたように言った。

「そうだ、ボク忘れ物」

「忘れ物?」

「夜翰にまだ、おかえりのちゅーしてなかった。かがんでかがんで」

 せがまれて慌ててしゃがむボクに、夜羽と恵李朱が次々と頬にキスするのを見ながら、紫咲が口元に手を当てている。

「あらー。夜翰さんってば愛されてるね」

「……それで? おっ……奥さんは、愛してくれないわけ?」

 あれだけ夜羽と恵李朱に後押しされても、今のボクはそう言ってみせるのが精いっぱいだ。守りたいって思う。でも、今のボクじゃ未熟な事も分かるから、せめてあんたと一緒に、隣に並んで人生を歩きたい。

 立ち上がりながらふいと顔を背けつつ視線を送ると、紫咲はちょっと驚いたような顔をしてから、すぐ笑顔になった。

「もちろん。おかえり、夜翰さん。今日もお疲れ様」

「ん。ただいま」

 ちょっと照れた様子の彼女が背伸びをすると同時に、屈んだボクの頬へ軽く唇が触れる。たったこれだけ。でも、この仄かな温もりとハグの優しさに、いつもボクは安心する。

「ところで、今日の夜翰さんなんかめっちゃカッコ良くない!? 仕事帰りのお父さんみたいだよ!? どうしたの、鯨さんみたいな恰好しちゃって」

「あー、これは……色々訳があるんだけど、それより先に着替えようかな」

 スーツも悪くはないけれど、部屋着の方が皺を気にせずに、思いっきりみんなと触れ合えるしね。

 紫咲にも高評価を得たことに満足を覚えながら、ボクはシャツを掛けるためのハンガーを探しにリビングへ向かった。紫咲達がおやつを準備してコーヒーを淹れてくれている間に着替えて、もう一度ちゃんとみんなの事を抱き締めよう。ハグもキスも、何回したって悪い事なんてないのだから。




「ラベンダー・ブルー」で作っていたラベンダーの媚薬を、ヨルくんが夜翰さんにプレゼントしていたら素敵だなぁという気持ちで書きました。
でも、媚薬を使う使わない以前に、この二人はすっごく幸せな気持ちになっているみたいで、それこそ素敵な魔法だなぁ……と書きながら思っていました。
この二人の可愛いところをいっぱい書きたかったんですけど、本当にもう、ちょっと、可愛すぎる(限界)

「意伝子」という言葉は、昨今では話題のミームという言葉と同義らしいです。
文化的背景を元に、人から人へと伝わっていくもの……と認識していますが、私も細かくはわかっていません←
マルメロ家のそれは、社会に根付くほど大きなものでは決してないけれども、私本人や時には読者の方の力によって、細々と繋がっていくものであればいいなという思いです。
セブンスコード原作には、意伝子と遺伝子両方の言葉が出てきます。
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