表の顔は探偵で、裏の顔は忍び   作:カオスカラミティ

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この話から刹那の事をアリサと書いていきます。

これを書いてる時に、毛利蘭の声優さんの山崎和佳奈さんの訃報を知りました。ご冥福をお祈りします。


幕間③・名探偵アリサ・ヴィンヤード(前編)

ー乾杯した翌日

 

アリサ「おはよう〜、姉さん。」

 

クリス「おはよう、アリサ。朝食、出来てるわよ。」

 

そう言ったクリスの目の前には、2人分の朝食が用意されていた。

 

アリサ「ありがと〜。」

 

寝ぼけ眼を擦りながら、席につくアリサ。

 

クリス「それじゃ、いただきましょうか。」

アリサ「は~い、いただきま〜す。」

 

もしゃもしゃと半分目を閉じた状態で、クリスが作ってくれた朝食を食べているアリサ。それを見たクリスが一言。

 

クリス「大丈夫?」

 

アリサ「時差ボケで眠いだけだから、大丈夫よ〜。」

 

クリス「それなら良いけど。ところで1つ聞いても良い?」

 

アリサ「な〜に〜?」

 

クリス「昨日、乾杯したけど。貴女、まだ19歳で未成年よね?」

 

それを聞いて、何かを察したアリサはクリスの言葉に反論する。

 

アリサ「あぁ〜、それなら大丈夫よ。忍びとしての忍務で酒を飲まなきゃいけない時があったから。」

 

クリス「酒を飲めるように、訓練したって事?」

 

アリサ「That's right.(その通りよ)」

 

その後、朝食を食べ終えると、早速アリサは本題を切り出す

 

アリサ「それで?いつ、ターゲットを抹殺するの?」

 

クリス「今はまだよ。準備が整ってからね。」

 

アリサ「えぇ~。」

 

とある人物を殺す為に、アメリカに呼ばれたのに準備が整ってないからという事で、まだ殺しはしないと言われて不貞腐れるアリサ。

 

クリス「フフッ。その代わりと言ってはなんだけど、私の行きつけのお店に連れて行ってあげるわ。」

 

アリサ「あら、それは魅力的な提案ね。アメリカの大女優の行きつけの店に行けるなんて。」

 

クリス「でしょう?それじゃ、準備してらっしゃい。1時間後に出るから。」

 

アリサ「了解。」

 

 

ー1時間後、マンションの駐車場にて

クリス「さぁ、乗って。」

 

アリサ「まずはどこに行くの?」

 

クリス「とりあえず、服ね。」

 

それを聞いた刹那は「うげぇ〜」という表情をする。それを見たクリスはため息を吐く。

 

クリス「日本ならまだしも、アメリカでは私の妹という設定なのよ。なのに、ドレスの一着も持ってないのはどうかと思うわよ。」

 

そう言われたアリサは、何も言い返せずにうなだれるしかなかった。

 

クリス「それじゃ、行くわよ。」

 

アリサ「は~い…。」

 

そして、マンションの駐車場からクリスが運転する車が飛び出し、目的地へと向かう。

 

 

ー車内にて

クリス「ところで、貴方が会得しているコスモ…なんだったかしら?それってどういう物なの?」

 

アリサ「コスモ幻獣拳ね。私が卒業した善の忍びのエリート校ー〈死塾月閃女学館〉にのみ伝わっている最強の拳法よ。」

 

クリス「貴女が卒業した学校は、近代武器は使わないの?」

 

アリサ「まさか…。普通に拳銃とか使ってる奴もいるわ。ただ、私は使う気にはなれないけどね。」

 

クリス「どうして?」

 

アリサ「拳銃を使うと、無意識に自分が有利だと思い込んで、隙が出来るから。だから私は、忍具を中心に戦闘を行うの。」

 

クリス「なるほどね。」

 

アリサ「なんなら、貴女にも教えてあげようか?」

 

クリス「フフッ、遠慮するわ。」

 

アリサ「あっそ。」

 

その後、クリスの行きつけの服屋に到着したが、その後がアリサにとって地獄だった。

 

アリサ「いつまで試着を続けるの〜?」

 

クリス「素材が良いから、何を着ても似合うのよね〜。」

 

アリサ「疲れたよ〜。」

 

それから1時間半後、アリサの服選びが終わり、再び車に乗って次の目的地へと向かう2人。

 

 

アリサ「疲れた〜。」

 

クリス「でも、おかげで良い服を買えたでしょ?」

 

アリサ「アメリカ限定でしか使わないけどね。」

 

 

その後、今度はクリスの行きつけのレストランに来た。

 

支配人「これはクリス様、ようこそいらっしゃいました。」

 

クリス「久しぶりね支配人。今日は妹と一緒に来たわ。」

 

アリサ「初めまして、クリスの妹のアリサ・ヴィンヤードです。」

 

支配人「支配人のリッチーと申します。よろしくお願いします。それでは、お席にご案内しますね。」

 

席に座った2人は支配人から渡されたメニュー表に目を通す。すると、アリサがすぐにため息を吐く。

 

クリス「あら?どうしたの?」

 

アリサ「いや、人気女優ともなるとレストランのレベルが半端ないな〜と。」

 

クリス「フフッ。そうは言うけど、1年間は貴女もこういう所に来ないといけない時もあるわよ。」

 

アリサ「クリスの妹だからね〜。めんどくさ〜。」

 

アリサがそんな愚痴をこぼし、クリスがそれをなだめていると、料理が運ばれてきた。そして、一緒に来ていた支配人のリッチーが料理の説明をする。

 

デプレ「前、失礼しますね。」

 

アリサ「ええ。」

 

料理が置かれ、リッチーの説明が終わると運んできたデプレとリッチーは奥の方へ戻っていった。

 

クリス「それじゃ、いただきましょうか。」

 

アリサ「ええ。……美味しいわね。」

 

クリス「当然よ。私の行きつけなんだから。」

 

約1時間後、食事を終えた2人は食後のコーヒーを楽しんでいた。しかし…

 

「キャアアァァァァッ!!」

 

2人「っ!?」

 

厨房の方から悲鳴が聞こえたと思ったら、支配人のリッチーが慌てて店内に来て、『人が殺されたので皆様、警察が来るまでお席を動かないように。』と言われた。

 

それから数十分後に警察が来て、現場検証を始めた。

 

アリサ「最悪なんだけど…。早く帰りたいわ。」

 

クリス「あら。だったら、貴女が事件を解決したら?」

 

アリサ「待ってよ。私は忍びであって、探偵じゃないのよ?(小声)」

 

アリサがレストランで起きた事件にうんざりしていると、クリスが『貴女が事件を解決したら?』なんてとんでもない事を言ってきたので、『私は忍びであって、探偵じゃない』と反論するアリサ。

 

クリス「フフッ。なら、今から『名探偵アリサ・ヴィンヤード』の誕生ね。」

 

アリサ「ちょっと、話聞いてた?(怒)」

 

しかしクリスは、軽く笑うと『今から名探偵アリサ・ヴィンヤードの誕生ね。』なんて、とんでもない事を言い出した為、アリサは眉間にシワを寄せてクリスを睨む。

 

だが、クリスはニコニコするだけなのでアリサは頭を垂れる。

 

アリサ「ハァ〜、ちなみに私を名探偵にしようとする理由は?」

 

クリス「いくら私の妹でも、少しは名を通しておかないと、動き辛いでしょ?でも、私と同じ女優は“親の七光り”と言われかねないし。」

 

アリサ「それで名探偵として名を売れって事?」

 

クリス「That's right.」

 

アリサ「ハァ〜、OK。それじゃ、顔を売ってくるから、少し力を貸してもらうわよ、姉さん?」

 

そう言うとアリサはクリスと共に、近くにいた警察官に話しかけて現場の責任者であるレッドウッド警部に、取り次ぐように言った。

 

 

ー数分後

レッドウッド「久しぶりだね、クリス。」

 

クリス「ええ。」

 

レッドウッド「それでこちらにいる子が?」

 

クリス「私の可愛い妹のアリサよ。」

 

アリサ「初めまして、アリサ・ヴィンヤードです。単刀直入に言いますが、警部さん。事件の概要、現場の状況、容疑者の人数、被害者の状態を教えて下さい。」

 

アリサの言葉に一瞬、「えっ?」という感じで呆けるレッドウッドだが、すぐに正気に戻る。

 

レッドウッド「いやいや、いくらシャロンの娘であり、クリスの妹であっても事件の事は話せないよ。」

 

クリス「大丈夫よ警部。アリサは探偵になる為に帰ってきたの。ちゃんと警察の領分と探偵の領分の線引きは出来る子よ。」

 

レッドウッド「ウ~ン。しかしなぁ〜…。」

 

するとアリサは、レッドウッド警部に耳元で何かを囁く。すると、警部は顔色を変えて一言。

 

レッドウッド「そういう事なら仕方ないな。ただし、現場には入らないようにな。」

 

アリサ「もちろんですよ。それじゃ、教えて下さいレッドウッド警部。」

 

それから数分後、レッドウッド警部から事件の概要、現場の状況、容疑者の人数、被害者の状態を聞き出したアリサは手帳にその事を書き込んで考え始める。

 

 

◇事件の概要

レストランの料理長であるラリー(35歳)が、冷凍室で背後から撲殺されているのをバイトの店員が発見した。検視官の見立てでは、死後1時間程しか経過していとの事。

 

◇現場の状況

現場は魚や肉を置いておく冷凍室で起こり、その部屋の中央で料理長のラリーが後頭部を殴られ、倒れていた。

 

◇被害者の状態

後頭部を殴られた跡以外に目立った傷は無し。被害者の足の周辺には、凶器から垂れた被害者本人の血液が数滴落ちて、固まっていた。

 

◇事件の被害者・ラリー(35歳)

レストランの料理長

 

◇容疑者

リッチー(35歳)、男性

レストランの支配人

 

デプレ(33歳)、男性

ウェイター

 

ティラ(29歳)、女性

副料理長

 

それ以外の店員達は皆、2人以上で行動していた為に容疑者から外れた。

 

 

アリサ「こんな感じね。」

 

クリス「分かりそう?」

 

アリサ「これから考えるわ。そうだ警部、1つ良いかしら?」

 

レッドウッド「何かな?」

 

アリサ「被害者の頭部から、凶器の割り出しは出来そうなの?」

 

レッドウッド「いや、検視官と一緒に見たんだが、被害者の頭部の傷跡はボコボコしていて割り出しは難しいね。」

 

アリサ「ありがとう。」

 

 

その後、アリサとクリスは事件現場から少し離れたテーブルに座っていた。

 

クリス「それで?犯人はもう分かった?」

 

アリサ「そんな簡単に分かるわけないでしょ。分かったのは、凶器はキッチン用品じゃないって事ね。」

 

クリス「どうして、そう思うの?」

 

アリサ「キッチン用品って、だいたいの物は角ばってたり、曲線を描いてたりするじゃない?でも、レッドウッド警部から聞いた被害者の頭部の傷跡は“ボコボコしていた”。」

 

クリス「なるほど。キッチン用品じゃ、そんな傷跡にはならないわね。」

 

アリサ「そういう事。だから、凶器の探索は後回しにして被害者の人間関係でも探ろうかな。」

 

クリス「頑張ってね。」

 

ニコリと微笑んで、席を離れていくアリサを見送るクリス。

 

レッドウッド警部から一応許可をもらい、関係者に話を聞き始めるアリサ

 

◇レストランの支配人・リッチーの証言

アリサ「レストランの支配人リッチーさん。お話を聞かせて下さい。」

 

リッチー「はっ、はあ…。」

 

アリサ「ああ、ちゃんとレッドウッド警部の許可は取ってあるので、安心して下さい。」

 

リッチー「わっ、分かりました。それで聞きたい事とは?」

 

アリサ「殺された料理長であるラリーさんに、恨みを持ってる人に心当たりは?」

 

リッチー「恨みを持ってる人ね〜?」

 

アリサの質問にリッチーは顎に手を当て、考える。そして数分後…

 

リッチー「ああ。そう言えば、ウェイターのデプレと口論になってたな。」

 

アリサ「口論の内容は?」

 

リッチー「よく聞き取れなかったが、俺の料理がどうのこうの言ってたな。」

 

アリサ「なるほど。ちなみに、貴方は被害者と確執は?」

 

リッチー「しょっちゅうだね。『俺はアメリカで一番の料理人だ!だから、給料を上げろ!』とか『俺のやる事に従順なスタッフを入れろ!』とか。」

 

アリサ「超絶自己中男なんですね。ありがとうございました。」

 

 

◇ウェイター・デプレの証言

アリサ「ラリーさんと料理の事で言い争ってたという証言があるんですが?」

 

デプレ「それは、あいつが自意識過剰というか。」

 

アリサ「どういう事ですか?」

 

デプレ「あいつ、プライド高過ぎるんだよ。『料理を運ぶ時は俺様の完璧な飾り付けを崩すなよ』とか、お客様からの伝言を伝えたら、『俺の料理にケチつける奴は、客じゃない!』とか。」

 

アリサ「何様のつもりなんですかね。」

 

デプレ「ほんとにな。あっ、そういえば1週間位前に副料理長のティラと言い争ってるの見たぞ。」

 

アリサ「情報提供、ありがとうございます。」

 

 

副料理長・ティラの証言

ティラ「あいつと言い争ってるのを見られてたって?そりゃ、そえなるわよ。」

 

アリサ「なぜ?」

 

ティラ「あいつ、私に愛人になれって言ったのよ!!」

 

アリサ「うわっ。最低…。」

 

ティラ「でしょ!?」

 

アリサ「ちなみに、それ以外で何かされた事は?」

 

するとティラは小声で…

 

ティラ「セクハラなんて、日常茶飯時よ。」

 

アリサ「超絶最低…。」

 

ティラ「本当にね。」

 

アリサ「辛い事を教えてくださり、ありがとうございました。」

 

 

容疑者3人から軽く話を聞いたアリサは、クリスのいるテーブルに戻ってきた。

 

クリス「お疲れ様。何か進展した?」

 

アリサ「被害者がクズ野郎って事だけは分かったわ。」

 

クリス「……(汗)」

 

アリサ「そういえば、レッドウッド警部に犯行時刻前後の、容疑者3人の行動を書いてもらった書類があるはずだけど?」

 

クリス「受け取っといたわよ。どうぞ。」

 

アリサ「Thank you」

 

クリスが書類の入った封筒をアリサに渡し、それを受け取ったアリサは早速、中身を見る。

 

すると、アリサはニヤリと笑って一言。

 

アリサ「なるほど。あの人が犯人か。」

 

クリス「分かったの?」

 

アリサ「ええ。何もかもね。」

 

◇後編に続く

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