【書籍化決定】馬乗りされて体力がなくなるまでやられる悪役〜今度は主人公の好感度を上げまくっていたら全員に惚れられた件〜   作:陽波ゆうい

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第35話 悪役は思う存分、悪役になることを決意する①

 午前中は森の体験プログラムというのを行い、伐採体験や丸太の皮むき体験などをした。

 ……そういや、皮むきってワードで妙に男子がそわそわして反応をしていたが……思春期すぎるだろ。だが、俺に言わせれば可愛いものだ。俺なんて、立派なちんちんを、雲雀に鼻で笑われたんだぞ。もう男として誇れるモノがない気がする……。

 

 伐採体験は、固定した丸太をチェンソーで切るという単純そうな作業だったが……これが意外と難しかった。包丁とは違い、チェンソーは振動している。頭では真っ直ぐ刃を下ろしているつもりが、振動で刃の位置がずれてしまったり、木がまっすぐ切れなかったりと難しかったなぁー。

 

 時間は過ぎていき、

 

「林間学校最後の昼ごはんだ。存分に食べろよー!!」

 

 昼飯の時間になった。今日は、自然豊かな外でのバーベキュー。班ごとにバーベキューコンロが支給され、それぞれで食材を焼いて食べて楽しむ。

 

「う〜ん! 美味しい〜!」

「大自然の中でみんなと食べているというのも美味しさの秘訣なのかもね」

「もっと焼こう〜♪」

「はいはい。待っててくださいねー」

 

 俺は新しい肉や海鮮類を網に並べる。じゅゅ〜〜と、美味しそうな音。香ばしい匂い。これだけで幸せになれるよな。

 

 ここで悪役、笠島雄二さんからワンポイントアドバイス。お肉や海鮮類を網で焼くと、くっついてしまうことがあるだろう? そういう時には、熱した網にお酢を塗っておくと綺麗に焼ける。特に魚などは皮が剥がれないで綺麗に焼くことができる。

 

 ちなみに俺は焼く係だ。自分から立候補した。

 

「結斗。こっちのお肉も美味しいよ。私が食べさせてあげよう」

「お姉ちゃんはさっきからお肉ばっかりあげすぎなんだって! ゆいくん、まずは人参から食べよっ。あーん♪」

「だから僕は1人で食べられるよ〜」

 

 目を離せばイチャイチャし始める3人の光景を、焼くという作業で紛らわせているのだ。

 

 まあこうやって平和で楽しそうな雰囲気の方がいいよな。

 結斗はプレゼント代金が紛失したことを知っているが、美人姉妹は知らない。せっかくの林間学校なんだし、そんな事を気にせず楽しんだ方がいいに決まっている。

 

 網に並べたお肉の焼き具合を見ていると、まひろが近づいてきて、

 

「雄二くん。そろそろ焼くのを代ろうかい?」

「いや、いい。まひろさんは特にじっとしてて」

 

 昨日の昼飯の時の様子じゃ、ただ肉を焼くって作業だけでもまひろだと出来なさそうだ。

 

「その目は、私に焼く係を任せると食材が灰になってしまうと思っているのかな」

「そこまでは思っていなかったが……つか、自覚あるんかい」

「まあよく失敗をしているからね。失敗は成功のもとというが、中々難しいね」

「まひろさんは料理道具の性能から学んだ方がいいと思う……うん。俺も焼きながら肉をちょこちょこ食っているから大丈夫だ。みんなとゆっくりしてくれ」

「そうか。ではお言葉に甘えさせてもらうよ」

 

 まひろさんは結斗とりいなの元へ戻っていった。

 

「……笠島」

「ん? おお、田嶋」

 

 俺の背後から田嶋が話しかけてきた。隣の班ってそういえば田嶋の班だったか。

 

「どうだった?」

 

 俺の質問に、田嶋は首を横に振った。

 ……そうか。男子全員に聞いて調べて回ったがやはり誰もプレゼント代が入った封筒は持っていなかったか。

 

「女子にも聞くか?」

「いや、いい」

「な、なんでだよっ」

「だから焦るなって……。先にやる事があるからだ」

「やる事だと……?」

「詳しいことはバーベキューの後だ。今はしっかり食って楽しんで一瞬でもその事は忘れろ。昼休み時間が50分ほどあるだろ? その間、俺の部屋に集合してくれ」

 

 

 

 

 

「プレゼント代が入った封筒が盗まれたとは驚きだね。大変な事態じゃないか」

「…………」

 

 俺の部屋には、俺、結斗、田嶋。そして、まひろとりいなを集めた。2人にはプレゼント代が入った封筒が紛失したことを話した。

 

「私たちを呼んだってことは何かあるんだろう、笠島くん?」

「さすがまひろさん、鋭いな。その犯人とやらなんだが……俺の見立てでは……"りいなさんに恨みを持っているやつ"だと思う」

「「えっ!? りいなちゃん!?」」

 

 田嶋と結斗の声がハモる。まひろは難しい顔。りいなは……暗い顔をしていた。話をし終えた時点で少しは察していたのだろうか。

 

「りいなさん。昨日、一方的に文句を言っていた女子生徒の名前って分かるか?」

 

 色々と事情は飛ばし、聞く。

 りいなは重い口を開く。

 

「名字はわからないけど、下の名前は確か……"理沙"っていう人」

「その理沙さんは、容姿は染めた茶色のストレートで派手目のメイクだった。……田嶋。お前の彼女か?」

  

 田嶋に視線を向けると、気まずそうな顔をしていた。

 

「その反応だと彼女なんだな?」

「ご、ごめんりいなちゃん! 俺の彼女が迷惑かけて……!」

「………いえ」

 

 田嶋の彼女が何故りいなに恨みを持っているのかとかの詳しい説明もしたいが……話を進めるのが先だ。

 

「で、だ。仮に、田嶋の彼女が犯人なら狙いは——りいなさんをプレゼント代金を盗んだ犯人に仕立て上げ、クラスの信頼のみならず、学校全体の生徒の、りいなさんへの信頼を落とす……ためかもしれない。それじゃないにしても腹いせでやったのは間違いないと思う。だが、今は証拠がない」

「それで私たちの出番かい」

 

 ほんと、まひろは察しが良くて助かる。

 

「この場にいるみんなに協力してほしいことがある。……お願いしてもいいか?」

「僕はもちろん協力するよ!」

「私もだ。妹のりいなに腹いせで本当にそんなことをやったのなら許せないからね」

「お、俺も! もし俺の彼女がそんなことをやったのなら……俺にも原因はあるし……」

 

 みんな協力してくれるようだ。最後にりいなを見ると……彼女も小さく頷いた。

 

「じゃあ今から説明する。そのあとのことは俺に任せろ。俺の悪人顔を存分に使ってやるよ……クックック……」

「笠島……? なんかお前、顔がもう、マジモンの悪人顔だぞ……? ほどほどにな?」

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