【書籍化決定】馬乗りされて体力がなくなるまでやられる悪役〜今度は主人公の好感度を上げまくっていたら全員に惚れられた件〜   作:陽波ゆうい

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第42話 勉強会の場所は悪役の家

『笠島の家で勉強会しようよ』

 

 えー……何を言ってるんだ、りいなは。いや、俺を揶揄うための冗談かもしれない。

 

「りいなさん。今日はエイプリルフールじゃないぞ?」

「私の提案がそんなにおかしい?」

「おかしいだろ」

 

 ゲームでも現実となった今も。結斗にしか眼中にない美人姉妹のひとりが、俺の部屋で勉強会を提案? バグにも程があるだろ。一体何が目的で……。

 

「りいな。笠島くんの家で勉強会なんて勝手に決めてはダメじゃないか」

「おお、まひろさん! やっぱりそうだよな……!」

 

 勉強会の場所はやっぱり違うところで……。

 

「まずは笠島くんが家の人に許可を取らないといけない」

「俺の家ですることには賛成なんだ」

「僕もっ。僕も笠島くんの家で勉強会したいっ。男友達の家に行くの初めてだし……憧れてたんだ! えへへ!」

 

 きっと無自覚にやっていると思うが、結斗の説得力がハンパないっ。断りづらすぎる……!

 

「それに、静かにしないといけない図書館では、教え合いをすることはできないだろうし、混み合う前のファミリーレストランでは……ねぇ?」

「まひろちゃんとりいなちゃんは、どこに行っても注目を浴びちゃうから家みたいな個室じゃないと勉強が始められないんだよね。あはは……」

 

 結斗の苦笑ぷりから、家で勉強会を開かなければいけないという理由は分かった。

 

「だからって俺の家ってのは……」

「ゆいくんは仲がいいかもしれないけど、私とお姉ちゃんは笠島とたまに話す程度であって、まだ完全に信用したわけじゃないんだから。私たちの家に招いたら何するか分からないし……」

「別に何もしないけど、そっちの立場からすると、そう考えても無理はないな」

 

 美人姉妹はモテるが故、男にはより警戒しているだろう。

 それに、今の俺のポジションは、結斗の友達で、美人姉妹にとってはおまけで付き合っているだけの男。信用という面でも、他の男たちとほとんど変わらないだろう。

 りいなの方は一応話を聞いた身ではあるが……過去を知るほど警戒はするよな。

 

「ゆいくんの家でも同じことが言えるからね」

「俺が結斗の部屋で何をするんだよ……。でも俺の家に来るんだったら、俺の立場からも同じことは言えるだろ。お前らが俺の家で何するか分からない」

「そ、それは……」

「ふふ。りいなは難しいことを言っているけど、単に笠島くんの家に行きたいんだよ」

「え」

 

 りいなが俺の家に……? 何故に?

 

「お姉ちゃん!? そ、そんなんじゃないからっ」

「そうなの? てっきり結斗と同じかと思っていたよ」

「りいなちゃんも雄二くんの家に行きたいのっ? 僕も行きたいっ!」

 

 なんか、3人でわちゃわちゃし始めた。

 このままだと話纏まんなそうだし……。

 

「色々と事情は分かったし、俺の家で勉強会は……まあいいぞ」

 

 部屋も広いしな。それに自分の家なら変な疑いもかけられないし。

 

「ありがとう、笠島くん」

「あ、ありがとう……」

「やったぁ!」

 

 結斗は手を上げて大袈裟に喜ぶ。

 

 雲雀には勉強会のことは話さないといけないな。

 

 日程はいつか、と聞こうとした時だった。

 

「笠島ー!」

「げっ」

「げっ、ってなんだ! その嫌そうな顔はなんだ!」

 

 話を盗み聞きしていたのか、田嶋がこちらにきた。その隣には里島。林間学校以来、たまに話す男たちだ。

 

「こほんっ。それでだ、笠島」

「却下」

「俺たちもお前の家で勉強会を」

「却下」

「話を最後まで聞いてくれよぉぉ!」

 

 頭を抱えて叫ぶ田嶋。騒がしいやつが増えたものだ。

 

 一瞬だけ敵対していた、ゲームのモブ的2人だが、接してみるとちゃんと個性はある。

 田嶋は、お調子者。喜怒哀楽が大袈裟でうるさい。

 里島は、田嶋より冷静。大人びたクールさ、とまではいかないが、騒がしい田嶋に冷静にツッコミを入れる。

 

 2人とも、俺のことは見た目の印象よりは悪いやつじゃないと思ってくれている。

 

「なんでダメなんだよ!」

「だって、お前はなぁ……」

 

 りいなをチラ見する。

 りいなに惚れたことがキッカケで、林間学校ではプレゼント代金紛失事件が起こった原因だしなぁ。ちなみに彼女とは別れたらしい。

 

「それなら大丈夫だ」

「え?」

 

 俺のりいなへの視線で察したのか、田嶋がぐっと親指を立てて言う。

 ということは、りいなのことは諦めたのか……?

 

「笠島。お前、いつも送迎にくる美人なメイドさんいるよな」

「ああ、いるが……。……お前まさか……!」

「俺にメイドさんを紹介——」

「里島こいつ殴っていいか?」

「いいぞ」

「って、おおおおい! 特に里島ぁ! 友達の新たな恋を応援しろよ!!」

「いや、目移り早すぎて逆に引く」

 

 田嶋はどうやら惚れっぽい体質らしい。美少女か美人ならすぐさま惚れてしまうのだろう。

 

「うちのメイドを狙うなら、なおさら勉強会には参加させん」

「1日でいいんだ! 頼む!」

「勉強会は出会いの場ではない」 

 

 キッパリと言うと田嶋はまた大袈裟に騒ぐ。と、今度は里島の方が、

 

「こいつの理由はしょうもないが、俺からも頼む、笠島」

「俺からも頼むが、里島の方でこいつを引き取ってはくれないか?」

「残念だができない。もし、勉強会に参加することを断られたら」

「断られたら?」

「俺との勉強会の時に、駄々をこねて非常にめんどくせえ……はぁ……」

 

 苦虫を噛み締めるような顔。こっちもこっちで後々めんどくさいんだなぁ。

 

「雄二くん……」

 

 隣を見ると、結斗と美人姉妹が俺を見ていた。

 

「ああ、話に置き去りにしてすまん。3人はどうだ?」

「私は構わないよ」

「ええ……」

「僕もいいよ。みんなで勉強だっ」

 

 りいなだけ嫌そうな顔をしている。まあ田嶋が一目惚れしたせいで巻き込まれた被害者みたいなもんだしな。田嶋に苦手意識ができたとか?

 

「ま、まあ色々と配慮はするからさ」

「それなら……。ゆいくん。私のことを守ってね」

「え? う、うん」

 

 結斗のやつ、意味が分かってないって頷いたな。

 

「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!」

「ありがとう、みんな」

 

 田嶋と里島も勉強会に参加と……。俺も合わせて6人。賑やかな勉強会になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

「来週の土曜日はうちで勉強会を開くことになった。人数は俺を入れて6人だ」

 

 夕食を終え、洗い物をしている雲雀に告げる。

 

「中間テストが近づいているからですか」

「そうだ」

「小テストの点数が悲惨なものだったからと推理します」

「当たりだ。ちなみに点数は聞かないでくれ」

「一桁ですね。分かりました」

「分かって欲しくなかった……」

 

 雲雀は鋭いな……。

 

「勉強会の日は雲雀はどうする? 出かけるか?」

「いえ。家におります」

「そっか。でも外出したくなったら自由にしていいからな」

「分かりました」

 

 さて、話も終わったし日課の腹筋背筋腕立てでも……。

 

「雄二様」

「ん?」

「例の……いえ。なんでもないです」

「そうか」

 

 なんでもないと言うなら無理に聞き返さないで置こう。

 

 

 筋トレを終えた雄二がお風呂に入っている間。洗い物を終えた雲雀は呟く。

 

「美人姉妹……彼女たちもいらっしゃいますよね。雄二様が私以外の女性を家に招き入れるなんて……考えたこともありませんでした」

 

 

 

 

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