【書籍化決定】馬乗りされて体力がなくなるまでやられる悪役〜今度は主人公の好感度を上げまくっていたら全員に惚れられた件〜   作:陽波ゆうい

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第48話 悪役。美人姉妹の家へ

「中に入ったら、リビングで適当にくつろいでいいから」

「あ、ああ……」

 

 美人姉妹の家はごく普通の一軒家とはいえ建坪は広い。

 玄関に続く通路を歩き、ドアの前へ。りいなが家の鍵を探しているうちに俺は辺りを見渡す……。

 

 美人姉妹の家にきてしまった……。

 普通だったら、美少女の家に招かれヒッャハァー状態が……俺はとても緊張している。

 

 ここは現実であっても、あくまでゲームの世界。笠島雄二が最初で最後に美人姉妹の家にきたのは……

 

『無駄話はここまでだ。さぁ続けようじゃないか』

『そうだね。なにも死にはしないんだから……』

『ああ………あああああああああああああーーーーっ!!!』

 

 馬乗りされて体力がなくなるまでやられた日。バッドエンドの日である。

 

 思い出すだけで血の気が引いたり、目眩がしてきたりするトラウマものである……。

 

「笠島。なにボーっと突っ立ってんの?」

 

 いつの間にか家の鍵でドアを開けていた、りいなが言う。

 

「あ、いや……」

「もしかして緊張しているとか? ぷぷ」

「そりゃまあ……って、バカにしたように笑うな!」

 

 口を手で抑えながら馬鹿にしたような笑みを浮かべている。そんなりいなにドアを開けてもらっているので、先に入る。

 

「お、お邪魔します……」

「はーい」

 

 俺に続き、りいなも中に入ると後ろ手にドアを閉め……ガチャリと鍵をかけた。

 

 

 

 

 リビングに通され、テーブルに座る。

 

「ほぇー」

 

 観葉植物やアンティークが置いてあり、掃除もちゃんとしている綺麗な空間。林間学校での調理を見た感じ、部屋を綺麗にしているのはまひろではなく、りいなな気がする。

 

「そんなに部屋を見渡さないでくれる? ……変態」

「落ち着かないんだからしょうがないだろうが!」

 

 下手したら美人姉妹の家は、事件現場みたいなものなんだから! 別の意味で落ち着かないんだよ……!!

 

「まあ私も、なんだかんだで父親とゆいくん以外の男の人を家に入れたのは初めてだし……」

「へぇ、意外」

「なに? 私が家に男をホイホイ入れてるビッチとでも?」

「いや。俺は家に呼ばれるほどは信用されるようになったんだなーと。つか、りいなさんのこと……というか、過去は林間学校の時に聞いたし、勘違いしないよ」

「ふーん。ちなみに、家に入れるほど信用してるってのは勘違いだから」

「じゃあなんだよ?」

「お礼の……ついで」

「そうですか」

 

 これ以上突っ込んでもしょうがないので話を切る。

 

『なに? 私が家に男をホイホイ入れてるビッチとでも?』

 

 そう言った時のりいなは……瞳に光がなくて表情も暗かった。

 

 しばらくして、りいながトレーに乗せたお茶の入ったコップを俺の前に置いてくれた。

 

「お茶ありがとう」

「いいえ。あと着替えてきていい? 家ではすぐに部屋着に着替えないとダメな派だから」

「ああ、いってらっしゃい……」

 

 数分後。着替えたりいながリビングに戻ってきた。

 

「お、おお……」

 

 りいなの格好に思わずそんな声を漏らす。

 

 サイズがひと回りでかいだぼだぼの黒のパーカーに、黒いショートパンツを穿いて、綺麗な足をさらけ出している。

 結斗が言うには、りいなはオシャレでよく服を選んでもらっていると言っていたが……家だと割とラフなんだな。

 

「こんなだらしない私を見せるのはアンタだけだから」

「ごふっ!?」

 

 口に含んだお茶を吹き出しそうになるのを必死で堪える。

 

「急になんだよ……」

 

 言い草がまるでヒロインなんだが……。あっ、ヒロインだったわ。

 

「別に。私の素を知っているアンタならこれくらいいいかなって思って」

「そーですか」

 

 ツンツンしたり、なんか素直になったり……りいなの感情がぶれぶれすぎて読めん……。

 

「お礼の手料理なんだけど、今から作るから、特に凝ったものは作れないから」

「お、おう」

「でも、感謝の気持ちは込めて作るから」

「そうか。あ、ありがとう……」

 

 マジで感情が読めん。

 だが、お礼が終わったら無事に家に返してもらえるのは間違いないと思う。

 

 

 

 

 雄二が美人姉妹の家にいる頃。雲雀は姉を———雄二と住むマンションへと連れていた。姉が駄々をこねて行きたいと言ったからである。

 

「ここが雲雀が住む家……すぅぅ。うん! 雲雀の匂いもする!」

「キモいのでやめてください」

「さて、中には……あっれぇ〜? 愛しのご主人くんはまだお帰りではないの〜?」

「雄二様はお友達と打ち上げでもしている頃でしょう。テスト最終日でしたから」

「なるほどー。じゃあ今のうちにご主人くんの部屋でも探索してー」

「やめてください」

 

 雄二がいない間、雲雀は姉に振り回されているのであった。

 

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