馬乗りされて体力がなくなるまでやられる悪役〜今度は主人公の好感度を上げまくっていたら全員に惚れられた件〜   作:陽波ゆうい

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第63話 悪役と待ち合わせ②

「どんだけナンパが多いんだよ……」

 

 ゲーム世界にきてもう3度目くらいのナンパ目撃。

 最初は雲雀。雲雀はナンパ男の股間を蹴って自分で撃退したよな。

 次にまひろ。最近の出来事である。自分でも追い払うことができたと思ったが……一応俺の強面で追い払った。

 

 そして今。まひろとりいなの美人姉妹がナンパされている。

 

 現実世界でもゲームの世界でも、美人や美少女はナンパしたくなるのは同じということか。

 

「あはは……2人は可愛いからナンパされちゃうよね」

「可愛いも大変だな」

「僕もたまにナンパされるんだけど、やんわりと断るの難しんだよね」

「え」

「え?」

 

 結斗……ナンパされるのか。ああ、そうか。きっと女性からナンパされるんだよな。逆ナンだよな。なんだ、言い間違えか。

 

「でも僕、男なんだけどね」

 

 どうやら変態にナンパされているようだ。

 

 触れてはいけない何かを感じて、美人姉妹の方に視線を戻す。

 ナンパしている男2人は、ガタイの良い色黒。

 

「なぁ、いいじゃん〜」

「30分だけでいいから、俺たちと遊ぼうよ」

「悪いですけど私たちは、待ち合わせしている人がいるので」

「………早くどっか行って」

 

 遠くにいるので、会話はほぼ聞こえないが、対応に慣れてそうな、まひろが前に出て、その後ろであからさまにめんどくさそうにしている、りいなというのは見て分かる。

 

「雄二くん、早く助けに行った方がいいよね!」

「だな」

 

 せっかくプールで遊ぶというのに、ここで体力を使ってしまっては勿体無い。

 

 俺も結斗もベンチから離れて……。

 

「待った、結斗」

「え?」

 

 先に歩いていた結斗の手を握って止める。

 俺たちの出る幕などないのかもしれない。 

 まひろとりいなの背後から、見覚えのある人物に注目する。

 

「お、おいお前ら! 俺……俺たちの連れに手を出すとはいい度胸じゃねーか!」

「「あ?」」

「ひぇっ! お、お前らなんてこ、怖くないぞ……!」

 

 足をガクガク震えさせながら勇敢にナンパ男に立ち向かったのは……田嶋。今日遊ぶメンバーの1人である。

 

「邪魔すんなよ」

「い、いや……その……みんなで遊びに行くので……」

 

 だが、邪魔したことで色黒の男たちの怒りを買い、胸ぐらを掴まれていた。

 

 田嶋はめちゃくちゃ目を泳がせながらも、その場からは逃げない様子……。うむ、根性があるな。さすが林間学校の時、プレゼント代金を盗んだとして真っ先に俺に疑いを掛けた男だ。

 

「結斗いくぞ。このままじゃ田嶋の方が危ない。俺たち2人なら最強だ」

「うんっ。僕たち2人なら最強っ」

 

 ふすんっと鼻を鳴らす結斗は、あんまり意味は分かってないだろうな。

 

 イケメンな結斗と強面な俺の最凶コンビなら、怖いものなし!!

 

 田嶋が男2人を引きつけている間に背後から近すぎ、肩をポンポンと叩く。

 

「あ? 今度はなんだ——あっ」

 

 男2人が怒りの形相で振り向くも相手が悪いとすぐさま悟ったのだろう。固まった。

 

「お兄さんたち、2人が可愛いのは分かるけど……嫌がっているのにナンパを続けたらダメですよね?」

「僕たち、これからみんなで遊びに行くんです……! だからやめてくださいっ」

 

 俺と結斗の言葉を聞き、男たちはゆっくりと顔を合わせ、

 

「お、おいまさか……この人たちの彼女に手を出したんじゃ……」

「ああ……やばいのに絡んじまった……」

「で、これからどうしますか?」

「「立ち去ります! ごめんなさい!!」」

 

 慌てて去っていった。何やら勘違いしてそうな発言をしていたが……まあ、もういいや。

 

「助けてくれてありがとう、結斗、笠島くん。そして君も」

「もう少し早めに助けて欲しかった」

「いや、田嶋が先陣切って行ったから」

「まひろさんから感謝されたっ。嬉しいっ!」

 

 田嶋はめっちゃ喜んでた。これもこれでもういいや。

 

「さて、全員揃ったようだね」

 

 まひろが俺たちを見渡しながら言う。

 

「里島は結局ダメだったか」

 

 本当は田嶋の傍にいる里島もくる予定だったが……。

 

「あいつの実家、定食屋で今の時期が客の書き入れ時だからな。やっぱり手伝いに呼ばれたらしい」

「来れないことは残念だが、親孝行で素晴らしい。今度ご飯食べにここの男3人で行こうな、結斗」

「うんっ!」

「はい、そこ! イチャイチャしないで〜」

「どこがイチャイチャしてるんだよ、りいなさん……」

 

 きっと結斗が男組の俺たちに取られているから嫉妬してるんだろうなぁ。

 

「というか、本来私とお姉ちゃんとゆいくんの3人だけだったのに……」

「結斗に他の人も誘ってもいいよと言った時点で分かっていたことだろう、りいな」

「まあ笠島は分かっていたけど……」

「田嶋くんたちも誘っちゃダメだった?」

「ダメじゃ……ダメじゃないよ?」

「ありがとう、りいなちゃん!」

 

 みんな結斗には弱いな。やっぱり結斗(主人公)が最強だな。

 

「みんなで夏の楽しい思い出を作ろうじゃないか」

「私はゆいくんとイチャイチャするもん♪」

「プール楽しみだなぁ〜!」

「美少女の水着、へっへっ……」

 

 俺、結斗、まひろ、りいな、田嶋。この5人でプールへ。

 何も起こらず、楽しめますように。(フラグ)

 

 

 

 遊園地にあるプールまでは乗り継ぎ一回で着く。

 電車内は、夏休み期間とあり混み合っていたものの、各駅で人が降り、所々席ができてきた。

 吊り革に捕まっていた俺たち。

 ふと、目の前のお兄さんが横に移動してくれたことで3人くらい並んで座れるスペースができた。

 席はもちろん、結斗とまひろ、りいなの3人に座ってもらった。

 

 結斗がまひろとりいなに挟まれて話しているのを尻目に見ていると、

 

「なあ、笠島」

「ん? なんだ、田嶋」

 

 なんか真剣な顔をしている。

 

「お前どうして……」

「?」

「メイドさん誘ってこなかったんだよッッ くっっっ!!」

「なんでそんなに悔しそうなんだよ……。メイドさん……ああ、雲雀のことか。いや、このメンバーでは気まずいかなって……」

 

 自宅のマンションで勉強会を開いた時に、ここにいるメンバーと雲雀は面識があるとはいえ……。大体俺たちは高校生。その中に……いや、でも意外と大丈夫なのか?

 

「ばっかやろう! 気まずくならないようにするのが笠島の役目だろが!!」

「ゔっ……確かに……」

「大体、メイドさんは今頃1人だろう? 笠島お前……メイドさんを1人にして申し訳ないと思わないのか!」

「ゔっ、それは……」

 

 雲雀には一応、夏休みの期間は自由に行動していいと言ってあるが……多分、ほとんどは自宅のマンションにいると思う。

 

「メイドさんだって夏は、プールや海、その他イベントに行ってリフレッシュしたいはずだ! それなのにお前が誘わないと……」

「田嶋……」

 

 お前のこと、てっきり美少女か美人ならすぐさま惚れてしまう奴かと思っていたけど、実はいい奴——

 

「メイドさんの水着が拝めないだろうが!」

「そっちが本命だな、おい」

 

 やっぱり田嶋はどこが惜しい。色々直せば友達思いの明るくていい奴でモテると思うんだけどなぁ。

 というか、前の彼女さんとはもう別れたんだよな。俺も林間学校の後からは顔を合わせてないし……うん。この件は色々気まずいから頭の片隅のさらに奥に……。

 

「あんな美人なメイドさんがいるんだから、もっと需要があるだろうが!」

「需要言うな」

「家では膝枕してもらったり、耳かきしてもらったり、甘々プレイし放題だろうが!!」

「し放題じゃねーよ。頼まないわ」

「はぁ!? おまっ、それでも男かよ!」

「お前が欲望まみれなだけだよ」

 

 全く……美人メイドと実質一緒に暮らしているからと言って、そんなホイホイ頼めるわけ……。

 

『雄二様もそんなお顔をされるのです

ね』

『へ?』

『お顔、真っ赤ですよ』

『っ!?』

 

 でも……お風呂で背中洗ってもらった時は、ちょっと嬉しかったし、さすがにドキドキしたなぁ……。

 

「笠島、顔が赤いぞ?」

「夏のせいだ」

「熱中症には気をつけろよ」

「はいはい」

 

 思い出したら、なんだかちょっと恥ずかしくなってきた。

 

 それにしても、雲雀にも夏を楽しんで欲しいよな。夏はまだ始まったばかりだし、夏祭りとか、個人的にどこか一緒に遊びにいけたらいいな。

 

 時間はあるし、行けるよな。


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