【書籍化決定】馬乗りされて体力がなくなるまでやられる悪役〜今度は主人公の好感度を上げまくっていたら全員に惚れられた件〜   作:陽波ゆうい

66 / 99
第65話 悪役。水着で戸惑う②

「? 雄二くん? 僕のこと、じーっと見てどうしたの?」

 

 不思議そうに頭を傾げる結斗を尻目に俺は結斗の水着姿をじっくり見る。

 

「ほうほう……佐伯はこういう水着なんだなぁ……」

 

 田嶋と同じことをしているのはなんか嫌だけど。

 

 結斗の水着は——よく分からないってのが感想だ。

 別に意味がわからない、個性的な水着を着ているわけではなく……そもそも大きめのパーカーを着用していて、上どころか下も少し隠れているので、結斗の水着がどんなのかがよく分からないのだ。

 

「水着が……よく見えない。くっ、これが焦らしプレイ……」

「焦らし?」

「結斗の前で変なことを言うなっ」

「あいてっ」

 

 田嶋の頭を軽く叩く。

 

 結斗は変に素直だからな。発言には気をつけないと。なんたって過去には『ちんちん』と言ったらベルトを外し始めたし。

 

「結斗。そのパーカー着てるのって、もしかして日焼け対策か?」

 

 そうじゃないかと思い、言ってみた。

 

「うん。僕、肌が焼けやすくてね。おまけに焼けると肌がヒリヒリして痛くなるし……。プールに入るとき以外は着用しようかなって。あっ、日焼け止めはトイレで塗ったから大丈夫っ」

 

 ぶいっ、とドヤ顔をする結斗。

 うん、それは準備が良いな、って感想なんだが……。

 

「なぁ、笠島。俺、たまに佐伯が男じゃない、なんか別の性別に見える時があるんだが……」

「………。気持ちは分かる」

「?」

 

 首を傾げる結斗を目の前にして俺と田嶋は小声で話す。

 

 結斗は確かにイケメンである。イケメンであるが……その美形さと仕草も相まって時より、女子っぽいとまではいかないが、それに近いものを感じる。

 

「男の娘……がしっくりきてるんじゃないか?」

「男の娘って。分かっている上で一応、補足するが、結斗はちゃんとした男なんだからな」

「……ちゃんと確認したのか?」

「ま、まあ……」

 

 俺は林間学校の風呂の時間の時に結斗の身体を見ているからな。ちゃんとご立派なおちんちんが付いているのも確認している。

 

「おてぃんてぃん……付いててお得……男の娘……」

「?」

「変な五七五を作るな」

 

 田嶋が割と真面目な顔でブツブツ言っているのが、目覚める一歩手前みたいで怖い。まあ性癖は自由だけど。

 

「待たせてすまないね」

「お待たせ、ゆいくん〜」

 

 おっと。メインヒロインさまのご登場だ。2人並んでこちらに来た。

 

「どうだい。似合ってるかい?」

 

 まずは、まひろ。腰に手を当てているだけなのに様になってる。

 

 上と下に分かれたセパレートタイプの水着で、全体的にスタイルが良い。ショートパンツからはすらっと細長い、綺麗な脚が露わになっている。

 

「あの人綺麗……モデルかな?」

「ああいうスタイルになりたい〜」

「てか、むしろ。彼氏にしたいくらいカッコいい〜」

 

 いつの間にか、女性客の視線を集めていた。

 男性向けの娯楽(漫画・ゲーム)では、美少女は胸、尻が大きいものが描かれることが多いが、実際女子の憧れるスタイルは全体的に細い方がいい、とどこかで聞いたことがある。

 視線の多さから、まさにまひろが女子にとっての理想系って感じなのだろう。

  

「ゆいくん。私の水着も見てっ。……笠島とかは別に見なくて良いから。てか、私のこと視界に入れないで」

「それは無理があるだろ……」

 

 田嶋なんて脳内に焼き付けるレベルでガン見してるし。

 

 次にジト目をしている、りいな。

 

 りいなは王道なビキニ。下の方はちょっとデザインが違く、重ね着に見える様になっている。

 

 だが、なんと言っても……。

 

「お、おい……アレ……」

「やべぇ……おっぱいパンパン過ぎるだろ……」

「あっ……俺のおちんちんもパンパンになってきた……」

「恥じることはないぞ、同志よ……。おちんおちんのパンパンとは、硬くなる時もヤる時も、由緒正しき自己紹介なんだからなぁ」

 

 ……夏って個性的な人が増えるなぁ。

 

 いつの間にか男性客まで釘付けにしたのは、ビキニからこぼれ落ちそうなビーチボールに負けないくらい大きな胸。

 支えてる紐が引きちぎれるんじゃないかと思うほど、遠くからも重量感があり、髪を触るという小さな仕草でもその大きな胸は揺れていた。

 

「まひろちゃんもりいなちゃんも水着似合ってるよ」

 

 結斗が真っ先に褒める。さすが主人公。そこは判断が早い。

 

「ありがとう、結斗。結斗の水着姿はプールに入るまでお預けかな」

「ゆいくんの水着、どんなのか楽しみ〜。まあゆいくんならどんな水着でも似合ってると思うけど♪」

「僕の水着なんて大したことないから、そんなに期待しないでもらえると……」

 

 男の水着なんて下だけなんだから、期待も気になりもしないと思うが……結斗に関してはどんな水着なのか、不思議と気になるよな。

 

「それじゃ全員揃ったし、行こうぜ」

 

 みんながいるのを確認して俺は言う。

 

 今日はたくさんプールで泳いで、アトラクションで遊んで最高の思い出を作るんだ———

 

「ちょっと待った。特に笠島くん」

 

 まひろがプールに向けて歩こうとする俺を止めるようにそう言う。

 

「私も最初は違和感はなかったが……。というか、そんなことあるはずないと思っていたが」

「お姉ちゃんも思ってたんだ。私も同じ」

「もしかして……だよね。僕も思っていたかも」

「俺はもう、触れない方がいいのかと思っていたぞ」

 

 全員の視線が俺に向けられた。

 代表してなのか、まひろが口を開く。

 

「笠島くんのそれ、()()()()()()よね?」

「…………」

 

 俺は無言で下を見た。

 

 そう、俺が今下半身に着ているのは、新しく新調した水着ではなく……私服の空色のジーパンである。

 

「その下に水着を着ているって訳じゃないんだろう?」

「………はい」

 

 実は更衣室で着替えようとした時、

 

『あれ? 入れたはずなんだが……』

『お? どうした笠島? 何か探しものか?』

『ま、まあな』

 

 雲雀に選んでもらったサメの柄が描かれたハーフパンツが……見当たらなかったのだ。忘れ物をしないように、あれだけ出して入れて確認したというのに……。

 

「つまり雄二くんは水着を忘れたと……。それじゃ、雄二くんとは一緒に泳げないの……?」

 

 結斗が悲しそうな瞳で俺を見る。

 

「だ、大丈夫! 大丈夫!! ここには水着とか扱っているショップもあるだろうし、急いで買ってくるよ!」

 

 みんなには「先に遊んでくれ」と残し、俺は1人急いでショップへ向かうのだった。

 

 

 

 

 プール施設内にある、水着、ビーチサンダル、浮き輪など……プール遊びに欠かせない各種アイテムを扱う、スイムショップに来たのが……。

 

「はい!? 男性用の水着は売り切れた!?」

「申し訳ありません、お客様……」

 

 なんと男性用の水着は先ほど売り切れたとか。確かに店内を見渡しても男性用だけ綺麗になくなっていた。

 

 そんなことあるのか!? 女性用ならまだしも、男性用の水着が急に必要になる時なんて、そんなないだろっ。水着が流されてなくなることも、破けることも、何かの拍子に汚れることもないんだし。

 

 まあここはゲームの世界だし、予想外のことがあるのはしょうがないか……。

 

「男性用の水着……全部なくなった訳ではないのですが……」

「なんかあるんですか!? 見せてください!」

 

 気まずそうな店員さんが一回奥に行って帰ってきた。

 その手に持っていたのは……小学生用の水着だった。伸縮性があるスクール水着タイプで、着れそうだけどけど……そもそも着れたところでサイズがギリギリもいいところ。それに、ブーメランパンツ以上にもっこりどころか、がっつりシルエットがわかりそうだ。

 

「でも、これしかないんですよね……」

「ないですね……」

 

 俺も店員さんも深刻な顔。

 

 いや、でも……着たらワンチャン大丈夫ってことも———

 

変質者(ヘンタイ)にでもなるおつもりですか。そういうのはご自宅だけにした方がいいかと」

「——えっ」

 

 聞き覚えのある声がして、その方を向くと……。

 

「雲雀!!」

「………」

 

 普段通りの真顔であるが、明らかに呆れた雰囲気を出している……雲雀がいた。

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。