『お前もそうなるんだよ』

 絶望に身体を染めた騎士は、忌まわしき赤い瞳のオーブにその身を委ねた。


※ダークソウル2と東方projectのクロスオーバーものです。

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ふと書きたくなった短編。栄華の大剣とかいうイケメン武器を見たせいだきっと


絶望の果てに幻想を見ゆ

 数多の死を乗り越えた彼にあったのは、いったいなんだったのであろう。答えなど、見つからなかった。いや、最初から用意などされていなかったのだろう。篝火に座り込みながら、彼はその炎を見つめていた。

 無数の死を焼べて燃え盛る篝火はどうしようもなく安らかで美しく、彼をその地に縛り付けている。

 もう自分のソウルが成長しなくなってから、どれだけ経っただろう。それすらも遥か昔のことであるかのように感じられた。いや、きっと昔のことなのだ。

 もう何度、この世界を巡っただろう。彼は孤独なのであると悟り、沈黙の旅を続けた。だがそれに返ってくるのもまた、沈黙であった。

 時折新たな発見ーーポーチの中に入っていた竜の爪のようなもの、ほのかに熱い鍵、そしてそれによって開く未開の地など、新しい発見は確かにあった。だがそれは、所詮ただの発見に過ぎず、世界の真理に到達し、それを超越するようなものではなかった。

 もう、無駄なのだーー全部。戦神ファーナムの名を冠する兜の隙間から、絶望しか映さぬ瞳の中で篝火が揺れている。瞳に篝火が映るのは、それが絶望をくべて勢いを増す呪われた篝火だからなのだろう。

 愛用の剣も、盾も、弓も、鎧も、戦いに塗れた己の魂は疲れ果てていた。平穏の影には緩やかな絶望がちらとその片鱗を見せつけており、真の安息などこの世界にないのだと悟ったのは何千年前の事だったか。

 そして、ならばと引き返して向かう戦いの果てには虚無よりも虚しい真実しかないと気づいてしまったのは何百年前のことだったか。

 ーー自分が救われることなど、永遠にないということに気づいてしまったのは、何年前のことだったか。

 彼はひび割れた赤い珠のようなものを握った。決してソレに身を預けることはないだろうと思っていた、呪われた瞳のオーブ。今の自分には、これがお似合いだーー。

 

 彼はそっとそのオーブを握り潰した。

 

 

《闇霊となり、他の世界に侵入します》

 

 

《闇霊 ××× に侵入されました》

 

 博麗霊夢の脳裏に、突如としてその文は過った。ノイズのようにかかる部分は名称だろうか。同時に地震と見紛うような、世界を揺らす衝撃。空気を切り裂いて異物が侵入してくる音がはっきりと聞こえた。

 博麗の巫女たる霊夢は、その文章に良くないものを感じ取り反射的に眠りから目覚めた。そしてすぐさま巫女服に着替え、博麗神社の境内へ飛び出る。

 そこにいたのは、《闇霊》だった。赤と黒を混ぜたような体躯に、黒色のオーラが禍々しく辺りを渦巻いている。魔力とも妖力とも取れぬ底なしの邪気が霊夢の頬を撫でる。

 直感で霊夢はお祓い棒を闇霊に突きつけた。闇霊は緩慢な動作で振り返ると、その鎧の奥から黒紅の暗い瞳で霊夢を見据える。

 

「あんた、何者よ」

 

 ——こいつ……只者じゃない……!

 霊夢はそう感じ取ると、体全体に霊力を纏わせた。

 別に並外れた妖力があるわけでもない。霊力も少なくて、せいぜい普通の人間と同じ程度のはず。その霊魂から感じられるのは静かな殺意のみ。だからこそ霊夢はそれに警戒心を覚えた。

 その殺意が尋常ではないのだ。洗練された、いや、あまりにも洗練されすぎたそれは純粋な死への恐怖を想起させるには十分すぎた。

 霊夢はこの目を知っている。戦いに明け暮れた者の目だ。ただ殺すことだけに特化し、ただ淡々と生命を奪っていける者の目だ。——そして、ただ淡々と己の死を受け入れられる、死を知っている者の目だ。

 鎧を着た騎士は、腰に差した剣を抜くと臨戦態勢に入った。騎士の左手には金色の翼が描かれた盾。本来緑色だったであろうその盾は、上から絵の具で塗り固めたかのごとく不器用な赤黒さを放っていた。

 

「なるほど、答える気はないと」

 

 霊夢はこめかみに汗を浮かべながら騎士に向けていたお祓い棒を下げる。瞳を閉じて背筋を伸ばし、騎士の正面に立った。

 

「なら——倒すだけよ!」

 

 目を見開く。

 同時にお祓い棒を薙ぎ払うようにして振り、弾幕を発射した。

 弾幕は弾幕ごっこに使われるような威力のないものではなく、しっかりと威力が込められたものだ。天性の才能を誇る霊夢のそれは、魔なるものに対して抜群の効果を発揮する。

 騎士はその場で盾を構える。

 だがそんな盾など霊夢の霊力の前には無意味だろう。青色の弾がいくつも騎士に吸い込まれていく。

 そして騎士の盾に直撃しようかという時に——騎士が盾を振った。

 その瞬間、弾幕が弾き飛ばされる。すべてだ。霊夢の方に跳ね返された弾幕はその威力を失い消滅する。

 

「なっ!」

 

 霊夢が驚愕の表情を浮かべる。

 その隙に騎士は体勢を低くし突撃。右手に持っているロングソードが鈍く煌めく。

 霊夢は慌ててバックステップし、騎士から距離を取った。その瞬間ロングソードが唸り、霊夢がいた場所を一閃。

 だが騎士の攻撃は止まらない。かわされたのをまるで気にせず、騎士はさらに一歩踏み込んだ。体ごと回転させるような勢いで騎士は薙ぎ払いを放つ。

 

「当たるか!」

 

 霊夢は跳躍しその剣を回避した。

 同時に能力発動、空中に浮かぶ。柔らかな風が霊夢の頬を撫でた。空の爽やかな青色と、地上の深い闇が交差する。

 霊夢はそのまま弾幕を放とうとした。

 ……が、騎士の行動は早い。霊夢が跳躍すると同時に腰あたりに手を伸ばし何かを取り出す。そしてそれを霊夢に投げつけてきた。

 唐突な遠距離攻撃に霊夢は反応が遅れた。慌てて回避するも、二の腕にかすかな痛みと痺れ。投げてきたのは恐らくナイフだろう。しかも厄介なことに毒が塗られているようだ。

 だが大したダメージではない。霊夢は構わず陰陽玉を呼び出した。

 博麗の宝玉とも言われる陰陽玉はとてつもない霊力を蓄えており、それを弾幕として発射できる。いわばオプションである。

 お祓い棒のみだけでなく、陰陽玉も追加されることによって生じる弾幕の数は飛躍的に上昇する。これなら例えあの盾でもすべてを防ぎ切るのは不可能だろう。

 

「食らいなさい!」

 

 お祓い棒を騎士に突きつける。同時に左右の陰陽玉から弾幕発射。霊夢自身も弾幕を発射する。その数は先ほどとは比べものにならなくなっていた。

 騎士もこればかりは弾けないと早々に悟ったのか、盾を構えながら走り出す。弾幕を回避している。

 その反応速度、運動能力に舌を巻きながらも、霊夢は弾幕を発射し続ける。どうやら相手は空を飛べないようだ。だったらこのままカタをつける。

 だが騎士もただではやられない。盾を構えながら走っている最中、右手のロングソードが消滅した。同時に現れるのはロングソードよりも長い大剣。

 霊夢がそれを訝しむ前に騎士は立ち止まった。そして盾を背負い大剣を両手で持つ。騎士は自らの腕ごと大剣を大きく引き、いますぐにでも突き出さんばかりの体勢で立ち止まる。

 その際にいくつか弾幕が当たるが、騎士は怯みもしない。

 するとその瞬間、大剣から魔力が溢れた。弾幕によって生み出されたものとは違う微風が霊夢の前髪を揺らす。大剣の持ち手にある竜の翼が開いていた。霊夢は直感で危機を察知する。

 

「まずっ——!」

 

 だが、遅い。

 騎士がその大剣を突き出す。なにかが滑るような軽快な音だった。同時に剣先から現れるのは風色の衝撃波。

 それを視認した時には既に手遅れだ。レーザー並みの速さのそれを予告線もなしで避けられるはずがない。

 

「きゃっ……!」

 

 体全体に鋭い痛み。文字通り風が体の中で暴れ回っているような衝撃。体勢を大きく崩され、浮遊を維持できなくなる。

 霊夢は地面に落下した。

 普段弾幕ごっこにより鍛えている彼女がこの衝撃波を避けられなかったのは、その魔力の秘匿性と弾速の速さが原因だろう。

 発射される寸前まで特別なものはなにも感じられず、発射されるとほぼ同時に魔力が溢れる。それにより霊夢は衝撃波の発射を感知することができなかった。

 そして弾速。その速さはレーザーと同等なほどだ。いくら化け物のような才能を誇る霊夢であろうと、そんな速さのものをひょいひょい避けられるはずもない。

 

(——!)

 

 地に落下した霊夢はすぐさま直感で危機を察知。横に転がった。先ほどまでいた位置にはダガーが突き刺さっている。騎士がすぐ横にいた。地面に寝転がった霊夢を突き刺そうと迫っていたのだ。

 薄ら寒さを感じ冷や汗をかきながら霊夢は起き上がる。

 既に騎士は体勢を立て直しており、佇んでいる。また握っている武器はまた見ないものとなっていた。

 だがそれが圧倒的な破壊力を持つことは容易に予想できた。——騎士よりも長く太い巨大な剣を見て、当たっても痛くないと思うバカはおるまい。

 騎士はそれを肩に預けるようにして持ち上げている。そしてすぐさまこちらに接近、それを振り下ろした。

 霊夢は横に転がりこれを回避。だが脳裏を叩く警報は止まない。すぐさま騎士を見る。

 なんと騎士は地面に叩きつけた巨大な剣を片手で持ち上げ、そのままなぎ払ってきたのだ。

 霊夢は本能的にしゃがんでそれを回避。あれに当たるな。当たったら間違いなく死ぬ。人間の脆弱な体があんな巨大な剣を受け止めきれるはずがない。一刀両断されて終了だ。

 ぶおん、という風を斬る轟音が霊夢の耳を打つ。同時に斬り刻まれた空気が霊夢の髪を揺らした。

 だがさすがにそう軽く振り回せるものでもないらしい。騎士にわずかな隙が生まれる。霊夢はその懐に入り込んだ。

 

「はあっ!」

 

 その鎧に渾身の蹴りを放つ。

 だがさすがに博麗の巫女たる霊夢とて、鎧を貫通する蹴りを繰り出せるような化け物となった覚えはない。硬い感触が足に伝わってきたが、騎士はよろけもしていなかった。

 そして構わず、特大剣が三度目の斬撃を放つ。霊夢の体をすっぱり半分に別けてしまいそうな縦斬りが迫った。

 霊夢は慌てて身を傾ける。肩に剣が掠った。ただそれだけだというのに体すべてを持っていかれそうになる。間違いない、やっぱり当たったら死ぬ。たらりと垂れる血の暖かさを感じながら、霊夢は悟った。

 大きくバックステップして距離を取る。接近戦はどう考えても不利だ。一体全体どういう仕組みなのか、あの鎧はとんでもなく硬い。いくら霊夢が十代半ばの少女だとはいえ、霊力を込めた蹴りが容易く防がれるとはただの鎧だとは思えない。少しくらいはダメージを与えられるだろうと見込んでいたからこそ、危険を冒してまで飛び込んだのだから。

 さらに騎士が持っている武器。あれら一つ一つは、まさに神が扱う武器そのものと言っても過言ではないほどの威力を備えている。さすがに神性などはないだろうが、斬れ味だけなら恐らく伝説上の武器とそう変わるまい。

 

(弾幕で削り切るしかないか……!)

 

 時間はかかるがこれが最も安全であろう。

 相手の射程外から攻撃するしかない。接近戦では人の身である霊夢に勝ち目はない。相手は人の形をした『化け物』である。

 そう考えて陰陽玉を招集、そして弾幕発射の構えを取る。

 ——その瞬間、殺気。

 霊夢が瞬きを一つ。その瞬間、騎士が持っていた特大剣は既にその形を無くしていた。

 代わりにその右手に存在していたのは、杖。

 恐ろしいほどの魔力を感じる。

 慌てて弾幕の展開を中止。騎士が杖を構える。青色のオーラが立ち込めていた。

 

(なんつー魔力よ……!)

 

 いよいよこれは相手が正真正銘の化け物、いやその先にいるものとしか思えなくなってきた。

 杖から眩い光が発射される。大気を貫く鋭い音が霊夢の鼓膜を震わせる。

 槍のように迫る魔力。しかも一本ではない。その数四本。

 一発一発が尋常でない威力を持っているというのに、なんとそれが四本である。なにかの悪い冗談だろう。霊夢は思わず笑いかけた。

 魂すらも穿つ槍は、しかしそう速くない。だが追尾性能を持っているようであり、避けるのは難しそうだった。

 そこで霊夢は再び目を見開く。

 

(嘘でしょ……!?)

 

 今度感じたのは、神力である。それもとてつもない大きさの神力だ。騎士を見ると、盾を持っていた手には黄金の鈴らしきものがあった。その鈴からとんでもない神力を感じたのだ。

 その神力の量は、目の前に迫る四本の槍とそう変わらない。

 神力が爆発する。天に太陽が昇っていく。

 その瞬間、太陽が雷を放った。その雷撃の嵐は苛烈という他ない。全方位に無差別に裁きを下す神の雷鳴が、雷球から生まれ出ていた。

 輝かしく煌めく雷の嵐と、一撃必殺の蒼槍。それらは弾幕ごっこに勝るとも劣らない量の弾幕を生み出していた。——そしてその威力は、規格外。

 対処法が浮かばず、呆然と立ち尽くす霊夢に魔力と神力の波が迫る。あわやその雷鳴が、霊夢の喉を貫かんとしたその時だった。

 霊夢の目の前に『紫』が広がった。

 ギョロギョロと多数の目が蠢くそれには嫌悪しか覚えない。禍々しさ、という単語すら生易しく感じられる。

 その歪な隙間に雷鳴も槍もすべてが吸い込まれていく。まるで霊夢を庇うようにして現れたそれが、すべてを食い尽くすかのように騎士の魔法を防いでしまった。

 

「——闇に身を任せた愚かなる堕落者よ」

 

 その声は、霊夢も聞き覚えがあるものだった。けれどその音色は、いつものように掴み所のない胡散臭さを持ってはいなくて。

 厳格に裁きを告げる、まるで王——管理者、支配するもののようだった。

 

「疾く去れ。私はお前を否定する。その身に纏いし怨嗟の闇を、この楽園に持ち込むな。——愚者よ」

 

 その瞬間、霊夢の前に金が広がった。太陽の光が直接形を為したかのような、そういう印象を抱かせる髪の毛だ。

 境界を引き裂き、紫色のドレスを着た少女が舞い降りる。霊夢はその少女の名を、驚愕の意を込めて呼んだ。

 

「ゆ、紫!」

「まったく、こんな厄介なものが侵入してくるとはね……おちおち寝てもいられないわ」

 

 紫は霊夢を一瞥すらしない。その視線は騎士に釘つけと言っても良かった。

 騎士に動きはない。こちらの様子を探っているようだ。

 

「……あいつはなによ?」

「《闇霊》よ。他世界からの侵入者。この世に存在するありとあらゆるものの敵。本来なら、ここには存在しないはずなのだけれどね」

 

 騎士は構えを解いた。

 紫がそれを見て眉をひそめる。早口な小声で紫が言葉を紡ぐ。それはまるで、なにかを確認をするような声だった。

 

「なるほど……他の闇霊とは違い理性はあるようね。そしてあのオーラ……」

「なによ?」

「気をつけなさい。あいつは、多分今までの敵の中で最強よ」

 

 紫は霊夢の方を見ることもせず、騎士に警戒の眼差しを向けたままパチンと指を鳴らした。

 その瞬間、紫の横にスキマが開く。にゅるり、というなめらかな音とともに金色が降りてきた。

 

「藍」

「はっ」

 

 その金色は、降りてくると同時に目を閉じ恭しく紫に礼をする。

 

「今から式を新しいものに付け替える。その後はわかりますね?」

「お任せを、主」

 

 舞い降りる金の名は、八雲藍。

 八雲紫の式神であり、幻想郷の妖怪の中でも屈指の実力を誇る大妖怪。その力は国すらも滅ぼすとされており、到底人間が敵うような妖怪ではない。

 二人の雰囲気は厳格なものであった。

 非情なる機械のごとき様相の藍。裁きを下す執行者、世界の主たる貫禄を備えし紫。霊夢ですら、こんな二人の姿は見たことがなかった。

 紫は腕を一振りする。その瞬間、藍の瞳が見開かれる。その瞳は尋常ではない光を持っていた。

 

「招かれざる客。世界の主はこの私、八雲紫」

 

 紫は荘厳な声色で騎士——闇霊に語りかけた。

 騎士はそれに耳を傾けているのか、なんのアクションも起こす気配はない。

 

「——この大地から、去れ」

 

 紫が言うが速いか、藍が疾走した。

 とんでもない速さで地を蹴る黄金。それはまさに雷光のごとき。

 藍は最強の妖獣といっても過言ではないほどの実力を誇っている。そこへ紫の式——それも恐らく、普段使っているような性能のものではなく、超高性能な式を憑けた藍の実力は規格外としか形容のしようがない。

 そのスピードは天狗と同等かそれ以上であり、その力は鬼にも劣らない。

 金色の閃光が闇色の騎士へと迫る。霊夢に視認できたのはその一瞬だけだった。騎士の鎧に藍の妖力が激突した途端に土煙が立ち込めて、騎士と藍の姿が見えなくなる。

 

「まだ終わらないわよ」

 

 紫は油断のない瞳で土煙を睨むと、そのまま赤と青のレーザーを発射した。

 

「ちょっ……!?」

「大丈夫。藍なら避けられるわ」

 

 そう言いながら、紫は弾幕を続けざまに発射する。その一つ一つにとんでもない威力が籠められていた。

 だがその瞬間、紫がなにかを察知。慌てて冷や汗を浮かべながら紫が霊夢へ向き直った。

 

「——! 霊夢、避けなさい!」

「なにを——っ!」

 

 紫の怒声が響いた瞬間、霊夢の目前に焼けるような熱さが迫る。

 霊夢の前に、無数の火柱がまるで蛇のごとくうねっていた。土煙の中からの予想外の反撃が霊夢の判断をわずかに鈍らせる。

 が、霊夢とて伊達に博麗の巫女を名乗ってはいない。人間離れした瞬発力で火柱をなんとか回避する。

 

「あっぶな——!」

 

 だが、それだけでは終わっていなかった。

 土煙の中から、飛び上がりながら現れる赤い影。

 ボロボロの大剣を両手持ちにした騎士だった。鎧を着ているとは思えないほどの身軽さで縦回転する騎士。

 

「うえっ!?」

 

 霊夢は慌てて後ろに下がりその叩きつけるような剣戟を回避。体勢を崩しながらも、直撃は避けられた。

 だが、騎士の目が殺意で光る。

 騎士が再び跳躍。

 まるで狂戦士のような威圧を放ちながら騎士はもう一度縦回転斬りを繰り出す。

 

「つぅ……!」

 

 ——かわせない!

 あまりにも予想外なその動きで不意を突かれた霊夢はそう悟った。

 

 だがその間に割り込む黄金の獣があった。

 

「ぐっ……!」

「ら、藍!?」

 

 藍は霊夢の前に体を滑り込ませ、両腕で騎士の斬撃を受け止めていた。

 藍の腕からは血が流れており、その斬撃の威力を顕著に表している。大妖怪の皮膚を裂くのは並大抵の剣戟では不可能である。

 まず間違いなく、霊夢が食らっていたらあの死神の世話になっていただろう。

 藍はなんとかしてその剣戟を受け流した。そのままつばぜり合いに持ち込めるような威力ではなかったのだろう。

 受け流された切っ先は地面に激突。境内の石床に斬撃の後が残り、一撃でわずかな土煙が巻き起こる。

 

 しかしそれでも、まだ騎士は止まらない。

 

「っ——!」

 

 藍が驚愕の息を漏らす。

 騎士はなんと、もう一度跳躍したのだ。

 三度の縦回転斬り。

 くるくると空を裂いて鈍く光る、深淵色の大剣が藍を襲う。その頭を叩き斬らんとばかりに唸る。

 到底人間に可能な動きではない。

 大妖怪を叩き斬るような斬撃を三回も連続で繰り出すなど、そんなふざけた人間がいてたまるものか。

 そしてそのまま、斬撃が藍を一刀両断しようとして——。

 

「甘い!」

 

 紫が横から弾幕を騎士に叩き込んだ。ひとつやふたつではない、瞬時に数十の弾幕が雨粒のように叩き込まれる。

 さすがに堪えたのか、騎士が大きく吹っ飛んでいく。

 ゴロゴロと転がる騎士を一瞥もせず、霊夢は目の前で屈む藍の肩を支える。

 

「大丈夫!? 藍!」

「っ……ああ、大丈夫だ」

 

 そう言って藍は己が腕を霊夢に見せた。さすがに服までは再生しなかったようだが、腕の傷は完全に再生していた。

 霊夢はほっと一息をつく。だが油断はできない。あの騎士が今度はなにをやってくるのかは、到底予測できるものではない。

 紫は藍の方へ駆け寄りながらも、しっかりと騎士を睨んでいる。

 

「紫様。あの騎士、私達(化け物)を相手にすることに慣れています」

「ええ、知っているわ。——まあ、当然よね」

 

 騎士の攻撃は身体全てを連動させて放つ大振りなものが多い。

 それは人間への攻撃にしてはあまりにも過剰威力であり、明らかに人でない者を相手にすることを主軸に置いていた。

 先ほどの回転斬りなどは、まさにその最たる例だろう。

 身体どころか重力や回転の際に生まれる力を使って放つ剣戟は、はるかに強大な化け物達を狩るために編み出されたとしか思えない。事実、それにより藍の腕は刈り取られかけているのだから。

 

「まだ、終わらないわ」

 

 紫は冷静に騎士が転がった方を見据える。追いかけるようにして霊夢と藍が騎士の方を見た。

 騎士はボロボロの大剣を杖のようにして立っている。その様子は満身創痍と表すのが相応しい。

 それもそうだろう。紫の弾幕は、弾幕ごっこなどで使われる半端なものではなかった。大妖怪としての濃密な妖力が凝縮された、人の身にはあまりにも大きすぎるもの。

 

「……あの騎士は人間よ。だけど霊夢、あなたたちのような脆弱な人間たちとは違う。

 気を引き締めなさい。絶望に身を投げた英雄、その実力は半端なものではないわ」

 

 

 騎士は目の前にいる少女たちを睨みつけながら、どこか高揚感を感じていた。

 この土地は、なんだ。

 何百年何千年——もしくは何万年とドラングレイグを旅してきたが、こんな清々しく明るい地は見たこともない。

 だが今は、目の前の三人をなんとかするのが先か。

 紫のドレスを着た金髪の少女と、異国風な衣服に身を包んだ少女。そして巫女服を纏う少女。

 この三人は、ドラングレイグで見てきたどの女よりも魅力的で可憐だ。見た目は年端もいかぬ少女たち。だが、その身に秘められた戦闘力は騎士が戦ってきたデーモン達にも劣らない。

 騎士はほうと荒く息を吐くと、手に持った大剣——栄華の大剣を消した。

 同時に武装を変更。一つ瞬きをする間に、右手には大剣。左手には漆黒の盾。

 右手に持つ大剣は『ルーラーソード』。持ち主のソウルによってその威力を増す王たるものの剣——騎士にとって、その武器との相性はあまりにも良い。

 左手に持つ盾は『王の盾』。上に立つもの()として、侵略の火から民を守るその盾は優れた防御力を誇る。

 華美な装飾が施されたそのふたつの武具は、騎士が持ちうるかぎり最高の武器だった。かつての王、ヴァンクラッドが持ちしそれは王の証そのものとも言える『レガリア』。

 腰にあるエスト瓶がにわかに暖かい。エスト瓶を持ってみると、本来侵入時は暗く濁り使用できないはずのエスト瓶が炎のように燃えていた。

 どういう原理かはわからないが、この地ではエスト瓶が使用できるようだ。

 ありがたく、使わせてもらうとしよう——騎士はエスト瓶を一気に飲む。

 いつもより効果が大きい。まるで女神の祝福を直に浴びたかのように、傷がみるみる内に癒えていく。

 騎士はエスト瓶を腰にしまった。少女たち三人は、こちらを警戒しているようだ。

 紫色のドレスを纏う少女が世界の主であるらしいがそんなことは関係ない。全員倒せば良いだけだ。

 彼女らが不死なのかはわからない。霊体の気配はしないし、エスト瓶の存在を知らないように思える。

 だが、それでも自分に残されたのはこの戦いの日々のみ。

 騎士は盾を腕に通して、雷の加護を纏った竜の聖鈴を左手のひらに持つと、しずかに屈んだ。

 騎士としての誇りを忘れ、闇霊となりし己が使うのも皮肉な奇跡だ——。騎士は己を自嘲しながら、騎士の誇りをその剣に、その鎧に乗せる。《固い誓い》を、己に課する。

 ぐるんぐるんと、肩慣らしをひとつ。

 

 戦いはまだ、終わらない。

 

 

 騎士が黄金の光を纏う。

 騎士の傷は、先ほど飲んでいたなにかによって癒えていた。そんじょそこらの傷ではないはずなのに、いったいどんな秘薬を使ったというのか。

 そして騎士のその手に握られている武器は、まさに今まで見た武具とは格が違うものだった。直感で察する。あれは、今まで見たなによりもの武器より危険な魔剣——いや、神剣であると。

 

「……いよいよ、本気ってわけね」

 

 紫が額に浮かんだ汗を拭いながら騎士を睨む。

 気づけば、霊夢の首は嫌な粘っこい汗で濡れていた。騎士の威圧感が霊夢たちを射抜く。

 

「ここが正念場よ。あなたたち、死なないでね」

「お任せを」

「っ、任せなさい……!」

 

 紫の言葉に応えるように、全員が戦闘態勢を取った。

 騎士がこちらへゆっくりと歩み寄ってくる。

 その歩みは、死神が緩やかに命を刈り取るかのごとく。肩に背負う大剣が、陽光を闇色に反射して霊夢たちに投げかけていた。

 ——そして、殺気。

 騎士が走り出す。三人めがけて、猪突猛進と言っても良いくらいに。

 そして騎士が、一歩大きく踏み込んで回転。その回転を活かして、大剣をなぎ払うようにして振る。

 だが藍がそれを爪で受け止めた。

 キン、と鉄同士がぶつかり合うような甲高い音が霊夢の耳朶を打つ。

 

「霊夢!」

「わかってる!」

 

 紫の呼びかけを聞く前に、霊夢は騎士に接近した。

 格闘戦は不利だ。かといって、遠距離戦でも勝ち目はない。今度あの魔力と神力を放たれては、甚大な被害が出ることは間違いないだろう。

 物理攻撃は効かない。遠距離攻撃は、リスクが多い。

 ——だったら、至近距離から直接霊力を流し込んで攻撃すれば良い。鎧の隙間を潜らせて、霊力を直接その身に叩き込むのだ。

 藍と拮抗している騎士の筋力に舌を巻きながらも、霊夢は疾走する。そして騎士の脇に潜り込み、

 

「はあっ!」

 

 掌打。

 その手を伝って騎士の身体に霊力を撃ち込む。

 霊夢とて、人間故にその力は大妖怪に及ばない。けれども、その霊力は人間離れしている。

 それを直接流し込まれたことは、少なからず騎士にダメージを与えたらしい。騎士の体勢が崩れる。

 

「貰った!」

 

 好機と判断した藍が、その爪で大剣を弾く。

 騎士は剣こそ離さなかったものの、それでもつばぜり合いには負けた。

 そしてその隙を見逃す藍ではない。返す刀で、その爪を騎士の胸に突き立てようとした。

 だが。

 騎士が、左手に持った盾を横に振った。

 藍の爪が容易く抑えられて——弾かれる。そして今度は、逆に藍が体勢を崩した。

 騎士の近くにいた霊夢の方へと藍が倒れる。騎士がバックステップで身を引いた。

 

「ぐあっ!」

「きゃあ!」

 

 倒れかかってきた藍を受け止められず、霊夢と藍はその場に転倒する。

 なんだ今のは。

 霊夢は騎士の底しれなさに驚愕する。藍の爪を、弾いた?

 今の藍は、その筋力を鬼と同等にまで高めているはず。それを人の身で、しかも体勢を崩した状態で弾き返すなど、並外れた筋力と技量が必要だろうに。

 しかし冷静に思考している暇はない。

 太陽が隠れた。辺りが暗くなって、思わず霊夢は天を扇ぐ。

 ——そこには、闇色の騎士がいた。剣の切っ先をこちらに向けて、貫かんばかりの殺意を滲ませながら霊夢と藍を睨んでいる。

 その切っ先が、赤く光った。

 まずい——そう思うのに、身体は動かない。

 

「っ、霊夢!」

 

 紫がこちらへ走ってくるのを尻目で見る。

 だめだ。間に合わない。

 紫からこちらまでの距離はそう遠くはない。けれど、騎士の剣は既にこちらを捉えているのだ。あとはその剣が突き出されれば、霊夢と藍の胸は貫かれる。

 到底間に合わない。

 藍なら、まだ生き残れるかもしれない。だが霊夢は無理だろう。人間の体は、目の前の闇霊相手には紙切れほどの耐久力しかない。

 死を覚悟して、霊夢は目を瞑る。

 

「……?」

 

 ……が、いつまで経っても衝撃が来ない。

 霊夢が恐る恐る目を開けると、そこには騎士の目があった。

 遠く遠くにいるはずなのに、その目がやけに近くに見えた。

 その色は、迷い。

 

「……あんた」

 

 霊夢が騎士の目を正面から見据える。

 呼びかけられた瞬間、わずかに、ほんのわずかに騎士の兜が震えた。いつのまにかその闇のオーラは小さくなっていた。

 揺らめく炎のような瞳は、どこまでも低俗で甘い闇の焔。

 隙が生まれる。

 藍が起き上がった。同時に、騎士の腹を蹴り飛ばす。

 

「たあ!」

 

 妖怪の蹴りをまともに受けた騎士は大きく吹き飛んだ。地面に線を描き、ズルズルと地を走る。

 それからすこしだけ遅れて、紫が霊夢たちと合流する。

 

「大丈夫!?」

「ええ。ですが……」

 

 藍は倒れている騎士を見やった。

 

「あの騎士は、私たちを殺すことに迷いを覚えているようです」

「なんですって?」

 

 紫が顔をしかめた。

 当然だろう。あの殺意の塊のような存在が、殺すことに戸惑っているというのだから。

 けれど、どうやら藍も霊夢と同じことを騎士から感じていたらしい。

 あの騎士は、死を知っている——が、それでも甘さを持っている。なんともそれが人間らしくて、霊夢はどこか親近感を覚えた。

 

「……あの騎士は、殺すことを躊躇していると?」

「そうなりますね。紫様、あの騎士は何者なのですか? あの者の目……殺意にまみれてはおりますが、それでもまだ人間味を残しています」

 

 藍が疑問を持って、紫を正面から見据えた。

 紫はその瞳を見つめ返す。

 しばらく沈黙が続いて、紫がやれやれとため息を吐いた。

 

「……あれは、人間よ。

 異世界の英雄。死よりも過酷な絶望の試練を超えて、玉座へたどり着いた新たな王。希望をもたらすもの」

「そんなやつが、なんで……?」

 

 話だけを聞けば、あの騎士は悪者ではなさそうなのに。むしろおとぎ話に出てくるような、勇者なのに。

 紫はすこしだけ憐れみを込めて、騎士へと視線を投げかける。騎士はまだ倒れ伏したままだ。

 

「……絶望の試練を超えて彼は玉座へたどり着いた。

 でも、この話には続きがあるわ。

 彼のいた世界には、元から希望なんてなかったのよ。絶望の試練っていうのは、即ち存在そのもの。

 彼……いえ、彼らは死ねない。生きている限り、彼らは絶望をその身に浴び続ける。あの騎士はその犠牲者の中のひとり——決して救われることのない、語り継がれることのない英雄。彼らは永遠に苦しみ続ける。そういう存在よ。

 その中で、あまりの絶望に闇へ身を堕としたのが『闇霊』」

 

 騎士が立ち上がった。

 ゆらりと揺れながら立つ騎士。

 その瞳には、先ほどと同じ紅い殺意がある。いっそ見間違いではなかったのかと言えるほどに、その瞳は完璧だった。揺るぎない殺意。

 

「でも……彼には、良心がまだ残ってたみたいね。

 本来なら、闇霊になった時点でそんなのは完全に消滅してしまうはずなのに」

 

 騎士が、大剣を大きく振った。悩みを斬り払うようにして、邪気を大きくその身に纏わせる。

 

「それでも、あの騎士がわずかにでも心に痛みを覚えたのは、その精神力と善なる心を持った騎士だったからゆえ、かしらね」

 

 けれどその面影は、既にない。

 騎士の体は再び闇色のオーラを纏い始めた。

 咆哮。

 声とすら判別できぬ、低い唸り声。

 怨嗟の声が、大地を暗く揺らした。雄叫びを発するように両手を広げる彼は、闇に飲まれてしまっている。

 

「だからこそ、ここで彼を葬るわ。彼らは死ねば、元の世界に戻る」

 

 紫はいつも使っている扇子をどこからか取り出した。

 騎士はズタボロである。だがその闇は先ほどよりも暗く深く。油断はできない。

 霊夢たちは構えた。騎士はその闇をぶつけるためだけに、敵を倒すためだけに、その剣を振るう。

 紫がそれを見据えながら、凛とした表情で騎士に宣告を言い渡す。

 

「さあ、行くわよ——玉座の王、×××」

 

 

 ボウッ、と篝火が燃えた。

 気がつけば、彼は篝火——王城ドラングレイグの篝火に座っていた。

 騎士の真後ろには扉がある。ここはどうやら、王の扉付近にある篝火のようだ。最近記憶は薄れつつあるため、どこの篝火に座っていたのかも忘れてしまっていたらしい。

 ……だが、先ほど侵入した世界では、新たな希望を見出すことができた。

 あの世界では、結局彼女たちを倒すことはできなかったが、それで良いのだ。年端も行かぬ子供を斬り殺すなど、騎士として恥ずべき行為である——そこまで考えて、自分がまだ騎士としての誇りなんていうものを持っていたことに騎士は苦笑した。

 

 最後はあまりにあっけないものだった。

 大きな尻尾を持った少女に動きを封じられ、巫女服の少女に強烈な一撃を貰ったあと、ドレスを着た少女になにかを弄くられて、霊体を維持できなくなったのである。

 脱力のため息を吐き、騎士は篝火に当たる。

 

 篝火をぼうっと見つめる。少しだけ記憶の混濁が見られるが、だんだんとその記憶が整理されてきた。

 その記憶の彼方、霊体が消滅する間際に投げかけられた言葉。紫のドレスを着た少女の言葉を思い出す。

 

「あなたがもし、すべてに仇なすものではなく、ただ一人の人間(・・)としてこの世界に来たのであれば」

 

 意識が保てなくなり、世界の景色が灰色に染まっていく中。その中でも、彼女の声だけはやけにはっきりと騎士の脳裏に焼き付いていた。

 

 

「——歓迎しましょう、あなたを。この幻想郷は、すべてを受け容れますわ」

 

 

 最後に聞いた言葉は、そこまで。けれど、しっかり覚えている。

 騎士はその地に——幻想郷に、希望を抱いていた。

 柔らかな日差しを浴びたのは、何千年ぶりだっただろうか。鬱屈とした曇り空や、悲しみに満ちた雨空ばかり眺めていた。

 世界があんなにも柔らかいものであると認識したのは、何百年ぶりだっただろうか。常日頃世界は悲劇なのだと、そう考え続けていた。

 もしかしたらまた絶望するだけなのかもしれない。そこに救いなんてないのかもしれない。希望なんて、ないのかもしれない。

 それでも、騎士は『渇望』を抱かずにはいられなかった。この呪いという毒で『穢れ』た身を受け容れてくれるというのなら。戦いで焼け焦げた灰色の『孤独』な傷を受け容れてくれるというのなら。

 

 ふと、ポーチのなかに見覚えのないものが入っていた。

 それは不思議な宝玉。白と黒の妖しげな模様を宿す宝玉。

 これは、あの巫女服の少女が使っていたものと酷似している。宝玉からは人間らしい暖かさが感じられた。ほんのりと心を温める優しい宝玉。

 幻想的なその宝玉をしばし眺める。見れば見るほど、安らかな気持ちになった。

 そうだ。まだ、心が腐ったわけじゃない。すべてを忘れてしまったわけじゃない。——まだ、堕ちきったわけじゃない。

 騎士の瞳に光が宿っていく。折れかけていた心が、熱く燃やされて修復されていくのがわかった。騎士の誇りというものを、久しぶりに感じられた気がした。

 

 

 騎士が立ち上がる。

 眩い光の中、騎士は歩いていった。

 その行く先は、未だ誰も見ぬ幻想の地であるだろう——。

 

 




NPC闇霊が使用するエスト瓶って実はプレイヤーとモーション違うんですよね(女神の祝福とかのモーション)。
彼らが使っているのはエスト瓶ではない別のアイテムである可能性が微レ存…?

大剣とかの効果音も、プレイヤーとは違って特大武器みたいにドゴォ!って凄まじい音しますし


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