もしもアーマード・コア初代主人公が、621だったらという妄想SS。

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時間が取れるようになったので執筆再開。
久しぶりすぎて書き方忘れちゃったよ、ということでリハビリ代わりに短編。
AC6は楽しかったですハイ。
初代の体験版からプレイしてきたけどやっぱりACは楽しい。
621がエアちゃんと原作通りに戦うだけの話だよ。


VSエア 黒い鳥、悲しみはコーラルの海に

「・・・レイヴン。衛星砲は私が掌握しました。あなたはもう・・・引き返すつもりはないのでしょう・・・私もそれに応えます、ひとりのルビコニアンとして・・・指定する封鎖ステーションに来てください。待っています、レイヴン」

 

コーラル変異波形エアからのメッセージを聞きながら、無言のままコンソールを見つめ続ける男。

強化人間C4-621。

あるいは独立傭兵レイヴンと呼ばれたモノ。

 

「行か、ないと・・・ウォルターのゆい、遺・・・言を、は、たす」

 

頭痛がする。

 

――お前に意味を与えてやる

 

「遺、言を」

 

ハンドラー・ウォルターはもういない。

エアも今となっては敵に回ってしまった。

 

「俺の、意味を、果たさ、ないと」

 

度重なる人体実験の果てに、脳を焼かれた男。

そんなモノに、意味を与えてくれた・・・・・・ウォルターはもういないのだ。

ずっとずっと大昔から、誰にも顧みられなかったモノに、初めて手を差し伸べた人はもうどこにも。

 

「行かないと」

 

ウォルター(恩人)のために

エア(友人)を殺さないと

頭痛がする。

消えたはずの心が悲鳴を上げる様に。

 

乗機が配置に付く。

開くハッチの動きがひどく鈍く見えた。

 

『メインシステム通常モード起動』

 

機械音声が告げると同時に、フルオートでACが射出される。

 

「・・・船体のダメージが大きいこうなったら・・・ 手動操舵でプラントに突っ込むしかなさそうだね」

 

ウォルターの同胞たる、シンダー・カーラからの通信。

惑星ルビコン3のコーラルを焼き払うために、我が身を捨てようというのだろう。

そのまま洋上都市ザイレム、いや恒星間入植船ザイレムを尻目に、エアの指定した封鎖ステーションへブースターを噴かせる。

 

「衛星砲は任せたよ ビジター・・・あんたは・・・ビジターにしては笑える奴だ幸運を祈るよ」

「カーラ・・・チャティ」

 

チャティは死んだ

カーラもこれから死ぬ

ウォルターも、もういない

そしてエアも、これから自分の手で殺すのだ

 

頭の痛みは、治まってくれない。

 

――無駄なことはやめろ

 

「黙れ」

 

――反抗してももはや無意味だ

 

いつかどこかで聞いた声がする。

頭痛が酷くなる。

 

――お前の運命はもう決まっている

 

「そんなはず」

 

――帰れ・・今ならまだ間に合う・・

 

「帰る場所なんて無い」

 

――・・・それ以上近づくな

 

「果たさないと・・・ウォルターの遺言を」

 

――これで満足か? 秩序を、世界を破壊する、それがお前の望みなのか?

 

「俺は、ただ生きたかった、だけだ」

 

ただ人並みに生きていきたかった。

だから仕事をしたのだ。

依頼を受けて、仕事をした。

 

「それだけだ」

 

――わからんのか? イレギュラーなんだよ やりすぎたんだ お前はな!

 

「依頼をこなしただけだ」

 

旧世代型の改造人間にはよくある幻聴だと、そう言ってくれる者はもういない。

 

――お前に意味を与えてやる。仕事の時間だ

 

ただハンドラー・ウォルターのかつての言葉だけが、大昔の亡霊の様な男を支えていた。

ただ一人、自分をすくい上げてくれた恩人に報いるために。

その遺言を果たすために。

 

エアの指定した封鎖ステーションが目視圏に入った。

友人を殺す時が来たのだ。

 

「・・・レイヴン、あなたには今も見えているはず。コーラルたちの声が」

 

エアの声が聞こえる。

ステーションに舞う、コーラルの赤い光。

 

「それでも人とコーラルの可能性に目を向けず・・・私たちを根絶しようというのですね」

 

ステーションの奥から、赤い燐光を翼のように噴出して、白い機体が宙を駆ける。

バスキュラープラントで戦ったアイビスシリーズに似た機体。

621がACを後退させる。

眼前を掠め、白い機体がステーション表面に炎の軌跡を描く。

飛行形態から人型へ、バスキュラープラントのアイビスシリーズと同系統の可変機。

いや、あれより若干重厚さを感じさせる。

蜘蛛の様な複数のカメラアイが、威嚇するように紅く輝いた。

 

アイビスシリーズ 『IB-07:SOL 644』

 

コーラルの赤い光を纏った、純白の機体。

エアの駆る機動兵器が、立ち塞がる。

 

「レイヴン、あなたは私が止めます。この惑星(ほし)を焼かせはしない」

 

『メインシステム戦闘モード起動』

 

「あなたを倒し・・・ そしてザイレムを止める。この機体に乗せられた・・・ 人々とコーラルの意思と共に」

 

SOL 644の肩部と脚部のキャノン砲から、赤い光が放たれる。

回避、クイックブースト。

間髪入れずに、コーラルオシレーターからのブレード光波。

左右の動きでは躱しきれない、前に踏み込む。

ギリギリのところで掠めるに留まる。

返礼とばかりに、Vvc-760PRによる偏差射撃。

展開されたパルスアーマーで弾かれた。

エアと出会った時に戦った、バルテウスを思い出させる。

 

「人とコーラルの共生。私はあなたにその可能性を見たのです」

 

今更だ。

ウォルターの遺言を果たすために。

友人を殺さなければ。

SOL 644が放ったミサイルを躱し、ロックオン、Vvc-70VPMから垂直プラズマミサイルが射出。

同時にVvc-760PRを連射。

正面と上からの、面制圧。

パルスアーマーが砕けた。

 

「あなたなら・・・ ともに歩めると」

 

俺も。

621が、その言葉を呑み込む。

どの面を下げて言えばいい。

エアが踏み込む。

長く伸びる、ブレード光波。

左、続いて右!!

速い、回避しきれず、装甲が削り取られる。

だがただではやられない、IA-C01W2: MOONLIGHT

こちらもブレード光波を叩き込む。

エアの赤い光波と621の蒼い光波が交差する。

 

「・・・レイヴン、あなたは強くそして危険です。私の・・・ 全力で当たります」

 

――理由なき強さほど、危ういものはないぞ!

 

ラスティの言葉が頭をよぎる。

 

(お前も同じ事を言うんだな、エア)

 

プラズマミサイルを射出。

そしてこの距離でこいつを回避するのは無理だろう、Vvc-760PRのチャージショット。

周辺空間一体を覆う、エネルギーの奔流だ。

同時にミサイルの着弾。

アサルトブーストで一気に加速をかける。

加速を付けた蹴り。

衝撃と共に、エアの苦悶の声が響く。

同時にVE-60SNAから帯電した大型ニードルが射出。

直撃、即座にニードルから放電が始まり、爆発。

 

(これで・・・・・・これでもう、終わってくれ)

 

「・・・今なら分かります、レイヴン」

 

SOL 644が飛行形態へ。

翼のように赤いコーラル光をたなびかせて。

火の鳥の様なコーラルの分身が、群れをなして襲いかかる。

クイックブースト、右、左、アサルトブースト。

火の鳥をかい潜っていく。

 

「あなたこそが・・・ルビコンの戦火そのものだったと!!」

 

俺が、戦火そのもの?

俺が、いるから戦火が起こる?

・・・ラスティは死んだ。

俺が殺した

・・・ミシガンは死んだ。

俺が殺した

俺が、俺が、いなければ・・・・・・

チャティは、カーラは、ウォルターは無事だったのか?

クロームもムラクモも潰れなかったのか?

地球があんなことにならなくてすんだとでも?

・・・・・・クローム? ムラクモ? なんだ? 俺は何を?

 

それは致命的な隙だった。

分身ではない、火の鳥となったSOL 644自身が突っ込んでくる。

 

「がッ!? あぁああッ!?」

 

直撃。

衝撃でコクピットが揺れる。

そのまま機体は宙へ引きずられていく。

胸部装甲が削り取られ、頭部が粉砕された。

慣性が尽きると同時に、機体は落下していき、地面に叩き付けられ、動かなくなった。

辛うじて息のあるC4-621の意識は混濁して・・・・・・

 

「レイヴン・・・私は・・・あなただけが・・・」

 

結論を言えば、この時エアは、その名を呼ぶべきではなかった。

混濁した意識は、最悪の記憶に繋がってしまった。

C4-621がまだ、脳を焼かれる以前の・・・・・・

 

「レイ、ヴン? そうだ、俺は、傭兵(レイヴン)だ」

 

今よりずっと昔の話だ。

かつて人類が地球という惑星で燻っていた時代。

ACを駆る傭兵をこそ、レイヴンと呼んでいた時代。

一人の傭兵がいた。

 

――生き抜くがよいレイヴン

――我らとお前どちらが果たして正しかったのか

――お前にはそれを知る権利と義務がある

 

あまりの強さに、全ての秩序を破壊してしまった傭兵が。

身を持ち崩し、人体実験の被験体にされ、コールドスリープを繰り返して、こんな時代にまで流れ着いてしまった傭兵が。

今、旧時代の化け物(イレギュラー)が目を覚ます。

 

「レイヴン!?」

「どこの機体だ? クロームでもムラクモでもなさそうだが? ファンタズマか? まあいい」

 

頭部を失ったACが立ち上がる。

左腕が持ち上がり、Vvc-760PRからプラズマビームが迸る。

 

「エネルギー兵器なのに、ジュネレーターエネルギーが減らないのか。いいなこれ」

「どうして!? 頭部が破壊されたのに!?」

 

ACの頭部には、センサー類が集中している。

頭部を失った以上、レーダーは使用できず、照準など出来ないはずなのだ。

呆然として隙を晒したエアに、プラズマビームが直撃する。

 

「まだです・・・! 同胞たちの生命(いのち)を・・・! この惑星(ほし)の生命を焼き尽くす・・・人間の意思・・・! あなたの火は・・・ここで終わらせます!」

 

放たれたミサイルが、アサルトブーストで回避される。

コーラルキャノン、クイックブーストで右に左に。

当たらない。

ブレードもミサイルもキャノン砲も。

変形、火の鳥の群れを放つ。

これもアサルトブーストで回避される。

ここだ、ジェネレーターエネルギーがもう底を付く。

エアはずっとレイヴンと共にあったのだ。

レイヴンの機体の事はよく知っている。

機動出来なくなったここで、けりを付ける。

 

「これで終わりですレイヴン!!」

 

エネルギーを集中させたコーラルの奔流が、ビームとなって放たれる。

 

「!?」

 

ブースターから噴射炎。

レイヴンはそれを上昇して、回避した。

異常な挙動だった。

ジェネレーターエネルギーが、こんな短時間で回復するはずがない。

さらに異常。

アサルトブースト。

まるでジェネレーターエネルギー量が、倍加したといわんばかりだ。

 

「レイヴン、あなたは!!」

 

肩部のVE-60SNAが稼働するのが見えた。

チャンスだ。

大型武装は発射の一瞬に、反動に備えるために機体が静止する。

そこで一気に決める。

牽制のミサイルを放ち、一気に距離を詰める。

 

「これで!!」

 

VE-60SNAが発射された。

その刹那の間隙を縫って、SOL 644が射線から退避。

ACの一瞬の硬直を狙い、最後の一撃を、撃ち込もうと。

だというのに・・・・・・

止まらない。

一瞬の静止さえもせずに、ACが滑るように回避先に割り込んでくる。

至近距離から一閃されたブレードの蒼い光波。

それは一撃でSOL 644に、甚大な破壊を巻き起こした。

信じられない程の威力だった。

 

「レイヴン、あなたは!!」

 

異常過ぎる。

なんなのだこれは。

容赦のない追撃、SOL 644が蹴り飛ばされる。

そこにプラズマミサイルが、プラズマビームが迫る。

 

「何者なんですか!?」

傭兵(レイヴン)だ」

 

冷たく言い放たれた一言と同時に、エアの機体がプラズマの奔流に呑まれていく。

各部が爆発を起こし、火が上がる中で、その機体が助けを求めるように、手を伸ばしていた。

 

「レイヴン・・・ それでも・・・ 私は・・・人と・・・ コーラル・・・ の・・・」

 

倒れ伏したSOL 644から、コーラルの光が、カメラアイの光が、消えていく。

エアの生命が散っていくように。

 

「エア?」

 

ようやく記憶の混濁から回復した621が、その名を呼んだ。

応えはもうなかった。

・・・もう何も聞こえない。

 

「そうだなエア、俺は戦火だ」

 

どこまでいっても、どれだけ時代が流れようと。

全てを焼き尽くす戦火にしか、その男はなれなかった。

 

   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇   ◇◆◇

 

その戦いに勝利者と呼べる者などいない。

誰も彼も得るものなどなく、失っただけだった。

コーラルが焼き尽くされ、星系規模の炎と嵐によって、人々は死に絶えて。

ルビコン3は廃星となり、永久に放棄される運びになった。

その後のレイヴンの消息はようとして知れない。

その名だけが歴史に刻まれている。

2度目の災禍 「レイヴンの火」 として




ということで、自己満足なSSでした。
初代も何周したか分からないくらい遊んだよ。
レイブンがどうなったか?
星系焼くような災害にAC一機で逃げ延びれるとは思えないしあのまま死んだんじゃないかな?
エアちゃんと一緒のとこ行こうね、これはハッピーエンドだね。
次はウォルター戦でも書くよ。
オールドンマイちゃんとコーラルリリースは、ちょっと621何考えてるか理解できないんで、未定かな。

リハビリ終わったら、蜘蛛娘さんとお紺さんの話でも書くね。

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