成功しなければ、意味が無い。
最強でなければ、価値が無い。
優れた存在でなければならない。
もっともっと、ずっと高みへ行かなければならない。
なぜなら――。
はあはあと呼吸を乱しながら、刀を杖替わりにしてどうにか立っている様子のセフィロス。そんな彼を見ながら、宝条は彼が叩きだしたデータを眺めた。
前回よりも格段に戦闘能力が上がっている。しかし、まだまだだ。宝条の納得する結果ではない。セフィロスならば、もっと上を目指せるはずだ。
――もっと、もっと強くなれセフィロス
彼は、誰よりも強くならなければならない。何者にも負けない強さを持たなければならない。
人類が決して届かない、高みへと昇り詰めなければならない。
誰もがうらやむ強さと聡明さと美しさを備えた完璧な存在とならなければならない。
そうでなければ、彼は、消されてしまうだろう。
――あれは、私の最高傑作だ。失うわけにはいかない
人間とは人と違うものを恐れ、排除するものだ。中途半端に強い化け物では、ただ退治されて終わってしまう。
ならばどうすればいいのか?
簡単な話だ。退治などできない、化け物よりもさらに上をいく存在――例えるなら《神》のような存在としてしまえばいいのだ。
「セフィロス」
宝条はセフィロスに声をかける。セフィロスはガラス越しに宝条を睨んだ。そんな視線をどこ吹く風とばかりに受け流し、宝条は言う。
「まだやれるはずだ」
セフィロスは優秀な存在だ。この程度で終わるはずがない。
手元のボタンを押せば、複数のモンスターを掛け合わせた醜悪な姿のサンプルがセフィロスの前に現れる。
ぐっと刀を握り、セフィロスはモンスターを睨みつけた。痛む手に力を籠める。両の足でしっかりと地面を踏みしめる。
サンプルは耳障りな金属音のような鳴き声をあげながら、こちらへ襲い掛かってきた。
どうにか息を整え、サンプルに切りかかる。耳をふさぎたくなるような不快な悲鳴を上げるモンスターの片腕がちぎれた。
紫色のどろどろした血液が床を汚すと同時に、反対側の腕がセフィロスを襲う。間一髪、直撃は免れたが、右腕を負傷した。
びりびりとしびれて力が入らない右腕をだらりとたらしながら、セフィロスはサンプルをにらみつけ、魔法を放ち、急所へ刀を突きさした。
緑色の光と共に、命がライフストリームへ還る。とどめを刺した瞬間、セフィロスはその場に崩れ落ちた。
ギリギリ意識を保っている中、宝条がこちらへと近づいてきているのが分かった。
「セフィロス」
宝条は無機質な声で言う。
「次は、一撃で仕留めろ」
その言葉に、セフィロスは舌打ちを返した。
少し離れた場所で彼らを睨む男が一人。科学部門のホランダー博士だ。
自分のサンプルは失敗作だったというのに、宝条のサンプルは順調に結果を残している。それが面白くない。
神羅の管理する村にいる生き残ったサンプルは、特に目立った身体能力の高さを持たず――とはいえ同年代の子供の中ではそこそこ優れている方らしいが――普通の子供として暮らしているという。
あのサンプルたちがもっと優秀なら……。そう考えずにはいられない。
歯噛みするホランダーの視界の端で、黒服の男――たしかヴィンセントといったか?――が宝条を怒鳴りつけている姿が見えた。
あのタークスは変わった男だ。たかが実験体一匹を、ただの子供のように扱っている。人よりも丈夫で怪我などすぐ治ってしまうのに、アレが怪我をしていたら顔を青ざめさせ、心配そうに声をかけ、そして時には怪我の原因である宝条を怒鳴りつける。ここしばらくで見慣れた光景だ。
宝条も宝条だ。すでにアレは優秀な成果を出し、優れた《兵器》となっている。なのに、彼はそれではまだ物足りないらしい。
いったい何を求めているのか。ホランダーには、宝条の考えも、ヴィンセントの気持ちも、全く分からなかった。
広報部から渡された資料を見て、頭を抱える者が一人。
――ついに、来てしまった。
リーブ・トゥエスティ。都市開発部門統括で、神羅カンパニーの幹部の中では数少ない常識人。そして、《前》の時間軸では、メテオ災害の英雄の一人として名を連ねていた男。
彼はため息を吐き、一つのぬいぐるみを取り出した。
無生物に命を吹き込む能力《インスパイア》。その力によって命を吹き込まれたぬいぐるみ――ケット・シーはリーブが床におろした瞬間、ぴょこんと飛び跳ね、片手をあげた。
「科学班の調査をしてきてください。頼みましたよ」
「はい!」
元気に返事をし、ケット・シーは科学班フロアへと向かっていった。
リバースのプレイ動画見てて思ったのですが、ケット・シーとてもかわいいです。耳がぴくぴく動いているのがたまりません