夢のようなものを見た。
それが未来に起こる出来事だと気づいたとき、リーブは顔を青ざめさせた。あんな未来、阻止しなければいけない。
しかし、自分ひとりでは力不足だ。
――せめて、誰かしら協力者がいればいいのですが
かつての仲間の顔を思い浮かべる。
その中で一人、今現在、どこで何をしているかすぐにわかる男がいた。
ヴィンセント・ヴァレンタイン。《前》と同じなら、彼は神羅屋敷の地下で眠っているはずだ。
休暇を取り、ニブルヘイムの神羅屋敷へ向かう。しかし、そこの地下には誰もいなかった。リーブはサッと顔を青ざめさせる。
――まさか、私以外にも記憶が戻った者がいて、ヴィンセントを?
一つ頭を横に振り、リーブは嫌な予感を振り払う。ヴィンセント自身が《前》の記憶を取り戻している可能性だってあるじゃないか。
神羅屋敷から出ていくところ、小さな女の子が両親と共に歩いているのが見えた。
ティファだ。
彼女はこちらに気づくと、見慣れない人物を不思議そうに見上げた。
母親の後ろに隠れている彼女は、《前》の記憶が無いように見える。少し離れたところで同じくこちらの様子をうかがっているらしい小さな少年。ティファと同じく母親の陰に隠れているのは、クラウドだ。
リーブの記憶が正しければクラウドは三歳、ティファは二歳だ。
こちらに挨拶をするロックハート夫妻に、人のいい雰囲気であいさつを返しながら、リーブはニブルヘイムを後にした。
これから、やらなければならないことが山積みだ。
――まずはタークスに接触後、ヴィンセントがどこにいるのか調べる。その後コレルへ向かいバレットに接触。記憶があるようなら協力を頼み、記憶が無いようならコレル村の事故を防ぐ方法をさぐり……
そして、神羅の闇――ディープグラウンドを排除。
次に、英雄セフィロスが狂う原因を消す。
そこで、リーブはふと思い出した。
あの時――ヴィンセントを探しに神羅屋敷の中を探った時、あそこにあった資料は、記憶よりも随分少ないように思えた。
一度戻って確かめよう。
そう思い踵を返したとき、誰かに腕を掴まれた。
「よお」
太く浅黒い腕。鍛え上げられたからだ。記憶よりも幾分若い彼の姿にリーブは目を見開き、涙を流した。
「バレット」
自分の知っている未来では失われた右手をこちらに向けてきた。
それに自身の右手を差し出すと力強く握り返される。
「ヴィンセントに会いに来てみたが、まさかリーブにあえるとは思わなかったぜ」
「それなのですが」
リーブが神羅屋敷で見たことを話すとバレットは目を見開いた。
「まさか、俺ら以外にも記憶があるやつが神羅側にいて、ヴィンセントを始末したんじゃ」
「その可能性もあり得ます。けれど、もしかしたら彼自身も記憶があるかもしれません」
引き続きこちらも調べてみるとリーブが話した後で、ふとある《計画》を思いついた。たとえ《例の事件》を起こさないようにしたとしても、他にも問題はある。
「バレット、あなたが見つけた油田の場所を教えてください」