「こちらハウンド01、ターゲットを確認した。これより捕獲作戦を開始する。」
数十機のISが隊列を組んで飛行してくる。
ここ、戦艦<天照>を目指して。
ざっと見た限り、5,6か国の合同作戦のようだ。
各国の最新鋭機で攻めてくるなんて。
わかってはいたが、軍用ISの出力は桁違いだな。
エネルギーのリミッターを外していることもあり、遠慮なくスラスターを吹かしている。
こちらのパラディンたちは、単体性能が第3.5世代程度ではあるものの、あくまで競技用ISを基準とした場合だ。
軍用ISの出力には勝てない。
「シリウス、パラディンを展開。」
「常に複数機で対処をしてくれ。流石に出力では勝てない。」
IS一機に対して、こちらは5機程度で対抗。
それでようやく安定して勝てる。
さて……これからどうなることやら。
side IS操縦者
「ターゲットより複数の機体の出撃を確認!こちらに来ます!」
ここまで大きな障害もなく接近できていたが、そのまますんなりと進むわけはなかったか。
「総員、戦闘準備!可能であればあの機体も捕獲せよ!」
どれだけ数を用意しようとも、ISには勝てないということを教えてやろう。
そして、ISを奪うなどとほざいたあの男を嬲ってやる……!
そう心に決めていると、戦闘が始まる。
「ふん!所詮はIS以下の雑魚だ。すぐに勝負は決ま……がっ!?」
油断か慢心か。先頭を進んでいたISが相手方の機体と交戦を開始した直後、腹部に直撃を食らったことで後方に吹き飛ばされる。
意識を失ったのか、体勢を立て直す気配はない。
「ばかな!相手はISではないのだぞ!?」
あっさりとISに攻撃が通ったことで、全体に動揺が走る。
みな、先ほどの光景に動揺し足が止まる。
止まってしまう。
「ぐあっ!」「なっ!?」「そんなっ!」
足を止めた我々に容赦なく攻撃を加えていく敵方。
あっさりと追加で三機撃墜される。
もたもたしている場合ではない。早く動かねば……!
「何をしている!交戦開始だ!」
自らの動揺を抑えつつ、部隊に命令を与える。
しかし、一度広がった動揺を拭い去ることはできず、次々と撃墜されていく。
「ありえん!こちらはISだぞ!?通常兵器では相手にならないはずだ!!」
気が付いた時には、戦場に残っているのは私一人だけだった。
辺りには無数の敵機。
「な……な……!」
「嘘だ……うそだあああああああっ!!!!」
眼前の理解できない光景に囚われ、無我夢中で逃亡してしまう。
理性ではなく本能で、勝てないと、このままでは殺されてしまうと感じてしまった。
エネルギー残量など考えず、ただひたすらに地球に落ちていく。
大気圏まで来たことで、逃げ切れたと思った。
思ってしまった。
背後に迫る白銀の機体。
私はそれに気付くことなく、闇の中に意識を落としていった。
side 主人公
「……よし。ひとまず撃退完了だな。」
念のためモニターを繋ぎ戦闘を見ていたが、特に問題なく終わり、ホッとする。
IS同士での戦闘しかしていなかったためか、集団戦に対する経験が少なかったようで、こちらの複数機での攻撃に対処できていなかった。
「この調子ならISコア回収も問題なさそうだな。」
「よし、シリウス!天照にパラディンを50機程度残して、あとはIS学園以外の場所にある、ISコアの回収に向かってくれ。」
「りょうかーい!」
ひとまずISとの戦闘は問題なくなった。
懸念すべきは、IS学園と篠ノ之束だな。
IS学園には、篠ノ之束の関係者が多い。更には織斑千冬がいる。
彼女を相手取るには、おそらくパラディンでは厳しいだろう。
「俺が出るしかない……か。」
織斑千冬を再起不能にしておかないと、彼女一人で形勢逆転される可能性もあるからな。
篠ノ之束は……今のところ動きはない、か。
彼女が動き始める前に、宇宙進出の準備ができれば最良なんだが……
「レオ、天照の最終確認の状況はどうだ?」
「現在、メインシステムの最終チェック中です。」
「また、サブシステムに一部エラーが発生しているため、航行可能まで時間がかかります。」
そううまくはいかないか。
実際に宇宙に飛ばしてからじゃないと最終確認ができないしな……
俺たちが逃げ切るか、篠ノ之束が攻めてくるか。
果たしてどちらが早いかね……