駆逐艦。小学生から中学生ほどの年齢に見える彼女らに恋慕を抱く自分は、所謂ロリコンなのだろう。綾波型駆逐艦一番艦、綾波。彼女は、見た目相応の性格の多い駆逐艦の中でも珍しく、不思議な母性を感じさせる。恥ずかしい話だ。大の男である自分が、中学生程の見た目に彼女に恋慕を抱くなど。しかし、彼女なら自分の情けなさも受け入れてくれるのではないかと、淡い期待を抱いている。
「司令官、どうしました?」
ふわふわとした雰囲気の綾波の声に、一瞬驚く
「司令官?」
「いや、大丈夫だよ。綾波。」
いけない。今は執務中なのだ。しっかり集中しなければ。彼女に仕事のできない人間だとは思われたくない。
「司令官、最近悩んでることとかありませんか?執務中にボーっとしてることが多いので・・・綾波、心配です。」
綾波は、優しく声を掛けてくれる。あぁ彼女のこの優しさは俺を駄目にする。彼女の前では、毅然とした態度で尊敬される上官でいたいのに。
「悩み・・・は特に無いかな。」
「そうですか・・・?それじゃあ、執務を引き続き頑張っていきましょう!」
綾波は、若干の疑問を覚えたようだが、すぐに切り替えて、こちらを激励してくれる。こういった、こちらの嫌なことを深く追求しないところも、綾波の良いところだ。一緒に居て安心感がある。だが、もっと彼女と話したいという欲求が首をもたげてくる。一つ質問をする。
「綾波は、さ・・・好きな人とかいる?」
自分で聞いておきながら、どんな質問だと困惑する。こんなのまるで中学生のする質問だ。第一、この鎮守府で彼女らと関わりのある男は自分しかいない。いないと答えられるのがオチだ。
「司令官って、答えたらどうしますか?」
少し顔を赤らめている綾波。呆然とする。思考が回らない。
「えっと、それは・・・」
「ごめんなさい。なんでもないです・・・。」
そう言った彼女の表情は、悲しげな笑顔だった。
「俺は綾波のこと、好きだよ。」
反射。なんの思考もせず口から出た言葉だった。
「ありがとうございます。司令官。でも、綾波の‘‘好き”は普通の好きじゃ無いんです。綾波、司令官の事をいつも考えてて、秘書艦のときも司令官の方ばっかり見てるんです。ほかにも、司令官に言えないことしてるんです。」
綾波の告白。俺に言えないこととはなにか、疑問があるがそんなことはどうでもいい。今、この瞬間が俺の想いを伝える時だ。
「綾波、俺は綾波のことが好きだ。親愛じゃない。恋慕なんだ。どうしようもなく、好きなんだ。」
かっこよさの欠片もない告白だと、われながら思う。ただ、俺の言いたいことすべてだった。
「司令官、綾波でいいんですか?綾波よりも可愛い子、いっぱいいますよ・・・?」
彼女は、信じられないといった表情をしている。
「綾波がいいんだ。俺にとっては綾波が一番可愛いんだ。」
「ありがとう・・・ございます・・・。」
彼女は泣いている。その表情すらも、俺にとっては素晴らしいものだ。今日から過ごす日々、今までの一人から、二人に変わるのだ。